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日本共産党東京都議会議員団
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議事録


本会議 一般質問 二〇〇五年三月二日

河野百合恵(江戸川区選出)

中越地震に学び、「減災」の立場から震災対策を
学校の安全の確保は緊急の課題、過度な競争教育の是正を

都の被害想定の根本的見直しを
長周期波振動について、早急に必要な対策を
木造個人住宅の倒壊は莫大な経済的損失・・・耐震補強に助成を
学校の耐震補強などに区市町村の助成を
競争教育の見直し・・・・心のケア、学校警備員など十分な配置を

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交通インフラの緊急調査、耐震補強施設の改修予算の確保を

 阪神淡路大地震から十年。昨年から今年にかけては、新潟県中越地震、インドネシア、スマトラ沖の巨大地震、イラン地震などが連続して発生し、巨大地震の被害の恐ろしさを目のあたりにさせられるとともに、あらためて、「減災」の立場からの対策がまったなしの課題となっていることを実感させられました。
 私は、いつ起きてもおかしくないと言われる東京直下型地震および東海沖地震、東南海沖地震から、都民の生命と財産を守る立場から質問をおこないます。
 まず、最近のこれらの巨大地震から、何を学ぶのかという問題です。十年前の阪神淡路大地震は、それまでの予想をおおきく上まわる力、すなわち地球の重力の二倍の二〇〇〇ガルの力が加わり、それまでの建築基準を満たしていたビルや建築物が大きな被害をうけました。ところが、今回の中越地震は、気象庁の観測でも二五一五ガル、場所によっては、阪神淡路大地震をおおきく上まわる五〇〇〇ガルの重力がくわわったと言われています。これは宇宙ロケットが発射される時の重力に匹敵する破壊力をもったものです。このため、阪神淡路大地震のあと、耐震補強をおこなった上越新幹線や関越道の橋脚が破壊されるなど、予想をはるかに超えた被害がもたらされました。専門家は、現在の安全基準では被害を防ぐことができない地震だ、と指摘しています。
 そこで、阪神淡路大震災をはるかに上まわる重力がかかった中越地震の教訓に学び、東京における大規模地震の被害想定と防災計画、建築物の安全基準などを抜本的に見直すことが必要と考えますが、今後の震災対策について知事の答弁を求めます。
 昨年末、中央防災会議が首都直下型地震の被害想定を発表しましたが、地震の規模は、例えば、東京湾北部地震の場合、マグニチュード七・三という大きなものと予測されています。その被害想定は、死者数が建物の倒壊による死亡のみしか想定していないなど、不十分な部分もあります。しかし、想定した規模の地震が発生すれば、わが党が指摘したように、「政治、経済の中枢を直撃するスーパー都市災害」となることは避けられません。このことを直視するならば、東京都の被害想定は大幅に修正をしなければなりません。被害想定を全面的なものにするとともに、「減災」対策をいそぐ必要があります。
 たとえば、都は首都高速道路の橋脚の耐震補強は百%完了したといっていますが、それは橋脚の上部だけであり、地中部分の耐震補強をおこなう必要があります。また、先送りされている老朽化した都道の橋梁のかけ替えなどがいそがれていると思いますが、これらの交通インフラの緊急調査をおこない、必要となった耐震補強施設の改修のための予算を確保することを、提案するものですが、答弁をもとめます。

