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議事録


予算特別委員会 総括質疑 2005年3月15日

清水 ひで子(八王子市選出)

多摩リーディングプロジェクトは幹線道路中心、
少子化対策、高齢者介護、教育など新たな格差の見直しを


同じ都民でありながら、区部との格差大きい多摩

〇清水委員
 多摩地域の振興を語る際に避けて通ることのできない多摩格差の問題について伺います。
 ここに二十三区と多摩地域での行政上の格差、すなわち多摩地域のさまざまな施策の立ちおくれを示す指標となる幾つかの施策をグラフにしてみました。
 (パネルを示す)まず、左端は財政力の格差を示すもので、一人当たりの二十三区と市の税収の比較です。区を一とすると、市の財源はその半分以下です。
 次に、かつて革新都政時代に格差是正八課題の一つとして挙げられていた保健所の比較です。よく多摩格差はなくなったという論拠として、八課題の解消がいわれますが、保健所は格差がなくなるどころか、このように、石原都政になって逆に広がっているものです。
 そして、ここから右端までの施策が、昨年も紹介いたしました、この間新たな区部との格差を広げている施策の代表例です。一つは、これから本格化する少子化対策、子育て支援にかかわる施策で、乳幼児医療費助成の所得制限では、多摩地域の所得制限のない自治体は区の一割にすぎません。中学校の完全給食も区部の半分となっています。インフラ整備でも、鉄道やモノレールなどの公共交通でも四割台です。
 同じ都民でありながら、住んでいる地域でこれだけ受けられるサービスに違いがあります。この格差をなくす、少なくとも基本的な行政サービスは、どこに住んでいても同じように受けられるということにすることは、広域行政としての東京都の責務であります。
 ここに多摩市長会の都の来年度予算に対する要望書がありますが、この中で市長会は、今後の多摩振興を進めるに当たって、多摩地域の総合的、体系的な実施計画が不可欠として、東京都多摩地域振興実施計画の策定を求めています。
 その後、都は、ことしになって多摩リーディングプロジェクトを発表しましたが、その内容は知事の進める都市再生に沿ったもので、幹線道路などのハード事業中心になっており、都民や市長会が切実に求めている少子化対策、高齢者介護、教育などの課題は見当たりません。これでいいのでしょうか。
 パネルで紹介しましたように、NICUだとか、乳幼児医療費助成とか、中学校の完全給食だとか、児童館だとか、明らかに多摩地域の方が二十三区と比べて立ちおくれています。このように多摩地域の方が二十三区と比べて立ちおくれている課題について、都として重要な事業として位置づけ、必要な方策をとることは意義あることだと思いますが、改めて知事の見解を伺います。
   〔赤星総務局長発言を求む〕
〔清水委員「知事に伺っているんです」と呼ぶ〕

〇赤星総務局長
 これからの多摩振興でございますけれども、区部との格差解消という画一的な対応だけではなく、地域の実情や課題の緊急性などを踏まえました時代の要請に合致した取り組みが重要だと思います。
 今回、私ども、多摩リーディングプロジェクトというのを発表いたしましたけれども、多摩地域が持つ交通の結節点、産業集積、恵まれた自然などの優位性に着目いたしまして、これらをより高め、発揮させていくという観点から、発展の基盤となる分野を中心に、都が重点的に取り組む事業を明らかにしたものでございます。
 今、福祉や教育などのソフト面の事業につきましては、発展の基盤に係る事業というよりは、暮らしに直結した事業でございまして、このリーディングプロジェクトには含まれておりませんけれども、これまでも積極的に取り組んでおりますし、これからも着実に実施してまいります。
 今、先生ご指摘ありましたけれども、保健所でございますが、ご存じだと思いますが、平成九年の法改正に伴いまして(清水委員「そんなこと聞いていませんよ、聞いたことだけ答えてください」と呼ぶ)保健所、保健センター及び保健相談所の数で積算した一所当たりの人口は、区部が八万九千人、多摩が七万九千人でございます。また、図書館でございますけれども、一館当たり区部が四万人、多摩が二万七千人というふうになっておりまして(清水委員「そんなこと聞いておりません。委員長」と呼ぶ)多摩地域の方が設備として整ったものの……

〇樺山委員長
 答弁中。答弁中です。

〇赤星総務局長
 数が多くあります。
 以上でございます。

〇清水委員
 聞いたことだけ答えてください。
 保健所について、相談所を数に入れる、それは私がいっているのは、区部二十三区、多摩七になったことの事実をいっているんです。聞いたことだけ答えてください。


