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質問・条例提案

2018.03.01

本会議 白石たみお都議(品川区選出)の代表質問

1  築地市場移転問題について
2  福祉・くらしの充実について
3  都立病院について
4  教育費負担軽減と教員の働き方について
5  雇用対策について
6  中小企業・小規模企業支援について
7  住宅耐震化について
8  二〇二〇年東京大会について
9  選手村および岸記念体育会館をめぐる問題について
10 財政運営と社会資本整備について
11 羽田空港の新飛行ルートについて
12 基地問題について

★答弁(議事録速報版より)
★再質問、答弁(議事録速報版より)

 

 日本共産党都議団を代表して質問します。
 はじめに、引き続き都政の重大課題である市場移転問題です。
 知事は施政方針表明で、「移転前に様々な問題点を洗い出し、しかるべき対策を踏まえた上で開場の運びに至った」などと述べました。豊洲新市場の様々な問題点があたかも解決したと言わんばかりの、とんでもない発言です。
 そもそも、土壌汚染問題の解決の見通しはありません。

Q1 地下水調査結果では、発がん物質のベンゼンが、昨年1月発表で環境基準の79倍、3月が100倍、8月120倍、9月160倍と上昇し、最新の11月も110倍とい数値が出ています。猛毒のシアンも全街区で検出されています。

 にもかかわらず、知事が頼みとしている、わずか3人の学者による専門家会議は、地下水汚染の状況に大きな変化はないと言い張っています。多くの都民や市場業者のみなさんから、「とうてい納得できない」「安心できない」という声があがっているのは当然のです。
 知事は「都民の食の安全と安心を守ります」と公約していますが、こんな状況で安全・安心だと言えるのですか。専門家会議と同様、大きな問題ではないと考えているのですか。

Q2 豊洲新市場の土壌汚染対策では、盛り土が地下水で汚染されないよう、地下水の水位を上げないことが必要だとされています。そのため巨額を投じて、地下水を常時くみあげるシステムを設置しましたが、いまだ目標の水位は達成できていません。
 多くのカ所で盛り土が地下水につかっている状態ですが、知事は、豊洲新市場の盛り土は地下水で汚染されていないと、きちんとした根拠をもって明言できるのですか。これも、専門家会議が大丈夫だろうと言っている、という根拠しかないのではありませんか。

Q3 知事は、「追加対策工事の着実な実施により豊洲市場の信頼を高める」と言いましたが、追加対策工事が終われば、地下水から、猛毒のシアンや、環境基準をこえるベンゼンは出なくなるのですか。また地下水は目標水位まで必ず下がるのですか。はっきりした根拠を示してお答え下さい。

Q4 知事は施政方針表明で、豊洲新市場の10月11日開場を、「業界団体の皆様と合意した」と言いましたが、築地で働く労働者、労働組合の合意は得たのですか。

Q5 築地の仲卸業者の中には、豊洲移転について不安や不満を抱えている方が、いまなお多くいること、「仲卸業者の方の納得をしていただいたというような安易な発言はしないでもらいたい」というきびしい声があがっていることを、知事はご存じですか。

Q6 仲卸業者でつくる築地女将さん会が、移転反対をはっきり表明していることについて、知事はどう受け止めているのですか。

Q7 知事は、業者のみなさんに、ていねいに説明すると約束してきました。ところが、築地女将さん会が、昨年8月に知事に提出した公開質問状に、いまだ回答していません。ていねいに説明するというのは偽りだったのですか。直ちに回答すべきですが、いかがですか。

 追加対策工事の契約についても、重大な問題があります。

Q8 7街区の地下ピット床面工事の入札は不調が続き、大成建設と特命随意契約をしました。地方自治法では、自治体における契約は一般競争入札が原則とされ、特命随意契約は、地方自治法施行令で定める場合に限定されています。7街区の床面工事は、なぜ特命随意契約にしたのですか。施行令の、どの事項を適用したのですか。

Q9 大成建設は昨年8月、都内のビル建設現場で、作業中だった作業員3人が転落死する事故を起こしました。東京都は、この事故を受け12月に大成建設を指名停止としています。安全対策が問われる事業者だから、指名停止にしたのではないのですか。

Q10 ところが東京都は、あろうことか自ら指名停止した大成建設と、指名停止の直後に、豊洲新市場追加対策工事の特命随意契約をしたのです。知事、おかしいと思いませんか。

Q11 鹿児島県や大阪府堺市などは、指名停止中の事業者との特命随意契約はしないというルールを定めています。東京都もこうしたルールを定めるべきです。知事いかがですか。

  「築地は守る」という公約が問われる発言について、知事は弁解に努めていますが、とうてい納得できるものではありません。

Q12 著名な築地市場研究者であるハーバード大学のテオドル・ベスター教授は、「築地市場は、完璧な社会的環境が出来上がっている市場であり、だからこそ、これほど長い間、すぐれた市場として継続することができた」と強調し、豊洲市場に移転したら、「日本の文化的遺産が消えてしまうことになりかねません」と述べています。
 知事は第4回定例会で、「脈々と築かれてきた築地ブランドは、東京の大切な宝物であることは言うまでもありません」と答弁しました。知事は、この答弁にもとづいてどう行動し、築地ブランドを守るのですか。築地再開発検討会議の検討次第だという責任逃れは許されません。知事自ら行った議会答弁にどう責任をもつのか、明確な答弁を求めます。

Q13 築地再開発検討会議の中でも、築地市場のアーチの建物について、「歴史的価値のある建物であり残すべきだ」という意見が出されています。
 ユネスコの諮問機関であるイコモスは、築地市場を「日本の20世紀遺産」に選定しました。日本イコモス国内委員会のワーキンググループ長であり、学校法人工学院大学理事長の後藤治教授に話を聞きましたが、「日本と世界にとって、都市計画上、非常に重要な建造物だ」として、保存をつよく訴えていました。後藤教授は、「世界の潮流は、古い建物を壊さず、仕事をしながら再生する。新しい魅力をつくりだすこと」だと強調しています。
 知事は、築地市場のアーチの建物の歴史的価値、そして壊さず大事に使いながら後世に引き継ぐ重要性を、どう認識していますか。

 豊洲市場に移転し、築地市場を壊してしまえば、100年の悔いを残します。移転を中止し、築地市場の現在地での再整備を、知事に改めてきびしく求めるものです。

 次に、福祉・くらしの充実について伺います。

 知事は施政方針表明で、「人」に焦点を当て、活躍の場を提供し、活力を引き出したいと語りました。しかし、都民のくらしの厳しさ、苦しさに寄り添う視点は見られませんでした。

Q1 都が実施した、2017年の「都民生活に関する世論調査」では、今の生活では余裕がないという人が43%、これから1年のくらしむきが苦しくなると答えている人も3割を超えています。活躍する以前に、くらしていくことそのものがたいへんな方たちが3割から4割もいることを、知事はどう受け止めますか。都民のくらしのきびしさ苦しさに対し、どう取り組むのですか。

 くらしむきが苦しくなったと答えた人のうち、税金や保険料の支払が増えたことを理由にあげた人は、2012年以降3割を超え続けているのです。ところがいま、さらなる追い打ちをかけようとしているのが、国民健康保険料・保険税の負担増計画です。

Q2 知事が新年度予算案で、国民健康保険料の負担軽減に向け、都独自補助に踏み出したことは重要です。しかし、6年間の激変緩和措置にとどまり、予算額も内容も不十分です。
 しかも、負担増計画を国と一体になって進めているのは、東京都です。さらに、昨年12月に都が定めた国保運営方針では、区市町村による国保財政への一般会計からの繰り入れをなくしていくよう求めています。
 実際に、区長会が6年間で繰り入れ解消の方針を示したことをはじめ、都の運営方針に沿って、一般会計からの繰り入れを段階的に解消し、保険料・保険税の値上げでその穴埋めをする動きが広がっているのです。
 都がまとめた区市町村別の一人当たり保険料・保険税は、一般会計からの繰り入れをしなければ、都内平均で1・26倍、2016年度の11万8千円が14万9千円に、3万円も上がります。最も上がり幅が大きい自治体では、9万3千円から14万6千円と、1・5倍以上の大幅値上げとなります。
 知事は第4回定例会で、保険料・保険税は各区市町村がみずから定めるものだと答弁しました。しかし実際は、都が示した運営方針に沿って、区市町村は一般会計からの繰り入れを減らし、保険料値上げを進めていることを、どう認識しているのですか。都の国保運営方針を見直すべきですが、知事いかがですか。

Q3 品川区の2017年度保険料は、45歳の夫婦と子ども2人の4人家族で、年収300万円で35万円を超えます。国保料だけで年収の1割を超えているのです。これ以上、保険料を上げ続ければ、さらに都民のくらしを圧迫し、払えなくなる人が増えるのは明らかですが、知事はどう考えていますか。
 新年度予算案で踏み出した14億円の激変緩和措置にとどめず、保険料・保険税の引き下げ、負担軽減に向けた、さらなる追加対策が必要です。知事、いかがですか。

