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■政策と主張

2002年度東京都予算原案について

2002年1月17日
日本共産党東京都議団
政策調査委員長
 渡 辺 康 信 

 東京都の来年度予算原案は、環境や少子化対策などで改善が見られるものの、全体として、石原知事がおしすすめて

いる大型公共事業中心の「都市再生」に重点的に予算が配分され、福祉や教育などの切実な都民要求には冷たい予算となっています。
 とりわけ、未曾有の不況とリストラの嵐のもとで、緊急の課題となっている雇用確保や中小企業対策では、都独自の失業対策事業や生活支援金などの都民の願いはしりぞけられ、製造業や商店街支援の予算ものきなみ削減されています。
 福祉や医療の分野でも、いくつかの施策の充実の一方で、「財政再建推進プラン」にもとづく、老人医療費助成(マル福)や老人福祉手当などの福祉十事業のきりすては、計画通りにすすめられ、くわえて、あらたに十六の都立病院を八つに統廃合する計画にもとづく母子保健院の廃止や、伊豆山老人ホームの廃止、慢性肝炎などの通院医療費助成の廃止などがうちだされるなど、福祉きりすてをいっそうはげしくすすめる予算となっています。
 また、大型の都市開発を柱とする「重要施策」以外の都民施策にたいしては、一律十%のマイナスシーリングにもとづくきりすてが、あらゆる分野ですすめられ、都民に「痛み」をおしつける点で、より踏みこんだものとなっています。多摩地域の経済事務所の廃止や労政事務所の統廃合、近代文学博物館の廃止などがあいついでうちだされました。
 財政難を理由に、都立の高校や大学の授業料の値上げや文化施設入場料の高齢者の無料制度の廃止など、公共料金の値上げも計画されています。
 一方、大型公共事業の見直しは先送りされ、圏央道や首都高速道路などの幹線道路や汐留、臨海副都心などの大規模開発などに予算がつぎこまれているため、投資的経費は減らず、都債=借金は特別会計もあわせると九兆円を超えてふえつづけることになります。
 来年度予算原案では、かねてからわが党が提案し、都民のみなさんと実現にとり組んできた幼稚園での預かり保育への助成、ヒートアイランド対策、産廃Gメン、グループホームへの用地費助成、元気を出せ商店街事業の継続、三宅島の復旧のための土砂の排除、多摩地域の中小企業振興センターなどが実現にいたりました。就学前までの乳幼児医療費助成も本格実施となります。
 きびしい財政のもとでも、大型開発にかたよった税金の使い方をきりかえることで、きりすてられた福祉をもとにもどすことをはじめ、雇用と営業、三十人学級や学校週五日制対策など、切実で緊急な都民要望にこたえることは可能です。
 日本共産党は、石原知事が都民の立場にたって、予算案の組みかえをおこなうようつよくもとめるとともに、都民要求の実現のために全力をつくす決意です。

以上