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【談話】二〇一三年第一回定例会を終えて
二〇一三年第一回定例会を終えて


二〇一三年三月二八日
 日本共産党東京都議会議員団
 幹事長 大 山 と も 子


 猪瀬知事になって初めての都議会で最大の焦点になったのは、長引くデフレ不況や社会保障の切り下げできびしさがます都民生活を、どうまもるかということでした。
 しかし、猪瀬知事が提案した来年度予算は、石原前都政を継承し、不要不急の大型開発などを最重点とする一方、くらし、福祉、雇用、中小企業、防災対策などは、きわめて不十分であり、都政のあり方の転換がもとめられていることが論戦を通じてうきぼりになりました。


認可保育園増設問題―都民運動とわが党の論戦が都を動かす


 今定例会のさなかに認可保育園に入れなかった子どもをかかえる多くの保護者が立ちあがり、認可保育園を増設してほしいという、都民の運動がひろがりました。
 東京都社会福祉協議会の調査でも、保護者の希望する保育サービスは、認可保育所が8割です。施設の面積、設備、保育士の配置、保育内容、応能負担の保育料などから保護者の圧倒的多数は認可保育園をもとめています。わが党は、待機児が増大するなかで、認可外保育施設の補完的役割を認めつつ、認可保育園の大増設を中心にすえた待機児解消対策をもとめてきました。その結果、都民のみなさんの運動と力をあわせ、この三年間で百五十カ所、一万七千五百人分の認可保育園が増設されました。
 今議会でも三度にわたる質問で、認可保育園増設を主張するとともに、都有地、国有地などを活用すれば大幅増設ができることを明らかにしました。この質問をうけ、猪瀬知事も待機児解消のため、「認可保育所も増やす」と答弁したことは重要です。また、都有地の保育園整備での活用について、都が地元区市町村の意向を確認した上で検討する、積極的に活用していくと答弁したことは今後につながるものです。
 同時に、これまで認可保育園の増設をもとめる請願にいっかんして反対してきた他の会派も、自民党は「これまでわが党が推進してきた認証保育所や認可保育所などにより、保育サービスの拡充」と言いだし、公明党は「積極的に増設にむけてとりくむ必要があるが、認可保育所の増設にむけたとりくみをうかがう」と発言しはじめました。民主党は、認可保育園の増設に言及しませんでしたが、都政が少しずつ変化し、動き始めたことは間違いありません。六月の都議選でわが党が躍進すればさらなる認可保育園の増設の道がひらけます。
 また、わが党が保育園の質の充実を強調するなかで、人件費など保育の質の充実に役立つサービス推進費の拡充にかかわって、わが党以外の党も、職員の待遇改善、人員配置などの条件を改善することが保育にとって重要であることに、言及せざるをえなくなりました。


くらしへの応援は緊急課題


 東京都は、来年度予算ではじめて福祉と保健の分野で一兆円をこえたと言っていますが、増額の主な内容は、高齢化の進展などによる当然増であり、とても誇れるものではありません。
 都がおこなうべき福祉の課題は山積しています。たとえば国民健康保険料をはじめとした、社会保険料が都民にとって大きな負担となっています。厚労省の調査では、国民健康保険の加入世帯の収入は三年間で年間二十四万七千円もへっています。国民健康保険の加入世帯は、年収九十八万円以下の世帯が約半数をしめる区があるなど、圧倒的に低所得層の加入が多いのが特徴です。わが党の追及にたいし、東京都自身も国民健康保険には、「所得の低い高齢者や失業者などのしめる割合が高く、保険料の確保が困難」と認めざるをえませんでした。にもかかわらず都は、わが党が提案した都民負担軽減のための支援ばかりか、国庫補助の増額を国にもとめることさえ拒否するという立場をとりました。国保料が払えず、資格証、短期証となり医療を受けづらくさせ、手遅れになって命を落とすこともおこっているのです。住民の命と健康をまもる地方自治体の役割を放棄していると言わざるをえません。


