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【談話】2012年度東京都予算原案について

2012年度東京都予算原案について



2012年1月20日
日本共産党東京都議会議員団  
政策調査委員長 清水ひで子



 本日、2012年度東京都予算原案が発表されましたが、外かく環状道路をはじめ巨大な道路や湾港施設の建設、さらには八ツ場ダム建設などの浪費的投資を拡大し、地方税の免除などいたれりつくせりのサービスで外国企業を呼び集める巨大開発の推進などが最重視されています。
 その一方で、重大な困難に直面している都民生活をまもるための福祉やくらし、中小企業支援、また放射能対策や防災など、都民の安全・安心のための施策はきわめて不十分です。都営住宅の新築にいたっては13年間連続ゼロです。
 予算原案は、「オリンピック招致」や「東京をアジアの司令部にする」ことを至上命題とする石原知事のもとで、4千億円をこえるオリンピック開催準備基金を温存し、財界・大企業の要求である過大な産業基盤整備のための投資を優先するなど、全体としては、住民の福祉・くらしを守るという地方自治体に最も求められる立場から大きく逸脱しています。
 都税収入が減っているとはいえ、予算原案においても一般会計で6兆1490億円、全会計では12兆円近い財政規模があります。浪費をけずり、オリンピック開催準備基金などを適切に使えば、都民施策は大幅に拡充できます。
 都民の声と運動の広がりで、わが党が提案してきた施策も部分的には実現していますが、わが党は、復活要求、さらには予算組み替え提案をおこなうなど、福祉やくらし、教育、防災都市づくり、放射能対策などの抜本的拡充を実現するために、全力をつくすものです。


福祉・医療―予算増は国関連の義務的経費など。都独自事業はきわめて不十分
 福祉予算は「過去最高」だと言いますが、介護保険給付費負担金など義務的経費の自然増や国の補正予算対応、こども手当見直しにともなう地方負担増などによるもので、都が自慢できるものではありません。福祉の分野別に見れば、高齢社会対策から障害者施策、医療政策、健康安全、施設整備など、のきなみ減らされています。深刻な看護師不足のなか都立看護専門学校の授業料は25%、年額5万3千円もの値上げが計画され、都内唯一の大型児童館である東京都児童会館、内部障害者の職業訓練施設である清瀬園は廃止されます。
 介護保険、後期高齢者医療の保険料値上げを抑制するための財政安定化基金の活用は予算化されていますが、値上げ幅を若干減らすにとどまり、このままでは、23区国保料もふくめ負担増がおしよせます。
 こうしたなかでも、里親支援の拡充、認可保育所の増設、訪問看護ステーションの設置促進、若年性認知症総合支援センター設置などが実現したことは重要です。


中小企業・雇用―深刻な円高・不況のなか、融資等をのぞく中小企業予算は45億円の減額
 新・元気出せ商店街事業は8億円の減、環境対応型商店街活性化事業は4億円の減です。ものづくりの業者からの強い要求である、休業補償、借り工場の家賃補助や、都民、建設業者からの強い要求である、住宅リフォーム助成の創設などにも背を向けています。
 若年者就業対策を充実させたとしていますが、雇用就業対策費は国の基金事業の減額などを理由に、633億円から373億円へ、4割も減らされました。各施策の対象人数もごくかぎられたもので、今の雇用の悪化、未内定者の規模からいえばきわめて不十分です。
 このなかで、制度融資の目標額の増額、信用保証料補助など資金繰り支援や、買物弱者対策の実施、緊急就職支援事業などは貴重な成果です。


放射能対策 ―除染対策はなし、測定体制も拡充せず
 放射能対策費は26億円計上したと言っていますが、そのうち20億円は水道水を浄化するために粉末活性炭を確保するもので、学校給食をはじめとする食品検査などのために、不足している測定機器を増やさないばかりか、新たな対策もすすめようとしません。
 しかも、放射能汚染に対する親たちの不安がいっそうひろがっているにもかかわらず、学校、公園など都有施設の放射線測定は3つの都立公園で一度実施しただけで、それ以上の測定を拒否し、発見されたミニホットスポットの除染もしないという、許されない方針を変えていません。
 健康安全センターにおける検査体制強化のため常勤の専門職員を7人増やすことは重要です。


