2006年1月23日
東京都知事
石 原 慎 太 郎 殿
日本共産党東京都議会議員団
2006年度東京都予算に関する復活要望書
2006年度東京都予算においては、東京においてとりわけ顕著な貧困と社会的格差のあらたな広がりにくわえ、小泉政権の庶民大増税と社会保障連続改悪がすすめられている現実をふまえ、今年度と来年度で5700億円にもなる都税増収分を、都民のくらしと福祉、営業と安全を守るために編成することがつよく求められています。
しかし、18日に知事が発表した来年度予算原案は、来年度を第2次財政再建推進プランの最終年度と位置づけ、老人医療費助成の廃止に向けた削減、保育所・学童クラブへの都加算補助の廃止、11年連続削減の中小企業予算をはじめ都民施策のきりさげをすすめ、福祉、医療、教育、住宅、商工業、環境などの都民の切実な要望には背を向けるものとなっています。
その一方、大規模再開発や幹線道路など、大企業のための都市基盤整備には優先的に予算が配分され、投資的経費は2年連続で増やされており、逆立ち予算の構造がいっそう強まっています。
日本共産党都議団は、都民のくらし・福祉優先の予算の実現をもとめる立場から、以下の復活要望を提出するものです。
共 通
1.大幅な税収増は、都民のくらし、福祉優先に配分すること。緊急性に欠ける「東京オリンピック開催準備基金」への積立金(1000億円)は、見送ること。
2.「第2次財政再建推進プラン」にもとづく、都民施策の切りすてをやめること。小泉政権の庶民増税、税制改悪に連動して、都民の負担増や施策の後退を招かないよう対策を講じること。
3.都が負担する必要のない首都高速道路への投資、羽田空港国際化のための再拡張、圏央道をはじめとする国直轄事業負担金などへの財政投入はやめるとともに、不要不急の公共事業や開発型第3セクターなどは抜本的に見直すこと。
4.市場原理にもとづく「官から民へ」の流れを加速させるあらたな「行革指針」の策定はやめること。都立施設の民間移譲、施設の管理運営を民間企業にも開放する指定管理者制度の導入、試験研究機関の独立行政法人化など、公的分野からの撤退を行わないこと。
5.都立技術専門学校の授業料の新設など、公共料金値上げは行わないこと。
6.都民サービスの後退につながり、職員に過重な負担を強いる職員定数の削減は行わないこと。
総 務 局
7.「市町村総合交付金」を増額するとともに、総合交付金化を通じた都による市町村の行政評価制度の導入及び「都市再生」や都民施策の切りすてをすすめる「行政改革」の押しつけはおこなわないこと。
8.都区財政調整制度の協議は誠実に対応するとともに、特別区財政調整交付金および都市計画交付金の拡充を図ること。
9.三宅島災害復旧・復興特別交付金を大幅に増額すること。三宅島の産業・農業などへの支援、三宅島への空輸便の実現を急ぐこと。
10.「地域防災計画」「震災予防計画」は、都民の安全を守る立場から最大級の地震を想定して策定すること。その際、超高層ビルや首都高速道路、橋梁、地下鉄などの都市施設の耐震対策を抜本的に強化すること。また、長周期地震動の知見をふまえた想定とその対策を急ぐこと。
財 務 局
11.公共事業を、住宅や福祉、学校、生活道路など生活密着型に切り替えること。分離分割発注に努め、中小企業の発注率を高めること。
生 活 文 化 局
12.私立学校経常費補助は、公立学校標準運営費の2分の1制度を名実ともに堅持し、拡充すること。
13.私立幼稚園教育振興事業費補助の削減はやめ、当初の削減以前に戻すこと。
14.私立通信制高等学校経常費補助は、広域通信制高等学校へも行うこと。
15.私立学校安全対策促進事業費補助は継続すること。
16.私立高等学校都内生就学促進補助は継続すること。
17.私立幼稚園児保護者負担軽減事業費補助を拡充し、第2子以降の補助単価を抜本的に増額すること。
18.私立学校の授業料軽減補助の対象、金額を拡充すること。