特別養護老人ホームの大増設など高齢者福祉の充実を


 わが党は都の高齢者一人当たりの老人福祉費はこの十二年間で十三万五千円から十万四千円と、二三%もへらされたこと、一人あたりの老人福祉費をへらしたのは東京都だけだったことを明らかにして、老人福祉費の大幅増額をもとめました。都も一人当たりの老人福祉費減額の事実は認めたものの、増額にふみだす立場をとりませんでした。
 このため、介護サービスの立ち遅れはとくに深刻です。
 介護が必要になった高齢者に、住みなれた場所でのくらしを保障するためには、在宅 サービスの拡充が欠かせませんが、都は見るべき対策をとっていません。
 同時に、特別養護老人ホームの増設にとりくむことは、とりわけ緊急の課題であり、わが党は待機者が都内で四万三千人にものぼり、待機者が病院などを転々としていることや、介護している人もいつ倒れるか心配しながらの待機であることなどをしめし、誰もが経済的な心配も少なく「ついのすみか」として過ごせる特養ホームの大増設を提案し、都をただしました。これにたいし、知事が答弁で、「施設も大事ですし、在宅支援もすすめていかなければいけない」との認識をしめしたことは重要です。


若者雇用と中小企業対策の抜本的拡充を


 東京では、一五歳〜二四歳の失業率が七・四%という高い水準です。非正規雇用は雇用者の二人に一人にたっし、その8割は年収百五十万円未満です。勤労者の収入は十四年間で年間八十五万円もへってしまいました。これでは少子化はますますすすみ、税収増も見こめません。若者の正規雇用を拡大し、正規も非正規も賃金の底上げをすることは、若者本人にとってはもちろんのこと、日本の将来にとって不可欠なことです。
わが党はこの立場で、知事が財界・大企業にたいし、賃金の引き上げと中小企業が賃上げできるよう、下請け代金引き上げなどをおこなうようもとめました。また、都として最低賃金時給千円以上という目標をもって実現をめざし、中小企業にはそのための助成をおこなうよう知事にもとめました。知事は、都内の最低賃金の決定に東京都は関与できる権限がないと答弁をしましたが、同時に「都がそういう権限を与えられるならば共闘してもよい」とも答えています。たとえ権限がなくても、都として国や大企業に都民の立場でものを言うべきです。
 若者の正規雇用化をすすめるために中小企業の支援により雇用を創出し、また技術・技能・知識を高めるための公共職業訓練を充実することが都にもとめられています。わが党がこの問題をただしたのにたいし、知事は「安定的な雇用にむけた切れ目のない対策を講じている」と答えましたが、事実は違います。都はこの間、職業訓練校を十七校から十四校にへらし、正規指導員もへらしたままでいるのです。このため職業訓練の修了生が正規雇用で就職する率の高い職業訓練校内の募集定員が四割近くへらされる一方、修了生の正規雇用での就職が著しく低い民間委託訓練が七割をしめるようになっています。
 わが党は不十分な東京都の公共職業訓練の施策を抜本的に拡充することをもとめました。非正規雇用労働者、失業者が多い現在だからこそ、都は一年〜二年の長期訓練をふやすことで、若者などが確実に技術力等を身につけられるようにすべきです。さらに、経済的に困難な若者が多いからこそ訓練費を無料にし、必要な人は住居も生活費も保障して職業訓練がうけられるようにしなければなりません。
 また、わが党は、金融円滑化法のうちきりにともなう対策をもとめるとともに、中小企業対策予算を倍増し、借り工場家賃やリース代への補助、買い物弱者対策とあわせた商店街活性化などをもとめました。いまこそ都は、東京の事業者数の9割、雇用者数の6割をしめ、東京の経済をささえている中小企業の活性化に本格的にとりくむべきです。



教育予算を大幅にふやし、少人数学級の計画的推進を


 都が、小学校1、2年生にくわえ、中学1年生の三十五人学級にふみだす予算を独自に提案したことは重要です。しかし、今後の展開について、都は「全学年一律的な学級規模の縮小をはかるものではない」「国の動向を見まもる」という消極的な答弁をくりかえしました。小学校3年生に拡大するためには、二十七億円あれば実施できることも答弁で明らかになりました。教育庁予算は1999年度よりも約六百億円も少なくなっているのです。ほんのわずか復活するだけで実現できます。都は計画的に少人数学級を拡大していくべきです。
 いまだに特別支援学校は、教室不足でカーテンで仕切って授業をおこなっています。教職員定数を抑制するために、都立高校の図書館司書や事務職員などの削減、特別支援学校のヘルパー導入に伴う教員の削減を拡大しています。教育庁予算を抜本的に増額し、子どもたちによりよい教育環境を保障することが都の責務です。
 なお、今議会で民主党の議員が、太平洋戦争は侵略戦争ではなく、自衛の戦争だった。韓国併合は植民地支配ではないなどと特異な歴史観をのべ、「朝鮮を植民地として統治したとするこの教科書の記述を改めるべき」と教育庁にせまりました。これは、かつて日本がアジア諸国にたいしておこなった侵略戦争を免罪し、歴史の改ざんをおこなわせようというものであり、断じて許されないことです。