三位一体改革で深刻な影響

 知事、暮らしに直結した事業について実施していくのは−−今、実施していくという答弁でしたので、それは当然のことです。しかし、多摩リーディングプロジェクトについては、その中心は開発であり、ハード中心であることは一目瞭然ではないですか。どこに入っているんですか。
 実際には、さっきのグラフにあるように、新たな格差がふえています。このような新たな格差があることを、まず認めるべきではありませんか。知事に改めて伺いたいと思います。

〇石原知事
 三多摩格差、三多摩格差いわれますけど、あなたが今挙げられたグラフ以外に、区部に比べて三多摩の方がはるかにすぐれている行政的なアイテムはたくさんあるんですよ。
 それから、一時、今もある程度の格差があるでしょう。こういうひずみ、それは何でできたかというと、やっぱり都市部に対する過剰な集中、集積でしょう。それをもたらしたのは、あなた方が支持した美濃部さんが、中央環状、圏央道という二つの環状線を全部つぶしたから、結局、こういうことになったんですよ。

〇清水委員
 子どもや高齢者についての格差を認めるかどうかなんですよ。そのことには何の答えもないじゃないですか。
 多摩地域の住民と自治体が置かれている実情を実際に理解していない発言といわざるを得ません。私がいっているのは、明らかに区部と多摩地域では行政サービスに格差がある。住んでいる地域によって、住んでいる自治体の財政力の差によって、受けられる基本的なサービスに、こんなに大きな差があってよいのでしょうかということです。
 大体、多摩リーディングプロジェクトをつくるときに、多摩地域の市町村から意見を聞いたのですか。聞いてないでしょう。後から説明しただけではありませんか。
 多摩市長会が都に出した予算の重点要望では、十三項目が福祉と教育などのソフトの事業ではありませんか。また、厚生部会は六十ページに及ぶ要望書を出しているのですよ。厚生部会は六十ページに及ぶ要望書を出しています。結局、知事、都市再生につぎ込むお金はあっても、福祉や教育に使うお金はない、多摩都民のために使うお金はないということじゃないですか。
 知事は、少子化対策、子育ての重要性を挙げています。だったら、パネルで先ほど示したように、子育てにかかわる施策で明らかに多摩地域の方が立ちおくれているのですから、都が支援することは当たり前のことであるということを強く申し述べておきます。
 これまでも多摩市町村と二十三区の財政力格差は極めて大きい上に、国の三位一体改革が市町村財政を一層苦しめています。三位一体改革はそのかけ声とは裏腹に、たくさんの仕事が自治体に押しつけられる一方、それに見合った財源はおろされないという、本来の意味での地方分権にはほど遠いものです。
 例えば、東村山市では本年度七千万円のマイナスが見込まれ、その減収を含めた財源不足を基金の取り崩しなどで対応しています。また、立川市では今年度予算で三千万円、八王子市も今年度予算を五月に六億四千万円も減額補正しています。来年度は、昨年、余りに批判の声が上げられたことから、一定の対策がとられましたが、今年度削減の影響は残されたままです。とりわけ深刻なのは地方交付税交付団体で、やむなく住民施策にしわ寄せせざるを得ない例も生まれています。
 一方、地方交付税不交付団体は、今年度実施された国の公立保育園運営費補助の一般財源化で大きな影響を受けています。それは、従来、東京都が負担していた四分の一の補助が打ち切られることになったためで、多摩地域の交付税不交付団体は大きな影響を受けることになったんです。
 少なくとも打撃を受ける地方交付税不交付団体に対して、都として財政支援すべきと考えますが、どうでしょうか。

〇松澤財務局長
 お答えいたします。
 三位一体改革によりこれまで地方公共団体に支出されていた国庫補助負担金が一般財源化された場合、国は税源移譲や地方交付税により財源措置されることになっております。このうち、今お話のあったような都道府県を通じて区市町村に交付されていた国庫補助負担金については、変更された財政措置ルールにより対応することになるわけでございます。
 都も不交付団体で、いろいろと影響を受けておりますが、今お話しのあった公立保育園運営費補助も、そもそもは東京都は四分の一負担しておりますが、これは交付税措置されて、実際に来ていないお金でございます。
 そういうこともありまして、ただいまお話のあったような市町村への一般財源化に対して、都が特別な財政支援を行うことは考えておりません。

