ご意見・ご要望
ページトップヘ

質問・条例提案

2020.02.28

本会議 米倉春奈都議(豊島区選出)の一般質問

2月28日の本会議で、米倉春奈都議(豊島区選出)が一般質問を行いました。

動画(都議会ホームページです。令和2年第1回定例会 > 2月28日 代表・一般質問をご覧ください)

★質問全文(質問原稿)です。

  1. 困難を抱える若年女性への支援について
  2. 性犯罪・性暴力被害者への支援について

★答弁(議事録速報版より)


一、困難を抱える若年女性への支援について

Q1 虐待や生活困窮などで家にいられない女子中高生などが、支援につながらず、街をさまよい、SNSで危険な大人と出会い、JKビジネスなど性的搾取や性売買などの被害にあっています。こうした若年女性には、これまで公的支援は届かないことが多く、民間の必死な努力まかせのような状況でした。
 私はこれまでも、こうした女性たちへの支援に取り組むよう求めてきました。そうした中で、都が一昨年から、公的機関・施設と民間支援団体とが連携し、夜間の見回りや声かけなどのアウトリーチ支援などを行い、公的機関や施設へつなぐことを目的とした、「若年被害女性等モデル事業」をはじめたことは重要です。
 都が、困難を抱える若年女性への支援を位置づけて取り組むことは重要ですが、知事はどう認識していますか。
 今後、モデル事業を通じて明らかになった現行制度の課題をふまえ、見直しにつなげること、また都の事業として発展させることを求めますが、合わせて知事の見解をうかがいます。

 私は、モデル事業を行う3つの団体からお話を聞きました。その実態をふまえ、質問します。

Q2 アウトリーチに取り組む団体は、街で声かけし相談に乗ることができても、その後の行き先がないことが問題だと話しています。都は、責任をもってつながった方が安心できる場所に行けるようにするべきです。いかがですか。

Q3 居場所として、婦人保護施設は本人に寄り添った支援ができる重要な存在です。ところが利用率は非常に低く、都内では昨年度末時点で約3割です。国の「困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会」では、婦人保護施設の方から、「ニーズは山のようにある」「今でも駆け出して一人ずつ迎えに行きたいぐらい」などの意見が出され、私も、婦人保護施設や支援団体の方々から、もっと利用できるようにすべきという声をいくつも聞いています。
 婦人保護施設をさらに活用できるようにすべきではありませんか。

Q4 入所率が低い理由のひとつが、入所までのハードルの高さです。婦人保護施設を利用するには、原則、一時保護所に、平均16日間も入所しなければなりません。一時保護所は、DVの被害者が多く入るため、加害者の追跡を防ぐために基本的に、スマホも使えず、仕事や学校などの外出もできません。そのことが、利用をためらわせる大きな原因となっています。
 一時保護所に入らずとも、直接、婦人保護施設に入所できるよう、一時保護委託を積極的に行うべきです。一時保護委託の対象者はDV被害者など、加害者の追跡の危険が大きい方が中心でしたが、国は昨年、追跡の危険が少ない人や、いわゆる「居所なし」の人にも対象を広げる通知を出しました。都は本人の意向や状態をふまえ、より積極的に一時保護委託を行っていくべきですが、いかがですか。

 一時保護委託から通常の入所に移行する際の対応も改善が必要です。

Q5 厚労省は、一時保護委託された方について、婦人保護施設に入所するかどうか判断するにあたって、利用者を一時保護所に入所させる措置をとっている自治体があると指摘し、必要に応じて直接、婦人保護施設への入所に移行するなど、柔軟な対応を促す旨の通知を出しています。都も積極的に対応すべきではありませんか。

Q6 婦人保護施設を利用したいと思う方への、女性相談センターなどの対応の改善を求める声も関係者から多数上がっています。
 たとえば、一時保護所に入所の際に、一切外出も携帯もダメだなどとルールの中でも一番厳しいルールを言われることはよくあり、そういうことを本人が脅しと感じることもあると指摘されています。
 都として、相談に来る方が安心して支援を受けられる説明や対応を徹底すべきではありませんか。

Q7 18歳前後の方への支援は、相談者が17歳までは児童相談所、18歳からは女性相談センターと区切られていますが、18歳未満でも婦人保護施設を利用した方が良いケースや、女性相談センターにつながったけれど自立援助ホームを利用できると良いケースなど、柔軟な対応が必要なものもあります。
 児童相談所と女性相談センターの連携を強め、有効な支援を行っていくべきですが、いかがですか。

