2014年都議会第1回定例会 文書質問質問趣意書 3月26日

かち佳代子(大田区選出)

一、生活習慣病予防対策における食生活の改善について

                         近年、生活習慣病のなかでも、子供たちの年齢から、高コレステロールの状況が増えている。それが、若年脳梗塞や心筋梗塞の要因になっているといわれています。
 防衛医科大学校 第一内科の大鈴文孝氏は2005年の論文で、「最近、30歳代の若い男性の急性心筋梗塞も稀ではないとの印象が強いが、わが国の若年者の剖検冠動脈では、すでに10歳代からfatty streak(脂肪線状)が認められ、30歳代で病変の進展が顕著との報告もあり、イベントと剖検所見が一致している」と述べ、「年代別のわが国のコレステロールの年次変化からは、日本の若者の平均値はすでに米国を上回る高コレステロール血しょうとなっており、将来の心血管事故の顕著な増加も懸念される」とのべています。
 また、名古屋第二赤十字病院の2009年における、若年性脳梗塞患者93症例の研究報告でもライフスタイルの欧米化などを反映し、動脈硬化性脳梗塞の発症が若年化していることが示唆されると述べています。

Q1 近年、若年層における高コレステロール血しょうの増加などによる、血管系疾患の増加を警告する研究論文などに対する都の見解をお聞きします。

 WHO/FAO国連食糧農業機関の食事、栄養及び慢性疾患予防に関する報告書(2003年)によると、「世界規模で穀物の消費が減り、脂肪・特に飽和脂肪酸の多い高カロリー食の消費が増えてきている。このような食事とライフスタイルの変化により、慢性非感染性疾患:肥満、糖尿病、心血管疾患、脳卒中、ある種の癌がふえて、発展途上国と新興国の人々の障害と早死にの原因となり、重い財政負担をさらに悪化させている。昔、慢性疾患を富による疾患としたのは、間違いで、貧しい国と、豊かな国の貧困層で蔓延している疾患である」として、「効果的な環境、健康的な食事ができるように学校や職場で取り組む。安全で栄養価の高い食品の提供を受けることは、必要なことであり、基本的人権でもある。消費者が健康に良い選択ができるように、食品成分表示をすべきである。飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の含有量も確認できるようにすべきである」と述べています。
 深刻な慢性疾患問題を抱える米国では、1994年に栄養成分表示が義務化され、その後、ブラジル(2001年)、オーストラリア・ニュージーランド(2001年)カナダ(2005年)など各国が続いています。アジアでも台湾(2002年)、韓国(2006年)、中国(2008年)、インド(2009年)などの国や地域で栄養成分表示が義務化されています。
 さらに、カナダ(2005年)、米国(2006年)では、トランス脂肪酸の含有量表示を義務化し、ブラジル(2006年)アルゼンチン、チリ等でも表示を義務化し、アジアの国、地域でもトランス脂肪酸の表示義務化の動きが進んでいます。韓国(2007年)、台湾(2008年)、香港(2010年)と広がっています。この他オーストラリア、シンガポールなどでは、表示は任意ながら、強調表示する場合の規準を定めています。
 しかし、日本の場合は、栄養成分表示が任意であり、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸、コレステロールなどについても、表示義務がありません。

  Q2、消費者が健康に良い選択ができるために、WHOの報告や各国、地域で栄養成分表示を義務化していることをどのように、受け止めていますか。

 日本でも、国の食品安全委員会が04年から、独自にトランス脂肪酸の食品健康影響評価をおこなっています。
 さらに、食品安全委員会の食品健康影響評価の議事録(12年3月)では、極めて重大な健康リスクについての警告と表示の必要性に言及しています。
 国の消費者政策を盛り込んだ「消費者基本計画」でもトランス脂肪酸について「栄養成分の表示のあり方について検討を進める」と記載されているにもかかわらず、遅々としてすすんでいません。
 ようやく、2013年6月に食品表示法が成立・公布されたものの、法の施行は公布から2年以内ですが、栄養表示の義務化は、施行から5年を目途に実施ということであり、公布から7年後ということであり、積極的な姿勢とはとてもいえません。

Q3、法律は成立しているのですから、業界や関係者が自ら自主的に表示に取り組むよう、働きかけることも、有効であると思いますがどうですか。

Q4英国などでは、適正な栄養摂取に役立つ、青・黄・赤信号表示を実施しています。日本でも、脂肪分や塩分の多い食品が多数販売されています。
 信号表示があればだれでも、各商品の塩分や脂肪分の量がわかります。国に先駆けて、都として積極的表示の具体化に踏み出すべきと思いますが、どうですか。

