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質問・条例提案

2018.03.29

2018年第1回定例会に提出した文書質問

2018年第1回定例会で、以下の文書質問を提出しました。

 

2018年第一回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者  藤田りょうこ

質問事項
 一 社会的養護の必要な医療的ケア児の対策について
 二 自治体をまたいだ児童相談所事例に対する検証のあり方について

 

一 社会的養護の必要な医療的ケア児の対策について

 かつて東京都は母子保健院という、乳児院を併設した病院を持っていました。病虚弱児でなおかつ、社会的養護が必要な乳児を受け入れていたのは、この母子保健院と日赤医療センター附属乳児院と済生会乳児院でしたが、東京都は2002年、母子保健院とともに乳児院を廃止してしまいました。現在、済生会病院は小児科の病棟をなくしてしまいましたから、重症児を受け入れることができる乳児院は、都内で日赤医療センター附属乳児院のみとなってしまいました。

Q1 現在、社会的養護の必要な医療的ケア児が、都内に何人いますか?

 日赤医療センター附属乳児院は、2002年当時でも70名の定員いっぱいに子どもを受け、その中に病虚弱児や重症児も多く受け入れてくれていました。私たちは、母子保健院を廃止してしまったら、日赤医療センター附属乳児院が病虚弱児を一手に引き受けなければならなくなることを指摘し、廃止してはならないと求めてきました。

Q2 こうした背景から、社会的養護の必要な医療的ケア児のうちでも特に重症な子どもが、現在は日赤医療センター附属乳児院に集中しているという実態があるのですが、こうした児童が都内に何人いるのかを毎年調査することが東京都の責任であると考えますが、いかがですか?

 2月、日本共産党都議団は日赤医療センター附属乳児院を訪問させていただきました。その時のお話と視察では、日赤乳児院の定員は70名で69名入所し、年中ほぼ満員であるとのことでした。日赤乳児院には医療ケアの必要な子どもたちが多く、ケアの内容もさまざまでした。鼻や胃から経管栄養を行っている子が合わせて6名、気管切開している子は2名、気管内の吸引が必要な子は2名、飲み込むことができない疾患があり、唾液を誤嚥しないように口の中の吸引をしている子どもが7名、呼吸管理している子が9名、酸素濃縮器を使って酸素療法を受けている子が3名、導尿をしている子が2名、人工肛門がある子が1名入所していました。さらに、以前ならお腹の外の世界では生きることができなかった障害を持つ乳児も、今までは入院管理が必要な病状の子どもでも、受けてくれています。

Q3 東京都の「乳児院の医療体制整備事業」にある「常時医療・看護が必要な病虚弱児」の定義は何ですか?また、日赤乳児院での事業にあたる枠が4名となっている根拠は何ですか?

 日赤医療センターでは、医療的ケア児が都の数えで12名在籍していましたが、東京都に医療体制整備事業の申請をする際、常時医療・看護が必要な病虚弱児等は4名と報告しています。

Q4 医療的ケアが必要なその他8名の子どもは、東京都も「常時医療・看護が必要な病虚弱児等」ではないと判断されているのですか?

Q5 2つの乳児院合わせて都内全体で8名を超えて、対象となる子どもを受け入れているとしたら、加算はどのように対応できるのですか?

 日赤医療センター附属乳児院では、70名の乳幼児に対し、13名の看護師を配置していました。従来は2交代で1人夜勤を行っていましたが、医療的ケアが必要な子どもを安全に対応するには、夜間看護師1人では困難だったとのことでした。日赤乳児院では看護師2人の夜勤を決断し、一月の夜勤回数は看護師一人当たり6回近くになっていると話していました。
 済生会中央病院附属乳児院は病院に小児科の専用病棟がなくなってしまったために、重症児が受け入れられなくなり、吸入や吸引など、比較的重症度の軽い児童しか受け入れていません。重症児を受け入れられるのは、日赤の乳児院しかないから、12名もの医療的ケアが必要な児童が集中する事態となっているのです。そして、その子どもたちも、夜勤の看護師を2名体制にしなければ命と安全を守ることができないから、夜勤回数が増加してしまうことであっても、子どもの命優先で、現場で判断しているのです。

Q6 実態に合わせて加算が受けられるよう、都加算の見直しが必要だと思うのですが、いかがですか?

 東社協の乳児部会も「病虚弱児に対し、適切な医療やリハビリテーションを提供するとともに、入所者の感染症リスクを解消し、乳幼児の安全と安心を確保するためには、医療看護体制の整った公立施設・病院などを整備し、行政的に対応することが適切である」と述べています。サービス推進費では看護師の増員が難しいと思われます。

Q7 都立小児総合医療センターに乳児院を併設してはどうかと思うのですが、いかがですか?

 以前は、乳児院は3歳未満児が対象でしたが、現在は就学前まで在籍が可能になりました。それは、乳児院退所後の受け入れ先がないからです。
 私たちが日赤乳児院に訪問した2月、2ヵ月後に小学校に入学する年齢の子の行き先が決まっていませんでした。その子はダウン症で気管切開していて、普通に歩いて生活していました。そうなると、受け入れる先が見つけにくいという問題がありました。その後、年度末ぎりぎりになってやっと施設入所が決まるところ、という報告がありました。
 いかなる障害があっても、子どもは適切に養育され、その生活が保障されること、その心身の健やかな成長および発達ならびにその自立が図られること、その他の福祉を等しく保障される権利を有すると、児童福祉法に書かれています。義務教育を受ける権利や安全に生活できることも保障されなければなりません。この児童が、適切に療育されるためには、医療ケアが適切に受けられること、義務教育が受けられること、発達に合わせた援助が受けられること、などが必要です。

Q8 一般的に社会的養護の必要な医療的ケア児で、かつ歩いて生活している児童が就学年齢を迎える場合、受け入れられる施設として、都内にはどのような施設が挙げられますか?

Q9 医療型障害児入所施設では、医療ケアが必要な児童の受け入れについて、どのような対応をしていますか?

 同じ医療ケアが必要と言っても、歩ける子と重心の子・肢体不自由の子では大きく異なり、重心や肢体不自由児の施設で、そのままの体制で受け入れるのは困難です。また、待機者が多いことからいっても、入所は困難です。

Q10 もう一つの福祉型障害児入所施設では、気管切開などの医療的ケアが必要な児童を受け入れるためには、どのような体制と環境面での整備が必要になりますか?

 先日、東村山福祉園に伺ったのですが、まさに、福祉型の障害児施設ですが、インスリン注射などが必要な医療的ケア児の受け入れを行っていました。さまざまな障害が重複する児童を受け入れるためには、医療的ケアにも対応する必要があることも事実です。しかし、乳児院にいた気管切開をした6歳になる子となると、その発達を支え、必要な医療ケアが受けられ、安全にすごせるためには当然、人員や設備面での整備が必要になります。
 2002年度、全国でも岩手のみちのくみどり学園と東京都成東児童保健院の2つしかない、病院と児童養護施設が併設をされた貴重な都立施設を廃止してしまいました。いま、成東があれば、医療的ケアが必要な子が乳児院を出た後も、健やかな成長と発達、その子に合わせた自立を図りながら生活を送ることができ、病状の変化があればすぐ近くの小児科で治療を受けることができていました。

Q11 過去10年間で、日赤乳児院における医療的ケアが必要な児童で、退所時点で満6歳以上のものの退所後の状況はどのようになっていますか?施設入所となった児童では、その施設の所在地が都外となる児童は何人でしたか?また、都外となった主な理由は何ですか?

 この10年間で最も高い年齢では9歳まで受け入れ先が見つからなかった子どもがいた、とのことです。しかもこの子どもは、結局都外の施設に行かざるを得ませんでした。

Q12 医療的ケアが必要な子どもが、退所先が見つからず小学校の就学時期になっても、乳児院にいざるを得ない、あるいは、都外の施設に行かざるを得ないという実態は、子どもに対して適切な対応がされている状況でしょうか?

 母子保健院と、成東児童保健院と言う、医療・看護体制の整った公立施設・病院をなくしてきた東京都の責任を、ぜひとも果たしていただくことを要望いたします。

 

二 自治体をまたいだ児童相談所事例に対する検証のあり方について

 目黒区で起きた5歳児の虐待死亡事件は大変痛ましく、2度と繰り返さないためには、自治体をまたいだ第三者による事故の検証と、体制整備が必要と考えます。
 これまで都は、東京都児童福祉審議会児童虐待死亡事例等検証部会において、都内の虐待事例などについて検証してきているようですが、

Q1 今回のように都道府県をまたいで死亡事件が発生した場合、どのような方法で検証が行われるのですか?

Q2 今後、自治体間でのケース移管について、検討する機会が必要と考えますが、見解を伺います。

 児童虐待による重大事故は未然の防止が不可欠です。今回のように自治体をまたいでの事件では新たな検証のあり方が求められます。子どもの利益を最優先にした対策が講じられるよう要望いたします。

 

藤田りょうこ議員の文書質問に対する答弁書

一 社会的養護の必要な医療的ケア児の対策について

A1 児童相談所は、養護、障害、非行、育成など、18歳未満の児童に関するあらゆる相談に対応していますが、社会的養護の必要な医療的ケア児の人数を集計したものはありません。
 なお、平成28年度1年間に、都内乳児院において、日常介助や観察、療育訓練、通院介助等が必要な病虚弱児として国の措置費の病虚弱等児童加算の対象となった児童の延べ人数は856人です。
 また、都は独自に、看護師を増配置し、常時医療及び看護が必要な病虚弱児等の受入体制を整備することを目的とした乳児院の医療体制整備事業を実施しており、この事業の対象となった児童の延べ人数は856人のうち96人となっています。

A2 都は現在、病院併設の日本赤十字社医療センター附属乳児院及び東京都済生会中央病院附属乳児院の2か所で乳児院の医療体制整備事業を実施し、常時医療及び看護が必要な病虚弱児等の人数を把握しています。

A3 乳児院の医療体制整備事業では、心臓疾患、脳障害及び術後の経過観察や急変のおそれのある重度の病虚弱児並びに経管栄養、胃ろうの管理など、常時医療及び看護を必要とする児童を対象としています。
 本事業では、常時医療的ケアが必要な児童を受け入れられるよう、日本赤十字社医療センター附属乳児院で4名、東京都済生会中央病院附属乳児院で4名、合計8名の枠を確保しています。

A4 国の措置費では、介護度が4度以上に該当する病虚弱等の児童について、病虚弱等児童加算の対象としています。
 都はこれに加え、介護度が5度以上の日常介助や観察、療育訓練、通院介助等が必要な病虚弱児について、サービス推進費の加算対象とするとともに、常時医療及び看護が必要な病虚弱児等について、乳児院の医療体制整備事業の対象としています。
 都はこうした措置費や補助事業の申請書類等により、児童の状況を確認しています。

A5 乳児院の医療体制整備事業で確保している8名の枠を超える状況で乳児院への入所が困難な場合は、児童相談所が、児童の年齢、障害の程度、医療対応の状況や受入体制などを総合的に勘案し、医療機関への一時保護委託や、医療型障害児入所施設への入所などで対応しています。

