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■ 申し入れ/談話/声明  日本共産党東京都議団

第四回都議会定例会を終えて

二〇〇〇年一二月一五日
日本共産党都議会議員団
団長 秋 田 か く お

一、今定例会は、十二月八日に都庁をかこむ集会がひらかれるなど、「福祉、くらしを守れ」という、都民各層の切実な要求にもとづく都民運動の広がりのなかで開催されました。わが党は、都民運動と力をあわせて、具体的提案をおこない石原知事に実現を迫りました。避難生活が長期化している三宅島支援で、生活支援や災害復興などの補正予算が成立、電気・ガス料金の免除に都がのりだすことなどを約束させました。青年の雇用確保でも、教職員の新規採枠の拡大やフリーターへの総合的支援の表明がありました。また、わが党が提案した、都市計画税の軽減措置の継続を求める決議が採択されたことも貴重な成果です。

一、しかし、石原都政は、福祉、くらしなど都政の肝心なところでは、都民の切実な要求にはこたえない一方、大型公共事業をいっそう拡大する方向を打ち出すなど、逆立ちぶりがきわだちました。
  高齢者が悲鳴をあげている介護保険の重い負担について、わが党が、保険料、利用料の減免を提言しましたが、石原都政は、都として実施しないだけではなく、国に要求することすら冷たく拒否しました。また、マル福や老人福祉手当など、三月に石原都政が切りすてた施策を、現時点での深刻な実態にたって、元の制度にもどすよう迫りましたが、これに耳をかたむけようともしませんでした。
  さらに、長引く不況、リストラ、不況の嵐のもとで収入がたたれた家庭に対する「授業料補助」、「越年生活つなぎ資金」などの緊急の生活支援をもとめました。わが党の提案は都民生活の深刻な実態のもとで、住民の福祉やくらしをまもる地方自治体としては、実施にふみだして当たり前のことばかりです。しかも、今年度の三千億円から四千億円にのぼる都税の増収分の一部を都民のために使えば実現できるものです。ところが石原都政はこの立場にたたないばかりか、九兆円もの巨額な税金を投入する三環状道路の建設や、毎日一億円の赤字をだしている臨海開発を継続・拡大する方向をいっそう強調しました。このままでは、自動車公害をはじめとする環境破壊やいまでも七兆円もの借金をかかえている都財政をいっそうひどくするものといわなければなりません。

一、わが党は、二十一世紀を見すえて、東京の公共事業のあり方や少子化、教育、青年対策など東京の将来にとって解決が求められている問題について積極的提案を行いました。
  公共事業のあり方について、わが党は、開発型公共事業の見直しこそが時代の大きな流れであることを示すとともに、特別養護老人ホームやデイサービスセンターをはじめ切実に求められている介護基盤整備、環境に優しいLRT、自転車道などの都民の願いに応える公共事業にふみだすことを提案しました。
  少子化、教育、青年対策など二一世紀をみすえて解決が求められている課題や中小企業対策などの分野で建設的提案をおこないました。少子化対策では子育てと仕事を両立させるための都としての企業への支援、教育問題では基礎学力充実の必要性を認めるなどの回答をえました。

一、長びく不況と銀行の貸ししぶりに苦しむ中小企業の救済のためにつくられた「中小企業金融安定化特別保証制度」を悪用した不正融資事件について、東京都と都議会の姿勢が厳しく問われました。
  わが党は現職都議の逮捕という事態をふまえ、真相究明と再発防止のための百条委員会の設置と、都議会議員だけでなく、議員秘書及び事務所の関係者が斡旋利得行為にかかわらないことを申し合わせる決議を提案しましたが、いずれも自民、公明、民主などの反対で実現にいたりませんでした。これらの諸党の態度は、清潔な政治を願う都民の期待と信頼をうらぎるものです。わが党は、ひきつづき不正を許さない政治の実現に全力をつくすものです。
  浜渦副知事が酒に酔ったうえで都民とトラブルをひきおこした事件について、わが党はその重大性を指摘し、都民への謝罪をもとめました。しかし、同副知事は反省しないどころか、ひらきなおる態度をとり、自民、公明なども不問にする態度をとったことは、都民の批判をまぬがれません。

一、今定例会では、震災、公害、自然環境などの都政の根幹にかかわる条例の全面的改定が提案されました。震災予防条例の全面改定は、災害を未然に防ぎ被害を最小限におさえるために努力するという、都の先進的な震災対策の大原則を条例から削除し、自然保護条例の改定も市街地を保全の対象から外し緑化地区なども都の施策から削除するなど、いずれも震災や自然保護対策を大きく後退させるものです。
  わが党は、こうした重大な後退に反対するとともに、施策の前進をめざし修正案を提案しました。都民の安全と環境にかかる重要な条例改定にもかかわらず、他党が、わが党の参考人質疑の提案も拒否し、徹底審議もつくさずに改悪に賛成したことは、その責任が問われるものです。
  公害防止条例の全面改定について、わが党は東京の深刻な大気汚染解決のためにヨーロッパなみの排ガス基準強化など積極的な提案をおこなうとともに、デイーゼル車への新たな排ガス規制などわが党のかねてからの提案が反映したものとなっていることから賛成しました。

一、東京都税制調査会の答申が議論を呼びましたが、その内容は消費税増税を容認するだけでなく、庶民の所得税、住民税の税率の引き上げ、外形標準課税の全法人への適用など、都民と中小企業に増税をおしつけるものであることが明らかとなりました。わが党は、石原都政がすすめようとしている「庶民増税」「中小企業増税」に断固反対するものです。
  なお、大型ディーゼル車の高速道路利用税などの法定外課税については、時間をかけた総合的検討が必要であり、都民とともに十分検討、研究することを提案するものです。

一、日本共産党都議団は、石原都政の都民生活切りすて、憲法否定の悪政と対決し、都民利益を守るために、来年の都議選、参議院選での勝利に全力をつくす決意です。都民のみなさんのいっそうのご支援をお願いいたします。

以上