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日本共産党東京都議会議員団
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議事録


本会議 中途議決討論 二〇〇五年三月九日

東 ひろたか(江東区選出)

「住民の福祉の増進」という自治体の本来の使命をわすれた補正予算案
福祉、教育、中小企業・・一円もなし、「都市再生」・・・借金積みまし予算確保

 私は、日本共産党都議団を代表して、第百三十七号議案「平成十六年度東京都一般会計補正予算」ほか、四議案に反対する立場から討論をおこないます。
 知事が提案した補正予算案は、増収となった二千八百億円を超える都税収入を減債基金と財政調整基金に積み立てをおこない、くわえて、五百三十九億円の都債をあらたに発行して、「都市再生」のための大型公共事業に投資するというものです。
 補正予算案の最大の問題は、おおくの都民が小泉政権の七兆円の負担増に苦しめられ、都民施策の拡充を切実にもとめているときに、あたたかい手をさしのべるのではなく、逆に、つめたく突き放そうとしていることです。補正予算案には、福祉の予算も、教育の予算も、中小企業の予算も一円も見あたりません。
 その一方で、「都市再生」には、あらたに借金の積みましをしてまで、予算を確保しています。その内容も本来、東京都が負担する必要のない国直轄事業負担金などが中心で、うち、首都圏中央連絡自動車道と国道二〇号線の直轄事業費負担金だけで、当初予算のなんと三・八倍、二百二十億円も予算が計上されているのです。
 これでは、「住民の福祉の増進」という自治体の本来の使命をわすれた予算案と言わざるを得ないではありませんか。
 また、都は、都税の増収分を減債基金などに積み立てることについて、「都財政の体力回復を図る」ことの必要をあげています。都財政立て直しのために必要な積み立てをおこなうことは当然ですが、借金財政の最大の原因である「都市再生」を中心とした投資の見直しに踏みだすことなしに、本当の「体力の回復」などあり得ないではありませんか。ちなみに、知事は、投資経費を毎年、一兆円規模に高止まりさせ、借金も過去最高の七兆円規模に拡大させてきました。補正予算についても、昨年度までの五年間で組まれた一兆二千六百億円のうち、借金返済に充てられたのはわずか、六・五%、八百億円にすぎなかったのです。逆に、「都市再生」には、なんと四五%の五千七百億円がつぎこまれました。この「都市再生」予算を借金返済に充てるだけでも、いわゆる「隠れ借金」は半減させることができたのです。それをしないでおいて、都民にだけ我慢を強いるというのは到底、認められるものではありません。
 本気で、「都財政の体力回復を図る」というのであれば、何をおいても、都財政を圧迫している投資経費にメスを入れ、不要不急の公共事業や本来、都が負担すべきでない国直轄事業負担金や首都高速道路公団への投資などの、改革に真っ先にとり組むべきであります。
 そもそも、今年度の当初予算は、「巨額の財源不足」を理由に、あらゆる都民施策の「聖域なしの見直し」と直営のサービスからの撤退を全面的にすすめようとするものでした。したがって、補正予算の編成にあたっては、増収となった都税とあわせ、当初予算にさかのぼって大型公共事業など見直すべきものは見直しをおこない、都財政の立て直しと高齢者福祉、少子化対策、三十人学級、中小企業支援など、都民要望の実現につとめるべきことをつよく指摘しておくものです。
 石原知事の政治姿勢について一言申し述べておきます。今議会の一般質問で、わが党が、知事の女性蔑視発言について、東京地裁の判決をふまえて、発言の撤回と謝罪を求めたのに対して、知事は、「あの裁判はおかしい」「どうして人のことばを引用したものが私の発言になるんですか」などと言って開き直りました。しかし、判決は、知事の発言は「知事個人の見解ないし、意見を表明したと認めるのが相当」、「知事の要職にあるものの発言としては不用意であった」とはっきりと認定しているのではありませんか。
 そもそも、一方の当事者である松井教授自身、「石原氏の発言を見ると、私の言っていることとまったく逆のこと」「私はこういう言い方はどこでもしたことはない」と、明確に否定しているのですから、知事がいさぎよく否を認め、発言の撤回と謝罪をおこなうよう重ねてもとめておくものです。
 また、知事は、防災問題での質問に対する答弁のなかで、突然、質問とは関係のない発言をおこない、九月一日の防災訓練にあたって、陸海空三軍による「大演習」を実施すると発言したことはきわめて重大です。
 そもそも、毎年九月一日におこなわれている防災訓練は、八十三年前の関東大震災の苦い教訓から、東京都と関係自治体、消防庁、警視庁、住民団体、関係団体の参加で実施されているもので、必要な範囲で自衛隊の参加を求めるにしても、「陸海空三軍」による「大演習」などは、防災訓練とは無縁のものです。自衛隊をことさら軍隊扱いし、三軍などと表現すること自体、武力の放棄を定めた憲法を否定するもので、憲法の尊重擁護義務を負う都知事として、絶対に認められないものです。
 知事が、わが党の事実にもとづいた質問に対して、「デマゴーグだ」「共産的な典型的なやり口」などと、わが党を中傷、侮辱する発言をおこなったことは、断じて、許されるものではありません。謝罪と発言の撤回をつよくもとめるものです。また、知事は、「あなた方の意見を聞きたい」などと発言しましたが、本来、知事や理事者には、議員の質問に真摯に答えることが求められているのであって、議員への質問権はないのであります。くりかえしの知事の不見識をきびしく指摘しておくものです。
 日本共産党は、このような知事の憲法と民主主義否定の特定の立場の、都政への持ちこみを許さないために、ひきつづき全力をつくすことを表明して討論を終わります。

以上