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■ 申し入れ/談話/声明  日本共産党東京都議団

第二回定例会を終えて

二〇〇四年六月十六日
日本共産党東京都議会議員団
幹事長 吉田 信夫 

一、今議会において、日本共産党は石原都政の五年間で、都政が「住民の福祉の増進」という自治体ほんらいの役割にてらして、いかにゆがめられ、都民生活に深刻な影響がおよんでいることを事実でしめし、都政運営の転換をもとめました。
 都民のはげしい痛みは、社会福祉関係予算が、この五年間に六百六十一億円も削られるなかでもたらされました。大都市をかかえる道府県でこんな削減をしたところはありません。老人医療費助成など経済的給付の廃止や保育園など福祉への補助の大幅削減、百カ所におよぶ都立施設の廃止などの都民生活への影響は深刻です。
 その一方、「都市再生」の名で大型開発が優先されてきた結果、都財政が悪化し、環境行政が後退するなどのゆがみが拡大しています。
 こうした都政のゆがみがもたらされた背景には、保育をはじめ自治体ほんらいの仕事まで営利企業に開放させ、もっぱら大企業が活動しやすい都市づくりをもとめる財界の要求があることは、都の各種審議会などに日本経団連をはじめとする財界代表が多数参加していることでも裏づけられています。
 これにたいし、石原知事の答弁がもっぱら、大企業が栄えればすべてうまくいくという立場に終始したことはほんとうに残念なことです。とりわけ、地球温暖化防止のための二酸化炭素排出量の削減について、企業に規制を義務づけるとした知事の発言に反し、企業の自主的努力にゆだねるとすることを容認したことを指摘しても、知事が答えることさえできなかったことは、無責任きわまりないものです
 また、自民、公明、民主の各党が、石原知事の福祉・教育の切りすてや大企業の利益優先の都政運営を礼賛し、追従する立場をいっそう露骨にしたことは、これらの党のよってたつ基盤が財界に呼応したものであることをあらわにしたものといわざるをえません。

一、都政のゆがみがとりわけ深刻にふきだしている教育の問題で、都立学校における日の丸・君が代のおしつけにたいして、都民の批判がひろがっています。私たちは、日の丸・君が代の強制や義務づけを否定した政府答弁などにてらしても間違っていること、とりわけ、教師への処分をふりかざして、生徒に強制することは、生徒の内心の自由をおかす憲法違反の行為であることをきびしく指摘し、是正をもとめました。
 知事は、生徒の内心の自由の問題については、答弁にさえたてませんでした。しかし、その一方で、教育長が自民党の質問にこたえて、教員に「職務命令」をだしてまで、生徒への指導を強化させるとしたことは、憲法をまっこうからふみにじるものとして、断じて容認できません。
 今議会の論戦を通じて、石原都政が都民と都議会、そしてマスコミもふくむまじめな意見、当たり前の批判にさえ、まともに耳をかたむけようとしない危険な体質になっていることを、都民とともに、きびしく指摘しておくものです。

一、自民、公明、民主の各党は、教育基本法の「改正」をもとめる意見書の採決を、日本共産党の反対をおしきって強行しました。都議会では、意見書の採択は全会派一致が原則です。これをあえてふみにじった各党の非民主的な体質は、必ずや都民のきびしい批判をあびるでしょう。今回の暴挙は、憲法改悪とセットで教育基本法を改悪し、教育への国家の介入をつよめ、「日本の戦争は正しかった」などとする教育を推進しようとする意図を露骨にしたものです。
 国政野党の民主党が、今回の暴挙にくわわったことは、日本共産党が提案した年金改悪法の廃案をもとめる意見書の採択に反対したこととあわせ、民主党の政策的立場が自民党と変わらないものであることをあらためて鮮明にしたといわざるをえません。
 日本共産党は、目前にせまった参議院選挙での前進をきりひらき、年金改悪の実施をやめさせ、憲法と国民のくらしをまもるために全力で奮闘する決意です。

以上