   2013年11月、米食品医薬品局(FDA)は、マーガリンや調合油、洋菓子などに含まれるトランス脂肪酸の使用を禁止する規制案を提示し、食品業界に対する猶予期間などの詳細が検討されています。
 さらに、食品業界の自主的な取り組みもあり、米国人の1日当たりのトランス脂肪酸の摂取量は、03年時の5分の1近くまで減少。米疾病対策センターでは、この規制によって、年間2万人の心疾患患者の発生を抑制し、死亡者を7000人削減することは可能としています。

Q5、食生活が欧米化する中で、若年者の心血管疾患や脳血管疾患を防止する上でも、米国での取り組みは、検討に値するとおもいますがどうですか。

 都の食品安全条例の第3章 第21条では、食品による健康への悪影響を未然に防止するため、当該悪影響の起こりうる蓋(がい)然性及びその重大性の観点から必要と認めるときは、(中略)食品等に含まれることにより健康に悪影響を及ぼすおそれがある要因について、必要な調査をおこなうことができるとしています。

Q6、食品に含まれる栄養成分のうち、トランス脂肪酸や、コレステロール、飽和脂肪酸が及ぼす健康への影響について、調査をすることを、求めますが、どうですか。

 かつて、東京都は、将来の健康に重大な影響をおよぼす遺伝子組み換え食品について、都独自の表示義務を課すこともおこなってきました。
 健康な生活を送ることができる都民の権利を守るため、生活習慣病予防は重要です。その対策の一環として、食生活の改善を促す啓蒙・周知が必要です。食品の栄養表示は、健康に良い選択をする上で、重要な情報提供です。都として、積極的に取り組むことを、強く求めるものです。

ナトリウム)が表示されています。

Q4英国などでは、適正な栄養摂取に役立つ、青・黄・赤信号表示を実施しています。日本でも、脂肪分や塩分の多い食品が多数販売されています。
 信号表示があればだれでも、各商品の塩分や脂肪分の量がわかります。国に先駆けて、都として積極的表示の具体化に踏み出すべきと思いますが、どうですか。

A4 食品の栄養成分表示の在り方については、現在、国において、検討が行われており、都としては、国の動向を注視していきます。

 2013年11月、米食品医薬品局(FDA)は、マーガリンや調合油、洋菓子などに含まれるトランス脂肪酸の使用を禁止する規制案を提示し、食品業界に対する猶予期間などの詳細が検討されています。
 さらに、食品業界の自主的な取り組みもあり、米国人の1日当たりのトランス脂肪酸の摂取量は、03年時の5分の1近くまで減少。米疾病対策センターでは、この規制によって、年間2万人の心疾患患者の発生を抑制し、死亡者を7000人削減することは可能としています。

Q5、食生活が欧米化する中で、若年者の心血管疾患や脳血管疾患を防止する上でも、米国での取り組みは、検討に値するとおもいますがどうですか。

A5、WHOでは、トランス脂肪酸の摂取を総エネルギー摂取量の1パーセント未満に抑えることを目標として提示しています。米国等においては、トランス脂肪酸摂取量がWHOの目標を超えていたことから、対策が導入されてきました。日本においては、内閣府食品安全委員会による、食品に含まれるトランス脂肪酸に係る食品健康影響評価書(平成24年3月)では、日本人の大多数におけるトランス脂肪酸の摂取は、WHOの目標を下回っています。通常の食生活では健康への影響は小さいと考えられますが、脂質に偏った食事をしている人は、留意する必要があります。
 脂質自体は重要な栄養素であり、極端な制限は健康に悪影響を与えるため、バランスの良い食事を心掛けることが大切であると認識しています。

 都の食品安全条例の第3章 第21条では、食品による健康への悪影響を未然に防止するため、当該悪影響の起こりうる蓋(がい)然性及びその重大性の観点から必要と認めるときは、(中略)食品等に含まれることにより健康に悪影響を及ぼすおそれがある要因について、必要な調査をおこなうことができるとしています。

Q6、食品に含まれる栄養成分のうち、トランス脂肪酸や、コレステロール、飽和脂肪酸が及ぼす健康への影響について、調査をすることを、求めますが、どうですか。

A6 トランス脂肪酸、コレステロール及び飽和脂肪酸については、国において、摂取量を勘案した健康影響に関する評価が行われており、都として、調査を実施することは考えていません。

 かつて、東京都は、将来の健康に重大な影響をおよぼす遺伝子組み換え食品について、都独自の表示義務を課すこともおこなってきました。
 健康な生活を送ることができる都民の権利を守るため、生活習慣病予防は重要です。その対策の一環として、食生活の改善を促す啓蒙・周知が必要です。食品の栄養表示は、健康に良い選択をする上で、重要な情報提供です。都として、積極的に取り組むことを、強く求めるものです。