第一回都議会定例会を終えて

二〇〇一年三月二九日
日本共産党都議会議員団
団長　秋田かくお

一、今定例会では、石原都政が、老人医療費助成（マル福）や老人福祉手当の段階的廃止など福祉のきりすてをさらに本格的に実行する予算案を提案するなかで、わが党は、老人医療費助成などきりさげられた福祉の復活と、介護保険の保険料・利用料減免など福祉の充実のために全力をあげました。　わが党は、医療費助成や福祉手当などの経済給付的事業は、西ヨーロッパの国々では社会保障の重要な柱とされていることや、国の社会保障改悪、深刻な不況・リストラのもとで、都民にとってますます必要なものとなっていることを明らかにしました。また予算の組み替え提案をおこない、四千八百億円の税収増の一部を活用するだけで、これらの福祉の復活や介護保険の減免を実施することが可能であることを示し、知事が福祉の復活にふみきるようつよくもとめました。
　しかし、自民党、公明党などは、組み替え案を否決し、民主党、社民党なども福祉切りすて実行予算に賛成しました。これは、シルバーパスは現行どおり存続など前回都議選の公約をなげすてるだけでなく、福祉きりさげ実施から一年がたち、現実に影響をうけている都民の苦しみに目をむけようとしない冷たい態度であり、都民の批判はまぬがれません。　わが党は、これからの少子・高齢社会に対応するには、経済給付的事業も、介護などのサービス基盤整備も両方を充実することが大事であることを強調しましたが、都もそのほうがのぞましいといわざるをえなくなりました。　介護保険については、独自におこなったアンケートや自治体調査にもとづいて、積極的にとりあげ、保険料・利用料の重い負担に苦しむ高齢者の実態を示して必要な対策をもとめるなかで、都がこれまでの態度を変え、社会福祉法人等の利用料減免を支援することを表明したことは貴重な一歩です。しかし、まだ入口にすぎません。ひきつづき、都民要望にこたえた利用料、保険料減免制度の実現、きりすてられた福祉の復活のために、全力をつくすものです。

一、世界の流れ、時代の流れとなっている公共事業の見直しも、今定例会の重要な課題でした。
　わが党は、石原知事が、来年度予算で臨海開発や都心再開発、幹線道路などの公共事業に重点的に予算を配分し、投資型経費を温存しようとしていることについて、このような大型開発が、東京集中を促進し、ヒートアイランド現象など東京の環境をいっそう悪化させるだけでなく、現在でも七兆円をこえる都財政の借金をさらにふくらませることを明らかにして、根本的に見直すこと提案しました。これに対して自民、公明、民主は積極的に開発推進の旗振り役をつとめることに終始しました。
　石原知事は、森自公保政権の緊急経済対策に追随して、一〇兆円もの公共事業を提案したことを強調するなど、全体として大型開発に固執する姿勢を変えようとしませんでした。しかし、このなかでも、浪費とムダの典型である臨海開発について破たんの現実を認め、八ツ場ダムの見直しについても、調べたうえで判断するという姿勢を示したことは重要です。
　また、本来、都が負担すべきでない首都高速道路公団への無利子貸付金や国直轄事業負担金など投資型経費についても、わが党の追及のなかで、一定の見直しをすることが言明されました。

一、政務調査費の交付に関する条例が制定されましたが、わが党は、政務調査費の支出をガラス張りにするために、「収支報告書」に領収書などをそえる修正案を財政委員会に提案しましたが、自民党、公明党、民主党の反対で成立にいたりませんでした。情報公開と税金の透明性をもとめる世論と時代のながれにさからう自民、公明、民主の態度は、都民の批判をまぬがれません。

一、今定例会では、都議選をまえに公明党が謀略的な反共攻撃をしかけ、石原知事が一役買って、わが党にたいし「ハイエナ」発言をおこなったことなどについて、他会派やマスコミからも、「政党間の争いに理事者側をまきこむことはつつしまなければならない」「知事の発言は議会の尊厳をじゅうりんする、執行機関としてはこえてはならない一線を超えていた」「議会がこの種の発言、言動を看過するならば、議会の権能に深刻な影響をおよぼすことになりかねない」「共産党が謝罪を要求するのは当然」など、公明党と石原知事にたいし、きびしい批判の声があがりました。自民党までがくわわって、銀行課税やディーゼル車規制など、わが党が青島都政時代に提案し、石原都政が実現したことについて、「うそ」であるとの中傷がありましたが、当時の議事録に、わが党の提案が記録されていることなど、動かぬ事実で、攻撃が根も葉もないことが明らかになりました。また、九八年度予算編成にあたって水道料金の値上げが検討された事実がないかのように、描こうとしましたが、水道局がわが党にたいし、「値上げを検討する」と説明したことはうち消せない事実であり、それは、当時の新聞でも報道されているものです。
　公明党は、シルバーパスについても、有料化されていないと言いはろうとしましたが、これをはたすことができなかったのは当然です。この問題を通じて、公明党などが、前回都議選でのシルバーパスの無料制度を守るという公約を裏切った責任をたなあげしようとするひれつな態度こそきびしく問われなければならないことが、うきぼりになりました。　今回の議会の場をけがす公明党や石原知事の言語道断の発言は、都民のきびしい批判はまぬがれません。

以上