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質問・条例提案

2017.10.05

2017年第3回定例会に提出した文書質問

2017年第三回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 里吉ゆみ

質問事項
一 東京都教育委員会の請願制度について

一 東京都教育委員会の請願制度について

 地方公共団体が、教育・学術・文化に関する事務を行う場合は、その性質上、政治的中立を維持すること、行政が安定していること、住民の意思を反映することが求められます。これらにこたえるため、都道府県及び区市町村には、知事又は区市町村長から独立した行政委員会として、合議制の執行機関である教育委員会が設置されています。
 しかし、現在の都教育委員会は、住民の意思を反映するものとはなっていません。2002年に東京都教育委員会請願取扱要綱がつくられてから、要綱に基づき、請願は総務部教育情報課において収受し、主管課に送付する。そして主管課が迅速かつ慎重に検討してその結果を請願者に通知する。そして主管課は、事案決定規程等において、委員会決定に該当する請願については、速やかに当該請願があった旨を委員会定例会に報告することになりました。

Q1 2003年度から2016年度まで、都教育委員会に出された請願の数と、都教育委員会に報告された請願数、報告されなかった請願数について、年度ごとにそれぞれ伺います。

Q2 請願取扱要綱が定められて以降の教育委員会で、都民から出された請願について議論のあった案件の有無、あったとすれば何件で、どのような内容だったのか伺います。
 東京都の教育をめぐっては、都立高校の統廃合問題や、国旗掲揚・君が代斉唱を義務付ける「一〇・二三通達」関連、体罰やいじめ問題など様々な課題が山積しています。教育委員であれば、こうした問題について都民から寄せられた意見に真摯に向き合い、東京都の教育について考えるべきでしょう。しかし現状では、東京都教育委員会請願取扱要綱に基づき、都民から寄せられた請願の一部しか教育委員には届いていません。
 都議会には、行政から独立した機関である教育委員会が都民の教育に関する意見や要望を聞いて欲しいと、教育委員会の請願制度の改善を求める陳情が過去何度も出されてきました。主には、教育委員会に提出された請願を教育委員会会議で審議すること、請願者から要請があれば、都教育委員会の場で意見陳述をさせることなどです。

Q3 都議会に4回も都教育委員会の請願制度について改善を求める陳情が出されていることについて、今も改善を求める要望が強いことについてどう受け止めているか、都教育委員会の見解を伺います。
 教育委員会に報告しない請願があることについて、この要綱を決めた教育委員会の中でも「提出された請願を、教育庁の中で教育委員会に諮るか否か事前にセレクトするということですね。しかし教育長の権限の中でやると、非常に恣意的に、個人的なものがほかに影響してくることもあります。・・・だからこのことをきちっと決めておかなければいけないと思います。」「重要事項であるかどうかということを決めるのが非常に重要であって、いわゆるあいまいな書き方というのはこういうときは一番問題になるのです。」など議論が様々出ていました。

Q4 「すでに方針が決まったこと」についての請願については、教育委員会に報告していないということになっていると聞いています。その制度の見直しを求める声が都民から出されても都教育委員会は門前払い、話も聞きませんということになるのではありませんか。見解を伺います。

Q5 請願を選別する根拠となっている「東京都教育委員会請願取扱要綱」の改善を求める請願も、都教育委員会に提出されましたが、都教育委員会の会議には報告もされませんでした。都教育委員会で議論されたものであるにも関わらず、都教育委員会に報告もされないというのはなぜか。要綱について教育委員会では検討することはできないのか、うかがいます。

 2014年に教育委員会制度が大幅に変わりました。教育委員会制度廃止という声もありましたが、やはり教育委員会は行政から独立した形で残すべきだという結論に至りました。同時に、教育委員会は今のままでいいというわけではなく、更なる改革が求められていると思います。
 その一つが、地域に開かれた教育委員会になること、住民の声を聴き、教育施策をチェックできる教育委員会になることです。文科省は通知の中で、公聴会や意見交換会の開催など幅広く地域住民の意見を聞くことを促しています。2015年6月の国会質疑では、日本共産党の教育委員会の改革提言で、教育委員たちが保護者、子ども、教職員、住民の不満や要求をつかみ、自治体の教育施策をチェックし改善する、これが必要だということを紹介した我が党の田村智子委員の質問に、当時の下村文部科学大臣は「それは適切なすばらしい提案だと思います。」と答弁しています。教育委員会が都民の声を聞くのは当然であり、積極的にすすめるべきだというのが、文科省の方針としても示されているのです。

Q6 教育委員会制度が変更され、教育委員会の改善が求められています。教育委員会の請願制度については、その取扱いについては再検討の必要があると思いますが、いかがですか。

 都立雪谷定時制の廃止見直しを求める皆さんが、7月に都教育委員会に請願を提出しました。雪谷定時制は、昨年10月に来年廃止予定とされた学校です。例年通りであれば今年の10月の教育委員会で募集停止の決定がされることを予想して7月に請願を出しましたが、その後の教育委員会に傍聴に行っても、自分たちの請願がどのようにあつかわれたのか、また少なくとも教育委員のみなさんに請願の文書が届いたのかどうかすらわからなかったそうです。
 都民にかかわる重大問題で、関係者が教育委員に直接意見を聞いてほしい、議論して欲しいと請願をだしているのに、その声を門前払いするようなやり方は教育委員会としてやはりおかしいのではないでしょうか。

Q7 今の方針を変更して欲しいという請願が、その方針を決定する会議の前に、教育委員のみなさんに渡らず、審議されないというのはおかしいのではないでしょうか、見解を伺います。

