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質問・条例提案

2017.12.15

本会議 藤田りょうこ都議(大田区選出)の討論

12月15日の本会議で、藤田りょうこ都議(大田区選出)が討論を行いました。

★2017年都議会第4回定例会 討論全文(原稿)です。


 日本共産党都議団を代表して、知事提出の第175号議案ほか9議案に反対、その他の議案に賛成し、議員提出議案第20号に賛成する立場から討論を行います。

  はじめに、国民健康保険に関する第175号、176号、および178号議案についてです。
 これらの条例は、全国的に来年4月から実施される国保制度見直しに対応する東京都国保運営方針案に基づくものです。
 国は、制度見直しを機に、区市町村が国保料、国保税軽減のために行っている一般会計からの繰り入れをなくし、徴収強化を進めるよう求めており、今回の条例も都の運営方針案も、国の方針どおりのものです。
 しかし、一般会計からの繰り入れをなくすようなことをしたら、いまでも重い負担となっている保険料のさらなる大幅値上げにつながり、多くの都民の生活破壊を招くことは明らかです。
 一般会計の繰り入れがない場合、都の試算でも来年度の保険料は昨年度に比べ一人当たり平均、年額約3万4千円も上がります。
 制度見直しにより、東京都は区市町村とともに保険者として国民健康保険の財政運営に責任を負うことになります。日本共産党都議団は、区長会、市長会や多くの都民が要望している、都の新たな責任にふさわしい独自の財政支援を東京都に求めましたが、知事はこたえる姿勢を示しませんでした。
 今定例会で保険料が急激に上昇する場合の激変緩和措置について検討する旨の答弁がありましたが、それにとどまらず、子どもの多い世帯に対する負担軽減や子どもにかかる均等割保険料の軽減をはじめ、保険料の負担増にならないための都独自の財政支援を実施するよう、つよく求めるものです。
 以上の立場から、国保関係の3条例に反対します。

  次に、五輪のバレーボール会場として都が新設する有明アリーナの運営に関する、第168号議案です。
 施設の運営権を民間事業者に売却する、いわゆるコンセッション方式を導入する条例ですが、これでは、土地代ふくめ500億円以上もの都民の税金を使って、特定の民間事業者のために施設を建設することになってしまいます。都立施設という位置づけさえありません。
 都の方針案によると、利用料金も民間任せになり、運営内容について議会や都民がチェックする仕組みもなく、都民スポーツ優先の運営が保障されないことが、質疑で明らかになりました。
 有明アリーナの運営は、東京都体育施設条例に基づく都立施設として行うべきであり、本条例には反対します。

  次に、第164号議案、青少年健全育成条例改正についてです。
 青少年が自分の裸などの写真をメールなどで送って悪用される「自画撮り被害」の防止は大事な課題です。本条例には賛成ですが、被害に合わないためには教育啓発が重要です。関係各局が連携して取り組みを強化するよう求めるものです。
 また、不当な要求をする大人に対する罰則が設けられますが、青少年などの監視の強化につながるような人権被害などが起きないよう、厳正に運用することをつよく求めておきます。

  さて、都政の大問題である市場移転について、知事は都議選が始まる直前の記者会見で、築地市場は新たな市場として東京を牽引する一大拠点にすると明言しました。
 有言実行を求めたわが党の質問に対し小池知事は、記者会見での発言は「大きな方向性」だとか、「一つの考え方として示したもの」などと述べ、都議選後の関係局長会議で方針変更したことを認める答弁をしました。
 都議選の大きな争点になった問題で、都議選直前に公式表明したことを、選挙が終わると変更するというのは、都民への背信行為と言わねばなりません。
 築地再開発の具体案についても、都議選前の記者会見で知事は、事業者や都民とのオープンな場を設けて検討すると表明しました。ところが、都議選後設置された検討会議に市場業者は入っていません。これも重大な約束違反です。
 築地の価値で中核をなすのは、80年以上にわたる歴史でつくられた仲卸業者の目利きの技と信頼です。知事は、「脈々と築き上げてきた築地ブランドは東京の宝物である」と答弁しました。これについても、言行一致をきびしく求めておきます。
 豊洲新市場の追加対策工事は入札不調が相次ぐ中、地下水管理システムの機能強化工事を落札した3件では、清水建設の落札率はなんと100%、平均落札率も99・9%におよびます。予定価格は、ゼネコンの要望をふまえて当初の1・4倍にも引き上げられました。そのうえ特命随意契約への切り替えまで検討していることについて事実かと質しましたが、知事は否定しませんでした。まさにゼネコン言いなり、石原知事以来3代の知事と同じ愚を繰り返していることを、改めてきびしく指摘しておきます。

  東京五輪の選手村用地は、近隣の基準地価の10分の1という破格の安値で
 民間デベロッパーに売却しました。およそ1200億円も優遇したことになります。この問題について小池知事に情報公開請求をしましたが、具体的にどのように価格評価したのかという肝心の情報は、真っ黒の黒塗りです。
 代表質問で、黒塗りをはずして全面公開するよう求めましたが、知事は答えませんでした。都合の悪い情報は隠しつづける態度は、改革の1丁目1番地が情報公開だという知事の大方針と逆行しています。直ちに全面公開するよう、改めてきびしく求めるものです。

  一昨日、米軍の大型ヘリCH53が沖縄県宜野湾市の小学校に窓枠を落とすという重大事故を起こしました。CH53は8月から10月に、横田基地に飛来していました。先月、横田基地上空で行われた米軍輸送機の物資投下訓練では、重さ30キロの貨物がパラシュートからはずれて落下する重大事故が起きています。
 ところが、こうした問題への知事の米軍と日本政府に対する対応は、あまりにも弱腰です。横田基地の米軍機のいっせい点検、CH53の横田基地飛来の中止を国および米軍に対して要請することを、知事につよく求めるものです。

  わが党の質問に対し、木造住宅の耐震化、子ども食堂への支援、子どもの貧困対策、保育園整備に対する都有地活用、介護離職対策、医療的ケアを必要とする子どもの通学保障、障害者医療費助成の精神障害者への拡大などについて、重要な前向きの答弁がありました。
 一方、知事は今定例会で、幹線道路建設の推進を強調しました。知事は今年の予算議会で、道路などの社会資本整備について見直すべきは見直す、精査すると表明しました。来年度予算編成において、不要不急の大型開発を見直し、福祉、くらし、教育をはじめとした都民施策の予算を思い切って増額することを求めておきます。

  最後に、日本共産党都議団、かがやけTokyo、都議会生活者ネットワーク、日本維新の会東京都議会の4会派が提案した議員提出議案第20号は、議員の期末手当を据え置くための条例です。
 現行制度では、職員の期末手当の引き上げに連動して、議員の期末手当も引き上げとなります。都民のくらしの困難がつづき、社会保障の負担増も相次ぐ下で、都民の理解を得られるものではありません。しかも今回の引き上げ対象は勤勉手当であり、議員に勤勉手当はふさわしくありません。
 議員報酬については、議会改革を進める都議会の意思として、今年4月から2割削減が実施されたばかりです。政務活動費での飲食の禁止、常任委任会のインターネット中継、公用車の縮小、議会棟の全面禁煙などの改革も、進み始めた途上です。
 こうした中で議員の期末手当を引き上げることは、議会改革への姿勢と初心が問われるものです。すべての会派、議員のみなさんに賛同をつよく呼びかけて、討論を終わります。