A6 都は、介護度が4度以上に該当する病虚弱等の児童を加算の対象とする国の措置費に加え、介護度が5度以上の日常介助や観察、療育訓練、通院介助等が必要な病虚弱児についてサービス推進費の加算対象とし、都内全ての乳児院を支援しています。
 また、常時医療及び看護が必要な病虚弱児等を受け入れる乳児院の医療体制整備事業により、日本赤十字社医療センター附属乳児院及び東京都済生会中央病院附属乳児院を支援しています。

A7 平成29年度における都内乳児院の各月初日の平均入所率は、約80パーセントとなっています。
 都は、介護度が4度以上に該当する病虚弱等の児童を加算の対象とする国の措置費に加え、介護度が5度以上の日常介助や観察、療育訓練、通院介助等が必要な病虚弱児についてサービス推進費の加算対象とし、都内全ての乳児院を支援しています。
 また、常時医療及び看護が必要な病虚弱児等を受け入れる乳児院の医療体制整備事業により、日本赤十字社医療センター附属乳児院及び東京都済生会中央病院附属乳児院を支援しており、引き続きこうした取組により、常時医療や看護が必要な病虚弱児等及びその他の病虚弱児を受け入れていきます。

A8 医療的ケアが必要で、就学年齢を迎える児童を受け入れられる都内の施設としては、主として、医療型障害児入所施設などが挙げられます。

A9 医療型障害児入所施設は、児童福祉法に規定する入所施設であるとともに、医療法上の病院でもあり、その機能を生かして入所児童に対して医療の提供のほか、看護・介護・機能訓練、生活指導等の支援を行っています。
 医療的ケアが必要な児童の受入れに当たっては、障害程度をはじめ、レスピレーター管理や経管栄養等医療的ケアの状況、家族の介護力など、入所必要度を総合的に判断しています。

A10 福祉型障害児入所施設は、入所する障害児に対して、日常生活の指導や知識技能の習得を支援する施設です。
 医療的ケアが必要な児童を受け入れるためには、医師や看護師などの配置のほか、医療機器等の設備が必要となると考えられます。

A11 過去10年間、日赤乳児院における医療的ケアが必要な児童で、退所時点で満6歳以上の者は5名であり、そのうち家庭引取りとなった児童は1名、施設に入所した児童は4名となっています。
 また、施設に入所した児童のうち、都外の施設に入所した児童は3名です。
 施設入所に当たっては、児童の年齢、障害の程度、医療対応の状況や施設の受入体制などを総合的に勘案し、入所先を検討しています。

A12 医療的ケアが必要な児童で、施設入所が必要な場合、児童相談所は、児童の年齢、障害の程度、医療対応の状況や施設の受入体制などを総合的に勘案し、入所先を検討しています。

 

二 自治体をまたいだ児童相談所事例に対する検証のあり方について

A1 児童相談所運営指針では、「複数の地方自治体が関与していた事例では、事件発生の直前における関係機関の関与状況に限ることなく、虐待発生の要因や転居前後での関係機関のケースの引継ぎ状況等について、当該家庭に関わる一連の過程を検証し、再発防止につなげることが重要である。」とされており、今回の事案についても、この指針を踏まえて対応していきます。

A2 児童相談所運営指針では、ケース移管の対象は、居住地を管轄する児童相談所が援助を実施している間に、ケースが当該児童相談所の管轄区域外に転居した場合における、援助方針が決定していない継続調査中のケースや児童福祉司指導及び継続指導中のケースとされています。
 また、ケース移管を行う場合、移管元の児童相談所は、援助方針会議等で、組織として方針を確認し、速やかに移管先の児童相談所と事前協議を行うとともに、移管先の児童相談所は、児童相談所間の認識の差をなくす観点から、ケース移管の手続完了後、少なくとも1か月間は移管元の児童相談所の援助方針を継続することとなっています。
 今回の事案についても、児童相談所運営指針を踏まえながら、東京都児童福祉審議会の下に設置している児童虐待死亡事例等検証部会において検証を行っていきます。

以 上

 

2018年第一回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者  米倉 春奈

質問事項
 一 男女平等、性的マイノリティ支援について
 二 特別支援学校の寄宿舎について

 

一 男女平等、性的マイノリティ支援について

 東京都の男女平等社会実現に向けた取組は、多様性の尊重を踏まえて、男女だけではなく多様な性を含めたすべての人が尊重され、参画できる社会を目指す観点を持つことが重要だと考える。

Q1 都の男女平等の取組では、女性への支援と同時に、性的マイノリティへの支援も位置づけて取り組んでいくことが重要ですが、都の認識と取り組みについてうかがいます。

 2015年に、同性カップルへの「パートナーシップ証明書」の発行をスタートした渋谷区は、2016年から、月1回開催される、LGBTコミュニティスペース「#渋谷にかける虹」を設置しています。来場者同士で気軽に相談ができたり、おしゃべりが楽しめる時間を設けるとともに、冒頭の30分間では、毎回設定したテーマについてのミニプレゼンもあります。
 去年の夏休みには、「LGBTのティーン」というテーマで、中高生の当事者が明るく楽しく過ごせる未来を目指して活動する中高生LGBTであり支援団体で活動する方に話を聞くことなども企画しています。
 渋谷区長は、このコミュニティスペースのキックオフイベントで「条例はパートナーがいる人のための施策。今後は思春期の子供たちや、その親などのサポートも考えていきたい。このコミュニティスペースの開設もそのような取り組みの一つです」と、LGBTコミュニティスペース開設の意義を語っています。
 LGBTは、各種調査によると、人口の7~8%、つまり13人にひとりだと言われていますから、例えば学校では、どの学級にもいると考えるのが適当です。
 宝塚大学看護学部の日高康晴教授が2016年に行った「LGBT当事者の意識調査」を行っていますが、小・中・高の学校生活でのいじめの被害について、10代の回答者の約5割がいじめにあったとこたえています。いじめのおきる土壌をつくらないこと、そして何より当事者が自分のままでいていいのだと自分を受け入れるために、都教育委員会や、生活文化局と私立学校などとの連携により、教員や、児童生徒が肯定的に学べる機会を確保することが重要です。
 同時に、学校等以外にも、安心して集える居場所があること、同じ立場の人とつながる場があることは、大きなはげましとなります。こうした取り組みはまだまだこれからという区市町村も少なくない中で、東京都が積極的に取り組んでいくことが重要です。

Q2 都としても、ウィメンズプラザなどでの相談事業は、経験を蓄積し、より当事者によりそうものになるよう努めること、また当事者の居場所や交流、学習の場も作るなど、当事者の意見もうかがいながら取り組みを拡充していただきたいと思いますが、いかがですか。

 都は、配偶者暴力防止の取組として、これまで区市町村と連携して相談事業を行うことや配偶者暴力、DVの被害者を保護する緊急の保護を行う一時保護、また、保護が必要で、自立に向けた就労などを支える婦人保護施設を運営しています。
 この分野では民間の女性支援団体の活動も重要で、行政ではカバーできない支援を行っています。そのひとつが同行支援です。
 相談に来られる女性の中には心身ともに暴力でダメージを受け、一人で役所の窓口にいき、手続きをすることが困難なケースもあります。そうした場合に、一緒に付き添って、行政手続きのサポートを行うなどのきめ細かい支援を行っています。

Q3 都はDV被害者支援民間活動助成を行い、民間団体が行う自主的な活動などを支援してきましたが、これまでどのような取組を行ってきたのですか。

 私も民間の女性のシェルターを運営している方たちにお話を伺ってきましたが、公的な財政支援がうすいために、独自のTシャツなどのグッズを売って財政活動を行うなど、自ら金銭的な負担も相当負いながらサポートを行っている団体もあり、財政的な厳しさは多くの団体から話を伺います。ですから、民間のシェルターの施設の整備や、普及啓発活動に対しての助成は、非常に重要です。

Q4 来年度、都の予算案で、助成のための予算が900万円から1200万円に増額していることは大切です。これまでどの程度、申請が来ていたのか。また増額することにより、どのように助成事業が充実するのかうかがいます。

Q5 また、DV被害者や民間支援団体の現状を見れば、まだまだ支援は足りません。いっそうの拡充が必要だと思いますが、いかがですか。

Q6 配偶者暴力の防止、支援の取組には、性的マイノリティの方の相談も対象とすることが必要ですが、いかがですか。

 

二 特別支援学校の寄宿舎について

 来年度の寄宿舎の指導員数は、2017年度の実員数81人から74人に、7人減る予定だと聞いています。都教委は、各寄宿舎の指導員数は定数をこえているから、7人分について、新規や代替の指導員を確保し、現状の配置を維持する予定はないとしています。しかし寄宿舎では、定数をこえる指導員が配置されていても、児童生徒を安全に受け入れるには人数が足りず、児童生徒の宿泊日数が制限される事態が起きています。保護者と寄宿舎指導員など関係者の団体からは、「安全面などから、舎生のほとんどのご家族が希望する寄宿舎泊数はかないませんでした」という声が寄せられています。
 とくに他害や自傷がある方や重度障害の方には指導員がつきっきりになるため、残りの指導員が他の寄宿舎生全体をみなければならなくなり、障害の重い子どもほど、寄宿舎に入りづらい状況となっています。久我山青光学園では、週に4泊を希望する子どもが、1泊しかできないケースが生まれているときいています。
 寄宿舎に泊まれれば1時間目から授業に参加できるけれど、自宅から通学すると、通学時間や家族の介護などの事情から、10時すぎでないと登校できないなどの状況もあるときいています。このまま指導員が減ってしまえば、子どもの学ぶ権利を保障できなくなりかねません。

Q1 来年度の寄宿舎指導員数は、せめて今年度の指導員数を確保するべきですが、いかがですか。

Q2 寄宿舎がある特別支援学校5校全ての保護者から、一番の要求として、寄宿舎の指導員を増やして欲しい、という声が出される状況を、都教委はどう受け止めていますか。

Q3 現状の、寄宿舎の指導員定数では、寄宿舎の定員まで寄宿舎生を受け入れることができず、必要な児童生徒が寄宿舎に入れずにいる実態について、都教委は、寄宿舎指導員など現場職員から聞き取りなどを行い、実態を調査すべきですが、調査しているのですか。行っていないのならば、早急に調査することを求めますがいかがですか。

Q4 寄宿舎指導員の定数は、寄宿舎の実態を調査した上で、児童生徒の安全を確保して受け入れられる体制とするために、引き上げるべきですがいかがですか。

 

米倉春奈議員の文書質問に対する答弁書

一 男女平等、性的マイノリティ支援について

A1 基本的人権が尊重され、性的少数者であることを理由に差別などが行われることがないよう、取組を進めていく必要があると認識しています。
 都は、東京都男女平等参画推進総合計画に基づき、性的少数者への支援として、偏見や差別の解消に向けた啓発や、相談を実施しています。