19.多様化し件数も増えている消費者相談、商品検査などへの自治体として責任をもった対応を継承できるように、消費生活総合センターの職員は減らすことなく、増員すること。
20.原油高騰や異常気象の影響による、石油、野菜など生活物資の値上がりから、都民生活と営業を守る対策を拡充すること。
都 市 整 備 局
21.一極集中と環境破壊をもたらす「都市再生」をあらため、誰もが安心して住みつづけられる東京の再生をめざすこと。丸の内再整備、大手町再生プロジェクトをはじめ先行まちづくりプロジェクト、北新宿、環2再開発、臨海都市基盤整備などの大規模開発予算は抑制すること。
22.耐震強度偽造事件被害者救済のため、家賃助成は住宅が再建できるまでの期間とし、経済的に困っている世帯には全額免除すること。国に対し、抜本的な被害者支援策をはじめ、該当企業の原因者責任、金融機関、不動産、建設業界の協力と負担などに手だてをつくすようもとめるとともに、都としても対策を講じること。
23.マンション耐震補強工事への助成をおこなうこと。
24.木造個人住宅の耐震補強工事への助成を木造住宅密集地域に限定せず、一般家屋についても対象とすること。
25.都市型水害、局地型豪雨対策として雨水浸透桝や雨水利用、地下貯留施設の緊急整備、地下鉄、地下街への浸水防止、都心部のくぼち対策など、異常気象にともなう集中豪雨に対応する対策を急ぐこと。
26.都営住宅の新規新築建設を再開すること。階段型住宅への設置など既存都営住宅のエレベーター設置を積極的にすすめること。
環 境 局
27.地球温暖化・ヒートアイランド対策室を設置し、風の道や壁面・屋上緑化、クールランド対策などを抜本的に強めること。
28.二酸化炭素の6%抑制目標達成にむけ、実効ある対策を講じること。大規模事業所の排出量抑制、中小業者への助成、自動車排気ガス対策などに力を注ぐこと。
29.一般排気ガス測定局、自動車排気ガス測定局を増設すること。PM2.5微粒子についての研究をすすめ、すべての測定局で測定をはじめること。
30.自動車交通総量の規制の目標を設定し、交通需要マネジメンントやモーダルシフトなど、自動車交通量の削減のための総合的な対策をすすめること。
31.環境科学研究所の体制を強化し、研究者の育成をはかること。また、社会科学的な研究・調査を重視すること。独立行政法人化はおこなわないこと。
32.吹きつけアスベストの飛散防止策を徹底し、都として一時保管場所を設置すること。学校、公共施設などのアスベスト除去への補助制度を創設すること。
33.太陽光など新エネルギー導入事業を促進すること。
34.自然公園での開発行為の規制を強化し、特別地域などの指定を拡大すること。里山、遊水地、樹林、崖地など、自然を保護すべき地域の公有化を促進すること。
福 祉 保 健 局
35.シルバーパスは、所得に応じて3000円、5000円のパスの発行や分割払い制度を実施すること。多摩モノレールでも利用できるようにすること。
36.老人医療費助成(マル福)の縮小・廃止は凍結し、制度を存続・拡充すること。
37.介護度が重く、介護・医療費の支払いが困難な高齢者や長期入院で差額ベッドをはじめとした負担が重い高齢者に対する介護手当を支給すること。
38.介護保険料の見直しによる負担増を抑えるために都として保険料、利用料の減免を行うこと。著しく保険料が高くなる島しょなどの自治体への特別の支援策をとること。保険料、利用料を軽減している区市町村への財政支援を行うこと。現行の利用料負担軽減制度は、利用者負担を2分の1に戻し、老人保健施設、療養型介護施設にも適用を拡大すること。
39.特別養護老人ホーム、老人保健施設を大幅に増設すること。入所者へのサービス向上のため特別養護老人ホーム経営支援事業を存続・拡充すること。
40.認知症高齢者グループホーム整備への補助を拡充し、緊急整備を促進すること。事業者にたいする借り上げ家賃補助を行うとともに、利用者の家賃等の負担軽減をはかること。
