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【談話】2013年度東京都予算原案および「『2020年の東京』へのアクション
プログラム2013」について
2013年度東京都予算原案および「『2020年の東京』へのアクションプログラム2013」について


 2013年1月18日
 日本共産党東京都議会議員団
 政策調査委員長 清水ひで子


 本日、猪瀬新知事による、2013年度東京都予算原案、および東京都の長期ビジョン「2020年の東京」の3か年計画として予算と一体につくられた「アクションプログラム」が発表されました。
 予算原案および「アクションプログラム」は、石原都政を継承し、大型開発の促進を最重点とする一方、長引くデフレ不況や社会保障の切り下げによって都民のくらしのきびしさが増しているのに、福祉や雇用、中小企業対策などはきわめて不十分です。とりわけ、「アクションプログラム」に計上された3か年の事業費でみると、幹線道路や過大な港湾施設整備、欧米などの多国籍企業をよびこむ巨大開発などのための事業費が全事業費の31.3%をしめる一方、高齢者対策は3%、少子化対策は2.4%にすぎません。しかもそれぞれ前年計画より1.2ポイント、0.7ポイントも比率が下がっており、石原都政以上に少子高齢社会対策が軽視されていると言わざるをえません。
 日本共産党都議団は毎年、予算組み替え提案をおこなっていますが、昨年の2012年度予算案にたいする組み替え提案では、予算の3%程度を組み替えるだけで、国保料や介護保険料、後期高齢者医療保険料の負担軽減や認可保育園のさらなる増設などをおこなうことで、「福祉と保健」の予算をすでに2012年度の段階で、史上初めて1兆円をこえる、1兆627億円にまで引き上げることをはじめ、中小企業・雇用対策、教育などの予算、防災対策予算を大幅にふやすことができることを、現実にしめしたものでした。
 来年度予算案についても、1メートル1億円もかかる外環道など幹線道路建設費や過大な港湾施設整備、浪費の典型の八ッ場ダム建設費、豊洲新市場整備のための土壌汚染対策費の追加など、不要不急、浪費的投資にメスを入れ、オリンピック招致だけのためにためこんでいる4,126億円の基金などを適正に使えば、福祉やくらし、木造住宅密集地域や堤防の安全化などのための予算を、大幅にふやすことができます。
 日本共産党都議団は、この立場から都の長期ビジョンおよび「アクションプログラム」の改定や、予算の復活、組み替えなどの提案をとおして、都民の苦難打開・安全・安心の東京をつくる都政への転換と、都民要求実現のために全力をつくすものです。


福祉保健


 都は、「福祉と保健」の予算は、来年度ようやく1兆円をこえるといいますが、ふえたおもな要因は、法律で義務づけられている後期高齢者医療保険、介護保険、国民健康保険などにたいする負担金の当然増で、重い保険料負担の軽減などがふくまれるものではありません。
 老人保健施設整備への補助は、今年度予算の3分の2にへらされ、療養病床整備についても大きくたち遅れているにもかかわらず、今年度の4割の予算しか計上されていません。施設整備費はマイナス105億円となり、また、福祉人材対策などの生活福祉費も14億円、感染症対策などの健康安全費も40億円の減額となっています。
 そのなかで、特別養護老人ホームの建設は、わが党や都民の強い要求で一時より大幅にふえ5,400人分ふやす予算となり、認可保育所の定員も4,400人増とこれも一時期にくらべ大幅にふやすものですが、さらなる拡充のため、とりくみの強化が必要です。
 また、認知症早期発見・早期診断推進事業、中等度難聴児発達支援事業、地域精神科身体合併症救急連携モデル事業、がん患者の就労のための普及啓発、災害拠点連携病院整備事業などが新規事業として計上され、児童虐待対策強化のため児童福祉司を13人増員することなども貴重な成果です。