A2 都は、東京ウィメンズプラザにおいて、アンケートなどを通じ、利用者の意見を反映させながら、相談、講座、研修、活動の場の提供など幅広い事業を実施しており、性別等を問わず御利用いただいています。
 また、同プラザや区市町村の相談員、福祉や労働分野の担当職員等を対象とする研修において、平成29年度、性的少数者への理解と適切な対応に関する講座も実施し、相談対応の質の向上に努めています。

A3 都はこれまで、被害者が行政機関や裁判所での手続等に出向く際の同行支援のほか、暴力から逃れた被害者を保護するためのシェルターの安全対策や、シンポジウム、講演会等の啓発事業など、民間団体が行う自主的な活動に対して助成を行っています。

A4 平成29年度においては、配偶者暴力被害者への支援に取り組んでいる10団体から申請がありました。
 平成30年度は、同行支援事業等に対する助成金の予算枠を拡大して、民間団体の自主的な活動をさらに幅広く支援することとしました。

A5 都としては、今後とも、民間団体がその特性や経験を十分に発揮できるよう支援するとともに、一層の連携を図りながら、配偶者暴力対策を進めていきます。

A6 都では、東京ウィメンズプラザにおいて、性別等を問わず、都内に在住、在勤及び在学の方を対象に、配偶者暴力に関する相談を受け付けています。

 

二 特別支援学校の寄宿舎について

A1 平成30年度も実員数が定数を上回っているため、新たな寄宿舎指導員を確保する考えはありません。

A2 寄宿舎は、通学困難な児童・生徒の就学を保証することを目的として設置しています。
 寄宿舎指導員の定数は、国のいわゆる標準法に基づき、寄宿舎の収容定員を基礎として適切に措置しています。平成30年度は、定数62人を上回る74人の実員配置となっており、寄宿舎指導員を増やす考えはありません。

A3 寄宿舎の利用については、各学校が入舎を希望する児童・生徒の個別具体的な状況を総合的に判断し、決定しています。
 都教育委員会では、学校と保護者の相互理解を図ることが困難な事例が生じた場合など、必要に応じて学校を通し状況を把握しています。

A4 寄宿舎指導員の定数は、国のいわゆる標準法に基づき、寄宿舎の収容定員を基礎として適切に措置しています。
 また、肢体不自由特別支援学校の寄宿舎では、都独自に標準法を上回る基準を定め、重度重複障害のある児童・生徒については、児童・生徒2人に1人の割合で寄宿舎指導員を配置しています。
 そのため、寄宿舎指導員の定数を増やす考えはありません。

以 上

2018年第一回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者  とや英津子

 

「新河岸川及び白子川河川整備計画」(変更案)における白子川上流部の調節池計画について

 近年のゲリラ豪雨をはじめ短時間集中の豪雨は、全国で甚大な水害をもたらしています。東京では市街化が進み土地の浸透度が落ちたため、さらなる河川流域対策が求められてきました。
 練馬区でも平成11年には床上浸水274件、床下浸水が121件と被害がでており、17年にも豪雨被害が発生しています。こうした状況を改善するため、区内を流れる石神井川、神田川、白子川など中小河川の流域対策が進められてきました。
 都は2017年9月、「新河岸川及び白子川整備計画(変更原案)」を策定し、今年4月6日には国土交通省から計画を認可されています。計画変更の大きな特徴は、練馬区の白子川流域でいうと、1時間75mmの降雨に対応するため、新しい調節池を位置付けたことです。
 H24年に策定された「東京都内の中小河川における今後の整備のあり方」最終報告書の中では、時間50ミリを越える部分の整備手法について、河道整備により対応することは多大な費用と期間が必要であること。調節池の整備により対応することは用地確保の容易性や事業効果の早期発現性の面で利点が多いことから地下式や掘込式の調節池による対策を基本とすることとしています。これらの方針を受けて、平成18年策定の計画を変更し具体化したものが今回の「新河岸川及び白子川河川整備計画(東京都管理区間)」です。
 そこでうかがいます。

Q1 「新河岸川及び白子川河川整備計画(東京都管理区間)」は今後概ね30年の計画となっていますが、特に白子川上流部における調節池の整備を事業化する時期、条件についてお聞きします。
 特に、火の橋~七福橋間は、地域の子どもたちの憩いの場でもあり地域の方々が守り育ててきた練馬区立井頭公園の湧き水や貴重な生物である「ほとけどじょう」などが生息しており、環境面での心配の声が寄せられています。平成18年には50mm降雨への対応であったものが今回大きく変更されたことにより、自然への負荷が懸念されます。

Q2 白子川流域では東埼橋はじめ4区間の調節池を計画していますが、これらの調節池の場所はどのように選定されたのでしょうか。

 都内の中小河川流域については、雨水の大半が下水道を通じて河川に放流されていることから、下水道と河川を一体のものとしてとらえています。また近年は流域内で発生する浸水被害が河川からのいっ水によるものより内水氾濫によるものが多く含まれていることから、下水道局や各区市町村の流域対策と連携して浸水対策を推進しています。
 この間、白子川流域では下水道局による貯留管が練馬区大泉町に580m3、南大泉には約4,800m3が整備されました。さらに練馬区は透水性舗装、浸透マスなど「総合治水計画」で定めた平成33年度まで55.5万トンの目標に対し、26年度末で44万トンが完了しています。また白子川流域において練馬の区域は、すでに比丘尼橋上流をはじめいくつかの調整池が整備され、比丘尼橋下流の調節池は21万2,000m3と大変規模の大きな施設です。

Q3 都としてこれらの施設や取り組みの効果について検証されているのでしょうか。していない場合は、検証が必要と考えますが、いかがですか。

 この地域は、「白子川源流・水辺の会」が2001年に設立されて以来、貴重な生物の生息地であり、地域住民にとって貴重な水辺空間である井頭源流を守るため、活発に活動が行われてきました。子どもたちが夏になると泥んこになって自然にふれあい、近隣小学校のフィールドワークの場としても教育的価値が高い場所となっています。地域の人たちからは、巨大な調節池建設を回避すること。せめて規模の縮小を図って欲しい。西東京市に調節池を整備するなどして負担を分散化することなど意見が出ています。

Q4 これらの意見についての見解を改めてお聞きします。

 さらに東京都は、計画について練馬区に意見照会を行っています。区は1)景観法に基づく練馬区景観計画では白子川、大泉井頭公園および越後山の森緑地を景観重要公共施設に指定しています。整備等を行う際には区と協議し景観に配慮した計画をお願いします。また、練馬区景観計画および景観条例に基づき「練馬区公共施設等景観形成方針」を定めています。河川沿い、道路、緑道、公園・緑地、公共建築物を整備する際には、この景観形成の方針に沿ったものとしてください。2)新規調節池を含む河川整備にあたっては、地域住民の意見を踏まえ、生態系、水循環、湧き水等の自然環境、および親水機能の保全・創出に十分配慮し、地域の個性を活かした計画としてください。との回答を寄せていますが、

Q5 東京都としてこれらの意見をどのように活かすのか、考えをお聞きします。

 巨大な調節池の整備をめぐっては、各地で住民とのトラブルが発生しています。町田市金森6丁目の地下調節池計画では、都の強引な計画強行に対し、町内会など住民が反発し、都議会環境・建設委員会には、町田市と東京都の調節池に関する協定書締結の凍結を求める請願も出されています。町田市議会では、同趣旨の請願が採択されています。

Q6 白子川流域における調節池整備についても地域住民との合意形成なしに進めるべきではありません。計画実施の際どのように合意形成をはかるのでしょうか。

 今回の計画は概ね30年という長期にわたるものです。新たな技術開発などの可能性もあり、慎重な検討が求められます。

Q7 今後、状況の変化に合わせて随時見直しをすることを強く求めますがいかがですか。

 

とや英津子議員の文書質問に対する答弁書

A1 平成30年4月に変更した「新河岸川及び白子川河川整備計画(東京都管理区間)」に位置付けている白子川上流部の火の橋から七福橋までの間に整備する予定の調節池について、事業化する時期は決まっていません。今後調節池を整備するための候補地となる都市計画道路や都市計画公園等の公共用地の確保状況や下水道の整備状況などを総合的に判断して事業化していきます。

A2 本計画に定める新たな調節池は、目標降雨により河川に集まる雨水を、下水道網や地形などを考慮して流域を分割したエリアごとに算定し、河川の流下能力を上回る部分を貯留するものであり、洪水の貯留に効果的な場所へ分散配置することとしています。
 本計画には、調節池を設置する区間を定めていますが、その具体的な場所は決まっていません。

A3 河川や下水道の整備、流域対策の進捗により、白子川流域の浸水被害は、昭和50年代と比較して大幅に減少しており、取組の効果が発揮されていると考えています。

A4 新たな整備水準である時間75ミリの降雨に対処していくためには、河道や調節池等の河川施設と、流域における対策について、それぞれの特性を踏まえた適切な役割分担によって整備していく必要があります。
 具体的には、時間50ミリまでの降雨は護岸整備を基本に、それを超える降雨のうち、15ミリ分は新たな調節池、10ミリ分については流域対策で対応していくこととしています。
 本計画では、この考えに基づき、調節池を設置する区間と容量を定めていますが、施設数や設置場所については今後検討し、関係機関等と調整していきます。また、事業の実施に当たっては、地域住民等に丁寧に説明していきます。

A5 意見照会に対する練馬区の回答も踏まえ、生物の多様な生息・生育空間の確保、健全な水循環の形成、良好な河川景観・親水空間の保全・創出に努めるなど、本計画に基づき整備を行ってまいります。

A6 調節池を整備する際には、事業の必要性や効果、工事の方法や影響及びその対策などについて、事業説明会などを通じて地域住民に丁寧に説明していきます。

A7 本計画は、激甚化する豪雨から都民の命と暮らしを守るため、河川整備を効率的、効果的に進めていくための対策を示しています。
 今後、洪水等に対する整備水準の見直し、流域の社会状況等の変化、水質など自然状況の変化や新たな知見、技術革新などにより、計画期間内であっても必要に応じて改定していきます。

以 上

2018年第一回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者  斉藤まりこ

 

保育施設での死亡事故と保育士の配置基準について

 保育施設で起きた乳児の死亡事故と保育の基準の問題について伺います。
 わが党はこれまで、待機児童解消のための抜本的な対策として、認可保育所の整備目標をもつべきだと繰り返し述べてきました。それは今回の東京都の調査で明らかになったように、認可保育所が親からの一番のニーズであると同時に、保育士の配置や面積などについて一番高い基準を設けていて安心安全な保育が一番に保障される環境にあるからでもあります。
 しかし、東京都の待機児童対策は、基準を緩めた企業主導型保育の拡大や、小規模保育所への幼児の詰め込み、ベビーシッター利用の拡大など、保育の質がどのように担保できるのか不安視されるものが含まれています。
 内閣府のデータによると、保育施設で命を落とした子どもたちは、2007年から2016年10年間で146人(報告件数)にのぼり、7割が認可保育所よりも基準の緩められた認可外保育施設での事故によるものです。

Q1 保育士の有資格者の配置やゆとりある保育体制、経験を積んだ保育士の存在は子どもたちの命と健やかな成長を保障するために大切なものですが、保育士の配置基準についての認識を伺います。