41.緊急時に安心して利用できるショートステイ支援事業を実施すること。
42.介護予防の拠点整備に対する支援をおこなうこと。
43.保育所・学童クラブへの都加算補助の廃止はやめ、子育て全体の予算を充実すること。また私立保育園等のサービス推進費補助の削減は中止し、経験年数加算を行うことをはじめ、制度の抜本的な改善と拡充をはかること。
44.乳幼児医療費助成の所得制限は撤廃するとともに、小中学生までの医療費無料化を実施すること。
45.待機児解消のために公立保育所、認可保育所の新設、増改築への支援を強化すること。延長保育、0歳児保育、病後児保育への支援を強化するとともに、2人目以降の保育料助成を行うこと。
46.子育て支援基盤整備のための包括補助金を拡充・増額すること。
47.障害者自立支援法にともなう新たな負担を軽減するため、ホームヘルプサービスにとどまらず負担軽減策を拡大、充実させること。精神障害者の通院医療費無料化をこれまで通り住民税非課税者に継続すること。
48.区市町村障害者就労支援事業を拡充し、全区市町村で実施すること。小規模作業所が事業を継続するとともに、法内施設へ移行できるよう必要な支援を行うこと。
49.知的障害者の地域生活を支援するため、施設から入居者を受け入れる一定期間、調整等に必要な経費を補助するグループホーム移行促進事業を行うこと。
50.精神障害者の地域生活を支えるために、訪問看護推進事業や都型ショートステイ事業を実施すること。地域生活支援センターに対する整備補助を行うこと。
51.ウイルス肝炎の通院医療費助成を行うこと。抗ウイルス治療を受ける患者に対する医療費助成制度を創設すること。フィブリノーゲンによる薬害肝炎の検診・治療を無料で行うこと。
52.在宅難病患者の生活の向上と介護の負担軽減を図るため、通所サービス利用支援事業を行うこと。難病医療費助成の対象疾病に骨髄異形成症候群などをくわえること。
53.がん検診、基本健康診査の受診率向上対策を推進するため、区市町村への支援を強化すること。地域がん診療拠点病院の機能強化をすすめるとともに、患者・家族の相談窓口や在宅緩和ケア(在宅ホスピス)の支援システムを確立すること。
54.生活保護にかかわる夏冬の見舞金制度を復活させるとともに、健全育成事業の対象を高校生に広げること。福祉事務所のケースワーカーを増やし、専門性を高める研修を強化すること。
55.特別区、市町村国保への助成を拡充し、保険料の負担軽減、保険料および医療費の減免制度を拡充すること。国保組合にたいする補助を拡充し、建設国保組合に対する賦課率見直しによる補助削減を行わないこと。
56.区市町村への包括補助である福祉改革推進事業を増額し拡充すること。
57.地域福祉推進事業および地域福祉振興事業を拡充すること。
58.小児休日・夜間診療事業は、60箇所の整備目標を早期に実現するとともに、初期救急から入院まで対応する制度に拡充すること。周産期母子医療センター、NICUを増やすこと。
59.多摩地域の保健所は12箇所にもどし、感染症や食品安全対策の拡充、障害者、難病患者への支援を強化すること。
60.看護師受給計画の確保目標を大幅に引き上げるとともに、都立看護専門学校の廃止・縮小をやめ、育成対策を強化すること。
61.三宅島被災者のための「住宅再建支援」については、限度額の引き上げ、対象期間の延長を行うこと。帰島を断念した島民にたいする生活援助は生活が安定するまで継続すること。
病 院 経 営 本 部
62.都立病院の一般会計補助金・負担金を増額し、医師・看護師など職員を増やし、高度専門医療とともに、地域医療、行政的・政策的医療の拡充をすすめること。
63.都立荏原病院の公社移管、都立八王子小児、清瀬小児、梅が丘小児病院の廃止は行わないこと。PFIの導入はしないこと。
64.専任感染管理看護師などの人材配置、インフルエンザ検査キットや簡易検査テントなどの資材、医療品の備蓄など、都立病院、公社病院における新型インフルエンザ対策を予算化すること。