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長周期波振動について、早急に必要な対策を

 中越地震では、液状化によって、上越新幹線や関越道の橋脚が破損し、下水道のマンホールがいたるところで浮き上がるなどの被害が発生しました。私も、昨年十一月に救援ボランティアとして新潟県長岡市にいきましたが、そこで見たものは、液状化によって道の両側がおおきく陥没したり、マンホールが一メートル近くも浮き上がるなどのすさまじい被害でした。
 私が住んでいる江戸川区では、小岩や篠崎、葛西南部地域などが液状化しやすい地域とされています。そこで、江戸川区などの危険地域について、液状化ハザードマップを作成し、交通機関や下水道などのライフラインの安全確保のための計画を策定することが、欠かせないと考えます。関係局長の答弁をもとめます。
 首都直下型地震だけでなく、東海沖、東南海沖地震も東京に甚大な被害をもたらすことが予想されています。とりわけ、はなれた地域での地震は、長周期の振動として伝わることから、超高層ビルや長大橋梁、石油タンク、原子力発電所などに、これまで予想してこなかった被害をあたえる危険が指摘されています。ある専門家は、いま建設されている超高層ビルは制振構造となっているので長周期波動に対応しているが、この西新宿などの以前に建てられた超高層ビルは長周期波振動に対応しておらず、また、免震構造のビルはこれまでの常識をくつがえして、おおきな被害をうける可能性が高いことを警告しています。
 長周期波振動について、超高層ビルや原子力発電所など安全神話にしがみつくのではなく、今日の研究成果をふまえ、必要な対策を早急に講じるよう国にもとめるとともに、都として対策室をもうけ、専門家をまじえて対応をはかることが必要です。見解を求めます。

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木造個人住宅の倒壊で莫大な経済的損失・・・耐震補強が重要

 倒壊被害を防ぐうえで、木造個人住宅の耐震補強がきわめて重要です。
 昨年十二月、読売新聞がおこなった全国世論調査では、大地震が起きた時にもっとも心配されることとして、「家屋の倒壊」をあげた人が六八%、自宅がかなりの被害をうけると思うと答えた人は三四%、三人に一人という結果が示されました。
 阪神淡路大震災では、おおくの木造住宅が倒壊、その倒壊した住宅から発生した火災が被害を拡大しました。このような住宅の倒壊、焼失によって失われる財産は計り知れないものがあります。それだけに倒壊を防ぐための耐震補強のもたらす経済効果は大きなものがあります。
 一橋大学のある先生は、阪神淡路大地震の際の被災住宅への公費の投入は、被災住宅の解体費、仮設住宅や復興住宅の建設費などで、一戸あたり総額三千七百万円近くかかり、全体では、仮設住宅に千四百億円、復興住宅に四千六百億円という公費投入をせまられたと述べています。
 しかし、あらかじめ耐震補強をすませておけば、家屋の倒壊は免れ、巨額の公費を投入しなくてもよくなります。全国では、静岡、宮城、高知など七県、都内では中野区や墨田区、葛飾区などが予算化をふくめ、独自に耐震補強工事の助成にふみだしています。
 都は、三宅島村民の救済のために住宅再建の補助を実施しました。ですから、「個人の資産」だから補助はできないという、理屈はもう通りません。家屋の倒壊による莫大な経済的損失を考えるならば、予防にお金を使うほうが理屈にあっているのではありませんか。全国の先進のとりくみに学び、都として、補助を実施すべきです。答弁をもとめます。

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学校の耐震補強などに区市町村の助成を

 学校の耐震化は、一刻の放置も許されないものです。都内の公立学校の耐震診断の比率が約七四%、改修された学校は五五%にとどまっています。江戸川区の場合、十六校が耐震補強未実施で残されています。
 公立学校は、子どもたちの学習と生活の場であるだけでなく、非常時の避難生活場所とされており、その改修はまったなしです。ところが、財政難がつづく区市町村では予算が確保できず、小中学校の耐震補強や老朽化した校舎の建て替え、改修は思うようにすすんでいないのが現実です。今後、急激にふえる建て替え需要を都区間の財政調整で適正に評価するとともに、時限的に補助をおこなうこと。少なくとも耐震補強についての区市町村の超過負担分だけでも、当面、支援することをもとめるものです。
 災害時における消防の役割は大きなものがあります。中越地震で、東京のハイパーレスキュー隊が、懸命の活動で幼い子どもの命を救い一躍脚光を浴びました。現在、都にはハイパーレスキュー隊は二隊しかなく、来年度さらに一隊の増設が予算化されていますが、大規模地震を考えるとまだまだ足りません。また、老朽化した消防署の建て替えや出張所、消防団本部などの施設の改修も立ちおくれたままです。
 応急の対策の強化として、中越地震でも活躍したハイパーレスキュー隊を各方面毎に配置するとともに、都は老朽化した消防施設の建て替えや、大規模改修などについて先送りせず、事態を直視し、早急に建て替え、改修のための財政措置をおこなうことをもとめるものですが、どうか。それぞれ見解を求めます。
 この問題の最後に、家具の転倒・落下被害について伺います。家具転倒・落下防止対策委員会での検討はどのようにすすめられているでしょうか。当面、都としてキャンペーンの実施、低価格の器具の普及、アドバイザーや高齢世帯のための援助者の派遣、区市町村の助成などにとりくむことをもとめるものですが、お答えください。