 2016年3月に中央区の事業所内保育所で当時1歳2ヶ月だった赤ちゃんが保育中に亡くなった事故について、再発防止のための事後的検証委員会が開かれ、昨年2017年3月に報告書がまとめられています。本件では、お昼寝の時間に泣いていた乳児を、他の子が起きてしまうとの理由で、別室でうつぶせ寝にしたうえ、2時間以上も呼吸の確認をしていなかったということが明らかになっています。
 事故当時、0歳3名、1歳11名、2歳4名、3歳1名、4歳以上1名の児童を、4名の有資格者を含む6名の職員で保育していたと報告されています。必要な職員数の基準は満たしていたということですが、認可保育所でさえ、国の最低基準どおりでも保育現場を保てないとして多くの自治体が国基準以上の手厚い基準で保育をしています。この事故の遺族代理人の弁護士からは意見書が出され、「泣く赤ちゃんを抱っこできない保育体制だとすれば、それは保育士の配置基準に問題があると考えます」と指摘されています。

Q2 報告書には、当時の児童数にたいして、必要な保育従事職員数は4名で、そのうち有資格者が1名と示されています。0歳から4歳児以上までの異年齢児を、保育従事者が重ねて保育をする状況だったとのことですが、この保育士の配置基準の根拠を教えてください。

Q3 そもそも当該施設において適用されていた保育士の配置基準は十分なものなのかどうか、都としての検証が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

 発達段階や要求が違う異年齢児を同じ保育従事者が同時にみることについて、保護者から不安の声が寄せられています。数字上は基準を満たしていても、まだハイハイができないような子どもと、元気に走り回るような子どもでは、それぞれに保育者がついていなければ、適切な保育は困難ではないでしょうか。

Q4 児童の安全や健やかな成長を保障するためにも、複数の異年齢児をひとりの保育従事者でみてもよいとする基準の設定は見直し、東京都としてより手厚い基準を設ける必要があると思いますが、いかがでしょうか。

 当該施設の施設長は認証保育所で1年3ヶ月の経験を経ただけだったため、当該会社から施設長就任への打診があったときには断っていたということが報告されています。しかし、本部からサポートがあると言われて引き受けたものの、十分なサポート体制がなく、以前に勤めていた系列園でのことを思い出しながら、想像しながら園を運営していた状況だったことが記されています。

Q5 保育事業者でありながら、きちんとした保育を実践するための体制がない会社が保育の事業を行なうことの危険性について、都はどのように認識していますか。

 報告書では、保育事業の委託元の会社についても保育への理解が必要である、と指摘しています。とくに「慣れ保育」の期間について、事業所内保育所では「企業の育児休業制度によって影響されるため、保育所の方から子どもの心身の状態に合わせた慣れ保育期間の提案が行なえないことが多く、当該保育所においても苦慮している実情が見受けられた」、とされています。1歳の乳児が母親からの分離不安でしばらくは落ち着かない状況になることに対して、多くの保育所は適切に対応していますが、社会一般において、慣れ保育の重要性について理解されていない状況があることが指摘されています。
 また、委託元企業の社員である保護者は、委託元企業を信頼して、子どもを委託先の保育所に預けています。「委託元企業においても、委託先保育事業者と同様に、保育所が子どもの健全な心身の発達を図る場所となるよう努めていくことが企業の責務であると考えられる」と、報告書に示されています。

Q6 事業所内保育所や、区市町村の関与がない企業主導型保育所の委託元企業にたいしては、東京都が企業の保育にたいする理解を深めて、企業としての責務を認識してもらうために積極的に関与していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 本年1月末に葛飾区亀有のベビーホテルで1歳の男児が死亡する事故が起きました。24時間営業の施設だったということですが、当該施設は2014年度から東京都による立ち入り検査のなかで、「常時複数の保育従事者の配置」が守られていない(2014年度、2016年度)など、多くの点で改善の指摘を受けていたにもかかわらず、改善の報告がなされていない施設でした。事故当時も保育従事者が複数いなかったということが報道されています。今後、検証委員会で検証が行なわれていくものと思われますが、東京都が子どもの安全に関わる問題点があると把握していた施設で、子どもの命を失うことになったことは重く受け止めなければなりません。
 2016年3月に大田区の認可外保育施設での死亡事故も同様に、改善指導を受けながら、改善がなされないままに起きたものでした。しかも、2016年3月に大田区での件と、今年1月に起きた葛飾区での件は、ともに保育従事者の配置基準を満たしていない施設で起きた事故です。保育従事者や有資格者がきちんと配置されているかどうかは、とくに乳児の命の安全に直結する問題です。

Q7 子どもの命を守るために、東京都が負っている責任の重大性を認識して、とくに保育従事者の配置基準を満たさないまま保育施設の運営を続け、改善や改善の報告がなされない事業者には、在園児の他施設への通園を保障しながら、事業の停止や閉鎖の命令の措置を着実にとる必要があると思いますが、東京都の見解を伺います。

 保育士の配置基準は重要なものです。昨年11月に国の規制改革会議、区市町村ごとに面積や人員配置について実施している独自の上乗せ基準を「待機児童数の増加をもたらす要因のひとつになっているとの指摘もある」と否定的に描き、都道府県が設置する協議会で「検証」するように求める提言を出しました。政府はこれを受けて、都道府県が「待機児童対策協議会」を設置できるとすることを含む子ども・子育て支援法改正案を閣議決定しました。区市町村が設けている独自の手厚い基準について、都道府県から切り下げていくように圧力がかかるのではないかと、保育従事者や保護者から不安の声が上がっています。
 昨年2017年の第4回定例議会で、規制改革会議の提言についてのわが党の質問に対して、知事は「保育サービスの整備にあたっては、量の拡大と質の向上を図ることが必要」とし、「人員の配置や面積基準については、都の条例で定めている基準を踏まえながら、保育の実施主体である区市町村がそれぞれの判断で定めていると認識している」と答弁しました。「東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例」には、「知事は最低基準を常に向上させるよう努める」ことと、「児童福祉施設は、最低基準を超えて、常にその設備及び運営を向上させなければならない」と明記されています。いま、まさに、その実行が求められています。

Q8 上乗せ基準を実施している区市町村の基準の引き下げは求めないことを明確にすること、そして何よりもこどもたちの権利と健やかな成長を守るために、上乗せ基準を維持・向上できるよう東京都からの支援が求められていますが、いかがでしょうか。

 

斉藤まりこ議員の文書質問に対する答弁書

A1 厚生省令で定める児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の目的は、児童が「明るくて、衛生的な環境において、素養があり、かつ、適切な訓練を受けた職員の指導により、心身ともに健やかにして、社会に適応するように育成されることを保障するものとする。」とされています。
 保育士の配置基準は、認可保育所及び認定こども園については都道府県が、小規模保育事業や家庭的保育事業等の地域型保育事業については区市町村が、児童福祉法に基づき、それぞれ定めることとされています。
 都は、東京都児童福祉審議会や東京都子供・子育て会議での意見を踏まえた上で、都議会の議決を経て、認可及び認定の基準を条例等により定めています。
 認可外保育施設の保育士の配置基準については、厚生労働省の通知に基づき、都の認可外保育施設に対する指導監督要綱で定めています。

A2 当該保育施設は、児童福祉法第59条に基づく認可外保育施設であり、保育士の配置基準は、厚生労働省雇用均等・児童局長通知「認可外保育施設に対する指導監督の実施について」(平成13年3月29日雇児発第177号)に基づき、都の認可外保育施設に対する指導監督要綱で定めています。

A3 認可外保育施設における保育士の配置基準は、厚生労働省雇用均等・児童局長通知「認可外保育施設に対する指導監督の実施について」(平成13年3月29日雇児発第177号)に基づき、都の認可外保育施設に対する指導監督要綱で定めており、保育に従事する者のうち、おおむね3分の1以上は、保育士等の資格を有するものとしています。

A4 都は、児童の身体的、精神的及び社会的な発達のために必要な生活水準の確保や児童の安全確保等の観点から、認可保育所は児童福祉法及び子ども・子育て支援法に基づき、また、認可外保育施設は児童福祉法及び都の認可外保育施設に対する指導監督要綱に基づき、指導監督を実施しています。
 また、平成30年度から新たに、国の認可化移行支援に加えて、認証保育所への移行を目指す認可外保育施設に対して、独自に運営費や改修費等の支援を開始します。

A5 都は、設置主体にかかわらず、適切な保育が提供されるよう、児童福祉法その他関係法令等に基づき、立入調査や巡回指導等を行っており、今後も区市町村と連携しながら、事業者に対する指導を適切に行っていきます。

A6 企業主導型保育事業が開設されると、公益財団法人児童育成協会から、都道府県を通じて区市町村に情報提供されるとともに、施設に対しては、運営費等の補助金を交付する同協会が基準の適合状況等助成要件の確認のための指導・監査を実施しています。
 都は、企業主導型保育事業や事業所内保育施設に対して、巡回指導や研修を行っており、平成29年度からは、委託元企業向けにも認可外保育施設の基準や事故防止の取組について研修を行っています。

A7 都は、認可外保育施設の保育サービスの質の向上を図り、児童の安全と保護者の安心を確保するため、平成29年3月から、認証保育所を除く全ての施設に対して、年1回、巡回指導チームによる指導を実施しています。
 また、児童福祉法等に基づき、認可外保育施設に対して、書面による報告徴収や立入調査等を行っており、巡回指導の結果等も踏まえ、職員配置や保育内容等に重大な問題が認められた施設には早期に立入調査を行うなど、機動的に対応しています。
 立入調査の結果、設備及び運営に関する基準に抵触した場合、改善を指導し、その後も改善されない場合には、報告期限を付して改善勧告を行っています。
 それでもなお、改善が図られない場合には、区市町村と連携し、児童の処遇を確保した上で、施設閉鎖命令等も含めて厳正に対処しています。
 今後も、事業者に対する指導監督を適切に行っていきます。

A8 都は、認可保育所の設備及び運営に関する基準について、児童福祉法に基づき、条例で定めています。
 区市町村では、都の基準を踏まえて、地域の実情に応じて人員の配置や面積について独自の基準を定めているものと認識しています。
 都は、公定価格による運営費補助に加え、保育施策等に必要な経費を、特別区については、都区財政調整制度で措置しています。また、市町村については、子育て推進交付金で支援しています。

以 上

 

2018年第一回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者  和泉なおみ

質問事項
 一 中川・綾瀬川流域の水害対策について
 二 児童扶養手当・児童育成手当の支給回数について

 

