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■ 申し入れ/談話/声明  日本共産党東京都議団

 政府が来年度予算案で打ち出した所得税・住民税の老年者控除の廃止や公的年金等控除の縮小などで収入が変わらないのに住民税が新たに課税されることに伴い、シルバーパスなど高齢者に負担増が強いられる問題で、日本共産党都議団は、12月27日、石原知事に対し高齢者への経済支援を求める緊急要望をおこないました。

 以下全文です。


東京都知事 石原慎太郎 殿

2004年12月27日
日本共産党東京都議会議員団

高齢者への経済的支援の充実を求める緊急要望

 来年度政府予算案が発表されましたが、その内容は、各紙が「国民負担増鮮明に」「値上げ・増税本格化」「家計直撃募る不安」「雇用・介護保険も年金も…」と報道したとおり、国民、都民に重い負担を強いるものです。とりわけ深刻な影響をうけるのは、高齢者です。2005年1月から所得税の老年者控除の廃止、公的年金等控除の縮小、4月から生活保護の70歳以上の老齢加算を月額約6千円カット、10月から介護保険の特別養護老人ホーム等入所者の食費・居住費が原則全額自己負担になるなど、容赦ない負担増がつぎつぎおしよせてきます。さらに2006年には、介護保険料の値上げ、住民税の老年者控除の廃止、公的年金等控除の縮小、さらに低所得高齢者の住民税の非課税措置の段階的廃止による負担増などが予定されています。
 東京都は2000年に、シルバーパス、老人医療費助成(マル福)、寝たきり高齢者の老人福祉手当など、都独自の経済給付的事業の見直しをおこない、縮小・廃止をすすめてきました。しかし5年が経過し、高齢者の生活をとりまく困難はいっそう大きくなっており、今後さらにきびしさが増すことは明らかです。東京の高齢者の老齢基礎年金受給額の平均は、世界一物価が高い東京でわずか5万3千円、全都道府県の中で18位という水準です。他府県の高齢者にくらべても、東京の高齢者がおかれている生活実態はとりわけきびしいものがあります。それだけに、都独自の経済給付的事業が、命綱ともいうべき大きな支えとなってきました。
 かつてない大きな負担増が高齢者におしよせる一方、政府の年金改悪により実質的な年金支給額は削減されていくという、新しい状況が生まれているもとで、東京都が、住民福祉の増進を最大の責務とする地方自治体として本来の役割を発揮し、高齢者に対する経済的支援の拡充・強化に、あらためて取り組むことが急務となっています。この立場から、以下、当面の緊急対策にしぼって申し入れをおこなうものです。

1、所得税や住民税の老年者控除の廃止、公的年金等控除の縮小、低所得高齢者の非課税措置の段階的廃止により、シルバーパスなどの負担が増えないよう都として具体策を検討すること

 住民税の老年者控除廃止、公的年金等控除の縮小により、わが党の試算では、収入は変わらないのに住民税非課税から新たに課税される人が、東京の高齢者の約1割、20万人におよびます。住民税、所得税の税額や、課税か非課税かは、介護保険料、国民健康保険料、都営住宅家賃をはじめ各種の所得制限や負担額の基準となっているため、多くの分野に負担増の影響はひろがります。シルバーパスが1000円から20510円にはねあがることは、とりわけ深刻な問題です。70歳以上の高齢者のうち約15万人が、シルバーパスの大幅負担増に直面することになります。
 これにくわえて、低所得高齢者の非課税措置の段階的廃止により非課税限度額は年金収入245万円から、単身者で155万円に、夫婦世帯では212万円に下がり、影響はさらに大きなものとなります。老年者控除の廃止、公的年金等控除の縮小、低所得高齢者の非課税措置の段階的廃止による都民への影響を最小限におさえるため、シルバーパス等の負担が増えないよう都として具体策を検討すること。

2、住民税課税者のシルバーパスについて、所得に応じて5千円パス、1万円パスを導入するなど負担軽減をはかるとともに、半年ずつ・年2回の分割払いを認めること

 20510円のシルバーパスの負担は重い、との声が多数よせられています。そのことは、高額パスの利用が伸びていないことにもあらわれています。「都民の声」窓口にも、せめて半年ずつ2回に分割して購入できないかとの要望がよせられており、福祉保健局は、「ご意見につきましては貴重なものと考えております」「今後の見直しの際の参考にさせていただきたい」と文書で回答しています。
 シルバーパスは無料に戻すべきだと考えますが、緊急の改善策として、所得に応じて5千円パス、1万円パスをつくるなど負担軽減をはかるとともに、半年ずつ・年2回の分割払いを認めること。

