ご意見・ご要望
ページトップヘ

質問・条例提案

2018.03.20

3月20日【文教委員会】若者が文化芸術に触れる機会をふやす支援を 米倉春奈都議の質問

2018年3月20日の文教委員会での米倉春奈都議の質問です(速記録より)。
都立の文化施設や団体は、子どもや若者が芸術に触れる機会を増やすために、さまざまな努力を行っています。都として支援することを求めました。


すべての子どもたちに芸術に触れる機会を保障することは重要

○米倉委員 私からは、文化芸術に若者が触れる機会をふやす、そのための支援について伺います。
 二〇二〇年には東京五輪が開催されますが、オリンピックはスポーツだけではなく、文化の祭典でもあります。
 東京都は二〇二五年までの十年間の文化政策の計画として、東京文化ビジョンを策定していますが、ここでも二〇二〇年大会を一回限りの大規模な文化イベントで終わらせず、大会のレガシーとして、東京を世界のどこにもない文化都市にすると掲げています。文化の根づく東京を実現するというならば、多くの都民が文化芸術に触れる機会を保障していくことが大切だと思います。
 若者が文化芸術に触れる機会がふえることは重要だと考えますが、都の認識はいかがですか。また、都はこの分野でどのような役割を果たしていくのかについても伺います。

○樋渡文化振興部長 次の世代を担う子供たちが芸術文化のすばらしさに触れ、自国の文化はもとより、多様な文化の価値を理解するとともに、豊かな感性や創造力を育むことは大切でございます。
 東京文化ビジョンでは、文化戦略の一つとしまして、全ての子供や青少年等が芸術文化を享受できる仕組みを推進することを掲げております。
 こうしたことから、子供や若い世代が芸術に親しめる環境づくりに向けまして、子供たちが本物の芸術文化に触れる事業を都がみずから実施するほか、民間団体との連携や支援を通じて行っているところでございます。

○米倉委員 全ての子供などが芸術文化を享受できる仕組みを推進するということは重要です。特に感性豊かな子供時代に芸術に触れる機会があることは、発達を考えても大切だと思います。
 しかし、一方で今、子供の七人に一人が貧困だと指摘をされています。経済的な格差にかかわらず、子供たちが芸術に触れる機会が保障されるためにも、全ての子供に学校などで芸術に触れる機会を保障することも重要と考えますが、都はどのような取り組みや支援をしているのか、伺います。

○樋渡文化振興部長 都は、都立文化施設におきまして、学校の教育活動である校外学習の一環としての団体見学の受け入れやスクールプログラムを実施するとともに、実演家を学校等に派遣しまして、コンサートや伝統芸能体験等のアウトリーチ活動を展開しております。
 そのほか、例えば児童演劇の民間団体が中心となって実施する触れ合い子供祭りのような舞台芸術鑑賞体験事業の共催や、子供たちが芸術文化に主体的にかかわることを目的とした事業への助成を通じた支援を行っております。

○米倉委員 アウトリーチや、また都立施設での受け入れなど、さまざま努力をされているということです。そのこと自体は大事なことだと思います。しかし、今の取り組みですと、全ての子供たちに芸術鑑賞の機会が保障されている状況ではないと思います。
 先ほどご答弁であったアウトリーチコンサートについては、都内の小中学校へ演奏家が出向いてコンサートを実施し、クラシック音楽愛好家の裾野を広げるという取り組みで大切なものだと思いますが、今年度は二十施設での開催予定となっております。
 以前には都として小中学校を対象として、音楽鑑賞教室に取り組み、都と区市町村で費用負担をして、全ての生徒にオーケストラを聞く機会を保障する役割も果たしていたと聞いております。当時の議会答弁を読みますと、年間七百回もの鑑賞教室を開催していたとのことです。
 この事業は、石原都政のもとで廃止されてしまいましたが、世界のどこにもない文化都市と掲げるならば、やはり全ての子供が本物の芸術に触れられる機会を保障することが重要で、そういう立場での取り組みのさらなる拡大を求めておきます。

