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2015年度予算原案について
2015年度予算原案について


2015年1月16日
日本共産党東京都議会議員団
政策調査委員長 清水ひで子


 本日、2015年度予算原案が発表されました。舛添都政としては、初めての本格予算の編成ですが、不要不急の大型開発がひきつづき推進され、国際金融センター構想など金融機能の過度な集積による金融投機を推進するなどという基本的問題がある一方、福祉、雇用、中小企業対策などで、都民要求を反映した施策の拡充がある程度はかられています。


 前進面としては、予算編成の基本として「都民福祉の充実による生活の質の向上」を位置づけたことは、重要です。
 具体的施策としても、「福祉先進都市の実現」として、4万人分の保育サービス、1万9000人分の特別養護老人ホーム整備などをめざして、借地料への補助をおこなう事業、保育従事職員宿舎借り上げ支援事業、所得の低い高齢者への生活支援付き住まいを提供する事業、虐待を受けた子どもなどのための一時保護所の整備、エボラ出血熱やデング熱などの感染症に対する体制の強化をはかる事業など、全体としては前向きに評価できる新規事業を40あまり立ち上げます。
 また雇用対策も、若者応援企業宣言をおこなった中小企業などが正社員を採用した場合、15万円の奨励金を払う若者応援企業採用等奨励事業、非正規雇用から正規雇用への転換をはかる企業に対し、一人当たり50万円の助成をする正規雇用等転換促進助成事業、非正規雇用者の正規雇用化に向けた就職支援や職務実習をおこなう事業、女性の就業分野拡大事業など、20あまりの新規事業を立ち上げます。
 中小企業対策も、都市課題を解決するため、顧客ニーズを視野に入れて中小企業や大学などが連携しておこなう技術・製品の開発・実用化を支援する事業、創業予定者などに対する必要な経費を支援する事業、中小企業者による新たな地域内ネットワークを構築し、新しい形態の産業集積を形成する事業、医療機関とモノづくりの技術を結んで医療機器産業への参入を支援する事業、商店街買い物弱者支援事業など、10をこえる新規事業を立ち上げます。
 これらの新規事業の多くは、都民や関係団体、そしてわが党が求めてきたことと合致するものです。


 しかし、安倍内閣による年金削減、高齢者医療の窓口負担増、介護の利用料引き上げ、介護報酬の大幅削減、生活保護の切り下げなどの社会保障切り下げに反対し、都民生活を守る立場と施策は見られません。とりわけくらしへの支援は不十分で、国民健康保険料(税)、介護保険料の負担増などの都民の痛みにたいし、都独自の対策がほとんど取られないことはきわめて残念です。また商店街対策予算が大幅に減額され、都民が願う少人数学級が拡充されないことなども見過ごせません。


 予算の使い方で重大なことは、1メートル1億円もかかる外環道整備費が175億円も増えて312億円にふくれあがり、過大な港湾整備に432億円もつぎこむこと、そして幹線道路建設や超大型客船のための埠頭建設のために、国庫補助がつかない都単独事業が12%以上も増えることなどです。このため、投資的経費は、9187億円から886億円もふえ、1兆73億円と1兆円の大台を突破します。このほか、土壌汚染地につくられる豊洲新市場整備に2205億円もつぎ込まれます。
 人口減少時代を迎えるいま、都市施設の整備は、不要不急の巨大開発や幹線道路などの新規建設は極力抑制し、新規建設は福祉、医療、教育施設などの施設整備、都営住宅の増設などを重点にすべきです。
 防災対策予算は669億円増えていますが、その要因は、豪雨対策と木造住宅密集地の防災対策予算が増額されたことです。豪雨対策予算の増額は重要ですが、木造住宅密集地域対策の増額要因は、延焼遮断帯の名による住民追い出しや商店街破壊につながる特定整備路線の整備関連予算が186億円から484億円へと2.6倍に増えたことであり、重大な問題があります。防災対策の最大の問題は、国の中央防災会議が、防災対策の大前提としている木造住宅耐震化助成が、依然として、木造住宅密集地域の内のごくわずかの地域を対象にしたものにすぎないことであり、これを大幅に拡充することなしに、災害に強い東京はつくれないことを指摘しておくものです。
 わが党が、IOC方針にもとづいて、くりかえし節減を求めてきたオリンピック施設整備費について、バスケット、バドミントン、セーリング会場などを既設施設に転換するなど、経費を節減する方向が示されたことは重要です。しかしそれでもなお、全体として現時点の試算でも2787億円と、立候補ファイルの1538億円の1.8倍と巨額なものになり、さらなる既存施設活用の拡大などによる節減が求められます。


 消費税増税などで、都の地方消費税が1100億円あまり増収となります。消費税増税による地方税収の使途については、社会福祉、社会保険、保健衛生など社会保障にすることが定められています。にもかかわらず、「福祉と保健」の増額は410億円、基金の積み立てを入れても810億円の増にとどまっていることは見過ごせません。消費税増税による増収は全額、社会保障の拡充に使うべきです。
 わが党は、予算原案の前進面を評価しつつも、不要不急の支出を抑えることで、さらなる都民施策の充実をすすめるために、組み替え動議の提案をふくめて、全力をつくすものです。


以上


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