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■ 申し入れ/談話/声明  日本共産党東京都議団

第四回都議会定例会を終えて

2002年12月18日

日本共産党東京都議会議員団
  団長 秋田 かくお

一、本定例会は、長期不況にくわえて、小泉政権が社会保障の三兆円負担増や「不良債権処理の加速」策をすすめ、都民のくらしと営業がかつてない深刻な事態においこまれているなかでひらかれました。日本共産党は、国の医療改悪による負担増がおしつけられるなかで、都民のあらたな緊急要求となっている老人、障害者、慢性肝炎など医療費助成の復活、介護保険の減免の拡充をつよく求めました。また、都による若年者をはじめとする公的雇用の拡大や業者の要望にそった中小企業制度融資の拡充など緊急の対策の提案をおこない、来年度予算を、住民の福祉とくらしをまもるという自治体本来の立場にたちかえって、都民生活最優先に編成することを求めました。
 これに対し、石原知事は、超高層ビルと大型高速道路中心の「都市再生」に、予算を「重点的、効果的に配分」する立場に固執し、都民の緊急で切実な要望に対しては、きわめて消極的な姿勢に終始しました。
 私たちは、都民のくらしと営業を守るために、ひきつづき、全力をつくすものです。

一、日本共産党は、来年度の福祉局予算が、要求段階ですでに三百億円も減額となっている事実を指摘し、増額するようもとめました。これに対し、石原知事が、施設建設の終了などによる減額をさし引けば増額となっていると、予算のイロハをわきまえない暴論を展開しました。福祉予算が減っていることは、都財務局の発表資料で明らかにされた厳然たる事実です。この二〇年以上、歴代知事が事業の終了や移管があったときでも、都民要求にこたえるために福祉予算を増やしてきたことからも、石原知事の福祉への冷たさを浮きぼりにするものです。
 知事が、このような暴論にもとづいて「共産党のうそ」とまで発言したことは、石原氏の知事としての資質に重大な問題があることを示すものです。

一、日本共産党は、石原都政が認可保育所への民間企業の参入の促進を国に求めるだけでなく、認証保育所中心の保育サービスに変質させるために、認可保育所の保育料の値上げを誘導し、都独自の補助事業の廃止、区や市の直営保育園の廃止をめざしていることをきびしく、追及しました。
 そして、認可保育所を訪問調査した結果にもとづいて、都有地の提供や用地費の補助、運営費補助などの対策をすすめれば、認可保育所の増設をはじめ産休明け保育、延長保育など都民要望にこたえられることを明らかにした積極的提案をおこないました。しかし、都は、これにまともにこたえず、もはや根拠を失った〃認可保育所ダメ〃論をくりかえすだけで、保育を市場原理の場に投げ出す立場を変えようとしませんでした。
 成東児童保健院の廃止についても、わが党の質疑を通じて、代わるべき施設がないなど、廃止の不当性が浮きぼりになりましたが、自民、公明、民主、ネットなどの賛成で、廃止条例が可決されたことは、きわめて遺憾です。

一、石原都政の「都市再生」が、地域コミュニティの破壊や、ヒートアイランド現象など、現実に矛盾を広げはじめるなかで、日本共産党は「都市再生」に関する総合的なアセスメントの実施を提案しました。石原知事が、これを拒否したことは、都市開発による被害を未然に防ぐ立場に立たず、都民の生活や環境よりも、開発を優先する姿勢を示したものといわざるをえません。
 国が羽田空港沖合再展開や三環状道路の建設にあたって、あらたに地方自治体の負担を求めていることに対し、東京都がきっぱりと拒否することが問われました。これに対し、石原知事は、羽田空港沖合再展開については言い方を二転三転させ、明確にこれを拒否する姿勢を示さず、また、圏央道などが現実に都財政を圧迫していることをたなあげして、全体として国の要請に応える立場を示しました。これは深刻な都財政の現状認識を欠いたものであり、「都市再生」は財政面でもゆきづまりを示しています。

一、一般都営住宅に期限付き入居を導入する条例は、「住宅に困窮する低所得者に対し低廉な家賃で賃貸する」とした公営住宅法に反して、居住者を強制的においだすことを可能にするものであり、国土交通省の「定期借家制度はなじまない」とする国会での見解にも反するものです。
 今回、対象とした若年ファミリーについては、期限のない一般入居こそふさわしいやり方であり、子育て真っ最中に明け渡しをもとめることは子育て支援の趣旨に反するものです。また、知事が「政策上認める」ものも対象としたことは、「都市再生」関連などにやりたい放題適用しようとすることに道をひらく重大な制度改悪であり、わが党は反対しました。

一、石原知事が、都議会の場で公然と、憲法否定の発言をおこない、憲法が定めた手続きにも「とらわれることなく」、現憲法を破棄することを主張したことは、憲法九十九条によって、「憲法を尊重し擁護する義務」を負わされた自治体の長として、断じて許されないものです。
 わが党は、知事の憲法否定の発言に厳重に抗議するとともに、都民のみなさんと手を結んで、憲法が生かされ、都民が主人公といえる都政の実現のために、全力をつくす決意です。

以上