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【談話】第3回定例会をを終えて
2014年第3回定例会を終えて


2014年10月3日
日本共産党東京都議会議員団
幹事長 大山とも子


 今定例会は、女性の人権を侵害するヤジ発言とそれにつづく男女共同参画社会推進議員連盟の会長による同様の発言、さらに政務活動費の使い方をめぐり、地方議会への批判が広がる中で開かれ、都議会のあり方が厳しく問われました。わが党は、人権侵害発言問題の事実の解明と再発防止、そして議会改革を積極的に進めるために全力をつくしました。
 同時に、舛添知事による東京都の「長期ビジョン」(中間報告)が出され、都政のあり方が鋭く問われました。「長期ビジョン」(中間報告)では、この間わが党が都民のみなさんとともに要求してきたものが、部分的とはいえ具体化され、論戦の中でも前進的答弁があるなど、わが党の役割が示された議会になりました。


1.女性への人権侵害の根絶と都議会改革に全力


 第2回定例会における女性への人権侵害発言をうやむやにしてはなりません。
 わが党は、都議会の議会運営委員会として、「自分が産んでから・・」などというヤジ発言の録音を聞いて確認することなど、都議会が事実解明に全力をつくすこと、再発防止のために都議会規則に人権侵害の発言を禁止することを明記することなどを提案し、その実現を各会派にくりかえしよびかけました。
 ところが、多くの会派がこれにこたえる立場をしめさなかったことは、きわめて遺憾です。
 事実解明も不十分、再発防止対策も講じないで幕引きをはかるようなことは、許されるはずがありません。それは、その後も都民からの事実解明などを求める請願や陳情が多数都議会に提出されていること、都議会の人権侵害ヤジ問題を批判し、都議会のあり方を問う集会が何度となく開かれていることからも明らかです。
 わが党は、都民の皆さんと力を合わせて、人権侵害ヤジ問題の事実解明と再発防止、そして、女性差別をなくし、男女平等の社会を実現する先頭に立つ都議会にするために、ひきつづき全力をつくすものです。
 同時にわが党は、議員報酬の二重取りと都民の批判をあびている費用弁償を原則廃止にすること、政務活動費を飲食に使うことを禁止することを都議会各会派に呼びかけています。多くの会派は、まだこの呼びかけにこたえる立場をしめしませんが、都民のみなさんと力をあわせて、一刻も早く都議会改革を前に進めるよう力をつくすものです。


2.「長期ビジョン」などに都民要求を反映するために力をつくす


 今定例会前に発表された「長期ビジョン」(中間報告)には、保育園の待機児を解消するとして、4年間で4万人分の保育園整備をおこない、その後も待機児ゼロを継続することがかかげられ、特別養護老人ホームも最大1万9千人分増設することがうちだされました。今議会では、それらをすすめるための補正予算として土地確保のための補助や整備予算が提案されました。わが党が長年要望してきたことが具体化されたものであり、大きな前進です。
 わが党は、今議会で、さらなる前進・拡充のために力をつくしました。この中で、知事が現在策定中の高齢者保健福祉計画で地域包括ケアシステムの構築に向けた「具体的な取り組みを盛り込む」と述べたこと、また、特別養護老人ホームについて、「改めて整備目標を策定していく」との答弁がありました。
 また、保育士や介護士の待遇改善についても、都独自に給与を上げるよう求めたのにたいし、都の支援のあり方について「十分検討」することが表明されました。
 雇用対策についても、知事が、「目指すべきは、正規雇用など希望に応じた働き方」であり、「さらに必要な対策を長期ビジョンに反映する」と述べたことも評価できます。
子どもの貧困の広がりに多くの都民が心を痛めているとき、東京都の役割が問われています。わが党の質問に対し、都は日本の子どもの相対的貧困率が、先進国の中で高いこと、貧困の連鎖を防ぐための対策が必要であるとの認識を示した上、現在策定している様々な計画の中に子どもの貧困対策を盛り込み、総合的に推進していくことも表明されました。
 今議会で、こうした今後に生きる答弁がいくつかなされたことは重要です。
 わが党はひきつづき、都民のくらし、福祉を充実させるために、全力をつくすものです。


