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質問・条例提案

2021.03.26

本会議 星見てい子都議(目黒区選出)の討論

2021年3月26日の本会議で、星見てい子都議(目黒区選出)が討論を行いました。

動画(都議会ホームページです。令和3年第1回定例会 >3月26日(金曜日)本会議(議案の議決など)をご覧ください)

★2021年都議会第1回定例会 討論全文(原稿)です。


 日本共産党都議団を代表して、第1号議案一般会計予算ほか32議案に反対、その他の知事提出議案および議員提出の5議案に賛成の立場から、討論を行います。

 新型コロナを抑え込み、都民の命とくらしを守ることが、今定例会の最大の焦点でした。
 しかし、緊急事態宣言は解除されましたが、新規感染者は増加傾向にあり、第4波の危機も指摘されています。わが党は、感染拡大を抑え込めなかった原因と責任を問いましたが、知事は、自らの責任を認めませんでした。
 3月前半からの下げ止まりと今日の新規感染者の増加は、これまでの小池知事と菅政権による対策の行き詰まりを示すものです。これまでの延長線上では、感染を抑え込むことはできません。 

 わが党は一貫して、大規模検査、医療機関への減収補てん、事業者への十分な補償が必要だと強調し、知事に求めてきました。今定例会でも、感染多発地域での集中したモニタリング検査-「攻め」の検査と、重症化リスクの高い施設等で定期的に行うスクリーニング検査-「守り」の検査による、戦略的検査の推進を提案しました。知事が、3月18日にようやく戦略的検査の方針を示したことは重要な前進です。
 しかし、その中身はきわめて不十分です。懸念されている、変異株による第4波を防げるものになっていません。現状では、一週間平均で一日あたり7千件足らずのPCR検査を、都が持っている一日6万8千件の検査能力を生かして拡大し、変異株についても迅速に検査数を引き上げるべきです。

 新年度予算案にも、コロナ対策で見るべきものは、ほとんどありません。そればかりか、コロナ患者を積極的に受け入れ、日夜奮闘している都立病院・公社病院を大後退させる独立行政法人化の準備予算が、今年度の6倍、39億円も計上されています。独法化された病院では、自治体からの財政支援が削減され、収益を増やすための儲かる医療の重視や不採算医療の後退、患者負担増につながっています。
 また、知事は医療人材が柔軟に確保できることを独法化の理由にしてきましたが、都立病院は100床ものコロナ専用病院を新設したのに、新年度予算では看護職員を4人減らそうとしています。変えるべきは病院の経営形態ではなく、医療人材を増やそうとしない知事の姿勢です。都立病院・公社病院の独法化は中止し、拡充することを改めて強く求めます。 

 知事は、コロナ感染が増加傾向になっているにもかかわらず、国に対し、緊急事態宣言解除について何も言わず、真っ先にやったことは、時間短縮営業に応じることができない事業者への特措法にもとづく命令でした。営業時間短縮に協力できるような補償もないまま、ただ罰則を科す方向へ全国に先駆けて進めたのは大問題です。感染拡大防止にも逆効果です。のべ230人もの職員を巡回に参加させ、警視庁や消防庁まで一緒になって見回りをするというやり方は不適切であり、やめるべきです。そして、感染防止協力金は、日割りで行えるよう直ちに改善し、事業規模に応じた補償を行うべきです。

 東京2020大会について、5者協議により、海外客の受け入れを断念することが発表されましたが、国内の世論調査は、ひきつづき中止・再延期が7割を超えています。都は、新型コロナの感染収束のために、持てる力を集中することが必要です。
 開催都市として、この夏の五輪は中止を決断し、直ちに関係機関と、協議するよう重ねて強く求めます。

 新年度予算案には、東京外かく環状道路や、まちの分断・立ち退きなど住民の反対がつよい特定整備路線などの大型幹線道路建設に900億円もの巨額が計上されています。陥没事故を起こした外環道工事は、ネクスコ東日本によるずさんな調査や施工、情報隠し、集団交渉にかたくに応じない姿勢など、事業認可条件を満たしていません。都は認可延長を承認すべきではありません。外環道工事は中止すべきです。また環境問題でも、CO2削減に逆行する、巨大ビルを次々と増やす都市開発のあり方を見直すべきです。