Q4 国民健康保険は、所得がない子どもにまで保険料・保険税が賦課されます。子育て世帯にとって重い負担です。知事はこの問題を、どう認識していますか。
 都内でも昭島市、東大和市が、子どもの均等割の軽減を実施しています。清瀬市も、新年度から実施します。都として子どもの均等割軽減への支援を行うことが必要だと思いますが、知事、いかがですか。

 高齢者福祉の充実も急務です。
 年金でくらす高齢者の重い負担になるのが、住宅の家賃や介護施設の利用料です。

Q5 東京都は石原都政以来、都営住宅の戸数を増やさない方針を続けてきました。しかしこの方針は、超高齢社会の実態に合っていません。特別養護老人ホームを増やすのと同様、年金生活の高齢者が安心して入居できる都営住宅を、計画的に増やしていくことが必要です。知事の認識と対応を伺います。

Q6 また知事は、国民年金でも入れる特別養護老人ホームを増やすことの重要性について、どう認識していますか。
 最近は、居住費の安い従来型を希望する人が多くなっています。居住費の高い個室のユニット型特養ホームには、国民年金では入れません。従来型の多床室でも、設計の工夫で個室とほとんど変わらない環境が確保できます。都は、区市町村が必要と認める場合は定員の30%まで多床室の整備に補助を行っていますが、この補助制度の活用促進や拡充など、さらなる対策が必要ですが、知事いかがですか。

Q7 東京都高齢者保健福祉計画策定委員会で、介護サービス基盤の整備に向けた都有地の活用について、オール都庁で対応して活用を進めてほしいとの要望が出されています。これに都は、待機児童解消に向けた緊急対策として設置している都有地活用推進本部の取り組みとも連携しながら、推進本部が全庁的に洗い出した都有地についても、高齢者施設等での活用を検討すると回答しています。また練馬区は、推進本部が洗い出した都有地を、障害者施設整備に使っています。
 都有地活用推進本部の取り組みと連携して、全庁的に洗い出した活用可能な都有地について、高齢者や障害者施設への活用を進めるべきだと考えますが、知事いかがですか。

待機児童対策について伺います。

Q8 都は今回初めて、就学前児童がいる世帯を対象に「保育ニーズ実態調査」を行い、保育園の整備がニーズに追いついていないことが改めて明らかになりました。調査結果をもとに、保育サービス整備の目標を引き上げたことは重要です。しかし、2019年度末までの3年間で6万人分の保育サービス定員を増やすという目標のうち、認可保育園を何人分整備するのかという目標は示されていません。
 一方、4月からの認可保育園などへの入園を希望する家庭に選考結果が届き、私の地元品川区でも千人近い方に一次選考の不承諾通知が送られています。
 日本共産党都議団は、現時点で把握できる都内の不承諾者数の調査を行いましたが、回答があった34区市町村で、1万8千人におよびます。
 「フルタイムで第30希望まで申し込んだけど入れなかった」「2年連続で落ちた。仕事をやめざるを得ないのか」など、保育園に入れなかった親たちの切実な声があふれています。こうした願いにこたえるには、認可保育園の増設を待機児童対策の中心にすえ、認可保育園への入園を希望する人全員が入れるようにすることが必要だと思いますが、知事の認識と対応を伺います。
 都の「保育ニーズ実態調査」の結果、利用を希望していたサービスのトップは公立保育園です。回答した保護者の52%が公立保育園の利用を希望しています。しかし、実際に利用できているのは17%にすぎません。
 知事は、公立保育園の利用希望が非常に多いという今回の調査結果を、どう受け止めていますか。需要と供給のミスマッチを解消するためにも、都として公立保育園整備を待機児童解消の重要な方策として位置づける必要があると思いますが、いかがですか。

  知事は施政方針表明で、障害者を支える取り組みに力を入れると強調しました。ところが東京都は、障害者福祉の重要な補助制度の改悪を進めようとしています。

Q9 障害者グループホームでの障害者支援の充実にとって、運営費への都加算補助は、なくてはならないものです。ところが新年度予算案に、この補助制度の見直しが盛り込まれており、多くの事業所で大幅な減収になることが予想され、関係者の間で大問題となっています。
 今回の見直しでは、軽度の人の1日当たりの補助額を下げることとなっています。さらに、利用者が土日などに実家に帰った場合は、障害の軽い人の補助額が上限とされるため、重度の障害者を積極的に受け入れている事業所の多くが大幅な減収となります。
 あるグループホームでは、週末は可能な限り家族と一緒に過ごせるよう援助しています。高齢になった家族は日常の介護は困難でも、わが子と過ごせる限られた時間を大切にすごしたいと願っています。ところが今回の補助制度見直しで、年間約240万円もの減収が見込まれています。若い職員の給与一人分がなくなってしまいます。
 知事が掲げる、障害者を含め誰もが輝く東京実現の目標と逆行するのではありませんか。関係者の意見を直接聞いて、再検討するよう求めますが、知事いかがですか。

 都立病院の地方独立行政法人化問題も重大です。

Q1 今年1月、都が設置する都立病院経営委員会が、「一般地方独立行政法人への移行について検討すべき」との報告書を出したことに、多くの都民のみなさんから心配の声が上がっています。しかも、経営委員会で多くの委員から、都立病院への400億円の繰入金を問題視し、非難する発言が相次いだ中で、報告書がまとめられました。
 しかし、都が行った都立病院の運営についての都民アンケートでは、都立病院に都税をもっと積極的に受け入れて良いが一番多く、現状程度必要と合わせると65%、一定程度の受け入れはやむをえないまで入れると98%を超えています。
 小児、周産期、障害者、難病、感染症の医療、さらに災害医療など、不採算であっても都民のために必要な医療を確保することが、都立病院の重要な役割です。その役割を適切な範囲で税金を投入するのは当然のことだと思いますが、知事の認識を伺います。

  独立行政法人化された国立病院機構では、不採算医療が削られています。結核病床は全体の7割におよぶ3千床、精神病床は2千床が減りました。
 地方独立行政法人化された自治体病院は全国で1割程度ですが、その多くで設立自治体からの運営費繰り入れが減らされ、大阪府立病院機構では、紹介状のない患者の初診料、セカンドオピニオン料などが値上げされました。宮城県立循環器呼吸器センターは、医師不足などの理由で新年度には廃止の方針とされています。

Q2 自治体病院への財政支援を後退させれば、採算性の低い医療の後退、患者の費用負担増、人件費削減による医師看護師不足・人材の流出などにつながることは避けられません。知事は、都立病院の経営形態に関する意見については、今後、ていねいに検討を進めていくと表明しましたが、「すべての都民のための病院」という都立病院の理念を大事にして、都立直営を堅持し、東京都が直接責任をもって都立病院の拡充をどう図るのかという検討こそ必要です。知事いかがですか。

 教育費負担軽減について伺います。

Q1 高校や大学の教育費を軽減し無償化を進めることは、国際人権A規約13条の、高等教育までの「無償教育の漸進的導入」を批准した、日本政府の責任です。
 同規約の履行を促す国連の社会権規約委員会は日本政府に対して、高校教育を無償とするため、早急に入学金および教科書代を無償にするよう勧告しています。知事は施政方針表明で教育格差に言及しましたが、この勧告の重要性をどう認識していますか。
 とくに私立高校の入学金は都内平均25万円と重い負担になっています。教科書代や教材費は、4万円前後かかります。いずれも教育を受けるために避けて通れないものです。
 都立も私立も高校段階での教育費無償化に向けて、国に先駆けて都として入学金と教科書代の無償化に踏み出す必要があると考えますが、知事いかがですか。

  同時に、低所得世帯への独自の支援も重要です。

Q2 文科省の調査によれば、年間の学校教育費は授業料を除いても公立高校で25万3千円、私立高校で48万3千円であり、国の奨学給付金はまだ不十分です。
 誰もがお金の心配をせずに高校に通えるよう、国に対し奨学給付金の拡充を求めるとともに、都としても拡充を図るべきですが、いかがですか。

Q3 都教委は「学校における働き方改革推進プラン」で、全ての教員の長時間労働の改善を図るとしました。これは重要な課題です。

OECDの調査によれば、日本の中学校教員の勤務時間は国際比較でダントツ1位です。総務省労働統計からの試算で、飲食業や輸送業と比べても日本の教員ははるかに長時間労働だとの研究もあります。
 知事は施政方針表明で、教員の働き方について、教員の心身の健康にもしっかりと目を配り、子どもたちと教員が共にいきいきと輝く学校現場を創り上げると述べましたが、教員のこうした長時間労働の実態を、どう認識していますか。教員を増やすことを柱にすえて、長時間労働を抜本的に改善する取り組みが必要ですが、知事いかがですか。

 雇用をめぐる問題も深刻です。

Q1 安倍政権のもとで、非正規労働者の割合は、昨年度、過去最高の37・5%に達しました。非正規労働者は、安倍政権発足後、213万人も増えています。
 都は全国に先駆けて、非正規雇用の正規化推進などに取り組んできましたが、いまなお不安定な非正規雇用が拡大し、歯止めがかからない現状をふまえた対策の強化が必要です。知事の認識を伺います。

