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■ 申し入れ/談話/声明  日本共産党東京都議団
2002年1月23日
東京都知事
石 原 慎 太 郎 殿
日本共産党東京都議会議員団

2002年度東京都予算に関する復活要望書

 2002年度の東京都予算について、日本共産党都議団は、戦後最悪の不況とリストラ、小泉政権の「不良債権処理」や社会保障の連続的改悪などの「構造改革」のもとで、東京都が住民の健康と安全を守るという自治体本来の原点に立ち返って、都民のくらしと営業、福祉と健康を守ることに、あらゆる手だてをつくすことを求めてきました。
 しかし、知事が発表した予算原案は、環境や少子化対策などで改善が見られるものの、全体として大型公共事業中心の「都市再生」に重点的に予算が配分され、福祉や教育などの切実な都民要求には冷たい予算となっています。
 「財政再建推進プラン」にもとづく老人医療費助成や福祉手当などの福祉10事業が計画どおりにきりすてられているだけでなく、都立病院統廃合計画にもとづく母子保健院の廃止や、慢性肝炎などの通院医療費助成の廃止などがうちだされました。
 また、大型都市開発を柱とする「重要施策」以外の都民施策にたいしては、一律10%の削減があらゆる分野でおしすすめられ、都民に「痛み」をおしつける点で、より踏みこんだものとなっています。
 その一方で、大型公共事業の見直しは先送りされ、首都高速道路や汐留、臨海開発などに予算がつぎこまれているため、都債=借金はふえつづけます。
 きびしい財政のもとでも、大型開発にかたよった税金の使い方をきりかえることで、きりすてられた福祉をもとにもどすことをはじめ、切実で緊急な都民要望に応えることは可能です。
 以上の立場から、復活要望を提出します。

都民の雇用と営業をまもり、福祉、医療のきりすてをやめること

  1. 知事を本部長に「緊急景気対策本部」を設置し、雇用と営業を守るためのあらゆる対策を講じること。
  2. 緊急地域雇用創出特別交付金事業は、都として基金の上のせをおこない、継続的な失業対策事業や失業者のための生活資金の支援など、事業の大幅拡充をはかること。
  3. 都独自の失業者・低所得者生活支援制度をつくり、生活保護にかかわる法外援助を拡充すること。路上生活者の就労、住宅など総合的支援策を拡充すること。
  4. シルバーパス、老人医療費助成(マル福)、老人福祉手当、および障害者、ひとり親家庭の医療費助成、福祉手当のきりすては中止し、もとに戻すこと。
  5. 「都立病院改革マスタープラン」にもとづく都立病院の統廃合計画は都民と自治体、専門医師など関係者の参加で抜本的に再検討すること。来年度予定の都立母子保健院の廃止をやめ、存続拡充をはかること。
  6. 慢性肝炎、肝硬変・ヘパトームの医療費助成を通院もふくめ継続すること。
  7. 難病、精神障害、公害病患者等の医療費自己負担をなくすこと。
  8. 成東児童保健院の廃止はやめ、新規入所を再開すること。伊豆山老人ホームを存続させること。
  9. 都立大学、高校授業料値上げなど、都民の負担増となる使用料・手数料のひきあげをおこなわないこと。都立施設のシニア(65歳以上)無料制度を継続すること。

    総 務 局
  10. 市町村振興交付金、市町村調整交付金および特別区都市計画交付金を増額すること。
  11. 市町村が独自に実施するまちづくりを支援するための交付金を継続すること。
  12. (財)東京都島しょ振興公社貸付金を増額すること。
  13. 三宅島避難島民の生活を支援するために都独自の生活支援金を支給すること。また、災害復旧・復興特別交付金を増額すること。

    大 学 管 理 本 部
  14. 大学自治を尊重し、「東京都大学改革大綱」のおしつけをやめること。B類(夜間)、短大の廃止や法人化はおこなわないこと。

    財 務 局
  15. 中小企業発注目標を定めるとともに、分離分割発注を堅持し中小企業の受注を大幅にひきあげること。
  16. 国直轄事業負担金には応じないこと。

    生 活 文 化 局
  17. 私立学校経常費の標準運営費2分の1補助制度を堅持し、削減を行わないこと。父母負担軽減と教育条件改善のため、経常費補助と別枠の私立高校都内生就学促進補助を実施するなど、私学助成の一層の充実をはかること。
  18. 私立幼稚園経常費補助を50%に引き上げること。また私立幼稚園保護者負担軽減事業費補助の所得制限強化・単価切り下げを行わないこと。
  19. 東京都平和祈念館(仮称)の建設を促進すること。「東京平和の日」を都民参加の充実した行事がおこなえるよう予算を確保すること。
  20. テーマ別の「特別相談事業」をはじめ「家庭相談」、法律相談などの都民相談事業の廃止・縮小をおこなわないこと。
  21. 消費生活センターの多摩の相談窓口を継続・充実させること。
  22. 東京都女性財団への助成を再開し、自主的な活動の発展・充実を支援すること。
  23. 東京ボランティア・市民活動センターの運営補助、NPO支援プログラムなど、市民活動促進事業を抜本的に拡充すること。

