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質問・条例提案

2026.03.27

2026年第1回定例会を終えて(談話)


2026年第1回定例会を終えて(談話)

2026年3月27日
日本共産党東京都議会議員団
幹事長 里吉 ゆみ

1 「都民の暮らしの支援」ではなく「国際競争力強化」に軸足をおく予算案に反対

 都が毎年実施している「都民生活に関する世論調査」では、暮らし向きが「苦しくなった」と答えた方が4年前から急増し、50年ぶりに5割を超えました。労働者の実質賃金は4年連続マイナスで、都内の中小企業は資材高騰や人手不足などの影響で、倒産が過去最悪ペースです。
 新年度一般会計の予算規模は、9兆6千億円を超えました。都税収入は、大企業や富裕層への富の集中にともない、この2年間で1兆円も増えています。税収増も背景に、都民の運動と日本共産党都議団の論戦と提案により、予算案に、①水道基本料金4カ月無償化、②公立小中学校のエアコンの更新や断熱対策補助、都立高校の校舎やトイレ改修をはじめとした環境改善、③多摩モノレールへのシルバーパスの適用準備などが盛り込まれたことは重要です。
 ところが知事が提出した予算案は、「所得環境が改善」したという、都民生活の実態とかけ離れた認識で編成され、「都民の暮らしの支援」ではなく「国際競争力の強化」に軸足をおくものとなっていることが、わが党の論戦で明らかになりました。予算案にはわが党をふくめ4会派が反対、都民ファースト、自民、立憲会派、公明、国民民主、参政など8会派が賛成しました。

2 日本共産党都議団は「都民の暮らしの支援」に軸足をおき、「生活できる東京」の実現に全力

① 予算案の詳細な分析をもとに、150項目の都民要求を実現する「予算の組み替え案」を提出
 わが党は、予算案の詳細な分析にもとづく「組み替え案」を提出し、都庁舎のプロジェクションマッピング、築地市場跡地の再開発、外環道や特定整備路線建設をやめて、予算の6.7%を見直すだけで150項目の都民要求が実現できることを具体的に示しました。31年連続で提案しており、これができるのは日本共産党のほかありません。

② 障害者福祉手当を増額・拡充する条例案を提出
 収入が低く物価高騰で苦しむ障害者の福祉手当は、月額15,500円のまま据え置かれています。かつてはほぼ毎年500円ずつ上げられていましたが、この30年間、1円も上がっていません。障害者の方から、「物価が上がろうが、消費税が上がろうが、私たちのことは忘れられている」という切実な声が出されていることをわが党は示し、増額・拡充を求めました。
さらにわが党は、この障害者福祉手当を増額し、精神障害者や難病患者にも対象を広げる条例案を提出しましたが、わが党とグリーンな東京を除く会派の反対で否決されました。
 ひとり親家庭の福祉手当も据え置かれ、高すぎる国保料や後期高齢者医療保険料を引き下げる財政支援もありません。一方、都立瑞江葬儀所の火葬料は、この30年間で37倍に、大幅値上げされています。福祉手当など都民への給付は冷たく抑え込み、都民の負担は容赦なく値上げする都政の転換が必要です。

③ 中小企業の賃上げ応援事業の実施、地域経済を支える中小企業支援を提案
 中小企業の賃上げ支援も見るべき前進がありません。岩手県や豊島区のような中小企業の賃上げ応援主役の事業を実施することを求めました。また、財界の要請に応えるスタートアップ企業を支援する予算は、毎年のように数百億円単位で増やされ、新年度は707億円におよびます。一方、商店街振興予算は10年連続51億円のままです。小売、飲食、町工場など地域経済を支える中小企業への支援の強化こそ東京都の役割です。
 昨年12月に全面施行された「第三次・担い手3法」は、人手不足が深刻な建設業界の働き方を正し、賃上げなどの処遇改善を図るものです。都は、国の動向を見守るという答弁を繰り返しましたが、国待ちにせず、都として賃上げや労働環境の改善につながる取り組みを実施し、公契約条例の制定に踏み出すべきです。

④ 知事肝入りのアフォーダブル住宅は都民の願いに応えられない―都営住宅増設、家賃助成こそ
 家賃・住宅費が高騰し「家賃高すぎ、なんとかしろデモ」が都内で行われる深刻な問題になっているのに、都営住宅はまったく増やされません。わが党は、東京都が都営住宅の必要数を意図的に少なく見積もり、この27年間、新規建設を停止してきた問題点を明らかにしました。都は家賃助成にも背を向けています。
 一方、アフォーダブル住宅は、都が100億円もファンドに出資するのに、供給されるのはわずか350戸です。また、わが党の調査では高い利回りが想定されていますが、都は「秘密保持条項」をタテに想定利回りの公表を拒みました。手ごろな家賃と言いながら、15万円から20万円と高額な想定家賃も公表しませんでした。100億円もの税金を使うのに投資家の利益確保が優先され、ファンドの契約内容はブラックボックスです。わが党の質疑で、アフォーダブル住宅は都民の思いに応えるものとはならないことが明らかになりました。
わが党は、家賃・住宅費の高騰を招いている富裕層のための再開発や投機目的の住宅取引を規制するとともに、都営住宅を増設すること、都内で19区市が実施している家賃助成に都として踏み出すことを求めました。