雇用・中小企業対策


 安心して働ける雇用環境、正規雇用のための就労支援対策の拡充が、いまほどもとめられているときはないのに、雇用就業対策費は、今年度比マイナス23%と85億円も減額されました。今年度最終補正予算による事業をふくめても10億円の減額です。
 この原因は、都の雇用対策が主に国の施策にのるだけで、都独自の対策がきわめてとぼしいからにほかなりません。そればかりか、学校を卒業しても就職できない人たちの就職支援や非正規の若者の正規雇用化支援などの事業が今年度比3割減、江東区亀戸にある都の職業訓練校も廃校にむけた計画がすすめられています。
 デフレ不況がひどいのに、融資などを除く中小企業対策予算は、今年度より10数億円減らされ、220億円余と石原前知事就任時の1999年度の248億円にも達していません。商店街支援の予算も、今年度より13億円もへらされ、わずか30億円にとどまっています。その一方、東京都がアジアの司令部になるとして、欧米などの多国籍企業を、法人事業税の免除や超高層ビル群をつくって誘致することを、経済対策の中心にしていることは重大です。
 しかしこのなかでも、中小企業への若者の就業支援や人材育成、国の金融円滑化法の終了などをおぎなうために、融資の原資を230億円増やし、融資メニューを新設・拡充することや、区市町村と連携して地域のものづくり産業集積を維持・振興するための事業費を倍加したり、中小企業の創業支援、販路開拓、経営力向上、事業継承の支援などが強化されたことは、重要な成果です。


教育


 教育庁予算は、今年度比62億円増の7,559億円となりました。校庭芝生化の補助27億円を環境局から教育庁に移したことや、臨海地域開発事業会計を救済するために、臨海部の教育環境としてふさわしくない地域に特別支援学校の用地を購入する予算50億円を計上したことなどがおもな要因で、1999年度当時より約606億円も少ないものです。この10年間に子どもが約3万人ふえたことからみても、教育予算は大幅に拡充すべきです。
 半減された定時制高校など都立高校の増設や、特別支援学校の教室不足を緊急に解消するとりくみの抜本的強化が必要です。
 小中学校にくわえ新たに都立高校でも学力テストをおこなうなど、競争教育がさらにつよまり、日本の侵略戦争を美化する副読本の配布などもつづけられます。
 こうしたなかでも、小学校1、2年生に加え、中学1年生の35人学級が実現することは、わが党と都民運動の大きな成果です。また、いじめなどの相談体制を充実するスクールカウンセラーの公立小中高等学校への全校配置、区市町村立や私立の学校のつり天井などの耐震化への補助が実現することなども重要です。


防災


 防災対策費は3,060億円と、今年度にくらべ821億円の増となりました。これは、わが党がくりかえし追及したことなどを受けて、津波・高潮対策が約100億円増額されたのをはじめ、下水道の耐震化などの対策が373億円増、橋りょう耐震化予算の1.5倍化、40億円増、災害拠点病院などの耐震化40億円増、宅地の液状化対策予算を計上したことなどが、おもな要因です。
 最大の被害が想定される、木造住宅密集地域の耐震・不燃化対策予算182億円のうち約130億円は、住民を追い出して道路をとおすための関連予算であり、もっとも重要な木造住宅の耐震化・不燃化・難燃化への助成の対象地域や助成額の拡充、新たな適用が不燃化特区にかぎられていることは、見すごすことができない問題です。このなかで、木造住宅耐震化助成は、わずか6億円にとどまっています。また、東部低地帯の防潮堤40キロメートル、護岸46キロメートルの耐震・耐水化が緊急にもとめられており、来年度は3キロメートルの工事が着手されることは一歩前進ですが、速度と規模を抜本的につよめることがもとめられています。


環境


 わが党はいっかんして、都が原発ゼロをめざし、再生可能エネルギー対策を抜本的に強化するよう、具体的提案をかさねてきました。しかし、原発推進の石原前知事に代わった猪瀬知事も、脱原発や原発ゼロをめざすとは言っていません。
 再生可能エネルギーについて、都は「2020年の東京」で、都内の戸建て住宅の6分の1に太陽光発電を整備し、90万キロワットの電力を生み出すことをかかげ、そのために負担の大きな初期投資を軽減するとりくみを推進するとしています。にもかかわらず、来年度、太陽光発電パネルへの助成をうちきることは問題です。
 しかし、家庭に蓄電池などを設置するための助成制度の新設、島しょ地域における再生可能エネルギーの導入可能性調査に踏み出すことは、重要です。


以 上


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「しんぶん赤旗」(1/19付)に掲載されましたので、ご参照下さい。


「しんぶん赤旗」(1/19付)に掲載されましたので、ご参照ください。



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