〇清水委員
 区市町村には財政措置がとられているというご答弁でしたけれども、東京都の都区財政調整では、従来、都が負担していた公立保育園運営費補助を需要算定し、全額措置していますよね。そのことは、その穴埋めが必要ということを認めているということです。
 にもかかわらず、市町村に対しては必要ないという、私はそのことをいっているのです。おかしいじゃありませんか。だから、削減した分を特例交付金というような形で支援してほしいというのは当然の声です。少なくとも不交付団体には財政支援すべきではありませんか、知事、伺います。
   〔赤星総務局長発言を求む〕
〔清水委員「知事に伺ったんですけれども」と呼ぶ〕

〇赤星総務局長
 都区財政調整五二%、四八%、この五二%の中に算定されているというお話がありましたけれども、五二%につきましては、一〇〇%の部分の五二対四八で、それぞれの財源でございますので、五二%はもともとは区の財源でございます。都は四八%と分けましたけれども、そこは区市町村の財源と違います。
 それともう一つ、先ほど来、多摩振興のためにいろいろ私どもは、議会でご理解いただきまして、特に区部にはない市町村調整交付金、市町村振興交付金を設けまして、多摩の振興に努めております。

〇清水委員
 そのことは十分承知していっているんです。そういうことは十分承知していっております。非常に冷たい今、答弁でした。各市の実態を本当に認識していたら、そういう冷たいことは私はいえないというふうに思います。


小児医療が足りない多摩地域で都立小児病院を廃止

 次に、子どもを産み育てやすい具体的な問題、多摩地域の問題、小児医療の拡充について提案いたします。
 多摩地域は、区部に比べファミリー世帯が多く、子どもの数もふえています。区部では人口全体に占める十四歳未満の年少人口の割合は一一%ですが、多摩では一三%となっています。ところが、年少人口千人に対する小児科の病院や診療所の数は、二十三区の六割程度しかありません。
 多摩地域では町田市などがいち早く取り組んでいますが、開業医などの協力で夜中に駆け込める小児初期救急診療事業を、すべての市町村で実施できるようにすることが必要です。また、二十四時間三百六十五日いつでも入院でき、そして検査もできる休日全夜間対応の小児救急病院の整備を推進することも切実な要求です。ぜひこの整備については答えていただきたいと思います。
 このように多摩地域では、身近な地域に小児科の病院がない、診療所もない、そういう深刻な現状にもかかわらず、東京都が地域になくてはならない八王子や清瀬の都立小児病院を廃止しようとしていることに、強い反対の声が上がっているのは当然のことです。八王子小児病院の存続を求める署名は十四万人、清瀬小児病院は十二万人に及びます。東京都は八王子市と協議をしてきましたけれども、その検討会のまとめが、昨年十月に市と都の連名で報告されました。
 この報告書のまとめで、市側はどのように主張したと書かれていますか。そのことだけお答えください。

〇押元病院経営本部長
 八王子市は、都立八王子小児病院は新生児救急医療など三次医療に対応できる施設やマンパワーを有しており、地域の小児医療にとって不可欠であるとし、病院の市内での存続を主張しております。
 これに対して都は、計画どおり小児総合医療センターを整備することによりまして、都における小児医療の充実を推進していくと主張しております。
 なお、この検討会まとめでは、今後、地域の医療実態を踏まえまして、広く関係者などの意見も反映しながら、八王子地域における小児医療の方向を明らかにしていくべきとしております。

〇清水委員
 時間が限られていますので、聞いたことだけお答えください。
 今、答弁がありましたように、市側は、都立八王子小児病院は八王子地域における小児医療にとって欠かすことのできないものであり、同病院の八王子市内での存続を強く主張したと明記しています。今いわれました、その次の部分が重要です。市と都の両者の見解は平行線をたどり、意見の一致は見られなかったと書いてありましたね。ここには東京都のかたくなな姿勢が浮き彫りにされております。
 清瀬市や東久留米市も、清瀬小児病院の存続を強く求めています。市民の運動の力で廃止計画は二年間延期されましたが、それでよしとするわけにはいきません。
 今、八王子の周辺では、日野市立病院、多摩南部地域病院の小児科が、大学病院から派遣を受けていた医師を大学に引き揚げられたために、存続の危機、あるいは夜間救急を停止という事態になっています。多摩南部地域病院は、四月から都立広尾病院から医師の応援を受けて、夜間小児救急をやっとのことで再開できるわけでしょう。やっぱり都立病院というのがいかに頼りになるかということが、はっきりしたのではないかと思います。
 小児医療の危機といわれますが、多摩地域はもともと足りない上に、さらに危機的な事態が進んでいるんです。こんな中で都立小児病院を廃止することは、絶対に許されません。
 八王子小児病院は、二十四時間三百六十五日、初期救急から入院まで小児科専門のドクターが対応できる、地域になくてはならない病院です。病院の周辺には、緊急時には五分とか十分で駆けつけないと命を落とすというような在宅の障害児や難病患者が多く住んでいます。時間との勝負という子どもたちがいることをわかってくださいという切実な声が上がっているんです。


