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■政策と主張

2001年度予算案にたいする日本共産党の提案

税収増を活用し、福祉復活、介護保険の減免など、福祉・くらし主役の予算に組替を

2001年3月23日
日本共産党東京都議会議員団

 一般会計予算組み替え案の具体的内容 (款・項)

【1】 歳出の減額・19項目=1791億円

単位:百万円
事業費(うち一般財源)

1. 臨海副都心開発関連事業費を削減する(134億円)

◇東京港臨海道路建設費を削除(港湾費:東京港整備費) -10,261 (-540)
臨海副都心開発を抜本的に見直し、都民参加で見直しを行う立場から当面急ぐ必要のない臨海道路建設を凍結し、工事費を全額削除する。
◇臨海都市基盤整備事業会計への繰出し削除(土木費:都市改造費) -10 (-10)
臨海副都心開発を抜本的に見直す立場から、同開発と一体の晴海地区土地区画整理事業化のための検討調査費を一般会計から繰り出すのを削除する。
◇臨海都市基盤関連街路の整備費の削除(土木費:道路橋梁費) -3,166 (-723)
臨海副都心開発を抜本見直しする立場から、都心と臨海開発地域を結ぶ中心的な広域幹線道路である、晴海通りの延伸(晴豊1号橋など)の建設事業費を削除する。環状2号線の事業費も削除する。

2.幹線道路建設など不要不急の大型公共事業費などを削減する(1366億円)

◇首都高速道路公団への貸付金を削減(都市計画費:都市計画費) -23,543 (-23,543)
首都高速道路公団への無利子貸付は本来公団が「自力調達」すべきものである。
◇首都高速道路関連街路整備費を5割削減(土木費:道路橋梁費) -4,707 (-522)
高速王子線・新宿線建設を抜本的に見直す立場から、王子線関連街路の低公害化など必要な工事に限定し、事業費を減額する。
◇骨格幹線道路整備費の5割削減(土木費:道路橋梁費) -36,425 (-4,230)
環状8号線、調布保谷線など区部幹線道路や多摩の南北道路の同時多発的な推進は都の財政を圧迫し、住民からも環境破壊と反対の強い幹線道路建設を全面的に見直す立場から、事業費を削減する。
◇環2,北新宿市街地再開発事業会計への繰り出しの削除(土木費:都市改造費) -6,395 (-3,752)
臨海開発と汐留再開発の関連事業である環状2号線地区(虎ノ門〜新橋間)、地上げ業者の救済となる北新宿地区などの都施行市街地再開発事業を凍結・再検討するため、事業費を削除する。
◇汐留、秋葉原地区区画整理事業費の削除(土木費:都市改造費) -13,933  (-3,349)
大企業奉仕の汐留、秋葉原の都施行の区画整理を見直すため、事業費を削除する。
◇秋留台地域総合整備事業費の削除(都市計画費:都市計画管理費) -5 (-5)
破たんがあきらかな秋留台地域開発計画をとりやめるため、関係予算を削除する。
◇南多摩尾根幹線整備費の削除(住宅費:新都市開発事業費) -1,654 (-534)
環境破壊を憂慮する住民から計画見直しの要望が強く、事業を当面凍結・再検討するため、事業費を削除する。
◇坂浜平尾地区(稲城市)土地区画整理事業費の削除(住宅費:新都市開発事業費) -32 (-32)
オオタカも生息する貴重な自然環境が破壊される危険がきわめて大きい現計画は抜本見直しすべきであり、事業費を削除する。
◇新海面処分場建設費を削減(港湾費:東京港整備費) -20,161 (-7,433)
廃棄物および残土の処分量が大幅に減少しており、当面建設を急ぐ必要はなくなっている。当初計画を全般的に見直すべきであり、事業費を削除する。
◇土木費の直轄事業負担金を削除(土木費:道路橋梁費、河川海岸費) -28,460 (-17,947)
国の責任においてすすめる事業を、一方的に押しつけることは、地方財政を圧迫するものであり削除する。
◇湾岸費の直轄事業負担金を削除(土木費:道路橋梁費、河川海岸費) -1,210 (-60)
直轄事業は、国の責任においてすすめるべきであり財政負担は見直す。
◇外環及びその周辺のまちづくりに関する調査費を削除(都市計画費:都市計画管理費) -21(-14)
住環境破壊の外環計画は、現在、凍結されており、住民の意思を無視した調査費は削除する。