3.木造住宅の耐震改修の促進へ補助条例案を提案


 今定例会でわが党は、木造住宅耐震改修促進補助条例を提案しました。木造住宅の耐震改修への都の補助は、地域が限定されているなどの制約があり、7年間の実績はわずか723件に過ぎません。
 そのため切迫する首都直下地震による災害から、一人でも多くの都民の生命、身体、財産を守るため、耐震が不十分な木造住宅への都の補助を地域を限定しないものとすることで耐震改修を大きく促進する条例案を提案したものです。
 他会派からは、"ばらまき政策"などという意見もありましたが、国も今年3月に、「首都直下地震緊急対策推進基本計画」を閣議決定し、住宅の耐震化率を100%にすれば、全壊棟数と死者数を約9割へらせるとしているのです。そして、国も地域を限定せずに耐震化への助成を行い、耐震化促進にとりくんでいるのです。地震から都民の生命と財産を守る大きな力となる条例案でしたが、残念ながら他会派の賛成は得られませんでした。
 わが党は、ひきつづき、震災被害を最小限におさえるため、予防対策の充実に、力をつくします。
 また、今定例会では幼保連携型認定こども園の基準に関する条例が提案されました。この条例にもとづいて、都が定めようとしている基準は、都内の保育園や幼稚園の実態にてらして低すぎるため、わが党は、保育や教育の質に関わる重要事項を条例本文に明記するとともに、保育や教育の水準を維持、向上させるための修正案を提案しました。各会派の賛同をえられませんでしたが、わが党は、今後とも子どもたちの豊かな成長・発達を保障するために力をつくすものです。


4.くらしの困難に目をそむけ、国の悪政にモノ言えぬ舛添知事


 舛添知事が、わが党の高等教育に関する質問に対し、「大学での教育は、国で議論されるべき」「国全体の教育予算を充実するためには、日本の経済を活性化して、富を増やすことが必要」とのべたことは重大です。この考え方には、見過ごせない問題があります。
 第一に、今でも、日本の経済力をもってすれば、教育の無償化をはじめ、社会保障制度をヨーロッパなみにしていくことは十分可能です。大企業や大金持ちへの行過ぎた減税や、大型開発に巨額の財源をふりむけることをやめればよいのです。そして、東京都は、スウェーデンの国家予算ほどの財政力をもつ自治体です。その力を発揮して、国まかせにせず、都として経済的困難に苦しむ都民、学生への支援を強化すべきです。
 第二に、たしかにいま日本の経済は停滞しています。しかし、日本の経済が落ち込んでいる最大の原因は、実質賃金が目減りし続けるなど、内需が縮小していることです。したがって、国も都も、なによりも、雇用や社会保障を充実させ、国民、都民のふところを豊かにすることに全力をつくすべきです。
 この点で、知事が示した「長期ビジョン」(中間報告)は、部分的には重要な前進がありますが、基本的には石原都政以来の長期ビジョンを継承し、外かく環状道路をはじめ大型開発を最優先し、国際金融センター構想などで外国企業を呼び込む計画をかかげる一方で、格差や貧困の広がりなどで苦しんでいる都民の生活を守る姿勢がきわめて不十分なものです。わが党は、都政が何よりも都民のくらし、福祉を充実し、中小企業を応援する政策を中心にすえるよう、全力をつくすものです。


5.都民のいのちと安全、平和を守るため全力


 
 集団的自衛権行使容認の閣議決定から約3ヶ月、沖縄では辺野古での米軍基地建設に沖縄県民の圧倒的多数が反対する中、政府が工事を強行し、横田基地にもオスプレイが飛来する状況のなかでひらかれた都議会でありました。
 全国7つものルートでの米海兵隊の主力機MV22オスプレイの低空飛行訓練は、敵地への侵入・奇襲・制圧作戦を自衛隊と米軍が一緒に訓練していることからも、集団的自衛権行使容認と軌を一にしていることは明らかです。しかもMV22オスプレイは、開発以来、墜落で32人が犠牲となっている欠陥機ともいうべき危険なものです。
 このため、わが党が、MV22オスプレイが横田基地をはじめ、全国での飛来中止を国と米軍に申し入れるよう知事にもとめました。これにたいし、知事が「安全保障に関することは、国の専管事項であり、都はその是非について言う立場にない」と答弁しました。地方自治体は住民のくらしと安全を守る責務があります。だからこそ、米軍基地をかかえる全国の多くの自治体の長は、国や米軍に対し、モノ申しているのです。
 ましてや人口が密集した首都圏では重大な住民被害をもたらしかねないからこそ、横田基地近隣5市1町が国に声を上げているのです。国の専管事項だからものを言えないという知事の態度は許されません。


6.わずか1年で、都議会議長が交代することは賛成できない


 今定例会の最終日の直前、就任して1年の都議会議長が突然、辞職願を提出しました。その理由は「一身上の都合」ということだけでした。そもそも、議長の職責はきわめて重いことから、地方自治法で議長の任期は議員の任期つまり4年間と定められています。地方自治法の逐条解説でも、1年などの短期交代は、「法の趣旨からして適切でない」と指摘されています。それを、病気などで任期をまっとうできないならともかく、わずか1年で交代することは、賛成できません。
 都議会はかつて、議長を1年交代でたらいまわしにし、議長ポストをめぐる汚職事件が発生した歴史があります。この反省から、1年交代を排除してきました。だからこそ、今回の議長交代には、わが党を含め定数の3割をこえる「白票」、不賛成の票が投じられたのです。今回を機に、1年交代を復活させるようなことがあってはならないと考えます。


以上


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