65.保健医療公社病院への補助を拡充すること。医師、看護師など人員の増強が図られるよう支援を強化すること。
産 業 労 働 局
66.中小企業予算を大幅に復活し、分野別の振興プランを策定し、振興に努めること。
67.制度融資の預託原資を増額し、低い金利の政策金利を中心とした使いやすいメニューを拡充し、中小業者が利用しやすい制度に改善すること。
68.第2期工業集積地域活性化事業を開始するなど、都心、城東、多摩等それぞれの地域の工業集積を東京の地場産業として位置づけ、積極的に支援すること。
69.産業技術研究所の独立行政法人化と統廃合をやめ、今日の技術革新にふさわしい試験研究機関、施設として拡充すること。
70.大型店、鉄道駅舎への無秩序な出店を規制するため、「大規模小売店等対策室」を設置すること。
71.「新・元気出せ!商店街事業」を拡充し、区市町村の負担増となる補助率削減をやめ、補助率の引き上げなど、すべての商店街が利用できるようにすること。「進め!若手商人育成事業」を継続・拡充すること。
72.地域商業振興のためのプランをあらためて策定すること。商店街の街路灯を「地域の灯り」として位置づけ電気代維持経費について補助すること。
73.労働行政を都の重要な施策の柱として位置づけ、「雇用対策室」の設置、各地の労政事務所の復活など、地域の雇用と労働環境の改善に力をつくすこと。
74.一定期間の職に就けなかった若者に対し、都として緊急雇用事業を創設し、雇用の促進を図ること。
75.若者の非正規、不安定雇用をなくすために、労働基準法をはじめ労働法規などの啓発・普及に努めること。労働法制についてわかりやすく解説したポケット労働法などを増刷し、配布すること。
建 設 局
76.生活道路や歩道の整備、バスベイ、架空線の地中化など都民生活に密着した道路整備を促進すること。
77.路面補修予算の削減をやめ補修サイクルを大幅に短縮すること。
78.みちづくり・まちづくりパートナー事業を拡充すること。
79.橋梁、高潮防御施設、中小河川などの耐震、老朽化調査を実施し、防災対策を強化すること。
80.集中豪雨による水害防止のために、中小河川の改修や地下貯留管の緊急整備などを促進すること。
81.都市計画公園の整備目標を大幅に引き上げるとともに、公園整備予算を拡充し、都市公園を拡充すること。
82.市町村土木費補助の大幅増額をはかること。
教 育 庁
83.都として来年度から30人学級など少人数学級に踏み出すこと。小1プロブレムへの対応を都としておこなうこと。区市町村が加配教員を活用して実施する場合は、これを認めること。
84.学校経営支援センターの設置をやめること。また、学校職員の削減はおこなわないこと。
85.国が見送ったあらたな教職員定数改善計画を都として独自に実施するなど教員の拡充に努めること。
86.ゆとりをもって授業準備ができるよう授業の持ち間数を減らすために、教員や講師を増員すること。また、大規模小中学校や日本語学級設置校の教員定数の配置基準を削減前にもどすこと。
87.子どもたちの安全を確保するためにも、小中学校の学校警備員の配置への支援をおこなうこと。都立学校の用務員の削減をおこなわず、学校職員を増員すること。
88.公立小中学校の耐震補強、老朽校舎の改築、改修に対する補助制度を創設すること。都立高校の老朽校舎改築を急ぐとともに、普通教室の冷房化を進めること。
89.障害児学校のスクールバスの乗車時間をせめて1時間以内にするために、スクールバスを増車すること。また、障害児学校の普通教室、体育館の冷房化を進めること。
消 防 庁
90.ハイパーレスキュー隊の増設にともない必要となる63人の増員を認めること。
91.消防団分団本部施設の増設、改修予算を大幅に拡充すること。消防団の出動手当予算を拡充し、全額支給すること。
以上
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