Q8 教育委員会がその役割を果たすためには、今の方針をわけへだてなく教育委員会で審議するべきです。見解を伺います。
 また、都民の教育に関する要望や苦情については、教育庁における苦情等の取扱いに関する要綱に基づいて対応されています。要綱には、原則として、苦情等の内容にかかわる業務を担当する課が行うことが明記されています。しかし実際に教育庁に具体的な要望をもっていくと教育情報課に回されてしまい、担当所管に話ができない、という声が数多くよせられています。

Q9 教育庁への要望や苦情については、担当所管が丁寧に都民の要望に応えるべきと思いますが、見解を伺います。

里吉ゆみ議員の文書質問に対する答弁書

一 東京都教育委員会の請願制度について

A1 既に都教育委員会で決定された教育施策の基本方針等に基づく事項に係る請願については、「東京都教育委員会請願取扱要綱」、「東京都教育委員会事案決定規程」等に基づき、主管課において当該事案について決定権限を有する者が適正に処理しています。
 平成15年度から平成28年度までに都教育委員会に提出された請願数と、そのうち都教育委員会定例会及び同臨時会に報告した請願の件数は、平成15年度5件のうち0件、平成16年度2件のうち1件、平成17年度8件のうち5件、平成18年度5件のうち4件、平成19年度9件のうち6件、平成20年度11件のうち5件、平成21年度20件のうち10件、平成22年度8件のうち0件、平成23年度22件のうち12件、平成24年度3件のうち0件、平成25年度382件のうち180件、平成26年度20件のうち12件、平成27年度45件のうち35件、平成28年度11件のうち1件で、合計551件のうち271件です。
 なお、平成24年度下半期分から半期ごとに、提出された請願の件数及び主な内容について、都教育委員会定例会に報告しています。
 また、平成28年10月分から毎月、当該月に提出された請願の件数及び主な内容について、都教育委員に資料配布により報告しています。

A2 平成15年度から平成28年度までに、都教育委員会に提出された請願のうち、都教育委員会定例会及び同臨時会に報告して議論した請願の件数は、271件です。
 主な内容は、東京都教育委員会による特定教科書の採択排除に抗議し撤回を求める請願、「東京都教育委員会請願処理規則」の一部改正を求める請願、「はだしのゲン」を学校図書室(館)から排除する請願、都立中高一貫校・特別支援学校の教科書採択に関する請願、都立高校定時制の存続を求める請願などです。

A3 平成22年から平成23年にかけて4回、ほぼ同じ陳情者や陳情団体から、都教育委員会の請願制度に関して、請願者の声を直接担当主管課が聴くようにするほか、請願内容を都教育委員会定例会で審議すること等を求める内容の陳情が、都議会に提出されました。
 これらの陳情については、文教委員会において審議された結果、いずれも不採択になったものと認識しています。

A4 都教育委員会に提出された請願については、「東京都教育委員会請願処理規則」、「東京都教育委員会請願取扱要綱」、「東京都教育委員会事案決定規程」等に基づき、都教育委員会決定とされる特に重要な事項は、都教育委員会定例会に報告し、決定しています。
 また、既に都教育委員会で決定された教育施策の基本方針等に基づく事項に係る請願については、「東京都教育委員会請願取扱要綱」、「東京都教育委員会事案決定規程」等に基づき、主管課において当該事案について決定権限を有する者が適正に処理しています。
 なお、こうした取扱いについては、都教育委員会定例会において議論し、決定しています。

A5 平成23年12月に提出された東京都教育委員会請願処理取扱要綱の廃止を求める請願については、「東京都教育委員会請願取扱要綱」、「東京都教育委員会事案決定規程」等に基づき、主管課において当該事案について決定権限を有する者が適正に処理しました。
 その後、平成25年10月及び同年11月に提出された、請願の全てを都教育委員会定例会で審議するよう規則の一部を改正することを求める東京都教育委員会請願処理規則の一部改正を求める請願について、平成25年12月19日に開催した都教育委員会定例会において審議し、「東京都教育委員会請願処理規則」及び「東京都教育委員会請願取扱要綱」を変更する必要はないことを決定しています。

A6 請願の処理に当たっては、全ての請願を収受するとともに、請願者に対して迅速かつ誠実に回答しており、現在でも請願者の声を教育行政に反映した制度となっています。
 このため、「東京都教育委員会請願処理規則」及び「東京都教育委員会請願取扱要綱」を見直す必要はないと考えています。

A7 都教育委員会に提出された請願については、「東京都教育委員会請願処理規則」、「東京都教育委員会請願取扱要綱」、「東京都教育委員会事案決定規程」等に基づき、都教育委員会決定とされる特に重要な事項は、都教育委員会定例会に報告し、決定しています。
 また、既に都教育委員会で決定された教育施策の基本方針等に基づく事項に係る請願については、「東京都教育委員会請願取扱要綱」、「東京都教育委員会事案決定規程」等に基づき、主管課において当該事案について決定権限を有する者が適正に処理しています。
 なお、こうした取扱いについては、都教育委員会定例会において議論し、決定しています。

A8 都教育委員会定例会での審議内容の充実と効率化の観点及び都民サービスの迅速化の観点から、「東京都教育委員会請願処理規則」及び「東京都教育委員会請願取扱要綱」を定め、都教育委員会に提出される全ての請願を誠実に処理しています。

A9 都教育委員会に提出された請願については、「東京都教育委員会請願取扱要綱」に基づき、広聴を所管する教育庁総務部教育情報課が収受し、請願者から請願の趣旨、意見及び要望を聴取し、その内容を文書にまとめ、請願書とともに事業の主管課に送付しており、請願者の意図は主管課に適切に伝えています。
 請願書を受理した主管課は、その内容を迅速かつ慎重に検討し、その結果を請願者に通知しています。

以 上