Q2 非正規で働く若者の実態は切実です。飲食店でアルバイトとして働く20代の女性は、働き方が評価されてバイトリーダーに昇格し、仕事量と責任は重くなったにもかかわらず、時給1000円から昇給はなく、月々の手取りは9万円程度です。貯金もできず、食費や光熱費を切り詰めています。持病がありますが、お金がなくて病院に行けないこともあります。バイトを休めば収入が減るので、体調が悪くても仕事は休まずに働きます。今の願いは「安心して、正規で働き、安定した収入を得ること」だと訴えています。
 また、都が行ったいわゆるネットカフェ難民の実態調査によると、ネットカフェなどで寝泊りする人の多くが派遣労働やアルバイトで働く非正規雇用です。家賃を払う安定収入がないと回答した人が3割にのぼります。
 知事は、非正規労働者の不安定な働き方と生活の深刻な実態を、どのように認識していますか。そして、その改革にどう取り組むのですか。

Q3 東京都雇用・就業対策審議会は、雇用・就業対策や職業能力開発のあり方などについて審議し、答申や提言などをとりまとめてきましたが、5年以上開かれていません。知事が諮問するなど審議会を早急に開催し、広く専門家の知恵を結集して、不安定な非正規雇用の実態把握、正規雇用への転換などを都としてどう進めるのか検討すべきと考えますが、いかがですか。

 

Q1 知事が、中小企業支援について新たなビジョンを策定すると表明したことは重要です。策定に向けて開かれた第1回の有識者会議では、有識者の方から、中小企業の現場に行って、経営者や従業員の考えを聞き、現場の状況を共有してビジョンを策定すべきとの発言がありました。また、小規模企業や商店街、多摩地域など、地域ごとに違いがあるということも強調されました。たいへん大事な議論だったと思いますが、知事はどう受け止めていますか。
 各地域の中小企業・小規模企業を、知事はじめ都職員が直接訪問して、実態を聞き取り、要望をつかむことが必要だと思いますが、知事いかがですか。

Q2 東京の中小企業の約8割が小規模企業であり、地域の経済や雇用を支えています。新たなビジョンでは、小規模企業振興基本法を生かし、小規模企業への支援に光を当てることが必要です。認識を伺います。

Q3 中小企業・小規模企業振興条例の策定についても、新たなビジョンと合わせて検討を進めることを求めますが、知事いかがですか。

Q1 住宅耐震化について、新年度予算案には、住宅耐震化助成制度の対象地域を都内全域に拡大するため新たに7億円が計上されました。わが党が繰り返し提案してきたものであり、歓迎するものです。また知事は施政方針表明で、住宅耐震への支援を拡大し、取り組みを推進すると述べました。
 3年後に住宅の耐震化率を95%に引き上げるという都の目標を達成するためには、年間約10数万戸の住宅の耐震化が必要です。しかし、近年の実績は年間約2万戸であり、目標達成にはペースを抜本的に引き上げることが必要です。
 知事は、新年度予算案も含め、住宅耐震化の支援を具体的にどう拡大し、取り組みを推進するのですか。

Q2 熊本地震では、新耐震基準でも柱の継ぎ手金具などが義務づけられていない2000年以前に建てられた住宅で、倒壊などの被害が相次ぎました。そのため国も、この時期の住宅の耐震性を診断する方法を新たに示しました。もはや、新耐震基準の建物であれば安全だとは言えないことを、知事はどう認識していますか。

Q3 杉並区は2000年以前に建てられた木造住宅に対し、新年度から耐震診断と耐震改修への助成を開始します。都としても、同様の支援を実施すべきですが、いかがですか。

 2020年のオリンピック東京大会は、国際平和・友好の促進、人間の尊厳や環境問題を重視するという、オリンピックの理念にそうものとして成功させることが必要です。そのためにも、国民、都民の生活や環境と調和のとれた、無理のない取り組みを進めるよう、わが党は求めてきました。

Q1 多くの都民やIOCが求めているように、大会経費をさらに削減し、持続可能なオリンピックのモデルを切り開く東京大会にすることが求められています。ところが知事は昨年12月に経費縮減は難しいと言い始め、今回の施政方針表明では、この問題にふれませんでした。知事、経費縮減には今後、どう取り組むのですか。

Q2 とりわけ不透明なのが、組織委員会が都の費用負担で実施する共同実施事業です。今年度補正と新年度予算案を合わせて、780億円もの都負担が計上されていますが、その中身はほとんど明らかにされていません。
 共同実施事業のコスト管理などをするため、都と国と組織委員会で共同実施事業管理委員会が昨年9月に設置されましたが、委員会の傍聴はできず、公表されるのはごく簡単な議事要旨で、共同実施事業の中身も、委員会で議論している内容も、ヤミの中です。
 昨年の第3回定例会で知事は、共同実施事業管理委員会で都が主導してしっかりチェックし、経費縮減の取り組みを促進し、情報公開に努め、説明責任を果たしていくと答弁していました。知事、実態が全然違うのではありませんか。答弁どおりに実行すべきですが、いかがですか。 

 次に、五輪大会開催を口実にして、行政のあり方がゆがめられた疑いのある、2つの重大な問題について伺います。まず選手村整備をめぐる問題です。

Q1 選手村整備工事が進む晴海の都有地は、近隣の基準地価から推計すると約1300億円と見込まれます。それを、都は129億円という破格の安値で、三井不動産グループなどの民間デベロッパーに売却しました。およそ1200億円も優遇したことになります。住民訴訟も起きています。
 わが党が入手した報告書で、このような安値で売却できる手法を導入した検討経過が明らかになりました。都がコンサルタント会社に「選手村の開発方針検討支援業務」を委託し、2013年9月に提出されたものです。
 その中で、7つの手法を比較検討した結果、民間事業者にとって一番有利な手法だと評価された、第一種市街地再開発事業が採用されました。この手法の大きなポイントのひとつが、土地の価格設定について、財産価格審議会を経由しないで済むことでした。つまり、第三者機関によるチェックなしに土地価格が決定されたのです。
 知事は、就任直後の第3回定例会で、この問題について、「適正に土地価格を算定したと聞いている」と答弁しましたが、財産価格審議会で検討されていないことを、知事は適正だと言うのですか。

Q2 選手村用地は、民間デベロッパーに売却する契約が2016年12月5日に結ばれていますが、所有権は移転されておらず、まだ都有地のままです。知事は、そのことをご存じでしたか。   

Q3 敷地は都有地のため、民間事業者は五輪大会後まで土地代金の支払いを先延ばしにできて、金利負担が大幅に軽減されます。固定資産税の課税期間も短縮できます。
 ほかにも、民間事業者が計画段階から関与できることや、補助金や公的融資を受けやすいことも、民間事業者に有利な点だと、報告書で評価されていました。
 知事、都民に大きな損失を与え、民間事業者にとってこれほど有利なやり方を選ぶのは、おかしいと思いませんか。

Q4 そのうえ選手村の賃貸料、選手用の部屋の内装、ユニットバス・エアコン等の設置、新たに建てる仮設施設の建設費、さらに大会後の撤去にいたるまで都負担となります。都の負担はいくらか、それぞれの額を、お答え下さい。

Q5 これまで都は、選手村の土地価格が安いのは、民間事業者にとって選手村整備という制約があるからだと説明してきました。しかしもはや、この説明は成り立ちません。選手村整備という制約による負担は都民が背負い、民間事業者には破格の優遇がされているのです。
 敷地譲渡契約を結んだのは、小池知事です。聞いていなかった、わからなかったでは済まされません。知事の責任において、選手村整備をめぐるすべての経過を明らかにし、都民に損失を与えないよう再検討すべきではありませんか。知事の答弁を求めます。

 いまひとつは、日本体育協会の本部施設である岸記念体育会館の敷地の購入をめぐって、本来出すべきではない税金を投入し、特定の民間団体への優遇を行い、行政をゆがめたのではないかという疑惑です。
 新年度予算案には、岸記念体育会館の敷地を代々木公園用地として購入する買収費94億円と、移転補償費29億円の合計123億円が計上されています。

Q6 岸記念体育会館の敷地を都立公園として優先的に整備する区域に指定したことを都が公表したのは2015年12月15日です。それ以前に東京都から日本体育協会に、優先整備区域への指定について何らかの話をしたことはありますか。

Q7 また2015年12月15日以前に、神宮外苑の都有地について、移転の候補地として東京都から日本体育協会に示したことはありましたか。あるいは、日本体育協会から東京都への問い合わせなどはありましたか。

Q8 日本体育協会は、老朽化した岸記念体育会館の建て替えや移転を、以前から検討してきました。日本体育協会から東京都に、会館の建て替え・移転について、協力を求める相談や働きかけ、接触があったのはいつですか。