    環 境 局
  24. 京都議定書の締結に即して、東京都におけるCO2の発生抑制基準の目標と対策を早急に策定するとともに、全庁的な地球温暖化対策室を設置し、対策を抜本的に強化すること。
  25. 自動車交通総量の規制目標を設定し、交通需要マネジメントやモーダルシフトなど自動車総量の削減のための総合的対策をすすめること。
  26. 中小企業へのDPF装着助成を拡充するとともに、都が率先して低公害車への買い替えを促進し、個人や企業者への低公害車の普及をはかること。
  27. 自然保護条例にもとづく里山、森林保全指定を拡大するとともに、オオタカ、トウキョウサンショウウオなど、都内に生息する希少動植物を保護種として指定し、保護、保全につとめること。
  28. みどりと自然を保護すべき地域の公有化を積極的に行うこと。
  29. 区市町村のごみ減量・リサイクル事業への補助を抜本的に増額すること。
  30. 産業廃棄物の実態調査、製造者及び排出者責任の確立など抜本的な産業廃棄物対策をつよめること。

    都 市 計 画 局
  31. 「東京構想2000」「首都圏メガロポリス構想」にもとづく大型の幹線道路や開発計画などを抜本的に見直すこと。首都高速道路公団への無利子貸し付けをやめるなど投資型経費を抑制すること。
  32. 都市型水害の増大を踏まえ、地下街、地下鉄における浸水対策など抜本的な対策を早急におこなうこと。国、区市町村、民間とも連携し、総合治水対策を本格的に推進すること。
  33. ミニバス、コミュニティバスなど区市町村の域内交通確保の取り組みを支援すること。LRTの導入を促進すること。
  34. 交通バリアフリー法にもとづく施設整備を促進するとともに、区市町村での計画策定への支援をはかること。

    福 祉 局
  35. 介護保険料の減免を都としておこなうこと。国の特別対策にもとづく利用料軽減策の事業者負担の軽減や、対象者の要件の緩和をおこなうこと。区市町村がとりくむ保険料・利用料の軽減策を支援する制度を創設すること。
  36. 特別養護老人ホーム経営支援事業の削減をやめ、拡充をはかること。
  37. 特別養護老人ホーム、老人保健施設、デイサービスセンターなど介護基盤整備を促進すること。
  38. 障害者ホームヘルパー派遣制度は所得基準U、V、W階層の無料制度を継続すること。X、Y階層は無料制度を復活すること。
  39. 障害者休養ホーム利用者の付添い人への自己負担を導入しないこと。
  40. 盲ろう通訳者・介護者の養成講習を実施すること。
  41. 認可保育所増設の年次計画をつくり、整備を促進し待機児解消をはかること。
  42. 保育室制度の拡充をはかるとともに、新規開設、定員増を認めること。
  43. 福祉改革推進事業、高齢者いきいき事業は増額するとともに、補助率を引き上げること。
  44. 民間社会福祉施設サービス推進費補助を拡充すること。
  45. 特別区、市町村、組合の国民健康保険に対する補助を増額すること。

    衛 生 局
  46. 小児科医育成奨学金制度の創設をはじめ小児専門医の養成・確保策を拡充すること。
  47. 初期救急診療体制や救急救命センターの拡充など救急医療の拡充をはかること。
  48. 精神障害者授産施設などの整備を促進するとともに、運営費補助を拡充すること。
  49. ひきこもりや家庭内暴力に対応する相談体制を整備拡充すること。
  50. 院内感染による死亡事故再発防止のために、原因解明と防止策の徹底など院内感染対策を拡充すること。
  51. 保健所の統廃合はおこなわず、拡充をはかること。