自民、公明、民主、維新、みんなの各党は
予算をはじめ知事提出議案にすべて賛成


 今議会に猪瀬知事が提案した予算をはじめ全議案に、自民、公明、民主の3党はすべて賛成しました。日本維新の会が都議会で結成した東京維新の会も知事提出議案にすべて賛成したうえ、都営交通や水道事業など都の仕事をもっと民営化せよという注文をつけました。同じく新しくつくられた都議会みんなの党も知事提出の全議案に賛成し、わが党以外の党が「オール与党」状況になっています。



予算の使い方を変えれば都民要求は実現できる


 わが党は、不要不急の投資やムダづかいにメスを入れ、予算の使い方を変えれば、くらし・福祉を充実できることを指摘し、予算の組み替え提案で具体的事実をしめしました。猪瀬都政と自民、公明、民主の3党などが推進している外環道本線の総事業費は、関越道―東名間だけで一兆二千八百億円もかかり、そのうえ知事がすすめようとする東名以南などをあわせれば、総事業費ははてしなくふくれあがること、この財源をふりむければ福祉や防災対策を大きく充実させることができる事実をしめしました。
 都市施設についていえば、橋りょう、水門、堤防などの耐震化、長寿命化など既存施設の安全化こそ緊急課題であり、すでに他県では施設の新設をおさえ、補強・補修などを重点にする見直しがはじまっているのです。ところが都は、まだ道路・橋りょう費のうち、新規整備費に維持修繕費の2・6倍も財政投入しています。猪瀬都政と自民、公明、民主3党は、「幹線道路をつくればすべてうまくいく」と言わんばかりの、新たな道路建設第一の投資をおこなっているのです。このやり方を改めるべきです。
 わが党が予算特別委員会に提出した、来年度予算に関する組み替え提案は、外環道や八ッ場ダム建設をはじめとした不要不急の大型開発や、税金のムダづかいをみなおすことなどにより生み出した財源と、オリンピック開催準備基金の一部を活用することにより、くらしをまもる暫定的施策の実施をふくめ切実かつ緊急の都民要求を実現させるものです。それは、深刻な入所待ちを一刻も早く解決するために、今後四年間に特養ホーム2万人分、認可保育園の3万人分の増設をめざして計画的にとりくみ、国民健康保険料(税)、後期高齢者医療保険料、介護保険料を引き下げる、木造戸建て住宅耐震診断・改修への助成制度を拡充するとともに、燃えにくい住宅づくりへの助成にふみだすなど、140項目もの都民施策をすすめるものです。
 公明党は、この予算組み替え案について、認可保育園の整備の増額は、東京都の予算案にすでに計上されているのだからとして反対し、自民党、民主党、生活者ネットなども反対し、否決されました。
 しかし、外環道など不要不急の投資を抑え、一般会計予算案のわずか三・一%を組み替えるだけで、具体的に140項目の都民のための施策が実現し、都民のふところをあたため、くらしと経済の活性化に大きな効果を発揮することができるのです。各党の賛同をえられませんでしたが、この方向こそ、都民の願いに答えるものであることを確信するものです。
 なお、築地市場の豊洲移転計画については、新市場用地の土壌汚染対策工事の欠陥がいっそう鮮明になっているため、中央卸売市場会計予算から移転関連経費を削除する修正案を提出しましたが、各党の同意をえられませんでした。



憲法をまもり原発ゼロを東京から


 安倍内閣と日本維新の会などが、憲法改悪の動きを強めているなかで、わが党は知事の憲法にたいする認識をただしました。知事が、9条はおかしいという考え方がでてくるのは当然とのべ、9条改定の必要性に言及したことは重大です。わが党は憲法9条をはじめ憲法をまもりぬく決意です。
 また、福島第一原発事故から二年がたちましたが、収束とはほど遠い状況です。いったん放射性物質が外部に放出されると、その暴走をくいとめる手段も技術も未だ人類はもちあわせていないことを、国民の前にしめしたのです。ところが、猪瀬知事と自民、公明、民主の3党は原発をなくす立場をしめそうとしません。わが党は、東京から原発ゼロへの道を切りひらくために全力をつくすものです。


以 上

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