Q9 日本体育協会元会長の森喜朗氏から、岸記念体育会館の移転について、東京都または都の職員に、何らかの相談や働きかけ、接触はありませんでしたか。

Q10 岸記念体育会館の敷地購入の理由は、直接的には東京五輪大会のハンドボール競技の運営用地に必要だとされています。会館が移転しなければ、五輪のハンドボール競技は運営できないのですか。

Q11 この敷地は、五輪大会で、何のために、どのように使うのですか。具体的にお答え下さい。

 

 都民の切実な要求にこたえ、福祉・くらしの充実を進めるためには、大型開発への巨額の投資を見直すことが欠かせません。

 Q1 新年度予算案の概要では、本格的な少子高齢社会の到来で医療や介護等の社会保障関係経費はますます増大し、今後25年間に累計10兆4千億円も増加するとの見通しを示しています。今回の試算では、毎年300から400億円ずつ増額するとされています。社会保障関係費は、たとえ財政が厳しくなっても今後も確実に確保していかなければならないと思いますが、知事いかがですか。

Q2 加えて予算案の概要では、社会資本の維持・更新経費が今後25年間の累計で3兆2千億円も増加し、また防災にかかる経費も、住民反対の多い特定整備路線を除いて、今後10年で約3兆円必要と予測されています。
 このように、中長期の社会保障や社会資本の維持・更新や防災のための経費が増大していくことを考えれば、新規の巨大開発や幹線道路整備はいっそうきびしい抑制が不可欠です。知事の認識を伺います。

Q3 東京都では、幹線道路建設を聖域とする「道路ファースト」と言うべき状況が、続いてきました。その中で、新年度予算案では、わずかに補助98号線の廃止が盛り込まれました。しかしこれは、大手町、日本橋間の110メートルにすぎず、もともと廃止に向けた見直し対象路線にされていたものです。
 1メートル1億円の外環道、あるいはその上部道路「外環ノ2」、住民が反対し裁判も起きている特定整備路線をはじめ、見直すべき大型道路事業はたくさんあります。
 知事は昨年来、道路をはじめとする都市インフラ整備について見直すべきは見直すと、繰り返し答弁しています。未着手の路線にとどまらず、事業認可された路線の廃止も含め、聖域を設けることなくさらに踏み込んだ見直しが必要だと考えますが、知事の答弁を求めます。

Q4 名古屋市では、事業認可をすでに受け、8割まで整備が進んだ都市計画道路についても、希少種のヒメボタルの生息地であり、また市民の憩いの場である貴重な里山を保全するため、道路計画を廃止する検討を進めています。その背景には、市民による大規模な住民意向調査で、道路よりも緑地を求める市民の意思がはっきり示されたこともあると、聞きました。事業化路線も含めて市民の声に耳を傾けて見直しを図るべきですが、知事の見解を求めます。

Q1 羽田空港の飛行ルートはこれまで、飛行機を内陸に飛ばさないように沖合に滑走路を展開し、東京湾を最大限に活用してきました。ところが国が提案した新ルート計画は、これを180度転換させて、23区中16区の上空を低空で飛行するものです。品川区などは、東京タワーより低い超低空飛行となります。
 新ルートが計画される地域住民からは、騒音や落下物、墜落事故の危険性、大気汚染など生活への影響について不安や懸念が相次いでいます。計画の推進には、住民合意を得ることが前提だと思いますが、知事の基本姿勢を伺います。

Q2 中でも落下物対策は、命にかかわる問題です。最近も全国で、航空機からの落下物による事故が多発しています。着陸態勢に入り車輪を出すとき、上空で凍結した氷のかたまりが落下することもあります。こうした飛行機からの落下物による被害を防ぐ最も効果的な対策が、羽田空港がこれまで確立してきたように、海上の飛行ルートを最大限に活用することです。
 知事は、内陸を低空で飛行する新ルートによる落下物事故の危険性を、どう考えていますか。

Q3 国が推計値として公表している最大騒音量は、大井町駅上空300メートル地点で、80デシベルです。ところが、現行ルートの300メートル地点で騒音測定を行ったところ、84・5デシベルと、4・5デシベル高い結果となりました。5デシベル上がると音のエネルギーは約2倍増加し、それだけ騒音もひどくなります。羽田周辺の高度ごとに実測値を計測し、都民に公表するよう国に求めるべきですが、いかがですか。

  都民の安全・安心、静穏な生活を守る立場から、都として国に対し、新飛行ルート計画の撤回・見直しを強く迫るよう求めるものです。

 最後に、基地問題について質問します。

Q1 一昨年末の沖縄県名護市沖での米軍オスプレイの墜落事故から、最近の青森での米軍機がエンジンから火を吹き、燃料タンクを漁場に投棄した事故まで、1年2カ月の間に、全国で米軍機による墜落、不時着、部品落下などの事故が19件も発生しています。一つ間違えば住民を巻き添えにしかねない米軍機の重大事故が続発する異常事態です。
 米国の公式文書も、空軍は創設以来、最も老朽化していると認めています。長期にわたる海外派兵の継続と装備の劣化が重なり、事故を頻発させる構造的な問題を抱えているのです。
 中でも危険なオスプレイの横田基地への離着陸が、昨年は、前年比2・5倍に急増しています。しかも、普天間基地への配備から5年4カ月が経過し、5年に一度程度の間隔で機体を分解して内部点検する定期整備が必要とされているのに、いまだに1機の定期整備も完了していません。車検切れのような状態で訓練を繰り返しているのです。危険きわまりないことです。
 米軍機の事故にかかわるこうした問題を、知事はどう認識していますか。
 オスプレイをはじめ米軍機の日本上空での飛行中止を、他県の知事とも連携してきびしく求めるべきと考えますが、知事いかがですか。

Q2 相次ぐ米軍機の重大事故に対し、日本政府にも被害を受けた自治体にも調査権限がありません。また、事故が発生しても数日もすれば米軍機の身勝手な飛行・訓練が再開され、住民の生命が脅かされています。その背景には、日本の主権を侵害し、ドイツやイタリアなどと比較しても米軍に治外法権的特権を与えている日米地位協定があります。
 日本政府や自治体の許可なしに米軍機の飛行や訓練ができないようにすることや、政府・自治体による事故調査権、基地への立ち入り調査権を認めさせることなど、日米地位協定およびその運用の見直しを、いまこそ真剣に政府、米国に求めるべきですが、知事の答弁を求め、再質問を留保して質問を終わります。