⑤ 都営交通の「子ども運賃」を18歳まで広げる条例案も提出
 日本共産党都議団は、子どもの権利条約や都のこども基本条例が、すべての子どもの教育を受ける権利を保障し、健やかに育つ環境を整備することをうたい、18歳未満を「こども」としていることもふまえて、都営交通(都バス、都営地下鉄、都電荒川線、日暮里・舎人ライナー)の「子ども運賃」の対象を18歳まで広げる条例改正案も提出しました。これも、わが党とグリーンな東京を除く会派の反対で否決されましたが、引き続き実現を目指して取り組みます。

3 「国際競争力強化」に軸足をおき、グローバル企業や富裕層を優遇する都政を告発

① 巨大噴水も、客船ターミナルも、IR・カジノに向けて動いている
 お台場には、整備費26億円、年間維持費2億円の巨大噴水が作られました。それに隣接する青海地区の客船ターミナルは、利用が週1.5回程度なのに、都は650億円も投じて拡張する計画です。初年度の事業費が予算に計上されました。わが党の質疑で、客船ターミナルの担当課長はIR・カジノ担当を兼務していることがわかりました。また小池知事は国会議員時代、IR・カジノ推進議員連盟に入っていたことを認めました。
 青海地区は、都がカジノを誘致する場合の「最適地」とされています。質疑のなかで、ギャンブル依存症の相談は、都の相談機関でも増えていることが明らかになりました。カジノをつくれば、ますます深刻になります。
 都はIR・カジノについて、ギャンブル等依存症などの懸念にふれながらも、経済成長や国際競争力を高めるために期待されるとして、調査予算を新年度も計上しています。時として命が奪われるギャンブル依存症患者を増やすことを、自治体がやってよいはずがありません。経済効果などと天秤にかけられるものではありません。巨大噴水、客船ターミナル拡張、そしてIR・カジノ調査は中止することを強く求めました。

② 都内各地で住民との紛争が起きているデータセンターの立地規制などを提案
 予算には、大量のCO2を排出し、都内各地で住民との紛争が起きているデータセンターの整備を促進する事業が盛り込まれています。わが党の質疑で、都が進めようとしている「ガイドライン」は、データセンターを規制するどころか、「整備を後押しするもの」であることが明確になりました。これでは2030年カーボンハーフの目標達成など不可能です。データセンターを環境アセスの対象とし、立地規制などを進めること、省エネ・再エネをさらに強化することを求めました。

③ 小池知事が進める婚活支援は重大な人権侵害―ジェンダー平等や包括的性教育こそ推進すべき
 知事は、「人口は国力」「人口増加にはまずは婚姻件数の増加だ」と発言し、婚活支援を進めています。望む人を後押しするだけと言いながら、結婚・出産こそ幸せであるというマインドチェンジをしていくと述べ、キャンペーンを展開し、ムーブメントを起こしたいとしています。このように、行政が婚姻と出産を結びつけて推奨することは、ひとつの生き方を押し付けるものであり、重大な人権侵害です。
同性パートナーとともに生きることや、未婚や子どもを持たない選択を含め、すべての人の尊厳が守られるジェンダー平等社会の実現や包括的性教育こそ推進すべきです。

④ 財界の要請に応える「グローバル人材育成」が、子どもたちの教育をゆがめている
 教育では、財界の要請に応える「グローバル人材育成」の予算が129億円も計上されています。その約4割を英語スピーキングテストが占めています。トラブルが相次ぎ、中止を求める都民の声が広がる英語スピーキングテストは廃止し、教員を増やし、日常の学習こそ充実させるべきです
 一方、夜間定時制高校は6校が新入生の募集停止となりました。年代も背景も様々な生徒たちの「かけがえのない居場所」であり、勉学とともに人と人とのふれあいによる成長を支える、夜間定時制でしか得られない学びを保障すべきです。また高校無償化に外国人差別を持ち込まないこと、朝鮮学校への補助金の再開を求めました。

⑤ 小池知事による23区の家庭ごみ有料化を誘導する発言は許されない
小池知事が23区の家庭ごみ有料化を誘導する発言をしたことは許されません。わが党は、ごみ有料化に反対です。ごみ問題は環境問題と位置づけ、プラスチック製造の規制や、最終処分場が受け入れているごみの約8割を占める土砂系処分量を減らすために、再開発のあり方を見直し、スクラップ&ビルドのまちづくりはやめるべきです。