一 中川・綾瀬川流域の水害対策について

 昨年10月に発生した台風21号がもたらした長雨により、中川では、水位が4.4メートルまで上昇する可能性があるとの国交省江戸川河川事務所の判断にもとづき、葛飾区は23日7時半に区内の中川右岸の地域に避難準備及び高齢者等避難開始を発令しました。地域防災無線で全区的に避難準備等が発令されたことを、区民は衝撃をもって受け止めました。
 中川・綾瀬川流域は、江戸川と荒川という大きな川にはさまれたお盆の底のようになっており、そもそも水がたまりやすい地形です。また、平野部に源を発し、平均勾配が5000分の1というほとんど真っ平らな土地を流れていて、川としての流下能力がきわめて低いのです。こうした地形的条件に加えて、都市化が進みました。
 そのもとで、近年の気候変動などにより集中豪雨やゲリラ豪雨が頻発しています。流下能力のきわめて低い川に急激に大量の雨水が流れ込むのです。
 国は、中川・綾瀬川の流域では、流域の都市化の進展が著しく、河川整備だけでは治水対策に対応できないため、河川と流域の両面から水害の軽減と防止をはかる総合治水対策を実施しているとしています。1980年に国土交通省関東地方整備局、東京都、葛飾区など国や都県、流域の区市町村が構成メンバーの中川・綾瀬川流域総合治水対策協議会が設置されました。1983年に協議会として「中川・綾瀬川流域整備計画」を策定、その後2000年に流域整備計画を改定しました。
 そこで質問します。

Q1 都は、中川・綾瀬川流域の治水対策を都政の中でどのように位置づけていますか。位置づけを強化すべきだと思いますがいかがですか。

Q2 2000年に策定された「中川・綾瀬川流域整備計画」の暫定計画は、おおむね10か年以内に実施可能なものとして計画され、年超過確率1/10規模の降雨(48時間あたり217mm規模)に対して治水安全度を確保するとしています。
 すでに策定後18年となりますが、都は協議会のメンバーとして進捗状況をどのように把握していますか。また、都は、この暫定計画に基づきどのような総合治水対策にとりくんできたのですか。それぞれお答えください。

Q3 おおむね10か年以内に実施可能な計画としてつくられた暫定計画策定からすでに18年と計画期間の倍近くの年月が経ち、新たな暫定計画を策定することが求められていると考えます。都は、「中川・綾瀬川流域整備計画」の改定を求めるべきだと思いますがいかがですか。対策協議会では改定は俎上に載っているのですか。

Q4 対策協議会はどのくらい開催されていますか。協議の実情やそこで課題とされていることなどについて明らかにしてください。

Q5 暫定計画は48時間あたり217mm規模の降雨に対して治水安全度を確保するとしましたが、昨年の台風21号で葛飾区が避難準備を発令したときの降雨量は48時間あたり197mmでした。暫定計画の目標よりかなり下回った降雨量でも、水位が4.4メートルまで上昇する可能性があり、避難準備が発令されたことを都はどのように考えますか。

Q6 今後、さらに河川整備、下水道整備、公共施設や家庭での貯留・浸透施設の設置が求められていると思いますが、都はどのように推進するのですか。

 

二 児童扶養手当・児童育成手当の支給回数について

Q1 厚生労働省は、来年度から、ひとり親家庭等に支給される児童扶養手当の支給回数を増やす方針を示しています。子ども家庭局の予算案の概要の説明資料では、児童扶養手当の支給回数について、2019年11月支給(8月分~10月分)から、現行の年3回(4月、8月、12月)から年6回(1月、3月、5月、7月、9月、11月)に見直すために、必要な措置を講ずるとされています。
 現在の制度で支給回数が年3回で、まとめて支給される仕組みになっていることについては、毎月の収入に変動があることが家計管理を困難にしているという指摘があり、毎月支給にしてほしいという声が多くの当事者や子どもの貧困問題に取り組む方々からあがっていました。今回の厚生労働省の方針は、毎月支給に変更するものではありませんが、収入の変動を小さくする方向に改正するものであるといえます。
 東京都は、児童扶養手当の支給回数を年3回から年6回に増やすことについて、ひとり親家庭等の家計の安定にとって、どのような意義があると考えていますか。

Q2 東京都には、児童扶養手当と同様に、ひとり親家庭等に手当を給付する児童育成手当制度があります。対象となる子ども1人当たり月額13,500円を給付するもので、ひとり親家庭等の生活の安定に貢献する重要な制度です。
 しかし、支給時期については、毎年の2月、6月、10月の3回とされています。
 児童育成手当についても、毎月の収入の変動を小さくする方向で、検討を行うべきではありませんか。

 

和泉なおみ議員の文書質問に対する答弁書

一 中川・綾瀬川流域の水害対策について

A1 東京都では、東部低地帯を高潮による水害から守るための護岸整備を実施しており、都管理区間における中川・綾瀬川流域の整備は完了しています。
 この護岸整備では、洪水対策も考慮しており、「中川・綾瀬川流域整備計画」の治水暫定計画で目標とする流下能力は確保されています。
 また、「東部低地帯の河川施設整備計画」に基づき、堤防や水門等の耐震・耐水対策事業を進めています。

A2 都は、国土交通省江戸川河川事務所が開催する担当者会議に出席し、中川・綾瀬川流域における暫定計画の進捗状況を確認しています。
 総合治水対策の取組については、流域整備計画の暫定整備目標に基づき、おおむね10年に1回程度発生する降雨に対処するため、河川の護岸整備とともに、区と連携した流域対策などを推進してきました。

A3 国土交通省江戸川河川事務所が、流域整備計画の改定に向けて、流域の都県や区市町と協議・調整中です。

A4 中川・綾瀬川流域総合治水対策協議会は、中川・綾瀬川流域整備計画が改定された平成12年7月に開催されました。
 その後、国や都県、流域区市町からなる担当者会議において、進捗状況の共有を図るとともに、流域整備計画の改定などについて協議を行っています。

A5 中川の葛飾区区間は、下流域に位置し、上流の降雨の影響を受ける区間です。
 平成29年の台風21号の際には、前線の降雨と台風21号の降雨が重なったことから、中川の中流域から上流域にかけては降水量が多く、熊谷雨量観測所では315ミリメートル、岩槻雨量観測所では270ミリメートルの累加雨量を記録しました。
 これにより、吉川水位観測所において、避難勧告等の発令の目安となる氾濫危険水位まで水位が上昇したものと考えます。

A6 都は、豪雨対策基本方針に基づき、河川、下水道の整備や流域対策などの総合的な治水対策を進めています。
 都民の安全の確保に向け、引き続き関係各局が区とも連携し、取り組んでいきます。

 

二 児童扶養手当・児童育成手当の支給回数について

A1 ひとり親家庭等の生活の安定と自立の促進を目的とする児童扶養手当について、支給回数が年3回から年6回に増えることは、ひとり親家庭等の家計の安定に一定の効果があると認識しています。

A2 児童育成手当は、都及び市町村が条例を制定し、市町村条例に基づき市町村が認定及び支給を行った場合に都が費用を負担する仕組みとなっています。特別区については、特別区の条例により実施されており、都区財政調整制度の中にその費用が措置されています。このため、児童育成手当の支給方法を変更する場合には、区市町村との協議や調整が必要となります。
 なお、児童扶養手当の支給が、年6回、奇数月に支給されることとなると、2月、6月、10月に支給される児童手当と児童育成手当と合わせ、年9回手当が支給されることとなります。

以 上

 

2018年第一回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者  河野ゆりえ

質問事項
 一 安全で環境にやさしいエネルギー施策推進について
 二 中央環状品川線の開通延期に係るトラブルについて

 

一 安全で環境にやさしいエネルギー施策推進について

 2011年3月11日の東日本大震災直後、福島第一原子力発電所の苛酷事故が発生してから7年が経ちました。福島県の発表では、いまだに5万人の人達が、避難生活を送っています。原発事故関連死者数は2211人に達しています。家族や友人を失い、故郷に帰れない人々の悲しみは、想像にあまりあります。福島第一原子力発電所事故の最大の教訓は、危険な原子力発電による電力供給から、安全で環境に優しい太陽光などの自然再生エネルギーの導入拡大に転換して、生命を守ることを最優先すべきということです。

Q1 初めに、2017年12月27日に、原子力規制委員会が東京電力柏崎刈羽原子力発電所について、新規制基準適合の審査書を公表したことに関連して、質問します。
 柏崎刈羽原子力発電所の軽水炉原子炉は、福島第一原子力発電所と同じ沸騰水型と言われていますが、構造が違う改良型沸騰水型軽水炉で、原子炉の冷却能力などの安全性が疑問視されています。
 福島第一原子力発電所の事故は、津波が原因とされていますが、事故の原因は究明途上で解明されていません。そうしたなかで、原子力規制委員会が「新規制基準適合」と審査書を出したことに対して、「住民の安全がまもられるのか」と、批判の声があがっています。
 知事にうかがいます。柏崎刈羽原子力発電所について、原子力規制委員会が公表した「新規制基準適合」の判断は、住民の安全、東京電力の経営体質など様々な角度から考えれば、「規制委はもっと慎重であるべき」との意見があります。知事は、原子力規制委員会の「新基準適合」の判断について、どのようなお考えをお持ちですか。お答えください。

Q2 都内における電力消費量は、1年間で約800億キロワットh弱です。その9割を東京電力から購入しています。東京都は東京電力の最大の顧客です。原子力規制委員会が出した「新基準適合」は、「再稼働を認める」ものではありませんが、再稼働への動きを加速させることになります。しかし、東京電力自身は、2014年11月に「柏崎刈羽原子力発電所から30キロ圏内の自治体の理解が無ければ、再稼働の条件は十分でない」と明言をしています。
 新潟県内の30キロ圏内の9つの市町村では、どこでも1)福島第一原発の事故原因が究明されていないこと、2)住民の健康被害、3)避難路の確保など3つの検証が未解明である、として理解するとの状況には至っていません。新潟県は、独自の検証委員会をつくっています。米山隆一県知事は、「福島第一原発事故の検証が終わるまで再稼働の議論をするつもりはない」と明確に述べ、県の委員会の検証には3年~4年かかると表明しています。
 東京電力ホールディングス新潟本社の代表は、原子力規制委員会の「基準適合」の公表後、米山隆一知事を訪問し、「安全性、信頼性の向上に向けて取りくむ」と強調したとのことです。
 そこで、知事に求めます。住民、都民を守るために、東京電力・柏崎刈羽原子力発電所の再稼働について、毅然として慎重な姿勢をとっている米山隆一県知事と、意見交換を行なっていただくよう要望します。いかがですか。

Q3 福島第一原発事故から、都民の節電意識の向上、省エネ技術の前進、家族構成の変化などで、都内の電力消費量は減少の傾向です。再生可能エネルギーの導入、利用も少しずつ増えています。ですから、昨夏は、震災前に比べて電力余力が上回っています。原発必要論は根拠を失っています。
 今月4日には、都内で「原発ゼロの未来へ 3.4全国集会」が開かれています。「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」(原自連)は、「原発ゼロ基本法案」を提案しました。原自連は、小泉純一郎、細川護煕両元首相が顧問をつとめている市民団体です。原発ゼロへの大きなうねりが起きている変化に応えて、危険な原子力発電による電力供給は断念すること、とりわけ全国各地の原発再稼働は行なわないことを、首都東京の知事として、国に強く働きかけていただくようもとめます。お答えをお願いします。