答弁

○知事(小池百合子君) 白石たみお議員の代表質問にお答えいたします。
 食の安全・安心についてのご質問がございました。
 市場の移転に際しまして、食の安全・安心の確保が重要であることはこれまでも申し上げてきたとおりでございます。
 豊洲市場用地が法的、科学的に安全であるということは専門家会議で確認されており、大切なことは、追加対策工事の実施で、豊洲市場のさらなる安全性の向上を図るとともに、正確な情報発信を通じまして、都民の理解と納得を得ることでございます。
 現在、追加対策工事につきましては、詳細な施工計画に基づいて、着実に工事を進めているところであり、また、空気や地下水の調査結果につきましては、科学的、客観的なデータを専門家による評価とあわせて公表しているところでございます。
 今後とも、こうした取り組みを着実に進めまして、都民や事業者の理解、そして安心につなげてまいりたいと考えております。
 仲卸業者の声についてでございますが、昨年十二月の新市場建設協議会において、水産仲卸団体の代表の方々から、ご指摘の発言があったということは承知をいたしております。
 市場業者の中には、移転につきましてさまざまな思いを抱いておられる方がおられ、同協議会におけます発言は、都としてもそういった方々がおられることを十分理解して対応してほしいという、その趣旨だと受けとめております。
 築地女将さん会についてでございます。
 ただいま申し上げましたとおり、市場業者の中に移転についてさまざまな思いを抱いている方々がおられることは承知をいたしております。
 今回の豊洲市場への移転、これは築地市場の老朽化や狭隘化、衛生面での課題等を踏まえて行うものであり、こうした都の考え方などにつきましては、これまでも新市場建設協議会において説明してきたところでございます。
 都といたしまして、引き続き移転に向けたさまざまな準備を業界と協力して進めてまいる所存でございます。
 指名停止中の事業者と特命随意契約を結んだ件についてでございますが、法令上、指名停止中の事業者と特命随意契約を締結することを禁止する規定はございませんで、都もこれを禁止しておりません。
 本件は、三回にわたって入札参加者を広く募る競争入札で発注したものの、契約締結に至らなかった点、また、豊洲への移転に影響が出ないように期限内に工事を完了させなければならない点、こうした事情に鑑みまして、適正な手続のもとで特命随意契約を行ったものでございます。
 また、指名停止中の事業者との特命随意契約に係るルールについてのご質問がございました。
 今の答弁でも申し上げましたとおり、法令上、指名停止中の事業者と特命随意契約を締結することを禁止する規定がなく、随意契約の可否につきましては、各自治体の判断に委ねられているところでございます。
 都におきましては、指名停止中の事業者との特命随意契約につきましては、特定の相手方と契約しなければ契約目的を達成することが困難な場合に、適正な手続のもとで必要性や理由を慎重に判断した上で契約することといたしております。
 築地ブランドの継承につきましては、築地ブランドは、築地市場で働く事業者を初め、食文化を担う多くの方々の日々の活動の中で脈々と築かれてきたものでございます。
 これを受け継いで発展させていくためには、何よりも市場業者の方々が希望を持って事業を営める環境を整えることが重要と考えます。
 まずは豊洲市場への移転を円滑に行って、早期に事業が軌道に乗るよう取り組んでまいります。
 私自身も、先日、築地市場で業界団体の代表の皆様方と移転に向けた意見交換を行ったところでございます。
 業界の方々と連携協力をしながら、豊洲市場を日本の中核市場として育て上げて、新たな豊洲ブランドの確立を目指してまいります。
 また、築地には、これまで培った伝統や都心に近接したロケーションなどの地域的な特性がございます。さまざまなポテンシャルを生かした新たなまちづくりに取り組んでまいります。
 豊洲、築地、その両方を生かして相乗効果を図る、そして東京の新たな魅力の創出と発展につなげてまいります。
 築地市場の建物についてのご指摘がございました。
 建物を歴史的、文化的な観点から捉えるということは一つの見解であって、また、それを後の世に伝えていく方策、さまざまございます。
 築地市場の跡地につきましては、環状第二号線を整備するとともに、東京二〇二〇大会の輸送拠点として活用、その上で、浜離宮の景観や水辺、築地本願寺など、築地のまたとないロケーションや歴史、文化などの魅力を最大限に生かしました再開発を進めてまいります。
 都民の暮らしに対する認識でございますが、都民の暮らし向きはさまざまでございます。暮らしに余裕がないと感じている方がいらっしゃることは十分認識をいたしております。
 そうした方を含めまして、全ての都民が安心して生き生きと活躍できる都市、それが私が目指すダイバーシティー東京でございます。
 その実現のために、本年一月に策定いたしました実行プランの政策の強化版におきまして、福祉、医療、保健、教育、雇用など、施策の充実を図りまして、必要な予算を来年度予算案に盛り込んだところでございます。
 次に、国民健康保険の保険料についてのお尋ねでございます。
 国民健康保険は、相互扶助の考えに立った社会保険制度でありまして、その財源は、保険料が二分の一、公費が二分の一を基本としていることはご存じのとおりであります。
 国保財政を安定的に運営していくためには、原則といたしまして、これらの財源によって給付に必要な費用を賄って、収支が均衡していることが重要でございます。
 そのため、都の国民健康保険運営方針におきましては、決算補填等を目的とする一般会計からの法定外繰り入れは、計画的、段階的に削減していくことといたしております。
 この運営方針は、区市町村への法定の意見聴取を経た案を国民健康保険運営協議会に諮問をいたしまして、ご審議の結果、適当と認めるとの答申をいただいた上で策定をしたものでございます。
 各区市町村の具体的な保険料、保険税の賦課方式や料率、法定外繰り入れは、今般の制度改革後におきましても、区市町村の議会で審議され、決定されるものと認識をいたしております。
 国民健康保険料の引き下げのための財政支援についてのご質問でございます。
 国民健康保険は法に基づく全国統一の制度でございまして、その制度上の課題は、制度設計者である国が責任を持って対応すべきことでございます。
 都はこれまで、国に対しまして、構造的な問題の抜本的解決を図るように強く求めてきたところでございます。
 また、国民健康保険制度の健全かつ安定的な運営を図るため、法令等に基づいて財政支援を行っております。
 都営住宅の増設についてのご質問でございます。
 少子高齢化が急速に進展する中で、高齢者や子育て世帯など、都民の居住の安定を確保していくことが重要でございます。
 都営住宅につきましては、これまでも既存ストックの有効活用を図って、適切な供給、管理の適正化に努めてきたところでございまして、今後とも、社会経済情勢が変化する中で重要な役割を果たしている都営住宅につきましては、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。
 続いて、保育サービスの拡充についてでございます。
 今回の保育ニーズの実態調査では、複数の保育や教育のサービスを選択できることとなっておりまして、その結果は、保護者が身近にある認可保育所や幼稚園など、希望するものを全て回答したものであると認識をいたしております。
 また、この調査におきましては、育児休業取得期間が希望よりも短いことや、保育ニーズと保育料には相関があることも明らかになっております。
 こうした調査結果を踏まえまして、都は、待機児童の解消に向けて、二〇一九年度末までの三年間において、保育サービスを六万人分拡充する目標を設定いたしております。
 保育サービスは、保育の実施主体であります区市町村が認可保育所、認証保育所、認定こども園、小規模保育、家庭的保育など、地域のさまざまな保育資源を活用して整備するものでございます。
 都は今後とも、待機児童の解消に向けまして、多様な保育サービスの拡充に取り組んでいく区市町村を支援してまいります。
 都立病院への財政負担についてのご質問がございました。
 都立病院は、万が一の事態に備えた災害医療、周産期医療や救急医療など、他の医療機関では対応困難な行政的な医療に取り組んで、その中核的な役割を果たしております。
 ことし一月に公表されました都立病院経営委員会報告におきましても、都立病院が担ってきた役割や機能につきましては高く評価されているところでございます。
 一方、こうした行政的な医療におきましては、必ずしも採算の確保につながらない場合がございまして、これまで一定のルールに基づいて、一般会計がその経費の一部を負担してきたところでございます。
 もとより、都立病院の運営に当たりましても、最少の経費で最大の効果が得られるよう、みずからの経営努力を尽くすことが基本となっております。
 このことを前提といたしまして、引き続き一般会計からの適正な負担のもとで、都立病院が、将来にわたって都民の生命と健康を守るという使命を果たしてまいります。
 都立病院の経営形態についてのご質問でございます。
 世界に例を見ない速度で高齢化が進むこの東京におきまして、都立病院がその使命を果たし続けるためには、効果的、効率的な運営のあり方について不断に検証することが大切でございます。
 今後、地域医療のあり方も変化する中で、これまでの行政的医療の提供に加えて、誰もが住みなれた地域で安心して医療を受けられるように、地域医療の充実への貢献など、都立病院に新たな役割が期待をされているところでございます。
 これらの役割を効果的に実現するために、経営形態のあり方につきましては、患者や都民、そして地域からの理解が得られるように、今後、病院現場の運営実態も踏まえましたさまざまなメリットやデメリットの検証を行うなど、丁寧に検討を重ねてまいります。
 高校教育の無償化についてのご質問でございます。
 家庭の経済状況などにかかわらず、全ての子供たちが充実した教育を受けて、自立できる環境を整えるということは重要でございます。
 このため、従来から、国の就学支援金、都の特別奨学金などによりまして、教育費負担の軽減を図ってまいりました。
 さらに、今年度からは、都独自の取り組みとして、都立高校において給付型奨学金を創設するとともに、私学の特別奨学金を拡充することなどによりまして、誰もが安心して学べる教育環境の一層の充実を図ったところでございます。
 また、国に対しましても、奨学給付金制度の充実等を提案要求いたしております。
 なお、ご指摘の国連の勧告でございますが、経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会におけます日本政府の報告に対する見解と認識をいたしております。
 学校におけます働き方改革の推進についてでございます。
 未来をつくる子供たちの健やかな成長のためには、学校教育の中核である教員が健康で生き生きと働くことは、何よりも大切でございます。
 教員の長時間労働は、教員自身の心身の健康やライフワークバランスの問題にとどまらず、教育の質にも直結する喫緊の課題でございます。
 先般、教育委員会におきまして、学校における働き方改革推進プランが策定されまして、来年度からスクールサポートスタッフや部活動指導員等を導入することといたしております。
 こうした施策を通じまして、今後とも教育委員会と一体となって、教員の長時間労働の改善に取り組んでまいります。
 非正規雇用対策についてでございます。
 誰もが人生と仕事を調和させて、自分らしく活躍できるようにする、そのためには、安心して働き続けられる環境を整備していくことが重要でございます。
 都はこれまで、企業内での正社員転換を促進する助成金事業に加えまして、職務経験やスキルに応じたきめ細かな支援など、さまざまな非正規雇用対策を実施してまいりました。
 一方で、不本意にも非正規として働くことを余儀なくされる方がおられ、持てる力を生かし切れないということは、社会にとっても大きな損失でございます。
 東京の雇用情勢は改善が続いております。深刻な人手不足を背景として、企業の人材確保の動きが活発化しているこの機を捉えまして、誰もが意欲と能力を十分に発揮して働くことができるよう、多面的な非正規雇用対策を展開してまいります。
 中小企業の実態等の把握についてでございます。
 東京の経済や雇用を支える中小企業や小規模企業の実態を踏まえまして支援を行うことは必要でございます。
 都はこれまでも、状況を調査し内容を的確に把握し、施策へと反映をいたしております。
 先月に立ち上げた有識者会議でも、中小企業の現場に詳しい経営者などが参加されて、さまざまな現状を語っていただいて議論を行っております。
 これらを積み重ねながら、東京の産業振興をしっかりと進めてまいります。
 中小企業振興に係るビジョンについてのお尋ねでございます。
 都内の企業数の九九%を占める中小企業は、東京の経済や雇用を支える重要な役割を担っております。
 中小企業を取り巻く環境は急速に変化をしておりまして、経済のグローバル化やIT技術等の進展によって、産業構造の大きな転換も予想されております。
 東京二〇二〇大会後の二〇二五年をピークといたしまして、東京の人口は減少することが見込まれており、今後の働き手の不足は大きな課題ともなります。
 こうした変化に的確に対応して、中小企業への支援を計画的に進めるための新しいビジョンを二〇一九年からのおおむね十年間を対象として策定いたします。
 先月立ち上げました有識者会議におきましては、中小企業の業界や働き手の実情に詳しい団体のほか、経営者、研究者を交えまして議論を開始しております。
 今後の有識者会議におきまして議論を重ねながら、来年一月にはビジョンを取りまとめて、これに基づいて中小企業の振興に取り組んでまいります。
 住宅耐震化の取り組みについてでございます。
 耐震化を促進するためには、所有者がみずからの問題として認識をする、備えるということが不可欠でありまして、所有者の主体的な取り組みを促すように区市町村への支援を強化することは重要でございます。
 これまで都は、整備地域内での区の取り組みを後押しするために改修への助成を拡充するなど、取り組みを加速してまいりましたが、来年度からは所有者への積極的な働きかけなどを行う区市町村を対象といたしまして、整備地域外におきましても、都費を充当して改修への支援を行ってまいります。
 これらの支援を通じまして、住宅の耐震化を進め、都民が安心して生活できるセーフシティーの実現に取り組んでまいります。
 大会経費の縮減についてでございます。
 大会経費につきましては、これまで、平成二十八年末のバージョンワンの一兆五千億円から平成二十九年末のバージョンツーの一兆三千五百億円へ一千五百億円削減をいたしまして、経費縮減の取り組みを着実に進めてまいりました。一方で、競技種目数の増加など、コスト増に影響する要素もございまして、さらなる経費の縮減は容易な課題ではございません。
 そうした中、組織委員会と連携をいたしまして、IOCが定める要件の見直しや緩和などを求めてきております。
 今後とも、大会運営要件の見直しをIOCに求めるなどの取り組みを進めまして、経費を精査してまいります。
 加えまして、大会の成功と大会後を見据えましたレガシーの創出に向けて、必要な経費はしっかりと見きわめ、めり張りをきかせたバージョンスリー、バージョンフォーを作成して、開催都市としての責任を果たしてまいります。
 選手村の土地価格についてでございます。
 都は、大会期間中に一時使用することなど選手村の特殊要因を踏まえまして、土地の価格を、定められた基準に基づいて算定して、法令による手続を経て適正に決定をいたしております。