3.その他経費の削減 (291億円)

◇三自衛隊との総合防災訓練は中止しその分を減額(総務費:防災管理費) -200 (-200)
三自衛隊との防災訓練は中止し、防災総合訓練は、消防、自治体、住民などを中心とした訓練にする。
◇同和対策事業費の削除(各款共通) -3,450 (-2,833)
同和対策事業は終結し、一般施策に移行すべきであり、削除する。
◇社会資本等整備基金への積立金の減額 -25,496 (-25,496)
公共事業を生活密着型に切りかえるなど、都民生活に必要な範囲にするため積立金を減額する。

【2】歳出の増額・64項目=919億円

単位:百万円
事業費(うち一般財源)

1.福祉、医療の切り捨てをやめ、もとにもどす(405億円)

◇シルバーパスの全面有料化をやめる 2,000 (2,000)
◇老人医療費助成(マル福)を65歳からの制度にもどす 5,400 (5,400)
◇老人福祉手当をもとにもどす 6,300 (6,300)
◇ 特別養護老人ホーム補助を99年度水準に増額 15,100 (15,100)
◇心身障害者医療費助成をもとにもどす 9,900 (9,900)
◇重度心身障害者手当をもとにもどす 900 (900)
◇心身障害者福祉手当をもとにもどす 200 (200)
◇乳幼児医療費助成の入院給食代を無料にもどす 2 (2)
◇ひとり親家庭医療費助成をもとにもどす 300 (300)
◇児童育成手当をもとにもどす 200 (200)
◇小児慢性疾患等医療費助成の自己負担導入をやめる 1 (1)
◇妊娠中毒症医療費助成の自己負担導入をやめる 1 (1)
◇身体障害児育成医療等の自己負担額の改定をやめる 11 (11)
◇大気汚染健康障害者医療費助成の自己負担導入をやめる 42 (42)
◇難病医療のうち都単独助成分の自己負担導入をやめる 24 (24)
◇被爆者の子に対する医療費助成の自己負担導入をやめる 1 (1)
◇小児精神障害者医療費助成の自己負担導入をやめる 27 (27)
◇精神障害者通院医療費助成の自己負担導入をやめる 118 (118)
◇結核一般医療費助成の自己負担導入をやめる 5 (5)
◇各医療費助成の自己負担導入をやめた場合の老健法への支出 8 (8)
◇予防接種健康被害救済制度の継続 1 (1)

2.福祉・医療を拡充する。(213億円)