4 税収増も背景に、都民の運動、日本共産党都議団の提案と論戦で切り拓いた多くの成果

 冒頭の1の柱で紹介した①~③の事業のほかにも、都民の願いに応える多くの成果があります。

<教育費の負担軽減> 私立中学校の授業料補助の2万円増額、私立小中学校の給食費負担軽減、都立高校の教材等の負担軽減につながる調査の予算が計上されました。わが党は、世界の中で日本にしかない高額な入学金制度の廃止、さらに入学しない大学に入学金を支払う「二重払い」の是正を求めてきました。今定例会で都が、都立大で二重払い解消の具体的な検討を表明したことは重要です。

<地域公共交通の総合対策> 日本共産党都議団は昨年1月、「地域公共交通の危機打開・充実への提言」を発表しました。それから1年余がたち、新年度予算には民間バス運転士の定着・離職防止にむけた住宅手当への支援、女性・若者・就職氷河期世代をバス運転手として新たに採用したバス事業者への奨励金、都内自動車教習所と連携して大型二種免許を無料で取得できる免許取得訓練事業、都立高校の生徒に対する特別講座などの新規事業をふくむ地域公共交通支援の総合的対策が、初めて予算化されました。コミュニティバスなど区市町村支援の補助限度額も引き上げられます。また、わが党は学生むけ交通パスの実施を求めてきましたが、学生等の通学実態調査が予算化されたことは、今後につながるものです。鉄道バリアフリーでは、ホームドア整備緊急対策の予算が拡充され12倍に増えました。

<障害者への支援> 新年度から始まる区市町村障害者の居場所づくり促進事業について知事が、保護者の就労継続支援だけでなく、当事者の社会参加も含めて答弁したことは重要です。また、区市町村が判断をすれば、実施事業所や利用者など実態にあった運用が可能であることがわかりました。18歳を過ぎた障害者が大人として尊重され、豊かな余暇活動が保障されるように、補助率の引き上げもふくめて検討することを求めました。盲ろう者通訳派遣事業の予算は1.3倍になりました。

<子どもへの支援> 子ども食堂等居場所支援事業、中高生の地域における居場所づくりなど、子どもたちが地域で安心してすごせる居場所をつくるための支援が拡充されることは重要です。また、若者ケアラーの調査費が新年度予算に計上されました。

<高齢者への支援> 医療的ケアが必要な要介護者の特別養護老人ホームへの受け入れ促進事業や、単身高齢者の総合相談支援事業が充実して単独事業になりました。

<防災対策> 避難所の改善など防災対策を後押しする区市町村への補助制度に、災害時の避難所の空調設備、家具転倒防止器具が追加されました。マンション耐震改修助成の補助率が拡充され、住宅耐震化助成の対象に低コスト工法が加わりました。

<火葬料> 火葬料高騰への批判が高まるなか、都立瑞江火葬所の改築後も、火葬料は据えおかれました。火葬料の収入は年間2億円です。すぐにでも無料にできます。都内火葬場の適切な運営や火葬能力の確保を図るための検討委員会が設置されることも重要です。わが党が繰り返し求めてきたものです。

<気候危機対策> 断熱窓などの補助率が1/3から1/2へ拡充され、賃貸住宅の省エネ改修の対象規模が今年度の3万戸から新年度5万戸へ拡大されました。住宅用太陽光初期費用ゼロ促進事業、折り曲げることができる太陽光パネル「Airソーラー」の普及拡大、浮体式洋上風力などが予算増となりました。

<ツキノワグマ対策> 「TOKYOくまっぷ」の他県との連携や、草刈り、やぶ払いなど区市町村と連携した防除対策が拡充されました。第二種特定鳥獣管理計画の策定、専門人材の育成などを求めます。

5 国連憲章・国際法を踏みにじる戦争を止め、平和を守るために、声をあげ、行動し、共同を広げよう

 平和の深刻な危機が進むなか、知事は「安全保障は国の専管事項」と繰り返しました。しかし日本国憲法前文は、「日本国民は…政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意」すると述べています。「政府の行為によって」とあるのですから、政府に任せておいてよいわけがありません。また東京都民平和アピールでは、「私たちは…平和を脅かす問題に、毅然として立ち向か」うこと決意すると表明しています。
 知事はもとより、すべての国民、都民に、こうした決意にもとづく行動が求められています。都内すべての区市町村が参加する平和首長会議が、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃に対する共同アピールを発表したのも、その努力の具体化です。
 日本共産党都議団は、国連憲章や国際法を踏みにじる戦争を止め、平和を守るために声をあげ、行動し、共同を広げることを、知事や全会派の都議会議員、そして都民のみなさんに呼びかけます。

 以 上