 このほか、「稼ぐ東京」、「国際競争力」のための、カジノ調査予算を8年連続計上していることや、大型旅客機の都心低空飛行を固定化しさらに拡大する、羽田空港機能強化の調査費なども、都民の合意が得られるものではありません。

 わが党は、こうした不要不急の事業を見直し、予算の2・3%を組み替えるだけで、コロナ対策、ひとり親家庭への児童育成手当の増額、35人学級の拡大、国民健康保険料・保険税の子どもの均等割の軽減、若者への家賃助成、高齢者の補聴器購入費助成をはじめ、77項目におよぶ都民要求が実現できることを示した予算組み替えを提案しました。
 この方向こそ、コロナ禍で苦しんでいる都民の願いに応えるものだと確信するものです。

 ジェンダー平等は、今定例会の大きな論点になりました。
 パートナーシップ制度についてのわが党の質問に対し、知事は、「社会情勢の変化を踏まえつつ、当事者に寄り添う施策を展開していく」と述べるにとどまりました。パートナーシップ制度の実現は、当事者に寄り添う施策そのものです。同性パートナーの権利を認める動きが大きく前進し、社会情勢が変化しているなか、都として踏み出すことを強く求めます。

 一般質問では、わが党が独自に行った痴漢被害の実態調査を示しながら痴漢ゼロの東京を実現しようと呼びかけました。知事が、「痴漢等の性暴力被害に遭うと、強い不安感などの症状があらわれ、精神的なダメージを受けるにもかかわらず、被害を受けたことを声に出しづらい」という認識を示したことは大事な一歩です。
 都としての実態調査、被害の多い鉄道会社などとの連携、そして、痴漢対策を次の男女平等参画推進総合計画に位置付けることを求めます。

 次に、議員提出議案についてです。

 まず「こども基本条例」です。
 子どもの権利条約が批准されてから27年になりますが、日本社会ではいまだに子どもの権利が守られていない現実があり、都で子どもの権利について定める条例を制定することはきわめて重要です。
 わが党は、条例をより良くする立場から、具体的な子どもの権利及び都の責務の明確化、実効性の担保の視点から修正案を提起しました。厚生委員会において全会派共同で修正可決した条例は、各種の子どもの権利を規定したことなど原案から重要な前進がありました。
 同時に、条例の策定過程で、子どもの意見を聴けていないことは、どれだけ条例を修正しても補うことはできません。その点で、附則で3年を経過した時に、子どもの意見を聴く機会を設けて検討し、必要な措置を講ずることを規定していることが最も重要な点だと考えます。
 子どもが直接参加し、影響力を行使して、必要な改正が行われることで、条例が豊かな内容と実効性を持ったものになると考えます。都議会が、子どもの意見を聴く機会を積み重ね、子どもの権利が保障される東京をつくることを心から呼びかけます。

 わが党は、このほか3つの条例を提案しています。
 「高齢者の補聴器購入費の助成条例」は、より多くの高齢者が補聴器を使用しやすくし、聞こえのバリアフリーを進めるものです。また、「青少年問題協議会条例」の改正は、自由を守る会との共同提案です。青少年問題協議会に、当事者である若者の委員6人を加える改正です。「住宅基本条例」の改正は、居住の権利を明記し、都営住宅の新規建設、家賃補助制度の創設、同性パートナーの入居など、誰ひとり取り残さない住宅政策へと充実させるものです。
 3つの条例へのご賛同を心から呼びかけるものです。 

 最後に、日本共産党都議団は、コロナ禍のもと都民のいのち、くらし、営業を守りぬき、自己責任ではなく、都民を支えるあたたかい都政へと切りかえるために全力で奮闘する決意を申し上げ、討論を終わります。