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質問・条例提案

2019.06.19

2019年第2回定例会を終えて(談話)

2019年第2回定例会を終えて

2019年6月19日
日本共産党東京都議会議員団
幹事長 大山とも子

 

1 知事の公約違反が明確になった「築地まちづくり方針」

今定例会では、予算議会につづき、築地市場跡地の活用方針「築地まちづくり方針」が重要な論点となりました。
2017年6月20日、都議選3日前に小池知事は、「築地は守る」「市場機能を確保する」という方針を発表しましたが、今回の「築地まちづくり方針」では、その約束が消えています。それどころか、「築地に都として卸売市場を整備することはない」と明記され、知事の公約違反が明確になりました。そこに示されているのは、国際会議場を中心とした、都心の一等地の再開発にすぎません。
わが党は、「築地まちづくり方針(素案)」によせられたパブリックコメント202件のうち、70件以上が、知事の公約違反への批判や、築地への市場機能整備を求めるものであったことを明らかにし、方針の見直しを求めました。しかし知事は、都民の声を受け止める姿勢を示しませんでした。
日本共産党都議団は、築地市場の歴史をしっかり引き継ぎ、都民と市場関係者、場外市場のみなさんから歓迎されるまちづくりをすすめるよう、ひきつづきつよく求めていきます。

2 東京オリ・パラ大会を、五輪憲章の実現、貧困と不平等の是正への跳躍台に

五輪憲章は、人間の尊厳に重きをおく社会の実現をめざしています。また、国連がすすめる「持続可能な開発目標」は、「誰ひとり取り残さない」を合い言葉に、貧困の打開、不平等の是正などの目標をかかげています。日本共産党都議団は、東京オリ・パラ大会を、五輪憲章と国連のこの目標達成への跳躍台として成功させる提案をおこない、都の対応の問題点がうきぼりになりました。
そのひとつが、選手村です。都は、都民の財産である都有地を、選手村用地として、周辺公示価格にくらべ1200億円も値引きして、大手デベロッパーに売り渡しました。大会後のマンションとしての売り出しが始まりましたが、6000万円から1億円以上と高額で、大多数の都民には手が出ません。一方、都営住宅はもとより、低家賃、低価格の住宅はつくられません。
日本共産党都議団は、国連の「開発目標」が、住宅の分野でも「誰ひとり取り残さない」ことをめざし、安価な住宅の確保を掲げていることを示し、高級マンションしかつくらない選手村計画の是正を求めましたが、都はこたえようとしませんでした。都営住宅の新規建設は、20年間凍結されています。東京オリ・パラ大会を機に、新規建設にふみだすことを、つよく求めるものです。
国は、羽田新ルートによる都心上空の低空飛行を解禁しようとしており、都内各地で大問題になっています。わが党は、区議会で容認できないとの決議や見直しを求める意見書があがっていることを示し、都民や関係者の理解がえられていると思っているのかとただしました。これに知事は、「区議会の意見書等をふくめ、さまざまな意見があることは承知している」と答弁しました。多くの反対がある都心上空の低空飛行を、オリ・パラ大会などを口実にすすめることは許されません。

3 くらし・福祉充実の中で、東京オリ・パラ大会を迎えることを提案

今定例会の小池知事の所信表明には、地方自治体の最大の使命である福祉という言葉は、ひと言もありませんでした。それにたいし、わが党は、都民のくらし・福祉充実のなかでオリ・パラ大会を迎えることを提案するとともに、貧困、格差、差別の是正、人間らしい働きがいのある雇用労働の実現など、具体的な目標と行動計画を明らかにした「長期計画」を策定するよう求めました。知事は、「誰もが明日への希望を持って、いきいきと輝く、持続可能な社会を創っていく取り組みが私の政治の基本」「人に焦点を当てた政策を練り上げる」と答弁しました。
さらに、わが党は、①消費税10%増税中止、②最低賃金引き上げと中小企業への支援、③私立高校の授業料の負担軽減、④国民健康保険料(税)の負担軽減、⑤高齢者の年金の引き上げと経済的支援について、国に求めることはしっかり求め、都独自の努力もすすめることを提案しました。日本共産党都議団は、都民のみなさんと力をあわせて、実現にむけ力をつくしていきます。

4 都民要望の実現へ多くの成果

わが党は、高齢者の難聴への支援について、504人から回答がよせられた「難聴と補聴器に関するアンケート」の結果をふまえて提案しました。これに、知事が「多くの高齢者にとり、難聴は身近な問題」「高齢者の聞こえの支援を推進する」と答弁し、都として、早期からの補聴器使用や、適切に調整された補聴器を使用することの重要性、そのための補聴器相談医や認定補聴器技能者に関する情報発信について答弁があったことは、重要な前進です。補聴器購入費補助の拡充などを、ひきつづき求めていきます。
高齢運転者による交通事故防止にむけ、都民のだれもが車を運転しなくても、安全で便利に移動できるようにすることを提案しました。知事が「実効性ある対策を包括的に検討する」と表明し、都として「公共交通の充実や、誰もが移動しやすいまちづくり等に取り組んでいく」との前向きの答弁がありました。また、シルバーパスの役割について知事が、多くの高齢者の社会参加と生きがいの活動に活用されているとの認識を表明し、コミュニティバスの役割について、「地域の高齢者、障害者等の有効な交通手段の一助になっている」という都の答弁があったことは、今後に生きるものです。
ひきこもりへの支援について、支援をすすめる際の当事者、家族の参加の重要性について認識を問い、「庁内の関係部局で構成する推進会議において、当事者や家族の悩み等を共有するなど、いっそうの連携を図っていく」との答弁がありました。
児童虐待対策では、東京の児童相談所は少なすぎることなどをあげて充実を求めた質問にたいし、「東京全体の児童相談体制の強化に取り組む」「必要な児童福祉司の増員を図る」との答弁がありましたが、いっそうの取り組み強化を求めておきます。
子どもの権利について、「子どもは、あらゆる場面において、権利の主体として尊重される必要がある」「子どもの最善の利益を実現することは重要」という知事の重要な認識が示されました。また、学校における校則について、都は、生徒一人ひとりの人権が尊重されることや、生徒の意見を聞くことなどが大切だと答弁しました。
選択的夫婦別姓制度の法制化を求める意見書の提出に関する請願は、自民党だけが反対しましたが、採択されました。原発事故による避難者の住まいの確保に関する陳情は、わが党と生活者ネット以外のすべての会派が反対し、不採択となりました。
日本共産党都議団は、都政のチェックと、切実な都民要望にこたえる政策提案とその実現にむけ、ひきつづき18議席の力を大いに発揮していく決意です。

以上