 福島第一原発の事故の後、世界では、「原発ゼロ」の決断をし、太陽光や風力などの再生可能エネルギー導入が進んでいます。
 例えば、2022年末までに、17基の原発全廃を決めたドイツでは、2011年に再生エネルギーの発電割合は20%でしたが、2017年には33%となりました。石炭発電などが4割を占めているドイツの現状から、課題は大きいといわれていますが、2050年までに再生エネルギーを80%の割合に高める積極的な目標を掲げています。
 スイス、イタリア、ベルギー、台湾などの諸国も脱原発に踏み切っています。福島第一原発の苛酷事故を起こした日本こそ、原発依存から脱却し、再生エネルギーの開発、導入を促進すべきではないでしょうか。この1月、河野太郎外務大臣は、アブダビで開かれた国際再生可能エネルギー機関(IRENA)総会に出席し、日本の再生可能エネルギー導入に向けた取り組みは国際水準にも達していないとして、「嘆かわしい」と発言し、「今後、日本は、新しい思考で再生可能エネルギー外交を展開する」ことを明らかにしました。河野太郎外務大臣が、このように述べたのは、日本の再生エネルギー比率が2030年時点で22%から24%にするとした政府の目標が、国際比較でも遅れをとっているのが明らかだからです。この遅れを取り戻せるよう、東京都政としても、再生エネの開発、導入促進の役割を果たせるよう、何点かお聞きします。

Q4 第一は、大手電力会社の送電線接続拒否についてです。
 今年1月、京都大学の安田陽特任教授の分析が報道されました。発電所からの電気を送る基幹送電線の大手電力10社の利用率が、1割から2割にとどまっているとのことです。
 一方、再生可能エネルギーの発電事業者が、基幹送電線に接続を申し込んだ場合、「空き容量ゼロ」という理由で、接続が断られる状況が起きています。また、高額な送電線増強費用を求められる事例もあります。
 接続を拒否されれば、電気を送ることができませんから、再生可能エネルギー事業者にとっては死活問題であり、発電事業をあきらめる場合もあるとのことです。
 大手電力会社が、接続を断る理由として、今は稼働していない原子力発電所の再稼働を見越して、空き容量を設けているとの指摘があります。東京都として、市民電力などの事業者が、再生可能エネルギーで生み出した電力を大手電力会社の基幹送電線に接続し易くできるよう、対策を講じていただくこと、また、国への働きかけを行なっていただくことを求めます。いかがでしょうか。

Q5 次に省エネ、再エネについて、都の施策に関してうかがいます。
 東京都は、2016年3月に環境基本計画を改定し、東京都としての省エネ目標や再生エネルギー導入目標を定めました。定めた目標の数値は、まだ、努力の余地があるとは感じますが、目標達成に向けて施策を進めることは重要です。
 省エネに関して、東京都が2017年にスタートさせた「既存住宅における高断熱窓導入促進事業」についてうかがいます。「窓1つでも住宅省エネリフォーム助成を」とわが党も要望し、実現した重要な事業です。
 2017年8月からスタートしましたが、11月までの3ケ月で、申請件数は3345戸とのことです。3ケ年の事業で年間11000戸、計33000戸を目標にしていますから、これからの努力が問われています。そこで、以下の点について質問します。

  第一に、都として、この事業の目標達成に向けてどのように見通しを立てていますか。
  第二に、ユーザーや工務店関係者は、事業の周知が十分でないとの意見を持っていますが、今後、周知徹底は、どのように取り組まれますか。
  第三に、国の制度と併用すれば2分の1の本人負担になるけれど、都の補助金だけだと6分の1であり、費用の負担感が重いと言われています。補助率引き上げの検討が必要だと考えますが、いかがですか。

 それぞれお答えください。

Q6 3月20日の環境建設委員会の質疑の中で、環境局は、人が歩くことなどで発生する振動で発電し、都の施設などで利活用する旨の答弁をしました。振動力発電については、2015年の第2回定例会で、わが党の米倉春奈議員が文書質問をし、「人が歩く振動による電気がLED照明にも生かされています」と、省エネ、再エネ両方の観点から提案をしています。
 これから、都が振動力発電の実施に向けて施策を進めることは重要です。
 都が検討している振動力発電は、都有施設のどんな場所で、どのような形で活用するのでしょうか。具体的な検討策をお示しください。

Q7 都内では、市民団体等が、太陽光、小型風力、小水力などの再生可能エネルギーの発電事業に取り組んでいます。
 都内の市民発電の団体にお聞きしたところ、都内の太陽光発電のポテンシャルとして、小学校、中学校、高等学校など、学校屋根の活用が進むように東京都が支援してほしい、との要望がありました。
 都立学校はもとより、都内区市町村と連携して、学校屋根においての太陽光発電が促進されるよう東京都の努力を求めます。お答えください。

Q8 市民発電への支援を充実させることも必要です。一般の法人並みの税金が課税される仕組みの改善や、小型風力・水力発電への開発にあたっての資金面での支援など、種々求められています。
 市民発電に取り組んでいる民間団体、事業者との懇談、交流を密にして、支援の拡充を求めますが、いかがでしょうか。
 わが党は、これまでも、再生可能エネルギーの開発・普及に向けて提言を続けてきました。島嶼部など海洋に面している地域での潮力や波力、洋上風力の発電、地熱の利用、家畜糞によるバイオガスやバイオマスの利用などについて、今後、東京都として一層研究を深め、環境に優しく安全な自然再生エネルギーの導入に努力していただくことを求めるものです。

 

二 中央環状品川線の開通延期に係るトラブルについて

 中央環状品川線は、平成25年4月16日、「シールドトンネル掘削完了後の出入口工事や換気所工事において出水が発生した。これに伴う出水対策に時間を要したため、中央環状品川線の開通時期は、平成26年度末となりました」と、都建設局、首都高速道路株式会社が発表した。また、都と首都高速道路株式会社は、東京都環境影響評価条例第90条に基づく事業計画の変更の報告として、開通予定時期を平成26年から平成27年に変更すること、変更理由として、「シールドトンネル掘削完了後の出入口工事や換気所工事において出水が発生したため、薬液注入等の出水対策を行ったが、それらの対策に時間を要したことから、開通予定時期を変更する」という内容の届け出を都に行った。
 いずれも、出入口工事と換気所工事の二つの工事で出水が発生し、それに伴う対策工事に時間を要したことによって、中央環状品川線の開通時期が一年延期されたというものである。
 ところが、二つの出水工事のうちの一つである南品川換気所工事については当時関わった東京都建設局職員により、国土交通省が開催した平成27年度スキルアップセミナーで、2012年夏ごろ、「本線シールドトンネルのセグメント応力の上昇という想定外事象」が起こり、「このまま応力が上昇すれば許容応力度を超え、本線トンネル自体に大きな影響を与える可能性もあ」り、長期間の原因究明と対策工の検討、施工がおこなわれたことが発表されている。この発表では、セグメント応力の上昇への対策は詳細に報告されているが、出水についてはまったくふれられていない。
 本線トンネル自体に大きな影響を与える可能性があるセグメント応力の上昇という重大なトラブルが起こり、その対策に時間をとられていながら、その事実を押し隠し、出水の発生に伴う出水対策という別の理由を押し出していたとしたら重大である。このように事実を押し隠すような姿勢がそのままにされれば、それ以上の深刻な事故の発生を招きかねない。
 そこでお尋ねする。

Q1 トンネル工事における建設局としての「出水」と「出水対策」の定義をそれぞれ教えていただきたい。

Q2 平成25年4月16日の報道発表についてお尋ねする。

  「出入口工事や換気所工事において出水が発生」とあるが、出水はいつ発生したのか、出水量はどのくらいだったのか、二つの工事、それぞれについてお答えいただきたい。
  平成30年3月16日の環境建設委員会で、南品川換気所工事のなかで、都は「ロックボルトの施工時に出水がございました」と答弁している。ロックボルトの施工時の出水と平成25年4月16日の報道発表の「換気所工事において出水が発生」は同じものをさすのか。
  「これに伴う出水対策」としているが、「これ」とは、「出入口工事」と「換気所工事」、両方の出水をさしているということでよいか。
  出入口工事と換気所工事、それぞれの出水の発生に伴う出水対策の内容、いつからいつまで行われたかを教えていただきたい。

Q3 平成30年3月16日の環境建設委員会で、南品川換気所工事のなかで、都は「ロックボルトの施工時に出水がございました」と答弁した。

  「ロックボルトの施工時に出水」があったことは、都のどのような記録、あるいは、証言に基づいて確認したのか。
  そのときの出水量はどのくらいだったのか。
  止水などの出水対策工事は施したのか。対策工事を行った場合、施工期間はいつからいつまでか。
  「ロックボルトの施工時に出水」があったことを確認した記録、証言で、ほかに南品川換気所工事における出水の記録や証言はあったか。あった場合、それはいつ、どのくらいの出水だったか。

Q4 建設局からいただいた「都市高速中央環状品川線の南品川換気所と本線シールドトンネルを結ぶ避難路をNATM工法にて構築する工事」の「工期変更及び変更理由」という文書、および中央環状品川線の開通時期の関係についてお尋ねする。

  この工期変更の主要な理由は、「シールドセグメントへの付加応力を低減し、避難路の掘削を安全かつ確実に進めるための対策工を検討・実施するのに必要な期間として工事を一部一時中止した」ということでよいか。
  「シールドセグメントへの付加応力を低減し、避難路の掘削を安全かつ確実に進めるための対策工」のなかに、実際の出水の発生に伴って、その止水のために行われた工事はあったか。
  報道発表やアセス変更届けにおけるシールドトンネル掘削完了後の「換気所工事」における出水の発生とこれに伴う出水対策は、「シールドセグメントへの付加応力を低減し、避難路の掘削を安全かつ確実に進めるための対策工を検討・実施」のなかにふくまれるのか。

Q5 3月16日の環境建設委員会で都は「両方でさまざまな出水に関する事象、…出水の事象がたくさんございましたので、これを両方の開通の延期の理由として採用した」と説明した。南品川換気所工事における「さまざまな出水に関する事象」とは何か。本線トンネルのセグメントの応力上昇に対する凍結工の見直しは、これに含まれるか。ロックボルトの施工時の出水は、これに含まれるか。応力上昇に対する凍結工の見直し、ロックボルトの施工時の出水以外に、どんな出水に関する事象があったか。それぞれお答えいただきたい。

Q6 本線シールドトンネルのセグメント応力の上昇という想定外事象と、それに対する長期間の原因究明と対策工の検討、施工について、国土交通省が開催した平成27年度スキルアップセミナー以外に対外的に公表した事実はあるか。

 

河野ゆりえ議員の文書質問に対する答弁書

一 安全で環境にやさしいエネルギー施策推進について

A1 原子力発電所の再稼働に当たり、原子炉等規制法に基づく新規制基準に適合することについては、独立機関である原子力規制委員会により客観的に判断されるものと考えます。

A2 都は、電力・エネルギーの大消費地として、省エネ・節電とともに、再生可能エネルギーの導入拡大を進めています。
 原子力発電所の再稼働等を含むエネルギー政策につきましては、国の基本政策であり、国において検討、議論されるべきものと考えています。