周産期医療体制は八王子、清瀬の廃止で南多摩、西多摩、八王子は空白に

 さらに、未熟児の命を救う新生児集中治療室、NICUを持つ周産期母子医療センターとしての役割です。八王子小児病院がなくなったら深刻な事態になります。
 東京都自身が二〇〇三年九月にまとめた多摩地域における小児医療体制検討会報告で、多摩地域の周産期医療体制はさらなる拡充が必要としていますが、どのようにして拡充するのか、お伺いいたします。

〇幸田福祉保健局長
 多摩地域では、NICUの病床数が少なく、周産期母子医療センターの整備が課題となっていることは十分承知しております。引き続き、新生児医療に対応可能な医療機関に対しまして、周産期母子医療センターの整備を働きかけております。

〇清水委員
 足りないということは承知しているといわれましたが、実際にやっていることは違うんじゃないですか。
 赤ちゃんは普通三千グラム前後で産まれてきますが、今では数百グラムの超未熟児の命を救うことができる医療技術があります。ところが、このパネルを見てください。
 それができるNICUを整備し、専門のスタッフが配置されている周産期医療センターが、区部には十八カ所、多摩地域には、三鷹の杏林大学、清瀬病院、そして八王子小児病院と三カ所です。区部の、しかも東の方に集中している。多摩との格差ははっきりしているわけです、現在でも。で、今、不十分だといわれたわけです。
 それが、東京都の計画でどうなるのか。(パネルを示す)はい、これ、なくなった。清瀬がなくなり、八王子がなくなったらどうなるのか。府中に統合するといっているわけですね。そして、町田にNICUをつくるといっているわけなんですけれども、府中に小児総合医療センターをつくって九床ふやす、そして町田の市民病院の改築で九床ふえる予定ですが、多摩地域全体として広大な空白となる、これまでは、こことここにあったわけですけれども、それが広大な空白となることは明らかです。
 特に八王子小児病院は、八王子だけではなく、西多摩全体にとって、全地域にとって大変大事な位置にあります。西多摩地域だけで二十三区が二つ入る広大な面積があり、交通も不便地域です。
 伺いますが、これを見てどう思いますか。八王子、清瀬を廃止して、府中の一カ所にまとめるというのはとんでもない話だと思いませんか、伺います、お答えください。

〇押元病院経営本部長
 先ほど先生からご指摘がございましたように、小児総合医療センターにおいては、清瀬小児病院の六床、それから八王子小児病院の九床に加えまして、新たに九床を増床いたしまして、すべてで二十四床のNICUを確保いたします。
 また、母子ともに小児科のドクター、それから産科のドクター、これが協力をしまして、お母さんとお子さんの健康の維持に取り組むMFICUという施設もつくるということでございます。そういう意味で規模のメリットを生かしながら、周産期医療に私ども都立病院として取り組んでまいります。
 また、多摩地域におきます周産期医療、新生児医療の確保につきましては、小児総合医療センターにおける機能の充実や、あるいは地域の医療機関の状況も踏まえながら、関係局と密接に調整を図りながら検討をしてまいります。

