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日本共産党東京都議会議員団
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議事録


予算特別委員会 討論 2005年3月28日

池田 梅夫(豊島区選出)


「都市再生」優先、くらし、福祉きりすての来年度予算案を組み替え、都民生活の防衛に全力を

  私は、日本共産党都議団を代表して、第一号議案「平成十七年度東京都一般会計予算」ほか十五議案に反対、日本共産党提案の予算組み替え動議に賛成の立場から討論をおこないます。
 はじめに一般会計予算案についてです。
 雇用不安の増大と地域経済の低迷、さらには小泉政権がすすめる定率減税廃止、年金改悪、介護保険料の引きあげなどによる七兆円の負担増が、都民のくらしと営業を直撃しているもとで、都政に求められるものは、「住民の福祉の増進」という地方自治体本来の立場に立ちかえることであり、都民のくらしと福祉、教育、中小企業支援など、都民生活の防衛に全力あげるということです。
 ところが、石原知事が提案した来年度予算案は、来年度三千三百億円、今年度最終補正予算をあわせると六千億円も都税収入が伸びたにもかかわらず、この切実な都民の願いに応えることなく、「第二次財政再建推進プラン」と「第二次都庁改革アクションプラン」にもとづく切りすてをさらに推しすすめるものとなっています。その影響は、福祉、教育、中小企業、住宅、環境など都民生活のあらゆる分野に及んでいることが、本議会でのわが党の質疑を通じてうきぼりにされました。
 その第一は、福祉施策の大後退です。
 来年度予算案における福祉保健費は、国の「三位一体改革」にもとづく国民健康保険の都負担化にともなう増をのぞけば実質四年連続後退となることがあきらかにされたところですが、これは、石原都政の福祉関係費は過去四年間の八百五十六億円もの削減による都民の「痛み」に、さらなるおいうちをかけるものとなるものです。
 実際のサービスに照らしてみると、シルバーパス、老人医療費助成、老人福祉手当、障害者医療費助成、重度障害者手当など五つの事業だけで三百二十一億円の削減となりました。このため七十歳以上のシルバーパスの利用者はかつての七割台から五割台に激減、六十五歳から六十九歳までの高齢者の受診者が見直し前と比べると二割も減少するなど、受診抑制がひろがっていることは明らかであります。
 その一方、知事が拡充を約束した基盤整備でも、施設整備費が百九十八億円も削られ、特別養護老人ホームや老人保健施設、療養型をあわせた介護三施設の整備状況は全国最下位にとどまり、認知症高齢者グループホームも全国最低ではありませんか。 
 少子化対策の要である子育て支援でも、認可保育所の拡充や子どもの医療費助成の拡充などの切実な都民要望をつめたく拒否するものとなっています。
 これらの事実を直視するならば、石原都政が「歴代知事の中で、最も福祉の割合が高い」などという議論がいかに現実離れしたものであるか明らかです。そもそも、歴代知事の比較をおこなうというのであれば、事業の継続性をただしく位置づけ、その前任者の到達のうえにたって、それぞれの知事がその任期の間にどれだけ福祉予算を拡充したかが問われなければなりません。
 念のため、歴代知事がその任期中にふやした福祉関係費の割合を決算数値をあらためて紹介しておきますが、まず美濃部革新都政では額で十一倍、歳出に占める割合で三・一五%のばしており、鈴木都政が額で二・四倍、率で〇・七%、青島知事が額で一・一倍、率で一・三八%増となっています。これに対して石原知事はこの四年間でマイナスの〇・八八倍、率ではマイナス〇・四三%で、おちこんでいます。
 こうしたもとで、東京の福祉が全国四十七都道府県のなかで、その位置をどんどんさげているのです。これで、どこが、石原都政が福祉を充実したなどと言えるのでしょうか。
 第二に、三十人学級の問題です。
 わが党は、学力不振や不登校、いわゆる小一プロブレム問題などを解消し、ゆきとどいた教育をすすめるうえで、三十人学級が不可欠となっていること、また、三十人学級をはじめとした少人数学級が、学習面に止まらす、生活面でもきわめて高い効果を上げていること、全国では超党派の要求となっていること、未実施県が東京都と香川県の二県だけとなったことを具体的に示し、理をつくしてその実現に踏みだすようもとめましが、知事と都教委が「聞く耳持たぬ」とばかりに、これをかたくなに拒みつづけていることは、きわめて異常なことと言わざるを得ません。
