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■ 申し入れ/談話/声明  日本共産党東京都議団

二〇〇五年度東京都予算原案について

 二〇〇五年一月一四日

日本共産党東京都議会議員団
政策調査委員長  曽根 はじめ

一、 本日発表された来年度予算原案は、小泉政権による七兆円もの負担増が、都民生活にさらなる「痛み」をおしつけようとしているもとで、「三位一体改革」にともなう国民健康保険の都負担化による予算増を除けば、実質的に削減となる福祉予算をはじめ、医療、教育、住宅、中小企業、環境など、都民生活にかかわる予算をのきなみ減らすという、許しがたいものとなっています。その一方、マスコミも「都市再生に重点」「公共投資にあてる投資的経費は十四年ぶりの高い伸び」などと指摘しているように、丸の内再開発や三環状道路など多国籍企業のための「都市再生」を聖域とし、重点的に配分することで、「都市の整備」予算だけが突出して増額されています。
 石原都政五年の予算は、いっかんして福祉を削り、「都市再生」につぎ込むという逆立ちしたものですが、今年度と来年度で見込まれる六〇〇〇億円規模の都税の増収が、福祉をはじめとする都民のための施策には使われないという異常なものになることでいっそう増幅されています。日本共産党は、「住民の福祉の増進」という自治体の使命を投げすてた、このような逆立ちした予算を、都民本位に切りかえるために、組み替え提案をおこなうなど全力をつくす決意です。

一、 福祉予算では、老人医療費助成(マル福)が五十九億円減額となり石原都政となって百九十億円以上削減されました。特別養護老人ホームへの運営費補助もひきつづき減らされ、また、整備率が全国最下位の介護施設についても、特別養護老人ホームや老人保健施設整備予算が大きく減らされていることは重大です。
 教育では、全国のほとんどの自治体がふみだした少人数学級をかたくなに拒みつづけるだけでなく、小・中学校の耐震補強対策も見送られ、障害児学校についても、整備費が三分の一に減額されるなど、なおざりにされていることは許されません。
 支援の強化が緊急の課題となっている中小企業予算は、一〇年連続で減らされ、制度融資は、預託原資が最高時の六割以下に削減され、借換融資の拡充をもとめる業者の切なる願いも見送られました。
 すでに百カ所以上も廃止された都立施設についても、来年度は、軽費老人ホームむさしの園や松沢看護専門学校の廃止、多摩老人医療センターの公社移管、農業・畜産・林業の三試験場の財団化、王子技術専門校の統合による廃止などが予定されています。都立高校及び看護学校の授業料の値上げが提案されていることも許されません。

一、 「都市再生」予算では、来年度新規に予算が計上された首都高速道路品川線は、民営化が予定されている同道路公団による建設に先行して、都が直接、都民の税金を一千億円も投入して建設にあたるという、異常きわまりないものです。すでに財界は、有料道路の全額税金による建設と地方自治体への押しつけをもとめる提言をおこなっており、今回の措置は、この財界の主張にそったものにほかなりません。また、本来、東京都が負担する必要のない、国直轄事業負担金も、来年度予算と今年度補正予算を合わせ七百億円を超える巨額なものとなっており、都民施策をおおきく圧迫するものとなっています。
 その一方、生活密着型公共事業は後景に押しやられ、都営住宅の新規建設はひきつづきゼロに抑えられ、都市公園の整備費やまったなしの課題となっている直下型地震対策をはじめ防災対策は、幹線道路予算の十分の一程度にすぎません。

一、 こうしたもとで日本共産党の議会での提案や都民の運動によって、切実な都民要望のいくつかを実現することができたことは貴重です。
 少子化対策の分野では、青年の雇用対策が新規事業として実現したのをはじめ、次世代育成支援緊急対策補助、学童クラブの増設などが予算化されました。高齢者福祉では、介護予防のための「おたっしゃ検診」の促進、高齢者虐待への対応、医療では女性のがん検診の実施なども実りました。
 中小企業対策では、ものづくり新集積事業やアニメ産業支援が新規事業として予算化されたのをはじめ、新・元気を出せ商店街支援事業も継続となりました。
  焦点となっている防災対策では、復興市民組織の育成や地下鉄駅火災対策などがもりこまれ、三宅島被災者支援では、懸案であった住宅再建支援が実り、島民を励ますものとなっています。空き交番の改善や歩車分離式信号、消防団分団本部施設の拡充などの予算化は、日本共産党の先駆的な質問が実ったものです。
 小規模住宅などの固定資産税、都市計画税の軽減措置の継続にくわえ、あらたに商業地の固定資産税の負担のひき下げ、食品安全のためのBSE全頭検査の継続などが実現したことも重要です。

以上