◇村山・大和保健所の新設(福祉費:地域福祉推進費) 300 (150)
地元市、住民と建設が合意されているもので、保健所のニーズが高い地域であり、計画どおり建設をすすめる。
◇民間社会福祉施設サービス推進費を99年度水準に増額(福祉費:地域保健対策費) 5000 (5000)
社会福祉施設のサービス水準及び職員処遇における公私格差を是正するための必要予算を計上する。
◇介護保険保険料減免補助の創設(福祉費:高齢福祉費) 4,000 (4,000)
保険料第1段階の人(生活保護を除く)の保険料を免除、第2段階の人の半額助成を実施する自治体に2分の1補助制度を創設する。
◇介護保険利用料減免補助の創設 4,500 (4,500)
社会福祉法人等による利用料減免への支援を都独自に拡充し、対象事業者、サービスをひろげ事業者負担の軽減を図るための補助制度を創設する。
◇介護予防・生活支援事業の充実(福祉費:高齢福祉費) 2,000 (2,000)
要支援・要介護に該当しない高齢者へのホームヘルプサービス、デイサービス、要支援・要介護高齢者への介護保険だけでは不足するホームヘルプサービスなど、介護予防・生活支援事業を充実する。
◇高齢者いきいき事業の住宅改修の充実(福祉費:高齢福祉費) 500 (500)
介護予防、在宅生活の継続を図るため、要支援・要介護に該当しない高齢者のいる世帯の住宅改造費、要支援・要介護高齢者の介護保険外の住宅改造費の助成を充実。
◇特別養護老人ホームの建設整備費の増額(福祉費:施設整備費) 2,637 (1,102)
希望者全員の入所をめざし、特別養護老人ホームの新規着工を増やす。
◇高齢者在宅サービスセンター運営への支援(福祉費:施設整備費) 600 (600)
高齢者在宅サービスセンター実施している市区町村にたいし、その運営費の一部を補助する。
◇痴呆性高齢者グループホーム整備費補助の増額(福祉費:施設整備費) 590 (197)
圧倒的に不足する痴呆性高齢者グループホームの設置箇所を増やす。
◇ケアハウス建設費補助の増額(福祉費:施設整備費) 450 (150)
高齢者の在宅生活を支援するため、不足しているケアハウスの新規着工を増やす。
◇大気汚染健康障害者医療費助成を20歳未満まで拡充(衛生費:生活環境費) 250 (250)
18歳以上の大気汚染公害者の増加に対応し、当面、対象年齢を20歳までひきあげる
◇精神障害者の授産施設の運営費助成の見直しをやめる(衛生費:医療福祉費) 54 (54)
精神障害者授産施設運営費補助の級地格差導入・非常勤加算廃止をやめ現行水準を維持する。
◇精神障害者ホームヘルプサービスを99年度水準に(衛生費:医療福祉費) 98 (98)
他の障害に比べても遅れている精神障害者の在宅支援を、後退させずに実施する。
◇精神障害者共同作業所運営費補助の充実(衛生費:医療福祉費) 236 (236)
精神障害者共同作業所の新規開設が図れるよう20カ所分計上する。
◇難病患者等居宅生活支援を99年度水準で実施(衛生費:医療福祉費) 68 (68)
2年前の難病医療費助成有料化の時に充実を約束したものであり、後退させずに実施する。
◇障害者福祉会館の現行水準を維持(福祉費:心身障害者福祉費) 20 (20)
障害者が日常的に利用している障害者会館の運営費、事業費の削減をやめる。

3.不況からくらしと営業を守る(115億円)

◇商工指導所の継続(産業労働費:商工業振興費) 46 (46)
東京の中小企業振興に大きな役割を果たしている商工指導所を現行どおり、存続させる。
◇工業集積地域活性化支援事業の拡充(産業労働費:商工業振興費) 500 (500)
今年度で指定が終了する大田、品川、墨田、足立について工業集積地域活性化支援事業を継続するとともに、事業効果をいっそう高めるため、補助を拡充する。(補助率1/3を1/2とし補助額、地域数を拡大する)
◇商店街活性化総合支援事業を増額(産業労働費:商工業振興費) 300 (300)
区市町村が独自に計画する商業振興について今年度から事業補助をおこなう。(1事業2000万円で、30事業を予定)
◇「元気をだせ商店街」事業支援の拡充(産業労働費:商工業振興費) 300 (300)
希望の多い「元気をだせ商店街」事業について、対象商店街数を拡充するとともに、補助率を事業開始時の水準にもどす。
◇仕事と家庭の両立支援の事業を検討する(産業労働費:労働費) 10 (10)
子育て世代が仕事と家庭を両立するため、都として事業化をはかるための検討をはじめる。
◇中小企業の育児休業支援制度の創設(産業労働費:労働費) 100 (100)
中小企業での育児休業を促進するため、代替要員確保のための助成金など、都として支援制度を創設する。する制度を確立する。
◇失業者のための生活資金融資制度の創設(産業労働費:労働費) 500   (500)
失業した勤労者の生活を支えるための資金を融資する。1人50万円×1000人
◇フリーターむけの総合的な相談窓口の開設(産業労働費:労働費) 30 (30)
フリーターむけの来所・電話の常時相談、夜間相談、出張相談を実施する。
◇若者サポートプランの作成(産業労働費:労働費) 10 (10)
全庁的な支援体制をたちあげるとともに、若者・学者・企業などの代表により委員会をつくり支援計画を作成する。
◇技術専門校の定員の拡大(産業労働費:職業能力開発費) 500 (500)
雇用促進のため、青年を含む職業教育の定員を拡充する。
◇緑化の推進の拡充(産業労働費:緑化推進費) 50 (50)
苗木の購入を25万本から30万本に増やし、緑化推進をはかる。
◇野菜供給確保対策の拡充(産業労働費:農業費) 30 (30)
野菜価格格差補給交付金の対象枠と品目の拡大を行う。
◇鳥獣被害対策拡充(産業労働費:農業費) 30 (30)
鳥獣被害対策の予算を増やし取り組みを強化する。
◇フランチャイズ商法の実態調査の実施(産業労働費:商工振興費) 20 (20)
前近代的な契約形態など社会問題化しているフランチャイズ商法の実態を都として把握する。
◇生活道路整備の増額 (土木費:道路橋梁費) 9,100(910)
幹線道路優先でなく、遅れている生活道路の整備のため、99年度比マイナス182億円の半分を復元し、増額する

