2014年第4回定例会文書質問趣意書 12月22日

吉田信夫(杉並区選出)

一、新国立競技場計画の景観協議提出資料への対応について

                                 国と独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)がすすめる新国立競技場計画にたいし、多くの建築家や都民から、神宮外苑の歴史的景観を破壊することへの懸念がひろがっています。日本景観学会も、新国立競技場計画にたいし「神宮外苑という日本の代表的な歴史的風致地区の景観を阻害し、この地のもつ過去から未来にかけて保持すべき文化価値を破壊すると考えられる」とのアピールを発表しています。
 そもそも、周辺の景観を守ることは、IOCの「アジェンダ21」でも「まわりの自然や景観を損なうことなく設計されなければならない」と強調されています。しかも東京都景観条例でも規定されている通り、良好な景観の形成は都の責務です。それだけに貴重な景観保全の立場から都が新国立競技場計画にたいし厳正な対応をとることが求められています。
 しかし、日本共産党都議団の指摘でJSCが事前協議のために都に提出した完成後のシミュレーション写真が、周辺の建物にくらべて競技場が低く、小さく見えるという重大な問題が明らかになったにもかかわらず、何ら対応をしませんでした。こうした都の対応は良好な景観の保全という点で厳正さを欠くものです。あらためて、都の対応について以下質問します。

Q1 そもそも、都は景観の事前協議のために、完成後の景観シミュレーション写真提出を求めていますが、それはどのような理由からですか。

Q2 シミュレーション写真は、実際に建築物が完成したあとの景観に可能なかぎり近いものにすべきと思いますが、どうですか。

Q3 知事は、10月17日の記者会見で、JSCから提出された景観予測図が過小との指摘があることの質問にたいし、「目くじらを立てることはない」と発言しましたが、それはどのような理由からですか。

Q4 知事は、「信号機の位置がちょっと上か下かくらいは」と発言していますが、シミュレーション写真の人工地盤の高さが設計より低かったことは軽視できないではありませんか。しかも日本共産党都議団が知事への要請書で指摘をしたのは、当初「提出されたモンタージュ写真が、実際の設計より競技場が低く小さく見えるものだった」ことです。この点をどう認識したのですか。

Q5 JSCが当初提出した合成写真と再提出した合成写真とをくらべると、屋根の最高部の高さ、さらに横幅が大きく違うことは明瞭です。写真上の比較で、再提出写真修正にくらべ当初提出写真では屋根の最高部の高さ、横幅はどれだけ低く、狭くなっていましたか。その写真上の高さや横幅のちがいは、実物上ではどれだけ、低く、狭いと推計されますか。
Q6 知事は第3回定例会で、新国立競技場計画についてのわが党の質問にたいし「景観を含めた必要な手続を適正に進め」と答弁しました。シミュレーション写真が実際の完成時の高さや大きさより低く、小さく見えるもので、事前協議されたことが、「適正」となぜいえるのですか。

Q7 わが党は、都市整備局長にたいし、当初提出した合成写真が、信号機や街路灯の高さとくらべ人工地盤の高さが低いことを指摘し、「すみやかに調査」することを要請しました。この申し入れにたいしどう対応してきたのですか。
 調査結果はどうだったのですか。

Q8 わが党は、10月15日、JSCが再提出した合成写真が当初提出の合成写真と大きくちがっていたことをうけて、JSCにたいしすべての写真について作成し直して提出を求めるよう知事に申し入れました。しかし都はなぜJSCに対し周辺の高さを考慮し、実際の完成後のシミュレーションに近い合成写真の再提出を求めなかったのですか。

以上