A3 原子力発電所の再稼働等を含むエネルギー政策につきましては、国の基本政策であり、国において検討、議論されるべきものと考えています。

A4 都は、九都県市首脳会議や全国知事会などを通じ、系統設備の整備・増強や、再生可能エネルギーによる電力の広域融通を可能とするための系統運用の改善等について国に要望してきたところです。
 今後も引き続き、国に要望していきます。

A5のア 本事業は、住宅の中でも特に熱損失の大きい窓について、高断熱窓等に改修する際の費用の一部を助成するものです。
 事業期間は平成29年度から平成31年度までで、3.3万戸の導入を目標にしています。
 平成29年8月から事業を開始し、平成29年度末時点における申請受付状況は、838件、3,962戸となっています。
 今後も、チラシの配布、ホームページでの公表や事業説明会などで事業者等に周知を図りながら、目標に向け取り組んでいきます。

A5のイ 本事業については、説明会やセミナー等を通じて都民にPRを行ったほか、サッシメーカーやガラスメーカーなどの業界団体を通じて工務店等へ周知しています。
 また、業界紙やネットニュース等に記事を掲載するなど、様々な媒体を使ってPRを行っています。
 今後も、業界団体が実施するシンポジウムや、住宅設備の展示会などを通じて、事業を周知していきます。

A5のウ 本事業は、国が実施している「高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業」と併用することで、本人負担が最大2分の1になるよう補助率を定めたところです。
 また、都においては、国の補助の対象とならない、1部屋だけの高断熱窓導入についても補助対象とすることで普及を促進しています。
 なお、足立区や板橋区など、区市町村で有する類似の補助制度を併用できる場合があり、その場合は本人負担がさらに軽減されます。

A6 平成30年度において、振動でエネルギーを生む床発電などの新たな再生可能エネルギー技術について、最新の技術開発動向やPR効果の高い場所の選定等に向けた調査を実施します。

A7 都は、省エネ・再エネ東京仕様に基づき、都有施設の新築、改築等の際には、原則として太陽光発電設備を設置しています。
 また、区市町村に対しても、建物の太陽光発電の導入ポテンシャルに関する情報をソーラー屋根台帳により提供するなどしています。
 さらに、区市町村補助制度を通じ公共施設等における太陽光発電設備等の設置を支援し、導入を促しています。

A8 都は、再生可能エネルギー電力の拡大に向け、必要に応じて、事業者や民間団体等を含む様々な関係者からヒアリングや意見交換などを行っています。

 

二 中央環状品川線の開通延期に係るトラブルについて

A1 トンネル工事における「出水」とは、地下水等がトンネル坑内に流入することです。
 また、「出水対策」とは、トンネル掘削工事に伴い実施する、出水を抑制するための方策です。

A2のア 中央環状品川線は、東京都と首都高速道路株式会社とが共同で事業を実施しており、五反田出入口工事は首都高速道路株式会社が、南品川換気所工事は東京都が施行しました。
 五反田出入口工事については、出水量が記録されている出水が平成23年8月、同年11月、平成24年1月及び同年9月に発生しています。これらの1分当たりの最大出水量は、平成23年8月、同年11月及び平成24年1月は約100リットル、平成24年9月は約1,000リットルです。
 なお、総出水量は把握していません。
 また、南品川換気所工事については、出水量が記録されている出水が平成24年7月から同年10月まで、平成25年4月及び同年5月、このほか平成24年9月のロックボルト施工時に発生しています。これらの1分当たりの最大出水量はそれぞれ、約48リットル、約77リットル、約330リットルです。
 なお、総出水量は把握していません。

A2のイ 南品川換気所工事において発生した「ロックボルトの施工時の出水」は、同工事において発生した出水のうちの一部の事象です。

A2のウ 平成25年4月16日の報道発表では、「出入口工事や換気所工事において出水が発生しました。これに伴う出水対策に時間を要したため…」と発表しており、「これ」とは、両方の工事において発生した出水を指しています。

A2のエ 五反田出入口工事における出水対策については、平成23年8月、同年11月及び平成24年1月の出水を踏まえ、平成24年1月からその対策の検討を開始し、同年8月に凍結工を完了しました。
 また、平成24年9月の出水を踏まえ、同月からその対策の検討を開始し、平成25年1月に凍結工及び薬液注入工を完了しました。
 南品川換気所工事については、近接する本線シールドセグメントの一部に対して一次管理値を超過する応力が発生したため、あらかじめ実施していた出水対策の見直しとして、平成24年8月からロックボルトの打設など緊急対策工事を実施し、その後、抜本的な対策の検討を行い、平成25年6月に凍結工の解除、薬液注入工、セグメントの補強などの対策工事を完了しました。この間、これらの対策工事に伴って発生した出水への対策としては、平成24年7月から同年10月まで、平成25年4月及び同年5月の出水を踏まえ、平成25年4月及び同年5月に薬液注入工を実施しました。
 また、平成24年9月の出水を踏まえ、ロックボルトを適切に打設することにより出水を抑制しました。

A3のア 南品川換気所工事では、近接する本線シールドセグメントの一部に対して一次管理値を超過する応力が発生したことを受け、この原因を究明するとともに、あらかじめ実施していた出水対策の見直しなどの対策工事について検討を行うため、設計施工検討委員会が設置されました。
 「ロックボルトの施工時に出水」があったことについては、工事受注者が作成した記録に掲載されており、本委員会に提出された資料においても確認されています。

A3のイ ロックボルトの施工時における出水については、1分当たりの最大出水量は約330リットルであり、総出水量については把握していません。

A3のウ 南品川換気所工事においては、平成24年7月から同年10月まで、平成25年4月及び同年5月の出水を踏まえ、平成25年4月及び同年5月に薬液注入工を実施しました。
 また、平成24年9月の出水を踏まえ、ロックボルトを適切に打設することにより出水を抑制しました。

A3のエ ロックボルトの施工時以外の出水については、平成24年7月から同年10月まで、平成25年4月及び同年5月に発生しており、これらの1分当たりの最大出水量はそれぞれ約48リットル、約77リットルです。
 なお、総出水量は把握していません。

A4のア 中央環状品川線南品川換気所避難路接続工事において、平成25年2月14日付けで行った工期延伸の理由は、「シールドセグメントへの付加応力を低減し、避難路の掘削を安全かつ確実に進めるための対策工を検討・実施に必要な期間として工事を一部一時中止した」です。

A4のイ 南品川換気所工事において「シールドセグメントへの付加応力を低減し、避難路の掘削を安全かつ確実に進めるための対策」として、実際の出水の発生に伴って、その止水のために行われた工事については、平成24年7月から同年10月まで、平成25年4月及び同年5月の出水を踏まえ、平成25年4月及び同年5月に薬液注入工を実施しました。
 また、平成24年9月の出水を踏まえ、ロックボルトを適切に打設することにより出水を抑制しました。

A4のウ 報道発表やアセス変更届に記載されている南品川換気所工事における出水と出水対策は、中央環状品川線南品川換気所避難路接続工事の工期延伸理由である「シールドセグメントへの付加応力を低減し、避難路の掘削を安全かつ確実に進めるための対策工を検討・実施」の中に含まれます。

A5 南品川換気所工事においては、出水量が記録されている出水が平成24年7月から同年10月まで、平成25年4月及び同年5月、このほか平成24年9月のロックボルト施工時に発生しました。
 「本線トンネルのセグメントの応力上昇に対する凍結工の見直し」や「ロックボルトの施工時の出水」は、「さまざまな出水に関する事象」に含まれます。
 また、これらの出水以外に特別な対策が必要な出水はありませんでした。

A6 本件については、国土交通省が開催した「平成27年度スキルアップセミナー関東」以外に公表したものはありません。

以 上

2018年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者  尾崎あや子

質問事項
 一 都立村山特別支援学校の建て替えについて
 二 都有地の活用について

 

一 都立村山特別支援学校の建て替えについて

 都立村山特別支援学校は、築43年になります。保護者の方々からは「雨漏りがする」「冬は玄関や廊下が寒いのでなんとかならないか」などの要望が出されていました。この間、修繕や玄関・廊下にビニールシートを使って寒さ対策などに工夫してきました。
 私は、入学式・卒業式だけではなく学校の見学もさせていただきましたが、職員会議も会議室がないために職員室で行っていることがわかりました。
 2018年度予算案に都立村山特別支援学校の建て替えにかかわり、仮設の設計の費用が盛り込まれました。都立村山特別支援学校は身体に障害のある子どもたちが通っています。仮設校舎での車いすでの移動や通学バスからの移動などについて、どうなるのか不安・心配もあります。
 校舎の建て替えについては、保護者や住民の要望も丁寧に聞いていただきたいと思います。
 そこで、いくつか質問します。

Q1 都立村山特別支援学校の建て替えについて、現時点で、どこまで具体化されていますか。

Q2 仮設校舎の建設場所が決まったようですが、使える面積はどのくらいですか。

Q3 仮校舎の建設場所は、道路の幅が狭く建設のためにトラックなどが通ると大変危険です。建設現場の安全対策の強化を要望しますが、いかがですか。

Q4 仮設校舎では、通学バスの駐車場が不足するのではないですか。他に駐車場を借りるのですか。

Q5 仮設校舎では、体育館やプールなどはどうなるのですか。

Q6 仮設校舎での災害時対応はどうするのですか。

Q7 仮設校舎であるために、移動などに不都合が生じた場合、人員を増やすなど対応が求められますが、いかがですか。

Q8 都立村山特別支援学校の裏手に、避難所に指定されている雷塚公園があります。町会や地元住民の方々から「災害時、雷塚公園に避難する場合、通常の道路では、ぐるりと回るためかなり時間がかかる。都立村山特別支援学校の中の通路を使わせていただくと短時間で、混乱せず避難できるので、学校に協力してほしい」との強い要望が出されました。現在は、武蔵村山市との話し合いも行われ災害時には「協力」してもらう約束になっています。隣には、国立感染症研究所(村山庁舎)があり、最近、避難所になっている雷塚公園に通じる1m幅の歩道ができました。しかし、災害時の混乱を避けるためには、新校舎が完成した場合でも同じように対応していただきたいのですが、いかがですか。

二 都有地の活用について

 私の地元である東大和市内には、都営住宅・東京街道団地があり建て替えが行われます。この間の住民の方々からは、住居ゾーンの他に、公園ゾーン、公共公益施設ゾーン(運動広場、生活支援施設)が設置されることについて、さまざまな意見や要望も出ています。
 住民の不安を解消するために、いくつか質問します。

Q1 東京街道団地の建て替え計画の進ちょく状況について、うかがいます。

Q2 今後のスケジュールについて、うかがいます。

Q3 周辺の商店主の方々から、運動広場について、砂埃や騒音の問題で不安の声が出されています。砂埃や防音対策などについて検討されていることはありますか。

Q4 運動広場周辺に駐車場スペースをつくってほしいとの要望がありますが、いかがですか。

Q5 「公共公益施設ゾーン」には、どのような施設整備を検討していますか。

 次に、都営住宅・向原アパートの建て替えにかかわる創出地についてうかがいます。

Q6 向原アパートの創出地活用について、進ちょく状況について、うかがいます。

Q7 北側1.8ヘクタールには都立特別支援学校の新設を東京都は想定していますが、1.8ヘクタール全部を使う予定になっているのかうかがいます。

Q8 南側2.7ヘクタールについては、どのように考えているのか、うかがいます。

Q9 南側2.7ヘクタールについて、子育て・高齢・障害の半額貸与による施設用地としての活用の可能性はあるのですか。また、条件などについて、うかがいます。

 

