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公正で民主的な教科書採択を求める申し入れ
東京都教育委員会 御中
東京都教育長 中井敬三 殿

2015年6月29日
日本共産党東京都議会議員団


公正で民主的な教科書採択を求める申し入れ

               
 今夏、4年毎に実施する中学校教科書の採択替えが行われます。各学校で子どもたちに一番ふさわしい教科書を選ぶには、教科書ごとの特徴や各学校の生徒の状況を踏まえる必要があります。そのために教科の専門性を持ち、実際に教科書を使って教え、子どもたちの反応をみている教員の意見が尊重されることが欠かせません。ILO・ユネスコの教員の地位に関する勧告も、教員は教科書選択にあたり主要な役割を与えられるべきだとしています。また保護者や地域住民の意見も重要です。


 都教育委員会が中学校用教科書を選ぶ際は、教科書の見本とともに、教科書調査員が作成した調査研究資料および教科書採択資料を参考にすることになっています。これらの資料は、教科書ごとの事項の記載の有無や箇所数の比較が中心であり、その取り上げ方や学校現場で活用する上での評価・評定はありません。また、それぞれの学校の教員の意見を反映させる仕組みも設けられていません。
 都立中高一貫校の教科書は学校ごとに採択するにもかかわらず、都教委は2011年以降、すべての教科で10校全校に同じ教科書を選んでいます。今のやり方では、教科書ごとの特徴や学校現場の意見などを踏まえた判断が保障されないことを示しているのではないでしょうか。
 また、2011年の教科書採択で都教委は、都立中高一貫校の歴史および公民に育鵬社版を、都立特別支援学校(聴覚障害・肢体不自由・病弱)の歴史に育鵬社版、公民に自由社版を採択しました。これらの教科書は、侵略戦争を美化する歴史観や、人権尊重より国への忠誠を強調する、日本国憲法の改定を誘導するなどの内容について、多くの専門家から問題が指摘されているものです。日本の戦争が誤った侵略だったという判定は、戦後の国際秩序の原点です。これを否定する議論は世界で通用しません。
 子どもたちに公正でより適切な教科書が採択されるようにするために、調査研究資料等は、実際に教科書を使う各学校の教員の意見を反映させるとともに、綿密な調査研究に基づいた評価・評定などを示したものに改善し、都教委はそれを尊重すべきです。文部科学省は調査員が評定をつけることは差し支えないとしているのです。

 
 さらに都教育委員会は、実教出版の「高校日本史A」および「高校日本史B」の国旗国歌法に関する「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」との記載が都教委の考え方と異なるため、都立学校で使用することは適切でないとの見解を発表し、各学校が同教科書を選ぶことを事実上禁止しています。こうしたやり方は、民主主義とは相容れない暴挙です。
 よって、日本共産党都議団は以下のことについて、改善を求めます。


  1. 日本国憲法を尊重する立場から教科書採択を行うこと。
  2. 調査研究資料等の作成にあたり、より綿密な調査研究を行えるようにするために現職教員の調査員を増員するとともに、それぞれの学校現場の教員の意見を反映できるようにすること。
  3. 調査研究資料等は、事項などの有無や箇所数の比較を中心とするのではなく、具体的な事項の取り上げ方や学校現場で活用する上での評価・評定を示したものにすること。
  4. 教科書無償措置法で学校ごとに採択を行うと規定されている都立中高一貫校では、都立高校のように学校で教科書を選定する方法を取り入れること。
  5. 実教出版の「高校日本史A」「高校日本史B」の使用は適切でないとする都教委の「見解」は撤回すること。
  6. 都民に開かれた教育委員会にするために、教科書無償措置法で努力義務と定められていることに従い、都教委として各教科書を選んだ理由を明らかにし、説明責任を果たすこと。
  7. 教科書採択を行う教育委員会は、希望者が全員傍聴できるよう、規則を改正し広い会場を確保すること。

以 上


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