Q8 ケース会議も必要です。児童相談所では、関係者が対応を話し合うためのケース会議を、一人の相談者について何度も開いています。
 モデル事業は、公的機関と民間支援団体の密接な連携を位置づけているのですから、児童福祉と同様に、ケース会議を行うべきです。いかがですか。

Q9 予算の増額も求められています。モデル事業の予算は1団体に年間1千万円で、とてもそれでできる事業ではないというのは、事業を行う3団体に共通しています。夜間に見回りや声かけをし、必要な方に居場所を確保し、公的な支援につなぐには、人件費や家賃などに3千万円はかかるそうです。都が上乗せして増額するべきではありませんか。

二、性犯罪・性暴力被害者への支援について

 次に、性犯罪・性暴力被害者への支援の充実についてです。
 内閣府の調査では、無理やり性交などをされた経験がある方は、女性の13人に1人にのぼります。
 性暴力は、他にも性的虐待やセクハラ、痴漢なども含みますが、深い心の傷をつくり、PTSDに苦しむ、電車に乗ることも怖くなり学校や仕事を続けられなくなる、異性恐怖症が長引いてしまうなど、深刻な問題です。
 一方で、勇気を出して警察に被害届を出しても、7割のケースが不起訴になり、加害者は罪に問われません。裁判でも、同意がなかったことや抵抗できなかったことが事実認定されても無罪判決が出されます。そうなると被害者はさらに苦しみます。
 性暴力の被害者は、未成年や若い女性であることが多く、人生のスタート地点で、夢や、社会、人間に対する信頼や期待が奪われる状況は深刻で、一刻も早い改善が求められています。
 この間、ジャーナリストの伊藤詩織さんが自身の性暴力の被害を告発し、昨年、東京地裁で被害が認定されました。世界中で、性暴力に声を上げる#MeToo運動が、日本各地でもフラワーデモが広がり、性犯罪や性暴力の実態が公の場で語られ、社会制度の改善の世論を広げています。
 こうした声に耳を傾けて、

Q1 都としても、性犯罪・性暴力被害者への支援を充実することが求められていますが、知事は、どう認識していますか。

 都が性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターを増やすことは重要です。
 ワンストップ支援センターは、産婦人科での性暴力の診断やケア、相談・カウンセリングなどの心理的支援、証拠採取など捜査関連の支援などを可能な限り1か所で提供するセンターです。被害者の負担を軽くし、できるだけ早い支援を提供することで回復を早くすること、警察への届け出をしやすくすることを目的としています。
 都は民間支援団体と連携し、ワンストップ支援センターを一か所運営し、年間4000件近い相談が寄せられています。私も事務所にうかがいましたが、現場は力を尽くしてくださっていることを実感しました。

Q2 ただ、国連の「女性に対する暴力に関する立法ハンドブック」では、女性20万人につき1か所の支援センターを設立すべきとしています。東京の女性の人口約700万人からすると、都内に35か所は必要となります。都内でワンストップ支援が受けられる窓口を増やすべきですがいかがですか。

 日本弁護士連合会や国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは、拠点となる病院内に支援センターを設置する病院拠点型のセンターを、各都道府県に最低1か所設置するよう提言しています。このタイプのセンターは都内にありません。
 私は、愛知県の名古屋第二赤十字病院に設置されている、病院拠点型の「性暴力救援センター日赤なごや なごみ」にうかがい、話を聞いてきました。なごみでは、電話相談だけでなく、医療支援も24時間行っており、新規に来られる方の約半数が病院の時間外の来所です。他の患者と一緒に待たせることはなく、人目にふれず診察室に入り、治療や証拠採取、緊急避妊、性感染症の検査などを受けることができます。24時間いつでも、少ない負担で総合的な支援を受けられる、病院拠点型センターの重要性を強く感じました。

