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質問・条例提案

2018.10.05

本会議 池川友一都議(町田市選出)の討論

 10月5日の本会議で、池川友一議員(町田市選出)が討論を行いました。
★2018年都議会第3回定例会 討論全文(原稿)です。


 日本共産党都議団を代表し、第196号議案ほか4議案に反対、その他の知事提出議案及び2つの議員提出議案に賛成の立場から討論します。

  はじめに、人権条例についてです。
 わが党の提案も受け、条例案に、憲法の遵守が明記され、いかなる差別も許さない姿勢が明確にされ、啓発とともに教育が位置づけられたことを、評価するものです。
 また、性自認、性的指向を理由とする不当な差別をしてはならないことが明確にされたことも、都民の声による大きな成果です。
 ヘイトスピーチの解消では、表現の自由など憲法の保障する国民の自由と権利を不当に侵害しないよう留意すること、規制の対象はヘイトスピーチ解消法第2条に規定するものに限られるという、明確な答弁がありました。
 また、ヘイトスピーチ規制のため、公の施設の利用制限の基準を知事が定める際、「地方公共団体は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない」としている地方自治法の規定を踏まえること、公の施設の利用制限は、集会の自由など基本的人権の制限と密接に関わるため、学識経験者等の意見も聞きながら基準をつくるという答弁もありました。
 わが党は、知事が基準を定める際、条例で設置される審査会の意見を聴くことを義務づけることが望ましいと考えますが、以上のことを総合的に判断して、人権条例には賛成するものです。
 都議会自民党の本条例案に対する意見の核心は、国が啓発など理解促進にとどまる法案を準備しているときに、東京都が国に先駆けて差別禁止の条例をつくるべきではないというものです。人権尊重のよりよい条例をつくろうという、前向きの姿勢とかけ離れていると言わねばなりません。
 総務委員会の自民党委員の質疑を聞いた方たちから、LGBTへの理解を深める教育をすることが、日本の家族観や結婚観を揺るがせかねないというようなことを議会で言われてショックだった、悲しくて涙が出そうになったなどの声が寄せられています。重く受け止めるべきです。
 日本共産党都議団は、よりよい条例になるよう引き続き提案するとともに、だれもが人権を尊重される東京に前進するよう努力をつくすものです。

 次に、工業用水道の廃止条例です。
 都は、1956年以来、低廉で豊富な工業用水を供給してきました。しかし、近年では需要の減少と施設の老朽化という課題に直面しており、廃止はやむをえないと判断しますが、利用者の多くが中小零細企業であり、廃止により大きな影響を受けます。
 わが党の提案で、利用者支援策が拡充されましたが、長期にわたる利用者支援の継続、上下水道料金の減免制度の充実など、さらなる支援の強化が必要です。
 都の都合で廃止するのですから、その責任を重く受け止め、利用者に十分な支援を行うこと強く求めるものです。 

 わが党は、今定例会に、2つの条例を提案しました。
 一つは、公立学校施設における冷房機器の整備促進条例です。
 今夏の異常な猛暑を受け、わが党は7月27日に、学校体育館の冷房化など熱中症に関する緊急提案を知事と教育長に申し入れ、早急な取り組みを求めました。
 また、体育館に冷房を設置している学校に現地調査に行き、その効果を確認しました。これまで、都の補助を契機に普通教室などの冷房設置が促進されたことからも、自治体の財政力にかかわらず設置できるよう、都が区市町村に補助する本条例案を9月12日に公表しました。
 そうした中で、わが党の代表質問に知事が「都立高等学校の体育館への整備を速やかに進め」ていくと答弁したことは重要です。早期に100%設置するための具体的計画を持った取り組みを求めます。
 知事はまた、公立小中学校の体育館についても、「補正予算を編成するなど緊急的な対応を」し、「区市町村を支援して」いくと答弁しました。本条例案は、こうした知事の答弁を、確実に推進する力になるものです。
 加えて条例案は、児童・生徒や教職員が使う全ての部屋を対象にし、さらに400万円未満の工事、リースによる設置、老朽化した冷房の更新についても対象にして、教育環境の向上を行う内容となっています。

  もう一つは、マタニティパスの交付条例です。
 本条例は、母子健康手帳の交付を受けて一年を経過していない妊産婦に、5500円分がチャージされ、通院や外出に使える交通系ICカード「マタニティパス」を交付する区市町村を支援するものです。
 私たちは、孤独になりがちなお母さんの不安に寄り添い、「心配なことがある時は行政を頼っていいんだ」と思ってほしいという願いを、この条例に込めました。妊婦検診や通院、外出を促進するとともに、妊娠・出産の早い段階からの支援につながります。

  2つの条例へのご賛同を、心から呼びかけるものです。
 校長や副校長が学級担任とならざるを得ないような、深刻な教員不足の解決を求めたわが党の質問に対する答弁で、4月6日時点で、小中学校合わせて概ね280人の欠員があったことが明らかになりました。このことに、驚きの声が広がっています。
 教員不足による学校の負担、子どもたちへの影響は、はかり知れません。この解決のために、「ブラック」といわれる教員の働き方を改善し、熱意や専門性を生かせる職場にしていくために、定数改善や少人数学級の拡大、持ち時数や部活の負担軽減など思い切った取り組みを行うことを、改めて強く求めておきます。

  10月1日、横田基地にCV22オスプレイが正式に配備されました。事故や不時着などをくり返している欠陥機オスプレイを、住宅や学校、病院などが密集するところへの配備という暴挙です。満身の怒りを持って抗議します。
 知事は、米軍機の事故や緊急着陸の発生、正式配備の前からの度重なる飛来など、「基地周辺住民の皆様が不安を感じている」との認識を示しました。重大な事故が起きてからでは間に合いません。国と米軍に抗議し、配備撤回を強く求めるべきです。
 知事は「アジア太平洋地域の安全保障環境は、依然不透明」と言いますが、先日も南北首脳会談が開かれるなど、この地域の平和に向けた動きは大きく進んでいます。そのときに、敵地の奥深くに特殊部隊を潜入させることを主任務とするオスプレイを配備することは、緊張をいたずらに高め、平和の流れに逆行するものです。
 おおもとにある日米地位協定の見直しも含め、全国の自治体と連帯して、オスプレイ配備撤回を国と米軍に迫るよう、改めて強く求めるものです。

 最後に、市場移転問題です。
 明日が、築地市場の最終日です。多くの方々が不安と怒りの気持ちを抱いたまま、この日を迎えています。
 改めて、小池知事が「食の安全・安心を守る」「築地は守る」という公約を破り、土壌汚染が残る豊洲市場への移転を強行することに、怒りを持って、抗議します。
 この定例会でも、水産仲卸売場棟のひび割れ、地盤沈下について、知事は「時間の経過と共に収束する、安全性の問題に影響は生じない」と答弁しましたが、その根拠を示すよう求める再質問に対し、知事はまともに答えることができませんでした。科学的調査をきちんと行い、地盤沈下の原因を解明することを求めるものです。
 9月10日に農水省の認可書が交付されましたが、何も問題は解決していません。それどころか、地盤沈下で補修や経過観察が必要なところが11箇所もあり、ひび割れはそのほかにもあることが明らかになりました。マンホールから処理前の地下水が噴出し、5月にも地下水をくみ上げる井戸の管から地下水が流れ出したことが報道されました。
 新たな問題が次々と起こっているもとで、豊洲市場への移転を強行し、築地市場の解体工事を進めることは断じて許されないことを厳しく指摘し、討論を終わります。