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■ 申し入れ/談話/声明  日本共産党東京都議団

第二回都議会定例会を終えて

2003年7月9日
日本共産党東京都議団
団長 秋田 かくお

一、二期目をむかえた石原都政が、「第二次財政再建推進プラン」策定にむけた文書で、福祉をはじめ都民施策のさらなる切りすての方向を示しました。
 本定例会で、日本共産党はこのことをきびしく批判し、都政が「福祉の増進」を使命とした自治体本来の立場に立ちかえることをつよくもとめました。
 石原都政があらたに切りすてをねらっているのは、私立学校への助成や区市町村への補助など都民生活に定着しているすべての補助金、負担金におよんでいます。とりわけ、福祉については、シルバーパスや、私立保育園など民間福祉施設への補助などを名指しし、低肺機能障害者の酸素ボンベ購入費など都財政の負担もすくない少額の補助金をも対象とするという驚くべきものです。
 石原知事は、その一方で超高層ビルと大型幹線道路中心の「都市再生」を強力にすすめようとしています。この方向は、「財政再建」の名による都民いじめの逆立ち政治の推進にほかなりません。
 日本共産党は、都民のみなさんとともに、都民の福祉をまもるために全力をつくすものです。これに対し、自民党、公明党は知事の姿勢を容認する態度をとりました。

一、石原知事は、「治安の維持こそ最大の都民福祉」といって、現職警察官僚を副知事に登用するとともに、今定例会に「安全・安心まちづくり条例」を提案しました。
 多発する凶悪犯罪の対策を強化することは当然ですが、本来、その仕事は犯罪の予防と取りしまりに責任と権限をもつ警察力によって解決がはかられるべきです。都民要望のおおくも、交番のお巡りさんやパトロールなど現場体制の強化をこそもとめています。条例は、住民を警察主導の防犯体制にくみこみ、警察署長の「助言」の名で、住宅建設などにも警察の介入の道をひらくことや、憲法の保障するプライバシーを侵害しかねない監視カメラを地域社会にはりめぐらせるなど、警察権限の拡大と監視社会づくりの危険のつよいものです。都民はもとより、法曹界からも白紙撤回をもとめる声があげられているものです。
 日本共産党の追及にたいし、警視庁は条例による住民などへの強制はしないことを答えざるをえませんでしたが、条例運用へのきびしい監視が必要です。
 日本共産党は、こうした方向は、「行政の警察化」をすすめるものにほかならず、治安対策のために、都政がおこなうべきは、警視庁の指揮・監督権をにぎる国にその責任をキチンとはたさせることであり、なによりも、治安の土台となる都民生活の安定、福祉の向上に力をつくすことであることを指摘して、条例案および現職警察官僚の副知事の選任については反対しました。

一、石原知事が推進している「新銀行」にたいしては、各会派からも疑問の声がだされましたが、質疑をとおして、小泉政権の「不良債権処理加速策」のもとで、貸ししぶり、貸しはがしに苦しむ中小業者の救済をおこなうものではなく、一部の優良企業だけに融資しようとするものであることがうきぼりになりました。
 とりわけ石原知事が、新銀行は魚屋や八百屋などには「貸さない」、「商店街はつぶれつつある」と発言したことは、商店街が地域経済で果たしている役割を否定し、都の援助の手をとざすことにつながるものであり、日本共産党は、発言の撤回と謝罪をもとめました。
 また、都が中小業者の「命綱」である制度融資の預託原資を「新銀行」の財源とすることによって、あらたな貸しはがしがもたらされる危険があることもあきらかになりました。さらに石原知事は「消費税の税率アップは避けて通れない」と発言したことも重大です。日本共産党は、くらしと営業をまもるたたかいをいっそうつよめるものです。

一、今定例会において、石原知事の民主主義否定の特異な政治姿勢があらためて問われました。
 石原知事が、日本共産党の代表質問に対して、「私の今後の基本姿勢は、共産党のいうことはまったくやらない」ことだとのべたことは、知事にたいする反対意見や批判は許さないという姿勢をあらわにしたものです。
 日本共産党が発言の撤回をもとめたのに対して、知事は、「いい意見があったら、当然、是々非々で採用します」と再答弁せざるをえませんでした。
 同時に、このなかで知事は、「共産党のいうことで、今まで、参考になったものは一つもない」などとという中傷をくわえましたが、事実は、銀行税やディーゼル規制をはじめ、土地開発基金の活用や介護保険料の負担軽減措置など、日本共産党の提案がみのったものはすくなくありません。
 知事は、他の会派の代表質問のときにも、質問者を侮辱する態度をとりました。知事のこれらの言動は、議会制民主主義を根本から否定するものであり、また、都知事としての品性と資格が疑われるものです。
 石原知事は、どのような政治的立場をとろうとも、民主政治の最低限のルールをわきまえるべきであることをきびしく指摘しておくものです。

以上