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競争教育の見直し、心のケア、学校警備員など十分な配置を

 次に、子どもたちの安全について伺います。
 二月十四日に起きた大阪・寝屋川市での、十七歳の卒業生が母校を訪れ教職員を殺傷するという事件は、あらためて今日の社会と教育のかかえている矛盾の深刻さをつきつけるもので、都民に深い衝撃を与えました。
 同様の事件は、四年前にも大阪の池田小学校で発生し、その後、各学校での監視カメラの設置や防犯用具の配置などの対策が講じられてきましたが、今回の事件は、学校の安全の確保がひきつづき緊急の課題となっているとともに、より根本的には、今日の子どもにおおきな影響をおよぼしている競争教育の問題や大人社会のゆがみ、暴力的、退廃的な情報の氾濫などの社会的問題の解決がさけて通れないことを示しています。
 なかでも解決がいそがれているのが、おおくの子どもたちがまきこまれている小学校から大学までの競争教育です。それは小さい時から、差別と選別の教育におわれ、友達を競争相手としか見られなくなったり、つめこみ授業に追いつけずに落ちこぼれたり、強度のストレスにおおくの子どもたちがさらされていることの問題です。
 国連でさえ「過度な競争」と指摘している競争教育を見直すべき時が来ていると思いますが、知事の見解を伺います。
 強度のストレスにさらされている子どもたちの心のケアがいそがれています。
 そこで、学校でのスクールカウンセラーや養護教員の増配置、地域に孤立しておかれている子どもたちのケアのシステムなどいそがれていると思いますが、答弁をもとめます。
 学校の防犯体制については、池田小事件以後、文部科学省が「危機管理マニュアル」を策定するなど、その対策がさけばれてきたにもかかわらず、残念ながら遅れています。都内の小学校では、「マニュアル」でさだめられている整備状況は入口のインターフォンが五九%、教室から職員室への非常通報ベルが二三%という水準です。
 いま、区市町村は、きびしい財政状況のもとで、学校安全対策の緊急対応に迫られています。そこで、インターフォンや非常ベル、防犯用具など、緊急に整備できるように、支援することがこれらの整備をおおきく促進することにつながると思いますが、お答えください。
 マンパワーの配置も重要です。各学校に防犯用の監視カメラが設置されているとはいえ、人手がなく、実際に役立っていないことは、横浜市の小学校長会がおこなった調査で、一日平均十五・七分しかチェックできていないことでも明らかです。
 子どもたちを大切にする教育や校内安全確保の上からも、先生の増配置が求められているのに、都は積極的に対応しようとしてきませんでした。また、最近は、習熟度別学習やティームティーチングの導入で職員室はいつも空っぽという学校もすくなくありません。専門に警備に当たる警備員や用務員、学童擁護員なども「行政改革」の名のもとに定員削減の対象とされ、ほとんどの学校からいなくなってしまいました。
 このような学校の実態を無視した、安易な人員削減は、学校の安全をそこないかねません。都としてまず先生の増配置すること、学校警備員などマンパワーの配置への支援など、できる限りの手だてをつくすべきではありませんか。見解をもとめて質問を終わります。