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日本共産党東京都議会議員団
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議事録


二〇〇五年第二回定例会代表質問・全文 2005年6月2日

吉田 信夫(杉並区選出)

5つの緊急要望の提案。浪費と無 駄使い、豪華海外視察の抜本見直しを。

 日本共産党都議団を代表して質問します。
 今定例会は、四名の特別職の辞職が伝えられるという都政史上例のない事態のもとで開かれています。ところが、知事は昨日の所信表明で、このことに一言も触れなかったことはきわめて重大です。現在の都政をめぐる異常事態について、問題の所在と自らの責任を明らかにすることは都議会と都民にたいする責務ではありませんか。この異常な事態は、知事が週二、三日しか登庁せず、濱渦副知事など側近を重用し、都民や職員の声に耳を傾けずに、もっぱら、トップダウンで独断的な運営をするという政治手法の矛盾と破たんを示すものです。私はこうした事態をうみだし、放置してきた石原知事の責任がきびしく問われる問題であることをまず指摘するものです。
 わたしは、東京都政が、今こそ都民の声に真摯に耳を傾け、自治体本来の原点に立ち返り、都民の暮らしと福祉を守ることに全力をつくすことを求めるものです。
 以下、都民にとって緊急・切実ないくつかの要求にしぼって質問するものです。
 第一は、高齢者の福祉と介護の拡充です。
 石原都政が進めてきた、シルバーパスの全面有料化、老人福祉手当の廃止、マル福・老人医療費助成の段階的廃止など福祉の切りすては、高齢者のくらしと介護に深刻な影響を与えています。それにくわえ、いま小泉内閣による総額七兆円もの負担増は、高齢者に新たな痛みと負担をもたらしつつあります。
 老年者控除の廃止や高齢者非課税限度額の廃止によって七四万人の高齢者が住民税増税となり、二〇万人が住民税非課税から課税となります。さらに、介護保険の利用者負担の引き上げは、月々の年金収入が七万円の特養入所者からも八万五千円の負担を求めるもので、「これでは生きていけない」。こういう悲痛な声が、いまほど高まっているときはありません。
 それだけに、いま東京都に求められていることは、国の負担増からの防波堤となって都民・高齢者の暮らしと福祉を守るために全力をつくすことではありませんか。
 そのひとつが介護保険法の改悪で、今後さらに負担が増えようとしているもとでの、介護手当て創設の問題です。
 日経新聞の調査でも、四人に一人が介護費用をまかなうには収入が足りないと回答しています。とくに介護度の重い人は、おむつ代など、介護保険の対象外の物やサービスへの出費がかさみ、介護保険を十分に利用できない実態が明らかになっています。
 東京都は、介護保険制度が始まったから必要ないといって老人福祉手当を廃止しました。しかし、このような実態があるからこそ、全国で介護手当を実施している自治体は五県、二五〇の市町村をこえているのです。さいたま市は、二〇〇一年に三市が合併して政令市になりましたが、三市が実施していた介護手当を引き継いで、日本共産党だけでなく自民・公明・民主など全会派一致で「さいたま市重度要介護高齢者手当支給条例」を創設しています。
 都内でも、五区市が独自の介護手当をつくっています。江戸川区の熟年者激励手当について自民党は代表質問で、介護保険創設後も存続するよう提案しています。中央区は二〇〇三年におとしより介護応援手当を新設していますが、自民党も公明党も積極的に賛成しています。
 介護保険の改悪によって利用者の負担が重くなる中で、都として、介護度の重い高齢者に対する、せめて月一万円の新しい介護手当をつくることは切実な課題だと思いますが、答弁を求めます。
 また、老人医療費助成・マル福は、今年七月から六八歳と六九歳の人だけが対象となり、二〇〇七年六月末で廃止されようとしています。
 十四ある政令市でも十市が老人医療費助成を継続しています。高齢者の医療費の負担軽減はなくてはならないものです。これ以上の縮小・廃止は中止し、六七歳から六九歳までの現行制度を維持することを求めるものです。
 第二の緊急要望は、乳幼児医療費助成の小中学生への拡大と所得制限撤廃です。
 小中学生のアトピーやアレルギーが大幅に増えており、厚生労働省がおこなった調査では、乳幼児にくらべ小学生の症状が重いとの結果が報告されています。インフルエンザやけが、虫歯の治療など、義務教育の中学卒業まで、すべての子どもの医療費を無料化してほしいという都民の願いは、ますます切実なものとなっています。