4.ゆとりある教育の実現をすすめる(37億円)

◇30人学級への準備予算(教育費:小中学校費) 50 (50)
一人ひとりの個性と学力を伸ばすため、ゆきとどいた少人数教育が求められている。そのための30人学級移行への準備調査費を計上する。
◇小中学校への施設整備補助制度を創設(教育費:施設整備費) 500 (500)
学校校舎等の老朽化に緊急対応するため、1校2000万円を限度に初年度50校分を確保する。
◇私立学校の経常費補助を増額(学務費:私立学校振興費) 3,100 (3,100)
「財政健全化計画」及び「財政再建推進プラン」にもとづく切り下げをもとにもどす。

5.生活密着型公共事業の拡充、環境、防災など(148億円)

◇都営住宅の新規建設戸数を400戸増やす(住宅費:住宅建設費) 6,400 (0)
都営住宅への応募は、10年前の倍の114、000人にのぼるなど、切実な要求となっており、新規建設からの撤退への都民の批判は高い。都として新規建設を位置づける。1戸1600万×400戸
◇マンション支援老朽診断促進支援事業の創設(住宅費:住宅助成費) 10 (10)
マンション支援策として老朽診断支援事業を創設する1棟10万×100棟分
◇緑地保全策の推進費を増額する(環境費:環境保全費) 1,700 (0)
緑地を保全するため、保全緑地の公有化及び保全地域の推進管理費を増額する
◇緑の相談所5カ所の存続(土木費:公園霊園費) 86 (86)
緑の普及・啓発にとって欠かせず、また都民に喜ばれ、活用されている緑の相談所を復活する。5カ所を復活させるための経費を計上する。
◇交通安全施設整備費の増額(土木費:道路橋梁費) 4,614 (461)
歩道整備や交差点改良など都民の交通安全にとって欠かせない、交通安全施設整備費を99年度と同水準を維持するため、46億円増額する。
◇小中学校の耐震補強補助制度の創設(教育費:施設整備費) 500 (500)
小中学校の耐震診断と補強の実態を掌握し、整備困難な区市町村に必要な補助を行う制度を創設するため、新年度は5億円を予算化する。
◇男女平等にかんする訴訟支援(生活文化費:生活環境費) 13 (13)
増加する女性差別などに関する裁判の訴訟費用を支援する。
◇東京女性財団への委託を現行通り実施する(生活文化費:生活文化費) 72 (72)
「監理団体改革実施計画」にもとづく一方的な女性財団の廃止は許さず、現行どおり委託費を計上する。
◇三宅島島民への食費や生活費を支給する(福祉費:生活福祉費) 1,440 (1,440)
長期化する島民の避難生活を支援する。 食費 3万円×4000人×12カ月×2分の1=720 生活費 3万円×2000人×12カ月=720

歳出増額合計 91,855 (69,034)

【3】歳入

単位:百万円
予算増減額

1.2000年度に改定された都営住宅の家賃減免制度をもとにもどす(1条例、1規則) -1,000
2.都債の発行を減額し、都民本位の財政建て直しへ前進する。 -47,160
  ・都債発行減計   -64,403百万円
  ・都債発行増計    17,243百万円
3.その他の歳入の増減 -39,114
◇ 国庫支出金の増減  歳出の削減、増額にともなう、国庫支出金の変更分を計上する。
  ・補助減計    -20,602
  ・補助増計     5,578
◇ 分担金・負担金、繰入金等の減額  歳出の削減、増額にともなう財源の変更分を計上する。
  ・臨海会計繰入金  -7,181
  ・その他       -16,909
歳入合計 87,274