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日本共産党東京都議会議員団
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議事録


本会議 一般質問 二〇〇五年三月二日

かち佳代子(大田区選出)

「女性蔑視発言」判決−−いさぎよく撤回し謝罪を
都立病院の地域医療からの撤退は再検討し、継続・充実を

「女性蔑視発言」・・・発言撤回し謝罪を
都立病院の地域医療からの撤退は再検討を
荏原病院は、都立として継続、充実を
民間救急拡大は、救急車の有料化につながる

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「女性蔑視発言」・・・発言撤回し謝罪を

 はじめに、石原知事の「女性蔑視発言」について質問します。
 知事が週刊誌で、「これは、松井孝典がいってるんだけど、〃文明がもたらしたもっとも悪しき有害なものはババァ〃なんだそうだ。〃女性が生殖能力を失って生きてるってのは、無駄で罪です〃って。」などと発言したことについて、女性たちが発言の撤回と謝罪、損害賠償などを求めていました。先月二十四日、この問題に関する東京地裁の判決がありました。
 判決は、発言は女性一般についての見解の表明であって原告個々人の名誉を傷つけたとは言えないと、請求を棄却しましが、これは知事を免責するものではありません。判決はむしろ、知事の発言がいかに不適切であるかを厳しく批判しているのです。
 まず、知事はこれまで、大学教授である〃松井さんの言葉を要約して人に伝えただけ〃と居直ってきました。しかし判決は、松井教授の話と知事の発言は「内容的に一致していない」ことなどから、「被告(知事)個人の見解ないし、意見を表明したと認めるのが相当」、と断定しています。
 また判決は、知事の発言は、「女性の存在価値を生殖能力のみに着目して評価する見解が個人の尊重、法の下の平等について規定する憲法、男女共同参画社会基本法その他法令や国際人権B規約、女子差別撤廃条約その他国際社会における取組の基本理念と相容れない」と明確に述べています。知事は、これを謙虚に受け止めるべきです。
 さらに判決は、「東京都知事という要職にある者の発言としては不用意であった」と認めています。知事の発言は、知事という立場上許されないものであることは明白です。
 にもかかわらず知事は、判決の翌日の記者会見でも、「私でなく大学教授が言った」などと、いまだに責任逃れを繰り返しています。もはやそのような逃げは通用しません。いさぎよく発言を撤回し、謝罪することを求めます。答弁を求めます。

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都立病院の地域医療からの撤退は再検討を

 次に都立病院のあり方について伺います。
 石原知事は、十六あった都立病院を八か所に縮小・削減する計画を、「改革」だといってすすめてきました。その結果、どうなっているでしょうか。
 世田谷区の母子保健院は、存続を願う十万人をこえる署名がよせられましたが、国立成育医療センターができたから大丈夫だといって、廃止されました。ところが成育医療センターは、救急患者が増え、高度専門病院の機能に支障をきたすとして、昨年四月、救急患者から四千二百円の特定療養費の徴収を始めました。
 救急車で意識がない乳児が運ばれてきても、窓口で四千二百円必要ですといわれています。赤ちゃんをおんぶしたお母さんが、真っ青な顔をして氷嚢で頭を冷やしている女の子の手を引いてきましたが、やはり四千二百円かかりますといわれ、財布をのぞいて、足りなかったのでしょう、帰っていくという事態がおきています。成育医療センターは、「救急患者を減らすために徴収を開始した、おかげさまで効果がありました」と回答しています。これは厚生労働省の通知で、緊急の患者から徴収してはならないとされているものです。
 救急患者から四千二百円も特定療養費を徴収するのはやめるよう、国立成育医療センターに申し入れるべきです。答弁を求めます。
 いま世田谷区では、次に廃止が計画されている小児精神医療の全国唯一の専門病院である梅ヶ丘病院を存続し、小児科を設置して、夜間休日の入院にも対応できる小児救急を実施してほしいという声がひろがっています。この願いにこたえることをつよく求めておきます。
 清瀬小児病院、八王子小児病院は、存続を求める住民の切実な声により、廃止計画は二年延期になりました。地元自治体は、ひきつづき存続を求めています。老人医療センターと豊島病院の統合・民営化計画は、地元板橋区や区議会の要請で、統合については撤回されました。その後、豊島病院のあり方について、都と区の協議がつづいていますが、昨年夏までに結論をだすといっていたのが、いまになっても平行線のまま、協議は完全に行きづまっています。地域の医療水準を維持するためには、老人医療センターも豊島病院も都立として存続することこそ必要であることが、いよいよはっきりしてきました。
 このように、石原知事のいう「都立病院改革」の失敗が各地でうきぼりになっているのは、都民と地元自治体、医療関係者とのまともな相談も合意もなしに計画をつくり、おしつけるというやり方がまちがっているのと同時に、東京都の財政削減最優先で、都立病院が地域医療から手を引いていくという計画の中身がまちがっているからです。現時点にたって計画を抜本的に再検討することを求めるものですが、知事、お答え下さい。