 その手続の過程におきましては、不動産鑑定士や弁護士など外部の専門家を含む委員会で審議を行っております。
 このように価格の決定につきましては、法令に基づいて適正、公正に行っております。
 財政運営についてでございます。
 都民が安心して暮らせる明るい未来に向けまして道を切り開いていくためには、増加する社会保障関係経費への対応は、財政運営上重要な視点でございます。
 平成三十年度予算案におきましても、創意工夫を凝らして、より一層無駄の排除を徹底しながら、待機児童の解消に向けた取り組み、高齢者や障害者の暮らしへの支援など、人が輝くための施策を重点的に展開いたしまして、福祉と保健予算の充実を図っております。
 今後とも、必要な施策には的確に財源を振り向けまして、子供や高齢者、障害者など誰もが生き生きと活躍できるダイバーシティー東京を実現してまいります。
 次に、財政運営と社会資本整備についてのご質問でございます。
 東京の都市機能を支えるインフラ整備への投資は、東京の持続的発展の基盤となりまして、都民の利便性、生活の質の向上を図る上でも不可欠でございます。見直すべきものは見直しを行った上で、真に必要な取り組みは着実に進めていく必要がございます。
 こうした観点から、平成三十年度予算案におきましても、中長期的な視点を踏まえて、必要な投資は積極的に行う一方で、執行状況を踏まえまして、特定整備路線の整備に係る予算額を前年度比で減とするなど、賢い支出を徹底しております。
 今後とも、事業評価の取り組みなどによりまして、事業の必要性や経費の内容などを厳しく検証しつつ、都政の諸課題にしっかり取り組んでまいります。
 都市計画道路についてでございます。
 都市計画道路は、交通、物流機能の向上による経済の活性化のみならず、日々の生活を支え、災害時には救急救援活動を担う重要な都市基盤でございます。
 加えまして、無電柱化、歩道や自転車走行空間の整備、街路樹による緑化を行うことによりまして、環境、景観の向上などにも寄与するものでございます。
 これまで都は、都市計画道路の整備を計画的、効率的に進めるため、事業化計画を策定しまして、あわせて見直しを適宜行ってきております。現行の計画でも、廃止や縮小など計画を見直すべき路線といたしまして九路線五キロメートルを示しております。このうち補助第九八号線につきましては、廃止の手続に向けた準備を進めております。
 加えまして、今年度からは新たに、優先的に整備すべき路線を除きます未着手の都市計画道路のあり方につきまして、区市町とともに幅広く検討を行っておりまして、さらなる見直しを進めてまいります。
 今後とも、見直すべきものは見直す一方で、地元の理解を得ながら、必要な都市計画道路の整備を着実に進めてまいります。
 羽田空港の新飛行経路案についてでございます。
 東京の国際競争力の強化に向けましては、東京二〇二〇大会やその後の航空需要に応えて、国際便の就航をふやしていくためにも、羽田空港の容量拡大は必要不可欠でございます。
 国が提案した飛行経路の見直しに対して、都は地元への丁寧な情報提供と騒音影響を軽減する方策の検討、そして徹底した安全管理に取り組むことを国に要請しております。
 これを受けて国は、都内各地で四期にわたってオープンハウス型の説明会を開催するなど、丁寧な説明と意見の把握に努めてきておりまして、今後も継続していく予定でございます。
 また、国は、低騒音機の導入促進や防音工事の助成など騒音影響の軽減方策に加え、安全対策といたしまして、駐機中の航空機のチェック体制の強化や落下物防止の基準策定などに取り組んでおります。
 都は、引き続き国に対しまして、こうした取り組みを求めるとともに、都としても都民の理解が深まるように国に協力をして、国際都市東京にふさわしい玄関口としての羽田空港の機能強化を図ってまいります。
 米軍機の事故についてのご質問がございました。
 アジア太平洋地域の安全保障環境は、北朝鮮情勢を初め大変厳しさを増しております。そうした中で、日米安全保障体制は、我が国のみならず、地域の平和、安定のために重要な役割を果たしていると考えます。
 安全保障に関することは国の専管事項でございますが、米軍の運用に当たりましては、地元住民の生活への最大限の配慮が必要と考えます。
 都は国に対しまして、米軍機の運用について、安全対策の徹底などを米国に働きかけるとともに、地元への情報提供を行うように要請をいたしております。
 渉外知事会におきましても、米軍機の事故等が多く発生している中で、実効性のある安全対策をとるように日米両国政府に対し特別要請を行っております。
 今後も都民の生命、そして安全・安心を守る立場から、国に対して必要なことを申し入れてまいります。
 なお、残余の質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長よりの答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 奨学給付金制度等についてでございますが、国の制度は、全ての意志ある生徒が安心して教育を受けられるよう、低所得者世帯の授業料以外の教育費の負担を軽減するもので、制度開始の翌年度となる平成二十七年度から毎年度、非課税世帯に対する給付額の改善が図られております。
 現在、この制度について都は、ICTを活用した学習等、多様な教育活動に対応できるよう、給付対象について非課税世帯からさらに拡大するなど、一層の充実を求める提案要求を国に対し行っております。
 さらに、今年度からは、都独自の取り組みとして、給付型奨学金の創設と特別奨学金の拡充を行ったところでございます。
 今後とも、学ぶ意欲と能力のある全ての子供に対する質の高い教育の実現に努めてまいります。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 十二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、新耐震基準の建築物に対する安全性についてでございます。
 熊本地震での被害を踏まえ、国が設置した委員会の報告では、倒壊した木造建築物の多くが旧耐震基準によるものであり、このような建築物の耐震化の一層の促進が必要であるとしてございます。
 加えて、新耐震基準の木造建築物の中でも、平成十二年以前の建築物の一部で倒壊等の被害があったことから、国は、所有者みずからが構造上の弱点となる接合部の安全点検を行うことを推奨してございます。
 これを踏まえ、都としても、まずは旧耐震基準の木造住宅の耐震化を促進していくことが重要であり、平成十二年以前に建築された新耐震基準の木造住宅では、所有者による安全点検を行うよう促していくことが必要であると認識してございます。
 次に、新耐震基準の木造住宅への支援についてでございます。
 旧耐震基準の木造住宅の耐震化をしっかりと進めていくため、来年度から、所有者への積極的な働きかけなど行う区市町村を対象に、整備地域外でも都費を充当し、助成を実施してまいります。
 一方、平成十二年以前に建築された新耐震基準の木造住宅については、所有者みずからの安全点検を促すために、耐震キャンペーンやパンフレットの配布などを通じて啓発を行ってございます。
 加えて、来年度からは、区市町村がこのような安全点検を促す啓発のため、建築士などを派遣する場合に支援を行うなど、取り組みを拡充してまいります。
 次に、選手村の敷地についてでございます。
 選手村の敷地は、大会時に選手の宿泊施設となる建物等の建築工事を行う民間事業者と敷地譲渡契約を締結した上で、現在は都が所有しており、都市再開発法の定めに従って、建築工事の完了後に所有権を移転することになります。
 次に、選手村の整備についてでございます。
 都は、市街地再開発事業を実施し、大会時に選手の宿泊施設となる建物等については、民間事業者により整備を進めてございます。民間事業者の選定に当たっては、選手村の特殊要因を踏まえて、土地の価格を、定められた基準に基づき算定し、法令による手続を経て公募、決定をしてございます。
 こうした経緯を初め、事業の概要や工事の状況などについて、これまでも積極的に情報公開してまいりました。
 今後も都民の理解を得ながら、大会時には選手村がその役割をしっかりと果たせるよう、限られた時間の中で着実に整備を進めてまいります。
 次に、岸記念体育会館敷地の優先整備区域への指定についてでございます。
 当該敷地は、都市計画代々木公園として、昭和三十二年に都市計画決定されており、いずれは公園として整備されるべき土地でございました。また、東京二〇二〇大会の競技会場となる国立代々木競技場に隣接しており、大会運営用地として適地と考えられてございました。
 そのような状況などを踏まえて、都は、会館敷地を含む街区を大会運営に活用できるよう、早期に事業化を図るため、優先整備区域に指定したものでございます。
 公表に先立って、日本体育協会に対して区域の指定を想定していることについて伝えていたと承知してございます。
 次に、神宮外苑の都有地についてでございます。
 都は、神宮外苑地区におけるスポーツクラスターの形成について、平成二十三年十二月に策定した「二〇二〇年の東京」計画に位置づけており、その形成に向けて、都は日本体育協会に対して、岸記念体育会館の移転の検討をすることを平成二十四年に提案をいたしました。それ以降、移転先として都有地を活用することについて、協会から都に問い合わせなどがございました。
 また、その後、移転に向けた進め方などについて相談を行う中で、都から協会に対して、移転先として想定していた候補地についても伝えてございます。
 次に、日本体育協会からの相談などについてでございます。
 岸記念体育会館の現地での建てかえについては、協会が平成十六年ごろから検討しており、会館が都市計画公園の区域内にあることなどから、都に対して都市計画規制などについての相談が寄せられてございました。
 神宮外苑地区への移転については、同地区のスポーツクラスターの形成に向けて、平成二十四年に都から協会に対して移転の検討をすることを提案しており、その後、それに関して協会から都に問い合わせなどがございました。
 次に、日本体育協会元会長の森喜朗氏からの相談などについてでございます。
 岸記念体育会館の神宮外苑地区への移転について、森氏から都に相談や働きかけがあったとの記録は見当たりません。
 次に、都市計画道路の見直しについてでございます。
 名古屋市では、お話の事業化された一路線について、廃止に向けた検討が進められている一方、市内の都市計画道路の整備率が九割を超え、残る未着手の計画についても、整備プログラムを策定したと聞いてございます。
 都はこれまで、全国に先駆けて事業化計画を策定し、優先的に整備に取り組む路線を示す一方、適宜見直しを行ってきてございます。
 今年度からは、事業中路線や優先整備路線、これらを除く都市計画道路のあり方について、区市町と共同で幅広く検討を行ってございます。来年度早期に中間のまとめを公表し、都民の意見を聞いた上で、来年度末を目途に、計画変更などの対応方針を示してまいります。
 今後とも、見直すべきものは見直し、地元の理解を得ながら、必要な都市計画道路の整備を着実に進めてまいります。
 次に、航空機からの落下物についてでございます。
 新飛行経路は、市街地の上空を通過することから、安全管理の徹底が重要であると認識してございます。
 現在、国は、職員みずから駐機中の航空機をチェックする新たな体制の構築や、落下物の原因者である航空会社に対する処分の仕組みづくりなどを進めており、新飛行経路の運用開始までには実施するとしてございます。
 加えて国は、最近の落下物事案の発生を踏まえ、外国航空会社を含む全ての航空会社から部品欠落の報告を求める運用を昨年十一月から開始し、また、航空会社が遵守すべき落下物防止対策基準案を、今年度内を目途に取りまとめる予定でございます。
 都は、引き続き国に対し、安全管理の徹底を図るよう要請してまいります。
 次に、羽田空港周辺での騒音値についてでございます。
 国は、羽田空港の現在の飛行経路において、十六カ所の騒音測定局を設置し、常時、騒音を測定しており、飛行中の航空機の機種や高度などとあわせて、各測定局での実測値をホームページで公表してございます。
 また、新飛行経路に関しては、現在航空機が飛行しておりませんので、国がこれまで測定した騒音のデータをもとに、航空機の機種ごと、高度ごとに最大測定値を推計し、ホームページで公表してございます。
 都は、引き続き国に対し、地域への騒音影響の軽減と丁寧な情報提供を求めてまいります。
 最後に、日米地位協定及びその運用の見直しについてでございます。
 安全保障に関することは、国の専管事項でございますが、米軍の運用に当たっては、安全面に最大限配慮するとともに、地元住民に与える影響を最小限にとどめるよう努めるべきでございます。
 このため、都は、地域に影響を及ぼす米軍の運用について、日米地位協定の見直しなどを含め、他の自治体とも連携しながら、国や米軍に要請を行ってございます。
 今後とも、都民の安全と生活環境を守る立場から、必要な申し入れを行ってまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、土壌汚染対策についてですが、専門家会議には、豊洲市場の地下水の現状を踏まえた上で、さらなる安全性を確保するため、地下水管理システムの機能強化など、必要な追加対策を提言していただきました。
 同システムの揚水機能を強化することで豊洲市場の地下水位を低下させるとともに、基準を超えた地下水も徐々に回収され、中長期的には地下水質が改善されていくものと認識しております。このことは専門家会議でも指摘されております。
 まずは、同システムの機能強化工事を推進することが重要でございまして、工事を着実に進めることで、さらなる安全性の確保を図ってまいります。
 次に、追加対策工事についてですが、今回の追加対策工事は、無害化にかわる新たな方針に基づいて実施するものでございます。専門家会議から提言していただきました地下水管理システムの機能強化工事は、同システムの揚水機能を強化することで、豊洲市場の地下水を適切に管理することを目指すものでございます。
 今後、工事を着実に実施することで、地下水位を低下させるとともに、地下水を適切に管理してまいります。
 次に、豊洲移転に係る業界との合意についてですが、豊洲市場への移転につきましては、築地市場で事業を営む市場業者で構成されます業界団体の代表者を委員とした新市場建設協議会において調整を行っており、開場日につきましても、その場におきまして業界と合意した上で、都として正式に決定したものでございます。
 次に、市場業者への説明についてですが、市場業者に対しては、追加対策工事の内容を初め都の取り組みについて、市場業者にも開かれた場でございます新市場建設協議会において報告しております。
 また、水産仲卸業者等に対しましては、業界団体が主催する全組合員を対象といたしました説明会で、情報提供や意見交換を実施してまいりました。
 今後とも、市場業者の方々に対しまして丁寧に対応してまいります。
 最後に、豊洲市場七街区の地下ピット床面等工事を特命随意契約とした理由についてでございますが、本工事におきまして、早期に工事発注できるよう、平成二十九年九月に希望制指名競争入札による契約手続を開始いたしましたが、手続を三回行っても落札者が決定しない状況にございました。
 このような状況におきまして、早期に契約を締結し、適正な工期を確保するという観点から、再度、競争入札に付することは適当ではなく、地方自治法施行令第百六十七条の二第一項第六号の競争入札に付することが不利と認められるときという規定を適用いたしまして、特命随意契約としたものでございます。
〔財務局長武市敬君登壇〕

