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■ 申し入れ/談話/声明  日本共産党東京都議団

第四回定例会を終えて

二〇〇四年十二月一六日
日本共産党東京都議会議員団
幹事長 吉田 信夫

一、 日本共産党は、この五年間の石原都政が都民に大きな痛みを押しつけてきたことを示し、国の悪政が、都民にさらなる苦難をもたらしているもとで、都政が、都民のくらしと福祉を最優先にする姿勢に立ちかえるようもとめました。とりわけ、革新都政以降の歴代知事のもとで拡充されてきた福祉関係予算が、石原知事のもとではじめて削減されたばかりか、その予算すらまともに執行されず、昨年までの四年間の決算で七百六十四億円も福祉関係費が削減されている事実を明らかにし、その大幅な増額をもとめました。
 本格的な少子高齢化社会をむかえ、ほとんどの自治体が福祉費を増やしているのに、石原都政が五年前の青島都政よりも額も構成比も減らしていることにたいし、自民党、公明党、民主党、ネットの各会派はひとことの批判もせず、容認していることはきわめて異常なことです。
 石原都政が福祉をはじめ都民施策の切りすての理由とした「財政危機」についても、その原因がじつは、いまだに一兆円規模を維持している投資にあることを明らかにし、本来、国が負担すべき国道建設費の分担金などをあらためるだけで、福祉の拡充は十分可能であることを示しました。多くの自治体が浪費的な公共事業を見直し、福祉や教育をまもり拡充しようとしているのに、東京都がひとり超高層ビルと高速道路を中心とする「都市再生」に熱中しています。今年度、来年度あわせて、五千億円程度の税収が見込まれており、いまこそ、予算の使い方をあらため、財政をたて直しながら、福祉やくらしを充実すべきです。

一、 安心して子どもを産み、育てることのできる東京とするために、若者雇用の促進、仕事と子育ての両立対策、医療や住宅などの経済的支援の充実、さらにはそれらを「東京ルール」として確立することをもとめ、あらたな提案をおこないました。知事が、出生率を向上させたフランスでの経済的支援に注目するとし、また、東京都男性職員の育児休業取得について検討することが表明されたことは重要です。
 公立学校の三十人学級をはじめとする少人数学級は、未実施の五県のうち佐賀県、石川県が来年度実施を表明したのにつづき、岐阜県、香川県もこれにつづく動きを見せており、来年度には東京だけがとりのこされる事態になりかねません。日本共産党は、各地の実践例を紹介し、三十人学級が学習面でも生活面でもすぐれていることを明らかにし、実施をせまりました。しかし、石原知事は依然として根拠も示さずに、これを拒みつづけています。重大なことは、この問題で、公明党が三十人学級を否定する立場で質疑をおこなったことです。同党は六年前の政策で二十五人・三十人学級への改善をかかげており、自らかかげた公約と都民の願いに反するものとして都民の批判はまぬがれません。
 三宅島民の帰島にあたって、都が住宅再建のための百五十万円の支援をおこなう条例が成立しました。住宅再建への支援をいっかんして要望してきた党として歓迎するものです。ひきつづき、住宅支援の限度額の引き上げ、支援期間を延長することをはじめ生活再建など帰島支援をつよめるとともに、帰島を断念せざるを得なかった三宅島民の支援のために力をつくすものです。

一、 三井物産によるディーゼル車粒子状物質減少装置(DPF)の虚偽のデーター使用問題は、東京都の指定を受けることのできない装置を製造・販売するためにおこなったもので、きわめて悪質な行為です。同時に、ずさんな審査で今日の事態を招いた東京都の責任もきびしく問われなければなりません。疑惑は深まるばかりであり、東京都の責任ある解明と対応、議会としての参考人聴取と百条委員会の設置など、ひきつづき真相究明のために力をつくすものです。

一、 日本共産党は、石原知事が憲法否定の立場を撤回し、憲法の擁護遵守義務をはたすとともに、憲法九条にもとづき、国際平和のために力をそそぐことをもとめました。これに対し石原知事は、第九条については「改正すべき」と公言、擁護問題についても、場合によっては憲法を「命がけで破る」と表明したことは、重大です。知事のこの立場は、九条改悪をおしつけ、日本をふたたび「戦争をする国」にしようとしているアメリカの立場と軌を一にするもので、平和を求める都民の願い、アジアの平和と日本経済の発展にも逆行するものです。このような知事の立場は知事の職務と両立しないことはいうまでもありません。また、自民党が、知事の発言に呼応して、第二次世界大戦について「やむを得ず自衛のため」におこなった戦争と美化する発言をしたことは、都民の批判はまぬがれません。
 知事があらたに教育委員として提案した人物は、財界団体を代表する憲法と教育基本法改悪の推進者であり、日本共産党は、憲法と教育基本法を否定する人物の提案自体許されるものではないとして反対しました。このような人物に自民、公明、民主の各党が賛成したことは重大です。
 来年は戦後六十年をむかえます。わが党は、憲法九条を守り、日本と東京がアジアの平和の先頭にたつよう都民のみなさんとともに努力する決意です。

以上