大学などとの連携で若者の芸術鑑賞の機会を増やすとりくみの促進を

 子供時代から音楽や美術、演劇などの芸術に触れて感動したり、楽しいと思う機会を持てることは、芸術を支える裾野を広げることにもつながります。
 平成二十八年の内閣府、文化に関する世論調査を見ますと、この一年間にホール、劇場、映画館、美術館、博物館などで、文化芸術を直接鑑賞したことはあるかと調査をしています。
 学生について見ますと、どの年齢層や職業などよりも高い八割が直接の鑑賞があると答えています。しかし、その一方で、直接鑑賞しなかった理由で最も多いのが、時間がなかなかとれないからという約六割に続いて、関心がないから、そしてテレビ、ラジオ、CD、インターネットなどにより鑑賞できるからが約三割となっています。
 この調査では、学生がどういう芸術を鑑賞したかも調べております。その中身は、六割がアニメを除く映画、四割がアニメ、アニメ映画、コンピューターや映像を活用したアートについてがほかの階層よりも高い特徴がある一方で、音楽や美術、演劇、舞踊の鑑賞では、全体の平均よりも低くなっている傾向が見られます。
 私も文化事業に取り組む方からお話を伺いましたが、演劇団体などでは若い人に見てもらいたいと、質の高い作品の制作に努力をしたり、料金も一般よりも安く設定するなどしているそうですが、なかなか十代、二十代の若者に来てもらえないというお話が複数の団体から出ていると伺っております。
 映画などは大きな産業にもなっていて、学生にも身近なものとなっていると思いますが、それ以外の芸術については関心を持つきっかけをさらにつくっていくことが重要だと思います。
 その一つとして、大学など教育機関との連携により、文化芸術に親しみ、楽しむきっかけをふやすことは重要と考えますが、都の認識と取り組みはどうなっているのか、伺います。

○樋渡文化振興部長 大学などの教育機関との連携でございますけれども、東京都歴史文化財団では平成十八年度から大学や専修学校等を対象としたパートナーシップ事業を実施しております。
 このパートナーシップ事業では、加盟する大学などに在籍する学生は、都立の美術館や博物館の常設展示などを無料で観覧できるほか、企画展の割引やコンサートや演劇への無料招待、優待等の特典を用意してございます。
 加盟している大学などでございますが、平成三十年度は十四校を見込んでおり、学生総数は約九万六千人となっております。
 都としましても、若者が美術館や博物館に足を運ぶきっかけをふやす取り組みとして意義のある事業だと考えております。

○米倉委員 パートナーシップ事業というのは、大学が会費を払い加盟をすると、そこの学生が都立美術館などに入館する際、常設展が無料になったり、企画展の割引が受けられる、さらに費用がかかる場合もありますが、学芸員の講師派遣などの教育活動の連携も行うというものになっています。
 都内で十四校、九万六千人が対象というご答弁でしたが、調べますと、都内には大学生と大学院生だけで約七十五万人おりますから、都内の学生総数から見ると、やはり限られていると思います。
 この取り組み自体は重要だと思いますが、この事業を行っている財団だけの取り組みにせず、都としても、より多くの学生に芸術に触れる機会を持ってもらえるように取り組みを進めていただきたいと思います。
 大学ですと、文学部や芸術に関する専攻に限らず、法学部や経済学部でも教養の科目として芸術などの授業を必修の単位として取る学生もかなりいらっしゃいます。
 例えば、そういう授業と東京都が連携をして、大学と連携をして、西洋美術、音楽について受講する学生に授業の一環として美術館やコンサートに来てもらったり、またチラシや学生割引チケットを大学でも配布してもらうというような新たな取り組みも検討していただきたいと要望しておきます。
 先ほど紹介をしました文化に関する世論調査では、美術館、博物館での鑑賞の促進策についても調査をしています。
 学生、また二十代の若者の回答で最も多いのは、入場料が安くなるということで三割が回答をしています。やっぱり、今、学生の四割が奨学金を借りて大学に通う状況があります。
 政府の消費動向調査を見ましても、最新の調査では、年収が年間三百万円未満という方では、それ以上の収入の層と比べてコンサート等の入場料への支出という項目で、そこに支出の予定はないと答える方が三〇%を超えていて、突出して高い状況があります。やっぱりお金がないと文化芸術に触れられないという状況が調査でも明らかになっていると思います。
 そういう中で、私も実態を伺ったんですけれども、ある芸術学科のサークルでは、やはり奨学金とバイトで何とか生活している学生が多いということで、美術展の入館料自体が負担が重くて、なかなか行けないという状況がある中で、サークルの会費としてお金を積み立てて、それで団体として美術鑑賞に行く際に、お金がない学生も行けるように補助をし合うということに取り組んでいると伺いました。本当は芸術が専門の学生ですから、頻繁に本物に触れたいという思いがあるんだと伺いました。芸術を専門にする学生でさえ、気軽に芸術に触れられない事態があるというのは大変深刻なことだと思っております。
 今、こうした学生への支援で、パートナーシップ事業という取り組みを行っているのは、都立の文化施設だけでなくて、国立の美術館や博物館も同様な仕組みをとっておりますが、やっぱりこういう仕組みですと、対象となる学生が限られてしまうんですよね。私自身もこれ、実際に経験をして、大学時代に美術館、博物館に行くと学生は安くなるということがチケット売り場に掲げられているんです。だけれども、よく見てみると、私の大学は対象じゃないというふうになるんですね。都立の施設では、十四校ということですので、やはりそういう事態が本当に多く出ていると思います。
 じっくり美術などを鑑賞したいというときに、一度で見切れるということもなかなか難しくて、本当だったら何度か足を運んでじっくり見たいと、いい企画展だったら図録も購入したいという思いは、学生の中にも若者の中にもあります。お金がかかり過ぎて芸術から遠のくという状況が生まれないように、都として努力していただきたいと要望しておきます。