防災―都民の命と安全を守るにはきわめて不十分
 防災対策で予算が大きく増額されたのは、緊急輸送道路の確保のための沿道耐震化や、木造密集地域内の主要な都市計画道路を10年で完成させる事業などの分野です。これらの対策は、もっぱら幹線道路の整備に力点をおくもので、住民追い出しにもつながる道路中心主義と言って過言ではありません。
 その一方都民の生命、財産を守るうえで重要な木造住宅への耐震改修助成は対象地域や助成額の拡充はありません。また都市施設や生活インフラの耐震化も従来の延長線にとどまっており、東部地域河川の堤防の耐震化は68キロが残されているにもかかわらず来年度計画は4・5キロで、このペースでは耐震化完了に15年もかかることになります。下水道の耐震化も避難所やターミナル駅周辺などに限定されています。根底には、大企業や海外企業のため、産業基盤や首都機能を確保する対策を重視する都の姿勢があり、都民の命と財産を守る自治体本来の立場への転換が求められています。
 こうしたなかでも、わが党が遅れを指摘した都営住宅の耐震化予算の大幅増加や、新たな液状化対策、長周期地震動対策、さらに消防救助機動部隊(ハイパーレスキュー隊)の増設がもり込まれたことは重要です。


環境―再生可能エネルギー抜本拡充にはほど遠い
 原発依存から抜け出すうえで、再生可能エネルギーの大幅な導入促進は欠かせませんが、小水力発電、風力・波力発電、地熱発電などはいずれも具体化されず、再生可能エネルギー対策は従来の延長線上にとどまっています。太陽光発電や太陽熱利用機器を設置したいという都民の機運が高まっているなか、今年度の補正予算で設置助成が復活されたことは重要ですが、初期費用をゼロにするなど大胆なしくみを一刻も早くつくることが求められています。


教育―過去14年間で最低額の予算
 教育庁予算は7497億円にとどまり、1999年度と比べると実に668億円も減らされました。教職員給与の減などを理由にしていますが、だからと言って予算を減らすのでなく、教職員の配置の充実、生徒増や教室不足がつづく都立高校、特別支援学校の新設などをはかるべきです。
 このなかで、国民の強い要求におされた国の小学校2年生までの35人学級に対応し、教員定数が424名の増になったことは重要ですが、全国的にみれば遅れており、都独自に35人学級を拡大し、さらに30人学級をめざすべきです。保護者などから強い要望があった特別支援学校の養護教諭等の配置を充実したことは一歩前進です。


ムダ遣い―オリンピック招致と国際競争力の強化の名で、浪費が拡大
 地下高速道路部分と地上道路をあわせて、1m1億円ものお金をつぎ込む外かく環状道路に、都民からムダ遣いの象徴だと批判の声があがっています。にもかかわらず、都は2020年オリンピック東京開催までに完成をめざすとして来年度着工を強行するために用地買収費や工事費など102億円を計上、地上道路の事業化もねらっています。
 さらに、中央環状品川線などの首都高速道路に213億円の出資、築地市場の敷地の真上をとおす環状2号線に毎年100億円もつぎこむとともに、豊洲新市場予定地の欠陥土壌汚染工事対策工事費や、新市場建設のための実施設計などに607億円もの予算を計上するなど、都民や関係者の強い反対の声をおしきって市場移転を強行しようとしていることは絶対に認められません。
 その他、東京港の国際競争力強化の名による過大なコンテナターミナル整備などに192億円、八ツ場ダム整備に43億円を計上、2020年オリンピック招致のための直接経費だけで20億円を組んでおり、招致関連経費は今後ますますふくれあがります。
 今こそ、浪費をただし、都民のくらし第一の予算に組み替えよの声を一層大きくあげるときです。


以 上

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