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■ 申し入れ/談話/声明  日本共産党東京都議団

第一回定例会を終えて

二〇〇四年三月三十日
日本共産党東京都議団 幹事長 吉田 信夫

、不況と小泉政権による社会保障の負担増、さらには石原都政の福祉きりすてによって、憲法が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」すら破壊されようとしているときに、都民の代表である都議会が、都民のくらしと営業をまもるためにその役割をはたすことがつよくもとめられた議会でした。
 石原知事が提案した来年度予算に対して、自民・公明・民主の各党はもろ手をあげて賛成しましたが、予算の内容は、石原知事がこれまですすめてきた老人医療費助成などの福祉の切りすてにくわえ、「巨額の財源不足」を理由に、あらゆる都民施策の「聖域なしの見直し」と直営のサービスからの撤退を全面的にすすめようとするものです。この結果、福祉局予算は三年連続で削減され、中小企業対策予算にいたっては九年連続して後退させられました。これは、「住民の福祉の増進」という地方自治体の責務を投げだすものとして、都民の批判はまぬがれません。
 保育の問題について、日本共産党は、私立保育園へのサービス推進費補助は、質の高い保育を確保するうえで欠かせない支援制度であること、民間企業の参入を前提とした認証保育所はあくまでも補完的にとどめるべきものであることなどを明らかにしました。職員の経験年数にもとづくサービス推進費補助の継続と拡充、公立保育園への補助の創設など、公的保育の拡充をつよく求めていくものです。
 青少年センターや新宿労政事務所、多摩地域の高齢者の授産場の廃止など、都民生活に欠くことのできないおおくの直営施設の廃止条例が提案されましたが、これらの施設が果たしてきた役割などを検証することもなく、廃止に賛成した自・公・民・ネットの責任が問われるものです。

、石原都政は、多国籍企業のための都市づくりとしての「都市再生」を最重要の課題に位置づけ、来年度予算では、これまでの開発にくわえて、都有地にオフィスビルを建設する「先行まちづくりプロジェクト」や首都高速道路中央環状品川線の着手などに重点的に配分することで、本格的に「都市再生」をおしすすめようとしています。
 日本共産党は、超高層ビルと大型幹線道路中心の「都市再生」は、東京の環境を破壊し、住宅難に拍車をかけるものであると同時に、バブル前の二倍の一兆円規模の投資が継続されることで、都財政をさらなる借金地獄におとしいれるものであることを、きびしく批判しました。
 借金依存型の財政運営によって、東京都の借金=都債の残高は、一般会計予算の一・二倍、過去最高の約七兆円に達しています。日本共産党のこの指摘に対して、財務局は、国や他の道府県や革新都政時代と比べて、起債依存度が低いなどと弁明しましたが、ひろく課税権や財政手だてを有している国や、地方交付税交付団体である道府県は、起債の償還金の補填をうけており、同列に扱うことはできません。革新都政との比較でも財政規模に占める起債の割合は、石原都政の方が二倍以上となっていることで明らかです。
 新銀行への一千億円の是非も問われましたが、日本共産党の追及によって、すこしでも返済がとどこおれば、ただちにRCC(債権回収機構)や再生ファンドにおくられるシステムとなっており、貸ししぶり、貸しはがしに苦しむ地域の中小業者の役に立たないことが、いっそう鮮明になりました。この立場から今後も追及していくものです。
 日本共産党が提案した、予算の組みかえ案は、「都市再生」など不要・不急、浪費型の公共事業や新銀行への投資などを見直し、予算の四・六%を組み替えることで、都財政の立てなおしにふみだすとともに、これまでに切りすてられた老人医療費助成などの経済給付的事業の復元、若者就労支援をはじめ三十人学級、小学生への医療費助成、個店対策の実施など切実な都民要求に応えようとするものであり、この方向こそが都民の願いにこたえるものであることを確信するものです。

、石原知事の民主主義否定、強権的手法がつよまる一方で、これに対する都民世論と運動がひろがりを見せたことは、今定例会での特徴です。
 とりわけ、昨年八月以降、東京都によるトップダウン方式による大学破壊がすすめられてきた都立大学において、総長を先頭に、大学関係者がこぞって都の「改革」に反対の声をあげ、複数の教授が退職するなどきわめて異常な事態を迎えましたが、この責任は、あげて「改革」をおしつけている石原知事にあることは明白です。また、東京都交響楽団への有期雇用制導入は、オーケストラの質の低下をまねくことは明らかであり、楽団員の意志を尊重し撤回すべきであり、こうした乱暴な都政運営について、各会派が疑問や批判を表明せざるを得なくなったことは重要です。
 東京都教育委員会が、都立学校での卒業式などにおいて、日の丸・君が代を強制していることについて、生徒、父母、学校関係者から、内心の自由の権利をおかすものだとして反対の運動がひろがり、裁判での争いにまで発展するにいたりました。東京都が国会決議に反して、日の丸・君が代をおしつけることは断じて許さないものです。
 今定例会では、民主主義と表現の自由にかかわる重要な条例改定がおこなわれました。東京都港湾管理条例は、第二十二条第二項で、知事の恣意的判断で、条例を発動し、特定の国籍の船の東京港への入港を阻止することを可能とするものであり、このようなやり方が認められることになれば、今後、同様の条例を制定することで、知事の権限が無制限に拡大される危険のつよいものです。青少年健全育成条例については、事前の審議会での答申を無視して、有害図書の包括指定につながる規定と罰則規定の条項がもりこまれましたが、これらは表現の自由を踏みにじる危険のたかいものであり、いずれも、日本共産党は反対しました。

 日本共産党は、都民のみなさんと力をあわせて、都政の転換と切実な都民要望の実現、きたる参議院選挙での勝利のために全力をつくす決意です。

以上