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■ 申し入れ/談話/声明  日本共産党東京都議団

二〇〇三年度東京都予算原案について

2002年12月26日

日本共産党東京都議会議員団
政策調査委員長  渡 辺 康 信

一、長期不況にくわえ、小泉内閣の社会保障負担増、不良債権処理の加速策から、都民のくらしと営業をまもることは、都政にとって緊急課題です。
 ところが、石原知事の予算原案は、医療費助成、介護保険の負担軽減、雇用、中小企業対策の充実などの切実な都民要望にこたえるものではありません。
 雇用創出交付金事業は、国の予算の範囲内にとどめられ、中小企業対策予算は減額されました。しかも、あらたに公共料金について二年ごとの見直しをうちだし、来年度は看護専門学校の授業料などの値上げをおしつけようとしています。
 「福祉改革」の名で、都立福祉施設撤退の第一弾として用賀技能開発学院の廃止がうちだされ、高額保育料などの問題がある認証保育所を保育の中心にすえる方向がつよまっています。また、老人福祉手当の廃止、シルバーパスの一万五千円から二万五百十円への値上げなどの切りすてをすすめています。こうした結果、福祉局の予算は、前年比で三百九十三億円の減額となり、各局のなかではトップの削減額となっています。
 教育の分野でも、都立高校の統廃合計画がすすめられる一方、都民の切実な要望である三十人学級、障害児学校の教室不足解消やスクールバスの長時間乗車の改善などの要望に背を向けています。
 都営住宅の新規建設の四年連続ゼロや道路補修予算の削減など、生活密着型の公共事業がのきなみ削減されていることも重大です。
 このような予算編成は、住民の健康と福祉をまもるという自治体の使命を投げ出すものです。
 しかしこのなかでも、障害者施設整備の緊急三か年計画の延長実施、新・元気を出せ商店街事業、個店対策の新設、ヒートアイランド対策やディーゼル車対策、スクールカウンセラーの全中学校配置などが予算化、拡充されたことは、日本共産党の提案が実ったものです。また、私立保育園などへの人件費補助の廃止や、多摩地域の都立保健所の統廃合が先送りされたことは、都民運動の成果であり、今後のたたかいが重要です。

一、その一方、超高層ビルと大型幹線道路中心の「都市再生」については、首都高速道路建設(今年度比百二億円増)、臨海副都心整備事業(同九十三億円増)など、昨年以上に重点的に予算を配分しています。このため、都の借金(一般会計都債残高)は都税収入の一・七倍の六兆八千億円に高止まりし、将来的(三十年後)にも七兆円規模の借金に苦しめられることになります。
 知事本部が十億円もかけてすすめる「大規模な公有地を活用した民間プロジェクトの推進」は、大企業とゼネコンのための「都市再生」に、貴重な都有地を提供しようとするものにほかなりません。
 東京都の予算(全会計)は、きびしい状況にあるといっても、まだ韓国の国家予算を上まわる巨大なものです。「都市再生」優先の逆立ちした税金の使い方をあらためれば、切実な都民要求にこたえることは可能です。日本共産党は、都民のくらしと営業、福祉と健康を最優先とする予算の実現のために全力をつくすものです。

以上