Q3 都は、病院拠点型のワンストップ支援センターの重要性をどう認識していますか。

Q4 女性医療に取り組む大塚病院をはじめ都立病院などに、ワンストップ支援センターの設置を検討すべきです、いかがですか。

 ワンストップ支援センターのある病院や、センターと連携する病院に、性暴力の専門性を持つスタッフがいることも重要です。

Q5 「日赤なごや なごみ」への紹介経路で、警察に次いで二番目に多いのは、院内スタッフです。来院した方が被害者ではないかとスタッフが気づき、つないでいます。
 というのも病院は性暴力被害にあった方の多くが訪れる場だからです。産婦人科には性暴力被害にあい緊急避妊用ピルの処方を求めてくる方、感染症対応や、中絶のために来る方がいます。夜中に救急外来にけがで来る方の中にはDV被害の中で性暴力を受けている方がいます。ICUには精神的に追い詰められ、薬を大量に服薬した方が来ます。小児科にけがなどで来る患者も、性虐待を受けている場合もあります。
 こうした被害者に気づくのが性暴力被害者支援看護職、SANEです。SANEは性暴力の被害者に適切なケアを提供するための訓練を受けた看護師で、健康障害の背景にある暴力被害に気づき、その専門性をいかして医療とケアの質の向上にも貢献します。
 都としてSANEの重要性を位置づけ、役割を果たせるよう、関係する機関や病院に周知し、SANEの配置や養成を支援することが必要ですが、都の対応をうかがいます。

Q6 また、都立病院でもSANEの養成と配置を進めるべきですが、いかがですか。

 性暴力被害は若年者にとって深刻な問題です。若者へのワンストップ支援センターの周知の強化と、性暴力の加害も被害も起こさないために性教育の充実を求めて、質問を終わります。


○知事(小池百合子君) 米倉春奈議員の一般質問にお答えをいたします。
 若年女性への支援についてのご質問でございます。
 虐待や貧困などで家庭に居場所がない等、さまざまな困難を抱える若年女性への支援は重要でございます。都は昨年度から、こうした女性に対します支援のノウハウを持つ民間団体等と連携をいたしまして、SNSを活用した相談や夜間の見回り等のアウトリーチ、一時的な居場所の提供等を行う若年被害女性等支援モデル事業を実施しております。
 この事業におきましては、関係機関で構成いたします連携会議を設置いたしまして、具体的な支援の取り組み状況を共有、必要な調整を行うほか、事業実施上の課題等につきましても意見交換を行っております。
 本事業の実施状況も踏まえまして、今後も民間団体を初め、関係機関と連携をいたしながら、個々のケースに応じたきめ細かな支援を行ってまいります。
 次に、性犯罪、性暴力被害者支援についてでございます。
 性犯罪等被害者は、被害後、精神的ダメージを受けるだけでなく、望まない妊娠などのリスクを負うため、被害直後からの早期回復に向けた支援は重要でございます。こうしたことから、都は、民間支援団体と連携いたしまして、性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターを、二十四時間三百六十五日体制で運営をいたしまして、被害直後から相談対応、医療機関等への付き添い、専門機関によります精神的ケアなどの支援を行っております。
 さらに、令和二年度からは、精神的ケアの充実に取り組んでいくことといたしておりまして、引き続き、被害者に寄り添った支援を進めてまいります。
 残余のご質問は、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔福祉保健局長内藤淳君登壇〕