 二十三区はすでに小学校入学までは全区が所得制限を撤廃し、さらに小学生や中学生まで対象をひろげたのが、十区におよびます。これにたいし多摩は、全市町村が対象年齢は都制度とおなじ小学校入学までで、所得制限を撤廃しているのは三市町にとどまっており、マスコミも区部と多摩の財政力の違いにより、乳幼児医療費助成に格差が生じていると指摘しています。
 都はこのような、乳幼児医療費助成の拡充を求める都民の切実な声のひろがり、そして都議会の変化をどううけとめているのですか。
 小学生、中学生への医療費助成の拡大と、所得制限撤廃にふみだすことを求めるものです。お答え下さい。
 第三の緊急要望は小中学校での三十人学級の実施です。
 この問題では、第一回定例会以降、おおきな変化がありました。それは、文部科学省が少人数学級の意義を認め、中央教育審議会で少人数学級の実施について検討をはじめたことです。
 横山教育長も委員として出席して開かれた五月十日の中央教育審議会義務教育特別部会で、文部科学省が示した調査によれば、都教育庁が三十人学級実施を拒否する根拠としてきた「少人数授業、習熟度別指導」を実施してきた学校からの回答として、「学級編成人数を引きさげた方が効果的である」とした学校が、小学校で八一・八%、中学校で八六%にまでおよんでいることが明らかにされました。
 そしてこの部会では、「少人数学級は『子ども同士のかかわりが多くなった』『教員に話しかける機会が多くなった』と言う点は非常に重要」、「現在の教育課程に変わったときに学級編成を検討すべきだった」「小学生一年の段階で数百に及ぶ学習上のしつけの指導を行っていることを考えると小学校低学年がとりわけ重要」など少人数学級を導入すべきとする意見が圧倒的に多数となり、来年度から少人数学級にふみだすことをもとめるまとめがおこなわれたのであります。中山文部科学大臣も「三十人学級実現の方向で努力していかなければならない」と発言しています。
 都は、国のこのような変化にどう対応するつもりですか、答弁をもとめます。
 国の流れが、来年度から少人数学級実施へと動きだしている以上、都としても、来年度予算編成をふくめ、ただちに少人数学級実施の準備をはじめるよう、知事の決断をもとめるものですが、明確にお答えください。
 これらにシルバーパスの負担緩和をふくむ五つの緊急要望を実施するのに必要な予算は、総額三一〇億円であり、東京都の一般会計予算の〇・五%にすぎません。知事がその気があればすぐに実行できるものであり、その実現をかさねてもとめておくものです。
 わが党はいっかんして大型開発などのムダ使いをただすようもとめてきました。
 石原知事はこの六年で、福祉や教育、中小企業などの都民のための予算を大幅に削減する一方で、「都市再生」をはじめとする投資経費には、毎年、一兆円規模で投入しています。その中には、破たんが明らかな臨海副都心開発や今回、公正取引委員会が東京高等検察庁に告発した橋梁談合などによる高価格の工事、首都高品川線への支出など都が本来負担しなくても良い支出などがあり、ここにメスを入れることが不可欠の課題となっています。
 私は今日は、知事が、一〇〇〇億円も投資した新銀行の問題をとりあげます。新銀行はこの四月に開業したものの、民間の資本金があつまらず、開業時に予定していた九店舗のうちやっと三店舗が開店したに過ぎません。しかも、昨年、都民と都議会に説明したマスタープランとは違う事業計画が存在していることが、わが党が入手した「事業計画書」によって明らかになりました。それは、新銀行が昨年十一月に金融庁に正式に提出した事業計画書で、その内容は、マスタープランでは三年後には五四億円の経常利益をあげているはずだったものが、わずか四億円しか計上できないものとなっています。しかも、開業直後からつまづいているため、それすら達成が危ぶまれているのです。また、「事業計画書」では大企業向けシンジケートとか不動産プロジェクトなどが打ちだされ、その一方で多重債務などハイリスクの中小企業には貸し付けをおこなわない方針であり、困っている中小企業には役立たないことがいっそう鮮明にされています。
 わが党は、融資を申し込んだ中小業者の話を伺いましたが、白色申告や課税証明がない小・零細業者は、それだけの理由で断わられています。また、青色申告で融資が受けられると言われた業者でも、一〇〇〇万円の申し込みに対して半分の五〇〇万円に値切られ、そのうえ普通の市中銀行の金利は五%程度なのに「金利は九%いただきます」と、まるでマチ金のような高金利を要求されたと怒りの声を上げています。
 これでは、中小企業への貸し渋り銀行ではありませんか。
