東京都知事 石原慎太郎殿
２０１１年９月１２日
日本共産党東京都議会議員団
コミュニティバスへの支援の拡充に関する申し入れ
小型車両で、公共施設、商店街・商業施設、病院、主要駅などをつなぎ、高齢者等の地域における生活をささえるコミュニティバスの役割は、今後ますます大きくなります。地域の活性化や、「買い物難民」支援などの効果も期待されています。
日本共産党都議団は、都内におけるコミュニティバスの実施状況と都に求められている課題を把握するため、都内全区市町村を対象に「コミュニティバスに関する調査」をおこないました。調査の結果、１５区２８市町村がコミュニティバスの事業を実施しており、都内１４５路線、年間利用者数２，４４０万人にひろがっていることが明らかになりました。
一方、実施自治体のうち１０区２６市町村は収支が赤字で、運行維持のための財政支出は総額１３億７千万円におよんでいます。それにたいし都の補助額は７千万円、区市町村支出額の５％にすぎません。車両購入費・リース代についても、区市町村は総額６億９千万円を支出していますが、都の補助額は１，２６４万円、区市町村支出額の２％にすぎません。（いずれも２００９年度実績）
当初の「高齢者いきいき事業」から、現在の「地域福祉推進区市町村包括補助事業」にいたる都の補助制度は、コミュニティバスをひろげるうえで重要な役割をはたしてきました。しかし、運行費補助の年限は３年までとされているなど、あくまで初期経費にたいする〃立ち上げ支援〃にとどまっています。
私たちの調査にたいし、運行費補助については「補助の年限を撤廃してほしい」「補助率を引き上げてほしい」、車両購入費補助については「１路線当たり１回限りの要件を緩和してほしい」「既存コミュニティバス路線の車両も補助対象にしてほしい」など、ほぼすべての区市町村が都の運行費補助、車両購入費補助の拡充を要望しています。
コミュニティバスの実施は、交通不便地域を多くかかえる多摩地域が先行しましたが、高齢化がすすむなか、区部においてもひろがりはじめています。ところが都の補助制度は、既存バス停や鉄道駅から半径２００�丹扮鵑涼楼茲鯀�行することなど「交通空白地域」の要件がきびしく、区部はほとんど対象になりません。私たちの調査でも、「交通空白地域の要件を緩和してほしい」「特別区も対象にしてほしい」という要望が、多くの区からだされています。
市町村にくらべ区部の公共交通の整備は進んでいますが、鉄道も路線バスも、交通網は通勤・通学の便を中心につくられており、高齢者等が地域の中で日常生活をするうえで必要な移動ということに着目すれば、交通不便な地域は少なくありません。地下鉄は階段、エスカレータ、エレベータなどタテ方向の移動距離が長く高齢者には不便です。区部においても、コミュニティバスの必要性は大きなものがあります。
現在、区市町村が運行維持や車両購入等に支出している費用の仮に半額を都が負担したとしても、年間約１１億円です。都の財政力をもってすれば、十分に実施可能です。
都として、高齢者等の地域生活支援および交通バリアフリーの重要政策としてコミュニティバスを位置づけて、以下のとおり都の補助制度を抜本的に拡充するよう、つよく要請するものです。
記
- 試運行開始日から３年までという運行費補助の年限を撤廃し、現行の「地域福祉推進区市町村包括補助事業」とは切り離して個別補助事業を立ち上げることもふくめ、初期経費だけでなく運行維持を支援する制度に拡充すること。少なくとも運行費補助の年限を、段階的に延長すること。
- 車両購入費補助について、「１路線当たり１回かぎり」「単年度での補助対象路線は１路線」「既存路線の車両増に対する補助は行わない」などの要件を緩和すること。
- 運行費、車両購入費、調査・検討費の補助基本額、および補助率を引き上げること。バス停の施設整備費も補助対象にすること。
- 既存バス停や鉄道駅から半径２００�丹扮鵑涼楼茲鯀�行すること等の「交通空白地域」の要件を緩和し、２３区のコミュニティバスも補助をうけることができるようにすること。
- シルバーパスの適用が促進されるよう、運賃補償額算定方法の見直し等をおこなうこと。
以 上
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