○福祉保健局長(内藤淳君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、若年女性への支援についてでありますが、都では、女性の状況に応じて、一時的に安全・安心な居場所を提供し、日常生活上の支援、不安や悩み等に対する相談支援を実施しております。
 自立に向けては、女性の新たな生活、就業等に関する助言等を行うとともに、関係機関への同行支援や連絡調整を行い、必要な支援につなげており、今後とも関係機関と連携しながら適切に対応してまいります。
 次に、婦人保護施設の活用についてでありますが、都は、さまざまな困難を抱える女性の自立に向け、婦人保護施設における支援が必要な場合、適切に入所措置を行っております。国は、昨年度設置した、困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会において、婦人保護施設の活用に向けた施設の役割や機能等について検討を行っているところでございます。
 都といたしましては、こうした国の動向を注視するとともに、さまざまな困難を抱える女性や施設の入所状況を踏まえながら、引き続き、婦人保護施設を適切に活用してまいります。
 次に、婦人保護施設への一時保護委託についてでありますが、国は、昨年七月に発出した通知で、一時保護委託の対象範囲をDV被害者等以外にも拡大しております。都はこれまでも、保護の必要な女性の状況等に応じて一時保護委託を活用しており、通知の趣旨も踏まえ、引き続き適切に対応してまいります。
 次に、婦人保護施設への入所についてでありますが、さまざまな困難を抱える女性を適切な支援につなげるためには、女性の状況を丁寧に把握する必要がございます。そのため、東京都女性相談センターの一時保護所におきましては、医師や心理職などの専門職を複数配置して、インテークや心理面接などをきめ細かく行い、施設入所や自立支援など、個々の状況に応じた支援につなげております。都といたしましては、一時保護委託先から婦人保護施設への直接入所については慎重な検討が必要であると考えております。
 次に、一時保護所での対応についてでありますが、女性相談センターは、DV被害者の一時保護所としての機能を有していることから、利用者の安全・安心の確保を図るため、居場所が特定されないよう、携帯電話などの通信機器は預かるなど、一定のルールを定めております。
 センターでは、こうしたルールも含め、一時保護中の生活等について、利用者の気持ちに寄り添いながら、丁寧に説明しているところでございます。
 次に、十八歳前後の若年女性への支援についてでありますが、保護が必要な女性が状況に応じた適切な支援が受けられるようにするためには、関係機関が連携して対応することが重要でございます。都は、区市町村等と連携し、原則として十八歳未満は児童相談所、十八歳以上は女性相談センターで一時保護を行っております。十八歳前後の女性についても、児童相談所と女性相談センターが連携しながら、必要に応じて自立援助ホームや婦人保護施設などの利用につなげております。
 次に、若年被害女性等支援モデル事業における関係機関の連携についてでありますが、都は、本事業において、さまざまな困難を抱える女性に対して、福祉事務所など関係機関と連携し、個別に情報を共有しながら対応しているところでございます。
 その中で、特に複雑な課題を抱える女性に対しては、その都度、支援に必要な機関の担当者等で構成するケース検討会を開催し、具体的な支援内容について調整を行っており、引き続き関係機関と連携しながら適切に対応してまいります。
 最後に、若年被害女性等支援モデル事業の委託料についてでありますが、本事業の一団体当たりの委託料は、国の要綱等に基づき、昨年度は一千五十一万九千円、今年度は一千六十六万六千円であり、引き続き国の動向も踏まえ、本事業に取り組んでまいります。
〔総務局長遠藤雅彦君登壇〕

○総務局長(遠藤雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、性犯罪等被害者を支援する窓口についてでございますが、ワンストップ支援センターでは、都内全域からの電話相談を受けており、状況に応じて都が協力を依頼している約六十の医療機関と連携し、支援を行っております。
 これらの医療機関では、緊急避妊措置、性感染症検査、けがの治療等を行っており、治療等を受ける際には、ワンストップ支援センターの支援員が付き添い、被害者本人にかわって被害状況を説明するなど、精神的にサポートするとともに、被害者の要望に応じて利用できる制度や専門機関等について情報提供しております。
 引き続き、性犯罪・性暴力ワンストップ支援センターを通じて、被害者等に対する支援を適切に行ってまいります。
 次に、病院拠点型の性犯罪・性暴力ワンストップ支援センターについてでございますが、平成二十四年に内閣府が作成した、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター開設・運営の手引では、病院拠点型、相談センター拠点型、相談センターを中心とした連携型の三類型が示されております。
 都では、三類型の一つである相談センター拠点型によりワンストップ支援センターを運営し、拠点となる産婦人科の病院のほか、複数の医療機関と連携して被害者支援を行っているところでございます。
 最後に、性犯罪等被害者支援における専門人材の育成についてでございますが、都は、産婦人科医会との共催により、診療に当たる医師のほか、看護師やコメディカル等を含む医療従事者に向けた研修を年二回開催しております。研修では、性暴力の被害者支援に精通した医師、専門看護職であるSANE等を招き、性犯罪等被害者に必要な検査や投薬等の治療方法、二次的被害を避けるための診療上の留意点などについて解説をしております。
 今後も引き続き、医療従事者等の人材育成に努めてまいります。
〔病院経営本部長堤雅史君登壇〕

○病院経営本部長(堤雅史君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立病院への東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターの設置についてでございますが、現在、産婦人科もしくは婦人科を有する広尾病院、大塚病院、駒込病院、墨東病院、多摩総合医療センターの五病院が東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援事業の協力医療機関となっておりまして、性犯罪や性暴力の被害者に対して医療的な支援を行うことで役割を果たしているところでございます。
 次に、都立病院でのSANEの養成等についてでございますが、産婦人科もしくは婦人科を有する都立病院では、性暴力被害者が来院し、緊急避妊や感染症検査など医療行為を行うケースがあることから、対応する医療従事者が性暴力の被害者をケアするための知識を身につけることは重要でございます。
 そのため、都が産婦人科医会等と共催する研修への参加のほか、院内においても研修を実施するなど、適切に対応しているところでございます。