過去のページ

■ 申し入れ/談話/声明  日本共産党東京都議団

 10月3日、日本共産党東京都議会議員団は、曽根はじめ政策調査委員長、東ひろたか議員が、横山洋吉教育長に対し表記の申し入れを行いました。
 都内の学校で最近頻発するシックスクール被害に、「東京都としても、ぜひ積極的な対策を」と要請しました。対応した横山教育長は、「深刻に受け止めている」「学校については全面的にやっていきたい」「都教育委員会でも指針をつくる必要がある」と答えました。
以下、申し入れ全文です。

東京都教育委員会委員長  清水  司 殿
東 京 都 教 育 長  横山 洋吉 殿

シックスクール対策に関する申し入れ

2003年10月3日
日本共産党東京都議会議員団

 最近、都内の学校で、改修または改築後のシックスクール被害があいついでいます。都立世田谷泉高校では、本年3月改修工事が完了した実習棟でシックスクール被害が発生し、生徒の4割近い193名に目や鼻、のどの痛みや頭痛などの症状がみられ、夏休み後も要治療の状態が続いている生徒もいます。
 また、都立学校で20校検査したうち測定により有害物質が基準値を超えていた学校が12校、区市町村で検査した小中学校でも、次々基準値を超える箇所が発見されています。
 化学物質による症状は、いったん発症すると過敏になり症状が出やすくなるなど、子どもの健康に大きな影響を及ぼすといわれ、学校における子どもたちの健康を守る上で、シックスクールをいかに未然に防ぐかが、自治体としての緊急課題となっています。にもかかわらず、都のこの問題への認識も対策も、きわめて不十分な実態といわざるをえません。
 都立世田谷泉高校では、改修工事後32教室のうち5箇所を検査し、3箇所でトルエンが基準を超えていたにもかかわらず、再検査しないまま3教室を除く全教室の使用を開始し、結果として生徒の被害を防げませんでした。事態を軽視していた教育庁の責任は免れません。

 以上の点を踏まえて、日本共産党都議団は、都のシックスクール対策にあたって、次の事項を実現するよう強く申し入れるものです。

1、学校での工事にあたって、工事資材の選定や施工管理、事後検査などに関する仕様書および特記事項の中に、シックスクールの原因となる有害物質を使わせないよう、実効性のある規定を盛り込み、工事事業者に義務付けるなど、原因物質を持ち込ませないための仕組みづくりを進めること。

2、引渡し前の検査を厳格におこない、部分的でも基準を超える有害物質が検出された場合は、全ての箇所で基準値を下回るまで対策を施してから引渡しを受けるようにすること。教室で使う備品やITの機材などの導入時も同じ検査を実施すること。

3、原因物質としては、「学校環境衛生基準」に定められた4物質だけでなく、すでに健康局が「化学物質の子どもガイドライン」で基準を示した13種類の物質についても、早急に検査と規制の対象に加えること。

4、最近、工事を実施した学校など、必要な箇所の検査と対策を急ぐこと。同時に、都立学校に全校配置されつつある簡易測定器なども活用して、早期に全ての都立学校について原因物質の定期測定体制を確立すること。

5、小中学校でも同様の検査を実施できるよう、区市町村への情報やマニュアルの提供、財政支援や機材の貸し出しなど多様な支援を検討し、実施すること。

6、都立世田谷泉高校におけるシックスクール被害については、症状が出た生徒の治療費、通院費などは全額公費の負担とすること。必要な治療の継続、勉学の保障など十分配慮すること。

 またこの間の経過を、生徒のプライバシーに配慮しつつも可能な限り具体的に公表し、都教育委員会の対応の問題点を明らかにすること。今後、シックスクール被害が発生した場合や原因物質が発見された場合、対応もふくめ、ただちに都民や関係者に公表すること。

以 上