 この際、あらためて申しあげておきますが、わが党が紹介した全国の道府県に対する調査は、委員会でも説明したように、「各県の担当者」が学校からあつめてあった反応であったり、この調査のために実施校に問い合わせしたりしてくれたものであり、「教員に限った」ものという知事の認識はまったくの誤りであります。
 第三に、中小企業対策予算です。
 かつて、予算でも施策の内容でも全国のトップクラスの位置をしめていた東京の中小企業対策は、いまや予算額で大阪府の半分、事業所当たりの予算では全国三十七位に転落していることが、明らかにされました。来年度の中小企業対策予算案は、これまでの商工指導所や業種別支援の廃止にくわえ、工業集積地域活性化事業の打ち切り、さらなる制度融資の後退などが計画されており、予算額は十年連続後退、ピーク時の半分という有様です。
 これは、ものづくりの生きのこり支援のために試験研究機関を拡充している大阪府や、借換融資を改善し、実績をおおきく伸ばしている京都府などとくらべると、その姿勢の違いは明らかです。
 福祉、30人学級、中小企業対策予算のほかにも、都民要望の高い公的住宅、木造個人住宅の耐震補強、公園、障害児学校の改修など緊急で切実な都民要望がなおざりにされていることも、きびしく問われなければなりません。
 来年度予算案のもう一つの問題は、超高層ビルと大型幹線道路中心の「都市再生」など大型公共事業を温存、拡大し、ひきつづき一兆円規模の予算をつぎこもうとしていることです。このため都債の残高は六兆八千五百億円という過去最高水準に達して、都財政と都民施策を大きく圧迫するものとなっているのであります。
 なかでも、締めくくり総括質疑でとりあげた首都高速道路中央環状品川線は、公団の民営化で事業の先行きが見えないからと言う理由だけで、都が直轄事業として建設することを決め、さらには、従来方式の五百億円よりも巨額の千二百五十億円も税金を投入して建設するものであることが判明ました。そもそも、受益者負担の原則で建設されてきた有料道路を都民負担で建設することの是非、目黒川の川底など軟弱地盤によって建設費がふくれあがる危険の検討、さらには人口減少時代をむかえるなかでの三環状道路の是非など、解明が必要な問題、都民的な合意が形成されていない課題が山積みされているのであります。あらためて計画を凍結し、都民参加で再検討すべきことをつよく求めるものです。
 臨海副都心開発でも、石原都政のもとで約二兆円の財政支援がおこなわれ、今後さらに約一兆円を超える財政投入がさけられないことを明らかにし、関連三セクもあわせて根本的に見直すことをもとめましたが、知事は答弁することすら拒みました。これは、今後の都政におおきな禍根をのこすものであり、臨海副都心事業会計予算案に反対するものです。
 また、大手町合同庁舎跡地の再開発では、三菱地所が暴利を得、日本経団連がただでビル建て替えをできる仕組みとなっていることを明らかにしましたが、このような大企業・財界優遇の「都市再生」事業は断じて容認できるものではありません。
 日本共産党が提案した予算組み替え提案は、超高層ビルと大型幹線道路中心の「都市再生」や臨海副都心開発などの不要不急、浪費型の大型公共事業の予算を削減し、一般会計の五%程度を組み替えることによって、若者の雇用対策をはじめ都民のくらしと営業を守ること、シルバーパスの所得に応じた負担軽減、老人医療費助成の現行通りの継続など経済給付的事業の復元、小学六年生までの医療費無料化と所得制限の撤廃など福祉・医療の拡充、小学校一年生からの三十人学級をはじめとする切実な都民要望の実現、直下型地震被害想定や木造個人住宅やマンションさらには公立学校の耐震補強、ヒートアイランド対策など地震に強く環境にやさしい都市づくりなどにふみだすことを求めるものです。各会派のご賛同をお願いするものであります。
 最後に、社会福祉法人東京都社会福祉事業団が運営している東京都社会福祉総合学院の運営及び財産管理にかかわる問題についてですが、この問題については、すでにわが党は二〇〇三年二月に厚生委員会でとりあげ、その問題点を質した経過があります。今回、百条委員会の設置にともない、第一に問われるべきことは、本来、東京都が直接、運営にあたるべき社会福祉の事業について、「福祉改革」の名のもとに、民間にゆだねる道を拡大してきたことの是非にあります。また、当予算特別委員会での浜渦副知事の外部包括監査にかかわる発言は、都民に事実を誤認させるおそれのあるものであり、その意図をふくめきびしく質されなければならないことを指摘して、討論を終わります。
以上