 新銀行は中小企業に役立たないばかりか、このままでは、破たんした臨海ビル三セクと同じ運命をたどる危険がつよまっています。知事、これ以上、傷口をひろげないために、事業を凍結し、資金を回収し、福祉や教育、中小企業のために使うべきではありませんか。答弁をもとめます。
 最後に、いま都議会の姿勢が都民から鋭く問われている海外視察の問題についてです。自粛されてきた都議会の海外視察は今期に入り、各会派ごとの視察として復活されこの四年間に九回の海外視察が行われました。
 都議会の海外視察を行う場合には、税金を使う以上、どうしても海外にいって調べなければならないものに限るべきであり、可能な限り経費節約の努力がされなければなりません。しかし、この四年間に一回一人平均百四十八万円、最高では一人二百十八万円もの税金がつかわれて九回の海外視察が行われましたが、その実態は全体として観光的要素がつよく、視察費用は、添乗員、通訳、専用車などいずれも常識をこえた高額なものとなっており、節約どころか浪費といわざるをえないものです。
 わが党がこうした事実を明らかにしたことにたいし、自民、公明、民主からは「豪華」はあたらないとか、議会外にもちだしたことが不当であるかのような「反論」がおこなわれています。しかし、事実を知った多くの都民からは「一回一人の費用は私の年金額をこえるもの」「行きたければ自分で行くべき。税金は使わないで」など怒りの声が広がっています。一人平均百四十八万円、最高で二百十八万円もの税金をつかった海外視察を「豪華」と批判するのは都民の生活実感からみれば当然のことではないでしょうか。
 莫大な税金を使って行われている海外視察について、わが党の反対を押しきって実施したことについて、都民に事実をしらせ都民の判断をあおぐことは都議会議員の責務でもあります。多数で決めたことだからと言って、批判してはならないというのは、最悪の密室政治の論理と言わざるをえません。わが党は九二年まで参加していましたが、内容と費用に問題があったからこそ、九三年以降、参加をとりやめ、抜本的な見直しを提案しつづけているのです。
 また、わが党が超党派による友好都市交流に参加していることをもって、「矛盾」しているかの主張がありますが、友好都市友流は、都と友好関係を結んでいる都市の議会との超党派による友好親善と相互理解をふかめ、意見交換をおこなうことなどを目的とするものです。会派ごとで行う海外視察とはまったく性格の異なるものです。しかも、わが党は友好都市交流についても経費節約の立場から改善提案を行い、北京、ソウル訪問の一本化や公的行事以外の日程の自己負担が実現され、費用の大幅削減が行われました。わが党はさらに吟味をかさね、費用の節減と内容の改善をはかるために力をつくすものです。
 なお、先ほど、公明党の発言のなかで、ニューサウスウエルズ州との友好都市交流にかかわって、わが党議員が、「カジノ視察」にくわわったとする発言がありました。事実は、この「カジノ視察」なるものは、都議会として確認された公式日程にも、当日配られた日程表にも入ってなかったものです。ところが、当日の日程の大半が終わりつつあった移動中のバスのなかで、公式の日程としてもちだされました。この問題についていえば、ルールを破って、抜き打ち的にカジノ視察を公式日程に組みこんだ側の責任こそ、問われるべきことをつよく指摘しておくものです。
 税金の使われ方をチェックすべき都議会自身が都民の血税の浪費をつづけていいかが問われています。あらためて、豪華海外視察は中止されることを心からよびかけ、再質問を留保し、質問を終わります。

【再質問】
 教育長は、国は少人数学級の導入を前提として検討を行っているものではない、と言いました。しかし国が、少人数学級を導入する方向で検討していることは冷厳な事実です。
 中央教育審議会の専門部会では、後ろ向きの態度をとったのは、横山教育長くらいであり、少人数学級を導入すべきとする意見が圧倒的多数となったことは、横山教育長が一番よく知っていることではありませんか。
 知事、国が少人数学級を決めても、まだ40人学級だと言い張るのですか。だとしたら、許すことのできない守旧派と言わなければなりません。そうでないと言うなら、国も、全国の自治体も、少人数学級導入の方向で動いていることをいさぎよく認め、今こそ前向きに検討すべきであります。知事の再答弁を求めます。
 新銀行の答弁は、深刻な実態をまったく認識していないものです。
私は都議会への説明はごまかしだった、困っている中小企業には役立たない、「臨海」3セクと同じ破たんの運命をたどるということを、知事に聞いている。知事の責任ある答弁をもとめて、再質問を終わります。