2014年 第3回定例会 文書質問趣意書 10月1日

大山とも子(新宿区選出)

新国立競技場建て替え問題と都営霞ヶ丘アパートについて

 都は、文部科学省と日本スポーツ振興センター(JSC)がすすめる新国立競技場整備計画を理由に、住民の意向も無視して都営霞ヶ丘アパートを廃止し、住民を追い出そうとしています。
 都による廃止通告から2年が経過しますが、茨城大学稲葉奈々子准教授の最近のアンケート調査でも、30人の住民は「このまま霞ヶ丘アパートに暮らしたい」と求めています。また新国立競技場計画にたいし、改修を含め抜本見直しを求める建築家や都民の声は、当初の想定をこえて広がる一方です。世論調査でも、回答者の4割が改修、3割が計画見直しを求め、改築は2割と少数です。
 私は、2012年の第3回定例会に、霞ヶ丘アパート廃止計画を白紙に戻し住民との話し合いを始めるべきとの文書質問を提出しましたが、あらためて、新国立競技場計画による都営霞ヶ丘アパート廃止計画を見直し、居住者が住み続けられることを求め、以下質問します。

Q1 そもそもオリンピックのメインスタジアムである競技場整備のために、都営住宅を廃止し住民を追い出すことは、住民の居住権を奪うものであり、オリンピック憲章の「人間の尊厳保持に重きを置く」とする理念に反する行為ではありませんか。都としてどのように検討したのですか。

Q2 たとえ国とJSCがナショナルプロジェクトだとしてアパート廃止を前提とした計画を立てたとしても、都は、都営住宅とその入居者を守る立場から是正を求めるべきです。都営住宅を廃止することなく、競技場を改築ないし改修する変更等はありえたはずです。都としてそうした努力、働きかけは行わなかったのですか。

Q3 廃止決定の経過、手続きも疑問です。JSCが有識者会議にデザインの募集要項を提案する前に、影響を及ぼす明治公園、都営住宅を所有する都に事前の相談、協議はあったはずですが、どうだったのですか。またどう対応したのですか。事前協議もなく一方的に現在の明治公園、都営住宅を廃止する前提での募集要項を発表したとしたら、それ自体許されるものではないと思いますが、いかがですか。

Q4 廃止の決定手続きがどのように行われたかが不透明です。都市整備局は、廃止を決定した文書は存在しないとの説明を行っていますが、都としていつ、どのような手続きをへて廃止を決定したのですか。廃止決定にかかわる文書を都民が求めたのにたいし都市整備局は「存在しない」と回答したと聞いています。廃止決定を決めた文書は存在しないのですか。そうだとしたら行政運営における公平性、透明性の確保という行政手続きの上からもきわめて不適正ではありませんか。

Q5 現在、約180世帯が居住していますが、現在は明治公園となっているところに居住していて、1964年の東京オリンピックのときの立ち退きによって霞ヶ丘アパートに移転した方々を始め、長年居住してきた方々が多くいます。したがって、入居者の多くは高齢者であり、廃止し、他の団地への転居を求めることは、たとえ新宿区内であろうと隣接区の都営住宅への移転であっても、高齢者の暮らしにも心身にも深刻な影響をもたらすものです。そうした点はどのように検討したのでしょうか。

  Q6 そして、最近の茨城大学稲葉奈々子准教授のアンケートでは回答者40人中、30人の居住者がいまでも「このまま霞ヶ丘アパートに暮らしたい」と回答し、「70年余り住み慣れた地を離れたくない。他地での生活環境の違いについていく自信がない」など切実な声が寄せられています。現時点で、こうした居住者の思いをどう受け止めますか。

Q7 知事は、記者会見での質問に答え、廃止決定の経過について「これはちょっと報告を受けて、どうだったかということを確認しないといけません」とのべました。報告を受けたのですか、その報告をどう受け止めたのですか。
  また、「できれば現場を見て、そういう判断をしたいと思います」とも発言していますが、いつ現場に行くのですか。

Q8 建築家、都民のあいだで、改修も含む新国立競技場計画の見直しを求める声が広がり、3人の建築家から改修による整備が提案されています。こうした改修案なら都営住宅は廃止する必要はありません。あらためて都営住宅の存続を求め、改築計画の見直しを国に迫るべきではありませんか。

以上