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荏原病院は、都立として継続、充実を

 大田区にある都立荏原病院は、二〇〇六年度に都の監理団体である保健医療公社の病院として移管される計画です。公社病院の現状はどうでしょうか。
 大久保病院は昨年公社移管されましたが、一昨年の病院の「事業概要」には、「各医師の士気の低下が見られる。公社化に向けて、医師が生き甲斐をもって診療に打ち込めるような新たな体制をつくることが当面の課題です」と書いてあります。しかし、具体策をとらないまま公社化されたため、医長、部長級の医師が次々退職し、患者も減って、業績が伸び悩み、公社に対し十億円もの補助金の追加投入が必要になりました。医師をはじめ職員のみなさんは医療水準を維持するため必死の努力をしており、患者数が若干上向きですが、医師の欠員は改善されておらず、リハビリの強化のため言語聴覚士を常勤配置に戻すことなどが、切実に求められています。
 東部地域病院の「事業概要」には、「麻酔事故の防止、患者の安全の確保、円滑な手術室運営に対し、早急に手術室を増やすこととスタッフの増員が必要不可欠」「呼吸器系医師の定数増が強く望まれる」「(心臓疾患の救急治療をおこなう)CCU病床を増やすようにしなければ今後の需要に応えられない」など、充実を求める現場の声が多数、記述されています。
 公社病院の現場からあがっているこうした要求に、ただちにこたえることを求めるものです。
 財政削減のために都立病院を公社に移管し、公社病院に対する都の財政支援はきりつめるというやり方は、まちがいです。
 都立病院は都立として存続、拡充し、公社病院は準都立として位置づけて、都の支援を強化し、医療水準をさらに充実させることこそ、必要ではありませんか。知事、お答え下さい。
 都立荏原病院は、城南地域における高度専門医療を担う中核病院としての役割をはたすと同時に、地域のかかりつけ医としての位置づけをもち、紹介状なしでかかれる病院として住民の大きな信頼をうけています。高度専門医療と地域医療の両方を大事にするという、都立病院ならではの役割をはたしているのです。
 たとえば、SARSなどの新興感染症に対応できる都内有数の病院です。歯科口腔外科は、地域の診療所では対応困難な障害者や、ねたきり高齢者などの治療と、在宅訪問歯科診療への支援をおこなっています。小児救急医療で二十四時間対応ができるのは大田区内では東邦医大大森病院と荏原病院だけです。アトピー外来もあります。少子化のなか、荏原病院で扱う分娩数は毎年増えており、出産前の両親学級や母乳外来にとりくんでいます。精神科救急においても、開放病棟をもつ荏原病院の存在は、近隣四区のなかでも、かけがえのないものです。
 なかでも荏原病院の脳卒中医療は、MRIやCTの検査が二十四時間即応できる体制をもち、脳卒中専用病床SUを設置し、チーム医療をおこなうなど、全国的にも高い水準をもっています。しかし東京全体の脳卒中対策は、遅れています。講談社が発行した医療書では、脳卒中対策において日本中で一番見劣りするのは東京だ。大学病院が群雄割拠して足並みがそろわない。だから長く「東京砂漠」といわれてきたなどと指摘し、「都立荏原病院が都内ナンバーワン」と紹介しています。
 脳卒中対策は、高齢社会に向けますます重要になっています。つまった血管を開通させる新薬tPAは欧米ですでに普及しており、発症してから三時間以内に注射をすれば、後遺症を残さず社会復帰できる可能性が飛躍的に高まります。日本でも発売は時間の問題であり、倒れてから三十分以内に搬入し、ただちにMRIをとって治療ができる、脳卒中の救急システムと、専門的対応ができる脳卒中センターを、東京全域につくりあげることが急務となっています。救命救急センターで対応すればよいという、これまでの都の対応は時代遅れです。
 都立荏原病院と東京都が、都内の大学病院、医療機関にはたらきかけて、ただちに脳卒中の医療・救急システムの確立にむけた検討を開始すること、そのために、まず荏原病院を中心に城南地域での体制整備をおこなうことを提案するものです。お答え下さい。
 荏原病院の現場では、いまの水準をさらに発展させて、脳卒中診療部を確立することや、脳卒中専用病床SUをさらにレベルアップしたSCUを開設すること、専門医の育成、地域住民の予防医療にとりくむことをめざしています。こうしたことは、コスト最優先でできることではありません。何よりも人材の裏づけが必要であり、都立病院でこそできることです。
 脳卒中専用病床SUやSCUの整備、専門医の育成、予防医学のとりくみなど、都立病院における脳卒中医療の拡充が必要です。お答え下さい。
 いま、「荏原病院を都立として継続、拡充」を願う「アイ・ラブ・荏原」のポスターが、町中にひろがっています。この熱い期待にこたえるべきではありませんか。
 都立荏原病院の医療は、一朝一夕にできたものではありません。長年にわたってつくりあげてきた都民のかけがえのない財産です。高度専門医療と地域医療の提供をかねそなえた荏原病院は、都立として継続し、さらに充実させることこそ都民のねがいです。公社化の再検討を求めるものですが、お答え下さい。

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民間救急拡大は、救急車の有料化につながる

 最後に、救急事業についてです。
 東京都は昨年十月から「民間救急コールセンター」を試行し、緊急を要しない医療機関の転院搬送は、民間搬送事業者を使うように、という対応を強化しています。現場では、透析中に腹痛が出現し、医師が緊急と判断し救急車を要請したのに、「医師が同乗できないなら民間救急で」といわれた、などのトラブルがおきています。民間救急は、赤色灯は使えず、信号や速度制限など交通規則順守です。しかも有料で、一時間七千円ほどかかります。「第二次財政再建推進プラン」の見直し事業に救急搬送が例示され、「転院搬送の一部有料化なども視野に入れる」と書かれています。救急車を要請しても、民間救急でとの対応がひろがれば、事実上の有料化につながります。
 救急車に医師が同乗するかしないかは、医師の判断であることを改めて確認したいと思いますが、答弁を求め、質問を終わります。