〇清水委員
 私が聞いているのは、空白になる多摩の南多摩、西多摩、八王子の地域をどうするんですかということを、伺ったわけですよ。今の話では納得できません。小さい子どもたちの命にかかわる問題です。さっきから働きかけていくとか、検討するとかといわれていますが、東京都自身がどう責任を果たすのかが問われているのです。都立病院を廃止しておいて、ほかの医療機関にお願いしますという話は成り立たないと思います。
 私は、一九九七年四月の東京都母子医療体制検討委員会最終報告というのを、思い起こしていただきたいと思います。現場の医師を交えて総合的に検討した報告書です。そこにどう書いてありますか。周産期医療の需要の伸びに対してNICUが不足しており、早急に整備を行う必要がある、NICUは出生数千人に対して二床必要であるというふうに明確にいっていますよね。国もそういうふうにいっていますよね。東京全体で五十床ふやす必要があるけれども、可能な限り多摩地域を優先した整備を図っていく必要があると書いてあります。
 さらに、多摩地域は面積が広く、東西に距離があるなど搬送にも時間がかかる上、出生率は区内に比べ高い状況にある、このため周産期医療センターを多摩地域に重点的に整備していくことが急務である、特に公立や公的な医療機関の役割が重要だとして、多摩地域の新生児医療の中心的役割を担っている都立八王子小児病院は一層の充実強化を図ること、東京都が設置主体である保健医療公社の多摩南部地域病院にNICUを設置して、周産期医療センターとして整備する必要があるというふうに提言していたではありませんか。
 石原知事が就任するつい二年前のことです。それから八年たつのに、多摩地域の周産期医療センターは一カ所もふえていません。多摩南部地域病院もいまだにNICUが設置されていません。八王子小児病院は充実強化どころか、廃止されようとしています。全然逆方向じゃありませんか、ここに書いてあることと。
 それでお伺いいたしますが、多摩地域に周産期医療センターがこの八年間一カ所もふえない理由は何ですか、お伺いいたします。

〇幸田福祉保健局長
 区部に比べまして、周産期医療に対応できる総合的な医療基盤を整備している医療機関が少ないこと。小児科医の中でも、特に新生児医療を専門とする医師、看護要員などの確保が難しいことなどが理由であると考えております。

〇清水委員
 今、説明されたことはそのとおりですよ。ですから私は、対応可能な医療基盤が少ないということに対して、民間などでは専門的な人材の確保も難しい、だから、今いわれたそういう理由だからこそ、都立病院の役割が重要だといっているんです。
 周産期医療は、医師も看護師も大変な専門性と熟練、特殊な医療技術が必要とされます。二十四時間三百六十五日、絶対に見落としが許されない、緊張が強いられ、医療現場の中でも特別に過酷な条件に置かれています。それに対して診療報酬は低過ぎるため、不採算医療ですから、お願いしても民間医療機関では簡単には手が出せないのが事実なんです、実態なんです。
 NICUは出生数千人に二床必要だと先ほどもありましたけれども、多摩地域の出生数は年間約三万四千人ですよね。ですから、本来、NICUは今の倍以上の六十八床、六十八床が必要なんです。これを本気で実現しようとするなら、府中の小児総合医療センターの整備とともに、都立八王子、清瀬小児病院をしっかり存続させることがどうしても必要であるということを申し上げておきたいと思います。


都・・ミニバスを含めたバス交通は地域に密着した重要な交通手段

 この問題に関連して、ドクターカーについて伺います。
 八王子小児病院に配置されているドクターカーは、年間出動五百回を超えています。ドクターカーは八王子地域にどうしても必要ですが、どう考えておられるのか、お伺いいたします。

〇幸田福祉保健局長
 新生児ドクターカーの配備の必要性につきましては、これまでの運行実績、一日平均一・二三件でございますが、実績や周産期母子医療センターの整備状況を踏まえまして、適切に対処してまいります。

〇清水委員
 次に、ミニバスやコミュニティバスなどの地域に密着した公共交通の整備についてです。
 今、都内では、ミニバスや都の補助制度を使ったコミュニティバスがふえ、高齢者のみならず、買い物客、さらには通勤サラリーマンなどに喜ばれています。それは、これらのバスは小型であることから、小回りがきき、住宅街や狭い道路なども走れることや、役所や商店街などを結ぶなど、住民のニーズにこたえた運行が可能となるからです。とりわけ多摩地域は、鉄道などの軌道交通が発達していないため、バスへの依存度が高く、未開設の地域からは強い要望となっています。
 都は、こうした地域交通の役割をどう考えておられますか。ミニバスを含めたバス交通は、都市政策的に意義あるものと考えますが、どうでしょうか。

〇梶山都市整備局長
 バス交通は、主な公共交通手段である鉄道やモノレールなどを補完する役割を担うとともに、地域内交通手段として重要な役割を果たしております。
 また、いわゆるミニバスについても、区市町村の実情に応じ、地域に密着した重要な交通手段として運行されているものと認識しております。

〇清水委員
 重要な答弁だと受けとめます。
 今、多摩・島しょ地域では、二十以上の自治体がコミュニティバスを走らせています。利用している市民からは、病院に行くのにタクシーを使わなくなってよかったとか、駅まで百円で気軽に外出できるなど、声が上げられています。
 ところが、このコミュニティバスへの補助が三年間の限定です。これでは、せっかく根づいたコミュニティバスが運営困難になったり、廃止されてしまう危険があります。
 市長会もコミュニティバスの運営費補助の補助期間の延長を要望しているのですから、ぜひとも実現していただきたいと思いますが、所見をお伺いいたします。