3、マル福のこれ以上の縮小・廃止は凍結するとともに、見直しの影響について実態調査をおこない、65歳からの制度に戻すことをふくめ再検討すること

 マル福は、68歳と69歳だけに縮小されました。このまま新規の医療証交付はなく、2006年度は69歳だけになり、07年6月末で廃止の計画です。
 しかし、先日発表された「東京都患者調査」の結果から、99年調査では、65〜69歳の高齢者10万人に対し12717人が医療機関の診察をうけたのに、マル福が縮小された02年調査では10031人、3年前の78.9%までとびぬけておちこんでいることが明らかになりました。60〜64歳が95.4%、70歳以上が89.8%の低下にとどまっていることからみて、マル福見直しによる深刻な受診抑制が現に起きているのではないかと考えるのが当然のことです。
 わが党がおこなった「高齢者のくらし・福祉・医療に関する実態調査」でも、厚生年金の世帯をふくめて、「医療費で四苦八苦している」「病院に行くとき、いくらかかるか不安になる」など、医療費の不安と、マル福の存続・拡充を望む声が多数よせられています。マル福のこれ以上の縮小・廃止は凍結し、68〜69歳の制度を維持するとともに、65〜69歳の受療率(人口10万人に対し医療機関の診察をうけた人数)が大きく低下した原因などマル福見直しの影響調査をおこない、65歳からの制度に戻すことをふくめ再検討すること。

4、高齢者医療費の自己負担限度額をこえた医療費について、償還払いの制度を改善し、患者の窓口負担をなくす「受領委任払い」を実施すること

 2002年10月の老人保健法改悪で、高齢者医療費の患者負担が定率制にされただけでなく、自己負担限度額をこえた医療費について償還払いとなりました。そのため患者は、1〜2割の医療費自己負担の全額を、一旦、医療機関の窓口で支払い、自己負担限度額(住民税非課税世帯で月8千円、一般の住民税課税世帯1万2千円、一定以上の所得の住民税課税世帯4万2百円)をこえた分は、申請をして数か月後に償還される仕組みになりました。しかし高齢者にとって、あとで返ってくるとはいえ、この窓口払いは重い負担になっており、窓口でいくら請求されるかわからない不安から受診を控えることにもつながっています。
 しかも、本来は患者に償還しなければならないにもかかわらず未償還となっている額が、昨年10月の調査によれば、東京だけで3億5千万円にも上ることが明らかになりました。このような未償還の実態がうまれていることは、絶対に放置できません。
 こうした問題を解決するため、新潟県では、新潟県国民健康保険団体連合会が市町村の委任をうけ、医療機関と協力して、高齢者の窓口払いの負担をなくし、未償還が生じない「受領委任払い制度」を、県内全市町村で実施しており歓迎されています。この制度は、1977年11月30日付、厚生省保険局国民健康保険課長名の各都道府県関係部局に対する通知で、「対象を限定し、実施することにやむを得ない事情があると認められ、かつ、関係医療機関及び医師会の協力が十分得られる場合には」実施を認めているものです。特段の予算は必要ありません。東京都国民健康保険団体連合会や医療機関と協議をおこない、しくみをつくればよいことですから、ただちに実施にふみだすこと。

5、費用負担ができないために必要な介護がうけられない介護度の重い高齢者や、長期入院で差額ベッド料・お世話料などの入院費の負担がとくに重い高齢者に対する何らかの経済的支援をおこなうこと

 寝たきり高齢者に対する月5万5千円の老人福祉手当が廃止され、訪問入浴の利用料や介護用ベッドのレンタル料が払えず解約せざるをえなくなり、半年間も入浴しない状態がつづいたなど、費用負担ができないために必要な介護がうけられないという問題が起きています。また、医療的ケアが必要なため介護保険施設に入れず、病院に長期入院せざるをえない高齢者は、介護保険料を払っているにもかかわらず、介護保険サービスは使えず、そのうえ差額ベッド料・お世話料など毎月15万円をこえる入院費がかかります。長期入院の場合も利用できた老人福祉手当が廃止され、お金がなくて入院できないという事態がうまれています。
 老人福祉手当を部分的あるいは段階的に再開することや、新しい経済的支援策を創設することをふくめ、費用負担ができないために必要な介護がうけられない介護度の重い高齢者や、長期入院で差額ベッド料・お世話料などの入院費の負担がとくに重い高齢者に対する、何らかの経済的支援をおこなうこと。

6、区市町村が実施している介護保険料・利用料の軽減・免除をさらに充実するため、都として財政支援制度をつくること。都独自の利用者負担軽減制度は来年度も継続し、所得・資産要件の緩和や事業者負担をなくすなど抜本的に拡充すること

 保険料について国は、現行の第2段階を2つに分けることや、区市町村独自の判断で所得に応じたよりきめ細かい区分を認めるなどの改善をおこなう方向ですが、その一方で、現在全国平均3300円の保険料が、2006年度には4300円に上がるとの推計を示しています。保険料の負担軽減は、ますます切実な課題となることは明らかです。また利用料について、国は介護保険制度以前からヘルパー派遣を利用していた低所得者の利用料を6%に軽減する特別対策を、今年度かぎりで廃止する方針です。区市町村が実施している利用料軽減制度の多くは、この国の特別対策を拡充したものとなっており、国が廃止した場合、区市町村に対する影響は大きなものがあります。
 区市町村が実施している介護保険料・利用料の軽減・免除をさらに充実できるようにするため、都として区市町村に対する財政支援制度をつくること。
 都独自の利用者負担軽減制度は、来年度も継続するとともに、利用がひろがらない実態を直視し、区市町村や都民、事業者の要望にこたえて抜本的に拡充すること。

以 上