○財務局長(武市敬君) 競争入札などへの指名停止についてでございます。
 平成二十九年八月、大成建設株式会社が施工する民間発注の工事におきまして、下請作業員三名が死亡する事故が発生をいたしました。
 本件は社会的影響も大きく、東京都競争入札参加有資格者指名停止等措置要綱が定める指名停止の要件に該当することから、指名停止としたものでございます。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、国民健康保険における子供の均等割保険料でありますが、国民健康保険は法に基づく全国統一の制度であり、制度上の課題については制度設計者である国が責任を持って対応すべきものでございます。
 都は、全国知事会を通じて、子育て支援の観点から、子供に係る均等割保険料を軽減する制度を設けるよう、国に対して要望しております。
 次に、特別養護老人ホームの整備についてでありますが、国は、入居者の尊厳を重視したケアを実現するため、個室で構成されるユニット型での整備を基本としております。
 都は、平成三十七年度末までに六万二千人分の特別養護老人ホームを整備することを目標としており、その整備に当たりましては、ユニット型での整備を基本としつつ、地域の実情に応じて区市町村が必要と認める場合には、増加定員の三〇%を上限に、多床室の整備に対して補助を行っております。
 低所得者の食費、居住費につきましては、所得に応じた負担軽減の措置が講じられております。
 次に、高齢者施設や障害者施設への都有地活用についてでありますが、都は現在、地域における福祉インフラの整備を促進するため、保育所を初め福祉施設の運営事業者や区市町村に対して、未利用の都有地を減額して貸し付けております。
 保育所のほか、高齢者や障害者の施設も貸し付けの対象としており、都有地活用推進本部で洗い出した土地につきましても、区市町村の意向があれば、それらの施設を整備することも可能となっております。
 今後とも、区市町村が地域のニーズを踏まえて、福祉インフラの整備を進められるよう、都有地の有効活用を図ってまいります。
 最後に、障害者グループホームへの支援についてでありますが、都は、地域における障害者の居住の場であるグループホームの事業者が質の高いサービスを提供できるよう、国の報酬に加え、都独自の補助を実施しております。
 来年度の見直しは、高齢化や障害の重度化等を踏まえて、職員を手厚く配置する事業者が充実した支援を行えるよう、補助単価を変更するものでございます。
 また、国報酬の帰宅時支援加算や福祉専門職配置加算などに対応したサービスを行った場合でも、全体の収入額が変わらない現在の仕組みを、国の加算額が反映される仕組みに改めることとしております。
 見直しに当たりましては、事業者団体へのヒアリングや説明会を実施しており、必要な経過期間も設けることとしております。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、非正規雇用対策の推進についてでございますが、都はこれまで、非正規労働者の正規雇用化に向けて、社内での正規雇用転換を促進する助成事業やセミナーと企業実習を組み合わせたプログラムなど、平成二十七年度から三年間で一万五千人を目標に、総合的な対策を実施してきたところでございます。
 こうした取り組みなどにより、昨年度までの二年間で目標を上回る正規雇用化を実現するなど、企業による正社員化の動きは活発化しているところでございます。
 今後は、正規雇用化後の定着を見据えた質のよい転換を促進することが重要でございまして、継続した育成を行うなど、安心して働き続けられる労働環境の整備に取り組む企業を後押ししてまいります。
 次に、非正規雇用対策の検討の進め方についてでございますが、実効性ある対策を実施するためには、企業や労働者の実態と課題を把握することが重要でございます。
 都は、国と雇用対策協定を締結し、運営協議会を開催の上、毎年度事業計画を策定するなど、緊密に連携して取り組みを進めております。
 また、労使団体の代表者が参加する会議や社会保険労務士など、現場の実情に精通した専門家からのヒアリングを精力的に行っており、非正規雇用労働者の実態など最新の雇用情勢の把握に努め、施策に反映をしております。
 今後とも、現場の実情に即した施策を的確に展開してまいります。
 最後に、小規模企業への支援についてでございますが、都はこれまでも、小規模企業に対する幅広い支援を実施してきております。また、法律に基づく国の小規模企業振興基本計画も踏まえ、必要な支援も行っているところでございます。
 今後とも、小規模企業の支援に取り組んでまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、共同実施事業管理委員会の取り組みについてでございます。
 平成二十九年五月の大枠の合意では、都や国などが、仮設等、エネルギー、テクノロジー、輸送、セキュリティーなどの経費の一部を分担することとしており、こうした共同実施事業を適切に遂行、管理するため、同年九月に、都、国、組織委員会の三者で本委員会を設置し、この経過は既に公表しているところであります。
 大会経費バージョンツーの公表前に開催した共同実施事業管理委員会では、組織委員会が報告した経費圧縮に向けた取り組みを引き続き進めることや、情報提供に努めることなどについて三者で確認をしております。
 それらの会議資料や議事要旨につきましては、契約発注前の情報や企業の事業活動情報などの秘密情報等を除き、ホームページで公開しているところであります。
 次に、選手村の整備手法についてでありますが、選手村は、大会において最も重要な施設の一つであり、整備に当たっては、大規模な民間開発を確実に遂行させるとともに、大会要件に合致するさまざまな施設を期限内に完成させなければならないことから、都が工程管理する必要がございます。
 加えて、大会終了後には、選手村のレガシーとして多様な人々が交流し、集うまちとしていくため、全体の調和が図られた開発を取りまとめることも重要であります。
 こうしたことから、選手村の整備に当たりましては、都が施行主体となり、一元的な工程管理と総合的なまちづくりが可能な市街地再開発事業を実施することとしたものであり、民間事業者に有利であるとして事業手法を選定したものではございません。
 次に、選手村に係る大会時の都負担についてでありますが、大会にかかわる選手村の仮設整備費用としては、民間事業者が構造躯体まで整備した住宅棟にユニットバスやエアコンを含む大会時内装を設置、撤去する費用及びメーンダイニング等の仮設建築物を整備する費用がございます。
 これらは平成二十九年五月の大枠の合意に基づき、組織委員会が今後契約を締結し、その費用は都が負担いたします。その金額は、都も参画する共同実施事業管理委員会等を経て定めてまいります。
 住宅棟を民間事業者から選手村として借りる費用も都の負担でありますが、今後、所定の手続を経て決定いたします。
 これらの額については、設計段階のものや契約前であり、今後の契約等に影響を与えるものであるため、現段階では公表ができません。これらの課題が全てクリアした段階での公表のあり方については、今後検討してまいります。
 次に、ハンドボール会場についてでありますが、東京二〇二〇大会の開催に向けた会場整備に当たっては、セキュリティー上、特段の配慮が必要な観客の入退場管理や競技運営用の施設、選手や関係者のための施設、プレスや放送等を行うためのエリアでありますメディアコンパウンドのほか、大会関係者等の待機場所や駐車スペースなどを会場内外に配置する必要がございます。
 ハンドボール等の会場である国立代々木競技場のみでは、これらの大会運営用地に活用できる適当な敷地が不足しております。
 最後に、岸記念体育会館敷地の大会時の使用についてでありますが、国立代々木競技場における会場計画につきましては、他の会場と同様、競技エリアとの位置関係、選手と観客の動線、輸送計画等を踏まえ、適切に決定していく必要がございます。
 組織委員会では、代々木会場のより円滑かつ効率的な運営に向け、岸記念体育会館敷地も含め、先ほどお答えした施設の配置について、具体的に検討を行っているところでございます。