芸術劇場や都響、歴史文化財団は若者支援に努力。都として拡充を

 そういう中で、都立の文化施設や、また東京都の交響楽団について、若者が低廉な価格で芸術に触れられるように、都としての支援をしていただきたい、大幅に入館料の引き下げや若者に対する割引をつくる必要があると思うんですが、都の見解を伺います。

○樋渡文化振興部長 都立文化施設や東京都交響楽団では、若者を初め多くの都民が芸術文化に触れる機会を拡大するため、各種割引制度や無料公開などのサービスを提供してございます。
 若者向けとしましては、具体的には都立美術館、博物館の常設展など観覧料について、小中学生や高校生に対する免除、もしくは減額の制度を設けております。
 また、東京都交響楽団におきましては、二十五歳以下の方は都響の主催公演を半額で鑑賞できる割引制度を設けてございます。
 さらに、都立文化施設における教育普及事業や東京都交響楽団による観客参加型、体験型の無料オーケストラ公演なども行っており、引き続きこうした取り組みを進めてまいります。

○米倉委員 都響が主催する公演で二十五歳以下は半額にする、アンダー二十五などの取り組みは、若者にとって、これは大変喜ばれる取り組みだと思います。東京芸術劇場でも高校生に上質で人気の高い公演を千円で提供する取り組みが行われています。
 これは野田秀樹芸術監督の発案で、ご自身が高校生のときに観劇をしたことが演劇を志す大きなきっかけになったと。その体験から、多感な時期にこそ良質な芸術と出会える場を提供したいという思いで、二〇一〇年以来、芸術劇場独自に続けている取り組みです。
 この制度を利用した高校生の声もホームページで紹介されています。都内の高校三年生の女性は、この高校生割引のおかげで、とてもすばらしいものに触れることができました、何と表現すればいいのかわからないのがもどかしいですが、とても幸せな時間でしたと。
 また、ほかの方からも、映画はよく見るが演劇は余り見ない、でも映画より臨場感があり何度も鳥肌が立った、時間がたつのがあっという間だったというような、こういう声がたくさんホームページには紹介されています。
 こうした財団や都響、芸術劇場として、若者に対する料金割引などは本当に大切な事業となっていると思います。この努力をさらに拡充するというためにも、都としての支援を求めておきます。
 世界では、ロンドンの有名な博物館、美術館は基本的に国営で、入場料は無料となっています。パリでは、ルーブル美術館は十月から三月の毎月第一日曜日が一般無料の日に設定されていたり、オルセー美術館も毎月第一日曜日は無料だということです。
 東京でも、まず都立美術館から三十歳以下の若者は常設展は無料にするですとか、毎月無料の日を若者を対象に設定するなど、より芸術に触れられる環境の整備に力を尽くしていただきたいと要望して、私の質問を終わります。