    産 業 労 働 局
  52. 「雇用対策室」を設置し、中高年者の雇用開拓、就職困難な高校生、大学生のための合同就職相談会の開催や、企業への採用枠拡大のはたらきかけなどを抜本的に強化すること。若年、パート、フリーター、派遣労働者などの総合実態調査を実施し、無権利状態の改善や就職支援などをおこなうこと。
  53. 第2期工業集積地域活性化事業をたちあげ、現行活性化事業の指定が終了した大田、品川、墨田、足立などの地域について、早急に支援をはじめること。
  54. 元気を出せ商店街事業を希望するすべての商店街が活用できるよう予算を増額すること。個店対策など柔軟な活用に努めること。商店街活性化総合支援事業は、実施予算を計上し、計画が策定できた地域から事業実施できるようにすること。
  55. BSE(牛海綿状脳症)感染による売上減少の酪農家や食肉関連業者への支援を強めること。
  56. 信用金庫、信用組合への「金融マニュアル」の一律適用をやめるよう国につよく求めるとともに、「不良債権」扱いとされる中小企業への融資制度を創設すること。緊急不況対策として、年利1%以下の無担保、5年以上の据え置き、信用保証料全額補助の別枠もしくは借り換え用の制度融資をはじめること。
  57. 労政事務所や経済事務所など現場事業所の廃止、委託は行わないこと。商工指導所を復活させること。

    中 央 卸 売 市 場
  58. 築地卸売市場の再整備は、関係者、地元区などの声を尊重し、豊洲移転を強行しないこと。

    住 宅 局
  59. 都営住宅の新規建設を再開すること。また、建て替えにあたっては、民間活力などの名目で都営住宅以外の民間利用に提供しないこと。
  60. 都営住宅の計画修繕やエレベーター設置予算を増額すること。
  61. 都営住宅管理の住宅供給公社への全面委託はおこなわないこと。管理人事務所の廃止はしないこと。
  62. 木造密集地域の木造個人住宅の無料耐震診断、耐震改修への補助制度などをつくり、防災と居住継続が両立できる支援をおこなうこと。
  63. マンション相談をはじめ、区市町村が取り組むマンション施策を支援する新たな補助制度を創設すること。マンション管理士制度の定着・普及のための支援をおこなうこと。

    建 設 局
  64. 巨額の都財政投入となる環状2号線、北新宿、汐留など都施行の市街地再開発、区画整理事業を抜本的に見直すこと。
  65. 大型幹線道路優先をあらため、多摩地域などの生活道路の整備を促進させること。歩道の設置やバリアフリーの促進など歩道整備費を大幅に増額すること。電線類の地中化をすすめること。
  66. 臨海部などの低・未利用地や遊休地を積極的に活用し、区部、とりわけ都心部での都市公園の新増設につとめること。
  67. 路面悪化による騒音、振動、自動車事故などを未然にふせぐために、路面補修の事業費を大幅に増額すること。

    港 湾 局
  68. 破たんした臨海副都心開発は、都民参加で抜本的に見直すこと。臨海道路2期工事や環状2号線、晴海通り延伸工事は見合わせること。有明北の埋め立てを中止すること。
  69. 埋立剰余金(利益)は、臨海副都心開発の穴埋めに投入せず、一般会計に納付し、都民のために活用すること。
  70. 経営困難な離島航路への補助を拡充し、島民の足の確保につとめること。大島航路への高速船の配置による在来船の縮小をおこなわないこと。

    交 通 局
  71. エスカレーター、エレベーターなどバリアフリー法にもとづく施設整備を促進すること。また、都営地下鉄駅のホーム要員の常時配置、転落防止柵の設置などをおこなうこと。
  72. 大江戸線等の開業やバス事業者の規制緩和にともなう都営バス路線の廃止、縮小をやめ、復活させること。

    教 育 庁
  73. 来年度から30人数学級にふみだすこと。ティームティーチングの削減をやめ、不登校や学級崩壊対応など教員加配を継続すること。養護教諭の複数配置を促進すること。
  74. 学校週5日制完全実施にあたっての区市町村のとりくみの実態調査や、子どもたちがゆとりある学校生活がおくれるよう土曜学校や、学校・地域ごとの土曜行事などの自主的な取り組みを支援すること。
  75. 都立高校の統廃合は凍結し、根本的に見直すこと。また、第3次計画の提出をおこなわないこと。
  76. 養護学校の重度・重複児の増加の実態に見合った学級編成、教員配当、寄宿舎指導員配置、養護教諭の複数配置などに努めること。
  77. 盲・ろう・養護学校の施設整備費を増額して、教室不足解消や給食調理施設改善、クーラーの全教室設置を急ぐこと。スクールバス増車、救急医療体制充実をはかること。
  78. 病弱養護学校の高等部を開設すること。片浜養護学校の廃校を中止し、新たな位置付けで充実をはかること。
  79. 高尾自然博物館や近代文学館、青年の家などの生涯学習、社会教育施設の廃止・縮小計画をあらため、拡充につとめること。多摩社会教育会館の市民活動サービスコーナー事業を継続すること。

    消 防 庁
  80. 雑居ビルの査察体制強化など、消防職員体制の強化をはかること。

    以上