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質問・条例提案

2019.03.28

本会議 原のり子都議(北多摩第4選出)の最終討論

2019年 第1回定例会 最終討論

原のり子 (日本共産党・北多摩第四選出)

 日本共産党都議団を代表して、知事提出の第1号議案一般会計予算ほか30議案に反対、その他の知事提出議案に賛成し、わが党などが提出した3つの条例案に賛成の立場から、討論を行います。

 今議会は、小池知事が提案した築地市場跡地への対応をめぐって紛糾し、知事与党が議会運営のルールを乱暴にふみにじる、都議会史上例のない異常な議会となりました。
 都議会では、「各会派間の協議を尽くすことを基本とする」「委員会は原則として各会派から1名以上の委員が出席しなければ、会議を開くことができない」という議会運営のルールが、長年にわたって築き上げられてきました。
 ところが、知事与党の都民ファーストの会と公明党は、予算特別委員会や財政委員会で、このルールを守ろうとせず、数の力にまかせた理事会、委員会運営を繰り返しました。
 この暴挙に対し、都議会自民党、日本共産党都議団、都議会立憲・民主クラブ、維新・あたらしい・無所属の会、生活者ネットワーク、自由を守る会の6会派は、議会運営のルールを尊重した理事会、委員会運営を行うよう、くりかえし、つよく要望しました。
 こうした、多くの会派の共同の力により、本日の閉会本会議で行われた予算特別委員会委員長報告で、「委員会は原則として各会派から1名以上の委員が出席しなければ、会議を開くことができない」との認識が、表明され確認されました。
 今議会の開会日には、知事与党の都民ファーストの会と公明党が、理由も言わず議会運営委員会理事会を長時間にわたって欠席し、議会を空転させるという、前代未聞の事態も起きました。
 都民ファーストの会と公明党は、一連の議会運営を深く反省し、今回のようなことを二度と繰り返さないよう、きびしく求めるものです。

 築地市場跡地への対応をはじめ市場移転問題は、今定例会の大きな焦点になりました。
 小池知事は2017年6月20日、都議選告示3日前に発表した市場移転問題の基本方針で、「築地は守る」「市場機能を残す」と約束しました。ところが、今年1月の「築地まちづくり方針(素案)」で、この約束は消えてしまいました。知事の公約違反は明白です。
 仲卸業者でつくる築地女将さん会のみなさんが「だまされた」と怒りの声をあげ、多くの市場関係者も「5年後には戻るつもりで生活設計をしていた」「知事に裏切られた」と批判の声をあげています。
 にもかかわらず、「考え方は変わっていない」と強弁し、方針転換を認めない知事の態度は許されません。都民と市場関係者に謝罪し、公約である「築地は守る」の立場で、築地まちづくり方針を一から検討しなおすことを、改めてつよく求めるものです。

 わが党は、豊洲市場で発生している黒い粉じんから、アンチモンやカドミウムなど有害な重金属類が、一般の道路粉じんにくらべ、はるかに高濃度で検出されたことを明らかにし、都として成分分析などの調査を行い、働く人の健康を守る抜本対策をとるよう求めました。
 また、豊洲市場では、開場直後からほこりや粉じんが発生し、のどの痛みなど体調不良、健康への影響が心配される事態が生じていたことを明らかにしました。
 市場長は、ターレのタイヤ改善などの新たな対策の必要性は認めました。しかし、知事も市場長も、「豊洲市場の衛生環境は良好」という答弁をくりかえし、黒い粉じんの調査は拒否しました。
 豊洲市場で働く人の健康を守る立場に立とうとせず、良好な環境だと言いきって調査・分析すらしない小池知事の姿勢は、「食の安全・安心を守る」という公約を投げすてて、土壌と地下水の汚染が残る豊洲市場の安全宣言を行い、移転を強行したことと共通する問題であり、都民のきびしい批判は免れません。
 情報公開が都政改革の1丁目1番地だと公約した知事が、なぜ調査すらしないのか、多くの都民が疑問に思っています。粉じんの調査・分析、発生源を元から断つ抜本対策を早急に行うよう強く求めるものです。