〇幸田福祉保健局長
 福祉改革推進事業は、区市町村が地域のニーズを生かした特色ある事業を主体的に展開できるよう、区市町村の努力や創意工夫を支援する補助制度でございます。
 コミュニティバス事業につきましてはこのうちの一つでございまして、導入時の調査検討経費、車両購入費、事業立ち上げ時の支援による経営安定化を目的として、運行開始後三年間の運行経費を補助対象としているものであります。
 これらのことから、補助期間の延長については考えておりません。

〇清水委員
 本当に冷たい答弁です。これでは福祉保健局長の名が泣くのではないですか。
 それでは、一体、コミュニティバスにかかわる二〇〇三年度の多摩・島しょ地域への補助は幾らとなっておりますか。お伺いいたします。

〇幸田福祉保健局長
 コミュニティバスに対します平成十五年度の市町村への補助実績は、十八市町村、総額で一億八千万円となっております。

〇清水委員
 全部の市町村が実施できるように継続的な支援を行うにしても、二億円あれば足ります。
 調べてみましたが、東京都が今年度予算に計上した、常磐新線、地下鉄十三号線、日暮里・舎人線、ゆりかもめなど新たな四路線の建設のための投資額だけで三百八十三億円もあります。全部二十三区でしょう。多摩地域に向かう路線は一本もありません。せめて、この区部につぎ込まれている資金のほんの一部を活用するだけでも、全市町村でのコミュニティバスの継続的支援は可能なのですが、どうしてそれができないのでしょうか。
 都民が困っているというのに、手を差し伸べないのですから−−多摩北部のある市では、ことし二月から、市内を走る西武バス二路線が赤字を理由に廃止されました。このため、二十三の自治会、十の団体など、市内全域から要望書が出されるなど、大きな運動に広がっています。住民は、私たちの足がなくなってしまったなど、コミュニティバスの運行を求めているのです。しかし、市は財政が厳しく、要望にこたえたくても、こたえられないのですよ。
 これは交通局長に伺いますが、都営バスは、これまでの陸上交通事業調整法が撤廃され、どこでも乗り入れることができるようになりましたが、そのとき、公共交通網が立ちおくれる多摩地域で、ミニバスやコミュニティバスなど、新たなニーズにこたえた積極的な取り組みが欠かせません。
 交通局長に伺いますが、複数の自治体をまたぐ場合も含め、都営交通として、地域交通に貢献する立場から、ミニバス、コミュニティバスなどを積極的に位置づけることが重要と考えますが、どうでしょうか。

〇松尾交通局長
 コミュニティバスは、その路線特性から、一般的に地域性は高いが、その収益性は低く、バス事業者が独自に運行することは困難である場合が多いと認識しております。
 導入につきましては、基礎的自治体が基本となり、その必要性の有無について検討し、決定するものと考えております。

〇清水委員
 多摩地域に地下鉄をつくれといっているんじゃないんです。そのぐらいの支援をしていただきたいと思います。


都・・多摩地域を中心に歩道の整備を着実に推進

 次に、多摩地域の二〇〇二年度の都道の歩道整備の延長は二キロメートルということでしたが、二〇〇三年度はどうなっていますか。お伺いいたします。

〇岩永建設局長
 平成十五年度におきます多摩地域の歩道の整備延長は六キロメートルでございます。

〇清水委員
 私たちは一貫して歩道整備の強化を求めてきましたが、三倍に引き上がりましたね。しかし、まだまだ不十分です。未整備地域はたくさん残されています。このペースで一〇〇%にするのは百年以上かかりますが、一層の強化が必要ですが、多摩地域の歩道整備について今後どう取り組んでいくのか、お伺いいたします。

〇岩永建設局長
 歩道は、歩行者の安全確保はもとより、植栽などによる良好な都市景観の形成、ライフラインの収容空間の確保など、多種多様な機能を有しております。
 整備に当たりましては、交通量や学校、病院などの配置状況を踏まえ、対象箇所を選定し、計画的に事業を進めております。平成十七年度には、五十三カ所で整備を予定しておりまして、多摩地域では三十八カ所を整備する予定でございます。
 今後とも、地元自治体や関係住民の理解と協力を得まして、多摩地域を中心に歩道の整備を着実に推進してまいります。

〇樺山委員長
 清水ひで子委員の発言は終わりました。(拍手)