尾崎あや子議員の文書質問に対する答弁書

一 都立村山特別支援学校の建て替えについて

A1 村山特別支援学校の校舎改築については、平成29年度に、容積率や高さ制限など法的課題等を整理するための調査を実施したところです。
 平成30年度は、改築工事中に必要となる仮設校舎の基本設計を行います。

A2 村山特別支援学校の仮設校舎については、武蔵村山市及び東大和市にまたがる都有地を設置候補地としています。
 同候補地の敷地面積は8,116平方メートルです。

A3 工事に際しては、安全な工事作業を徹底するだけでなく、交通誘導員を適所に配置して工事車両等の誘導・管理を行うなど、工事現場はもとより近隣住民等の安全確保の対策も講じることとしています。

A4 特別支援学校の仮設校舎を設置する際は、本校舎と同様に、児童・生徒が安全に乗降できるようスクールバスの駐車スペースを敷地内に確保することとしています。

A5 特別支援学校の仮設校舎の施設内容については、学校の要望等を踏まえながら、設計作業を進める中で調整することとしています。

A6 特別支援学校の仮設校舎は、本校舎と同様に、災害発生時等においても児童・生徒及び教職員の安全が確保できるよう、耐震基準を満たすとともに、防災機能を確保した施設として整備することとしています。
 具体的には、屋外に避難できるスロープの設置や非常用発電機、備蓄倉庫などの整備を行うこととしています。

A7 特別支援学校の仮設校舎においては、本校舎と同様に、児童・生徒が校舎内を移動する際に支障が生じないよう、廊下等の幅を適切に確保するとともに、エレベーターやスロープを設置することとしています。

A8 特別支援学校の校舎改築等に際しては、災害時の対応も含めて、地元自治体や関係機関と協議を行いながら設計を進めることとしています。

 

二 都有地の活用について

A1 都営東京街道団地については、前期建替事業として、平成19年度までに約1,400戸の建替えを実施しました。
 その後、都は、良好な居住環境の確保や緑の保全を行うため地元市と協議を行い、市は、平成29年7月に「東京街道団地地区地区計画」を決定しました。
 都は、後期建替事業の実施に向けて、同年9月に、都の紛争予防条例に基づき、近隣住民を対象として、後期第1期の建築計画に係る説明会を実施しました。

A2 都営東京街道団地の後期建替事業においては、3期6年程度で約660戸を建設することとし、第1期については、平成30年度の着手を予定しています。

A3 平成29年7月に策定された「東京街道団地地区地区計画」の「地区施設の整備の方針」では、周辺環境に配慮したスポーツ・レクリエーションの拠点となる広場を整備することとしています。
 広場の整備内容については、今後、地元市と連携しながら検討を行っていきます。

A4 広場の整備内容については、今後、地元市と連携しながら検討を行っていきます。

A5 平成29年7月に策定された「東京街道団地地区地区計画」の「土地利用の方針」では、生活関連施設地区について、地域に必要とされる公共公益施設や生活支援機能等の立地を誘導し、にぎわいと活力のある市街地の形成を図ることとしています。
 生活関連施設地区の整備については、今後、地元市と連携しながら検討を行っていきます。

A6 東大和向原アパートの創出用地の活用については、現在検討中です。

A7 都教育委員会では、東京都特別支援教育推進計画(第二期)に基づき、特別支援学校を新設する際には、配置の適正化を踏まえた設置場所とするとともに、最も合理的かつ効果的な施設整備の規模となるよう計画することとしています。
 なお、東大和向原アパートの創出用地の活用については、現在都で検討中です。

A8 東大和向原アパートの創出用地の活用については、現在検討中です。

A9 東大和向原アパートの創出用地の活用については、現在検討中です。

以 上

2018年第1回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者  池川 友一

 

コミュニティバス、路線バスについて

 高齢者や交通弱者が、気軽に利用できる地域に密着したバスなどは、きわめて重要な役割を果たしています。
 とりわけ、多摩地域にとってはその重要性は日に日に増しており、都が市町村と協力して住民生活を守るために力を尽くすことが求められています。
 交通政策基本法の第2条では「国民その他の者の交通に対する基本的な需要が適切に充足されることが重要であるという基本的認識の下に行われなければならない」と規定されています。
 また、同法第9条では「地方公共団体は、基本理念にのっとり、交通に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する」とされています。
Q1 コミュニティバスの運行及び民間路線バスの運行について、都の果たすべき役割は何ですか。また、住民が日常生活を営むための交通手段を確保するための都の役割は何ですか。

Q2 各自治体の状況を見ると、コミュニティバスの運行は、その多くが赤字運営という実態があります。こうした現状について、都はどう考えているのですか。

 東京都市長会からも予算要望などで「地域交通バスの運行維持に対する支援」が出されています。
Q3 バス購入費の補助額の増額とともに、バスの買替え費用等についても補助対象となるよう補助制度の拡充について検討すべきだと考えますがどうですか。

 町田市では、2012年度に運行から3年間経ったコミュニティバスの路線が廃止となりました。ここには、東京都が地域福祉推進区市町村包括補助事業により行っているコミュニティバス導入補助が3年間を上限としていることが大きく関係しています。
 年間利用者が11万人を超えるような場合でも廃止となったケースを考えれば、運行経費の継続は切実な課題です。また、補助期間が3年間であることを踏まえて路線検討をしているところでは、採算性に課題があることが理由として運行そのものが頓挫しているケースもあります。
Q4 運行経費が運行開始から3年間となっている補助期間を見直し、継続的な支援策とすべきですがどうですか。

Q5 東京都シルバーパスは「高齢者の社会参加を助長し、もって高齢者の福祉の向上を図ることを目的」としています。コミュニティバスでもシルバーパスを利用できるよう支援すべきだと考えますがいかがですか。

 道路事情などでコミュニティバスの導入が困難な地域の場合、利用者のニーズに応じてデマンド交通や乗り合いタクシーなどの導入が行われています。
Q6 デマンド交通など、コミュニティバス以外の交通手段によって、住民の移動手段を確保する取り組みについて、都の役割はどのようなものですか。

Q7 コミュニティバス以外の交通手段にも補助制度の創設を求めるがどうですか。

 都は、身体障害者手帳や愛の手帳、被爆者健康手帳を持っている方などに「都営交通無料乗車券」を発行しています。また、精神障害者保健福祉手帳を持っている方に「精神障害者都営交通乗車証」を発行しています。しかし、その利用は都営交通に限られているため、都営交通がほとんどない多摩地域では使用できない状況となっています。
Q8 「都営交通無料乗車券」「精神障害者都営交通乗車証」の対象となっている方々に対し、シルバーパス同様民営バスなどでも使える制度を構築すべきだと考えますがどうですか。

 

池川友一議員の文書質問に対する答弁書

A1 コミュニティバス、民間路線バスなど、地域の公共交通については、地域ごとのニーズに対してきめ細かく応える必要があることから、区市町村が公共交通事業者などの関係者と緊密な連携を図りながら主体的に取り組むことが重要です。
 都内の区市町村では、国の交通政策に基づき地元自治体や交通事業者、道路管理者、交通管理者等で構成される地域公共交通活性化協議会などを必要に応じて設置しており、このような場でコミュニティバスの運行及び民間バスの運行による住民の交通手段の確保など、地域交通の課題について検討を進めている自治体があります。
 都の役割としては、こうした協議会に参加し、地域の取組に対して広域的・専門的な立場から必要な助言や情報提供をしており、引き続き技術的な支援を行っていきます。

A2 コミュニティバスは、既存の路線バスや鉄道等では補えない交通需要に対応する乗合バスであり、地域における高齢者、障害者等の社会参加を促進するための交通手段の一つです。
  その導入に際しては、自治体等による主体的・自立的な運営を前提として、導入対象地域の交通需要等を踏まえた適切な路線設定、運行経費と運賃収入の適正な見積りに基づく事業の持続可能性、自治体の財政負担の将来的な見通し等について、十分に検討することが必要であると考えています。

A3 コミュニティバスの導入に際しては、自治体等による主体的・自立的な運営を前提として、交通需要や事業の持続可能性、財政負担の将来的な見通し等について、十分に検討することが必要であると考えています。
 コミュニティバス導入に係る補助事業は、事業立上げの際に支援することにより事業運営の安定化を図るため、1路線当たり1回に限り、3,600万円を基準額として、車両購入費の2分の1を自治体に補助しています。

A4 コミュニティバスの導入に際しては、自治体等による主体的・自立的な運営を前提として、交通需要や事業の持続可能性、財政負担の将来的な見通し等について、十分に検討することが必要であると考えています。
 本補助事業は、事業立上げの際に支援することにより事業運営の安定化を図るため、導入時の調査検討経費や車両購入費のほか、運行開始後3年間の運行経費の一部を自治体に補助しています。

A5 シルバーパス事業は、東京都シルバーパス条例に基づき、実施主体である一般社団法人東京バス協会に対し、都が補助を行い、利用を希望する方に対してシルバーパスを発行しているもので、利用対象交通機関は、都営交通及び路線バスとなっています。
 コミュニティバスのうち、一般のバス路線と同等の運賃を設定しているものについて区市町村とバス事業者の協議が整った場合は、シルバーパスで乗車できるようになっています。

A6 都内の区市町村では、国の交通政策に基づき地元自治体や交通事業者、道路管理者、交通管理者等で構成される地域公共交通活性化協議会などを設置しており、このような場でデマンド交通など、コミュニティバス以外の住民の交通手段を確保するといった地域交通の課題についても検討することができます。
 都の役割としては、こうした協議会に参加し、地域の取組に対して広域的・専門的な立場から必要な助言や情報提供をしており、引き続き技術的な支援を行っていきます。

A7 地域の公共交通については、区市町村が公共交通事業者などの関係者と緊密な連携を図りながら主体的に取り組むことが重要です。
 都としては、地域の取組に対して広域的・専門的な立場から必要な助言や情報提供をしており、引き続き技術的な支援を行っていきます。
 なお、コミュニティバス以外の交通手段については、市町村が交付金などを活用しながらデマンド交通などの事業を行っている事例があります。

A8 都は、東京都都営交通無料乗車券発行規程に基づき、身体障害者手帳所持者や愛の手帳所持者等に対して、都営交通無料乗車券を発行するとともに、東京都精神障害者都営交通乗車証条例に基づき、精神障害者保健福祉手帳所持者に対して、精神障害者都営交通乗車証を発行しています。
  民営バス各社が障害者等に対する運賃割引を実施する場合は、国が定めた標準運送約款を参考に、それぞれの約款で定めた上で、国土交通大臣又は地方運輸局長へ届け出る仕組みとなっています。

以 上