再質問、答弁

○八十一番(白石たみお君) 知事に再質問します。
 まず、選手村問題です。
 再開発の手続に沿って適正にやっているとの答弁でした。しかし、更地に選手村をつくるのに再開発の手法を使うことがおかしいのです。再開発というのは、一度開発されて既存の建物があり、複数の所有者の権利関係の調整などが必要な土地を再び開発するものです。
 ところが、選手村の敷地は、建物など何もない更地の都有地で、所有者は東京都だけです。
 知事、更地を再開発するというのは、素朴におかしいと思いませんか。
 次に、基地問題です。
 知事は、相次ぐ米軍機事故について、米軍基地を持つ自治体の渉外知事会で、特別要請をしたといいました。その中で、渉外知事会は、短期間にこれだけ多くの事故が起きることは決して看過できない、基地周辺住民や自治体に米軍航空機の整備や安全対策などについて大きな不安と不信を抱かせているとの認識を示しています。知事はどう認識していますか。
 オスプレイが五年に一度の定期点検をしないまま、車検切れのような状態で飛び回り、横田基地周辺でいつ事故が起きてもおかしくない事態にあることを知事はどう考えているのですか。
 以上、二問について知事にお答えいただきたいと思います。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 白石たみお議員の再質問にお答えをいたします。
 米軍機の事故についての再質問がございました。
 改めて申し上げますと、アジア太平洋地域の安全保障環境は、北朝鮮情勢を初めとして大変厳しさを増しているのはご存じのとおりでございます。そうした中で、日米安全保障体制が我が国のみならず、地域の平和、安定のために重要な役割を果たしております。
 安全保障に関することは国の専管事項でございますけれども、米軍の運用に当たりましては、地元住民の生活への最大限の配慮が必要ということで、私もメンバーに入っております渉外知事会におきまして、最近の米軍機の事故等の状況を踏まえて、実効性ある安全対策について、ことし二月六日、特別要請を行っております。米軍機の事故や予防着陸、緊急着陸が多く発生しております。安全対策の徹底が必要でございます。
 今後も都民の命、安全、安心を守る立場から、国に対して必要なことを申し入れてまいります。
 他の再質問につきましては、都技監よりの答弁とさせていただきます。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 更地での市街地再開発事業についてでございます。
 土地の高度利用を図ることが都市機能の更新に貢献すること、あるいは区域内に十分な公共施設がないことなど、都市再開発法で定める条件に合致する場合は、更地においても市街地再開発事業を行うことが可能でございます。