 わが党が提出した、国民健康保険の子どもの均等割保険料の負担軽減条例は、区市町村が子どもの均等割保険料の減免を行った場合に、その額を都が補助するものです。そもそも、所得のない子どもに保険料を払えというのは、おかしな制度です。みなさんのご賛同を心からよびかけるものです。
 わが党は、予算特別委員会で、この20年間に特別区の均等割保険料は2倍にもあがっている実態をしめし、せめて子どもの均等割保険料の軽減が必要ではないかとただしました。
 都が、子どもの均等割保険料の負担軽減が必要だという認識を示したことは重要です。
 また、知事は、国民健康保険について、「医療費が高い高齢者、失業者などの低所得者のしめる割合が高く、保険料の確保が困難であるなど、構造的な問題がある」ことを認めました。都として、国や区市町村と力をあわせて、国保料、国保税軽減にとりくむことを求めるものです。

 次に予算案についてです。
 来年度東京都予算の規模は、一般会計で7兆4610億円、全会計では14兆9594億円で過去最高となりましたが、東京オリパラ大会経費及び関連経費で5330億円、今年度の2倍にもなっています。
 組織委員会との共同実施事業1593億円の中身はきわめて不透明で、予算執行後も多くの部分の契約金額が明らかにされない可能性があります。新国立競技場整備は、国が責任を持つべきものであるものにもかかわらず、都負担395億円を計上したことは認められません。
 また、外かく環状道路や外環の2、住民が強く反対している特定整備路線などの大型道路建設が引き続き推進されています。大型クルーズ客船の埠頭整備は、実際にどれぐらい寄港があるかという見通しも示さないまま、昨年度に続き83億円の予算が計上され、カジノの調査予算も計上されています。
 「都政大改革」の知事の公約とほど遠く、石原都政以来続く大型開発推進の予算配分は変わっていません。以上の理由から、一般会計予算に反対です。
 また、消費税10%増税を前提とした、交通運賃、上下水道料金の値上げで合計47億円の都民負担増がもりこまれている公営企業3局の予算案にも反対するものです。

 一方、来年度予算案には、公立学校へのエアコン設置、市町村総合交付金の増額、児童相談所の職員の増員、認可保育園、私立幼稚園・幼稚園類似施設を利用する世帯への都独自の負担軽減、性犯罪・性暴力被害者支援事業のワンストップ支援センターへの負担金の増額など、重要な前進面もあります。
 わが党は、こうした貴重な前進を生かし、さらに、都民のくらしを守り、要求を実現していくために、予算特別委員会に一般会計予算の組み替え案を提案し、不要不急の大型開発を削減するなど予算全体の2・9%を見直すだけで、85項目の都民要求が実現できることを示しました。この方向こそ、都民の願いにこたえるものだと確信するものです。

 知事提案の児童虐待防止条例には、わが党が求めてきた「子どもは権利の主体である」という内容が前文に明記され、また、体罰等の禁止が定められたことは重要であり、賛成です。同時に、よりよい条例にする立場から修正案を提案しました。子どもの権利を基本にすえ、児童相談所の体制強化、妊娠初期からの切れ目のない子育て支援、社会的養護の拡充など、児童虐待対策の抜本的強化を進めることを求めるものです。

 わが党は、国民健康保険の子どもの均等割軽減条例のほか、中小企業・小規模企業振興条例を制定したことにふさわしく、中小企業振興対策審議会の名称を変更し、年一回以上の開催を求める条例改正案を提出しました。この審議会は、石原都政以来14年間も開催されていません。知事が、審議会開催の必要性について検討を行うよう指示したと答弁したことは重要です。一日も早い開催を強く求めます。
 また、4会派共同で、都議の期末手当を引き下げる条例案を提案しました。今議会で、都民の生活実態に鑑み、議員報酬の2割削減を来年度も継続することを全会一致で決定しています。
 中小企業振興対策審議会条例改正および期末手当引き下げ条例に賛同していただくことを、心からよびかけて討論をおわります。