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2017.03.18

豊洲市場移転問題に関する特別委員会 かち佳代子都議(大田区選出)の新藤延昭証人、松浦隆康証人、川藤均証人、近藤克哉証人への尋問

2017年3月18日 豊洲市場移転問題に関する調査特別委員会

かち佳代子(大田区選出)

東京都財産価格審議会元会長・新藤延昭氏、東京都財産価格審議会会長・松浦隆康氏、(株)谷澤総合鑑定所不動産鑑定士・川藤均氏、同・近藤克哉氏への証人尋問要旨

かち委員 日本共産党のかち佳代子です。よろしくお願いします。
 きょうは、本当にご足労いただいて、ご協力ありがとうございます。
 都では、公有財産を取得する場合に適正な価格を評定するため、知事の附属機関として東京都財産価格審議会を設置しています。きょうは、東京ガス豊洲工場跡地の購入に先立つ土地評定について、二〇〇五年十月から審議会の会長であられました新藤証人、二〇一〇年四月から会長になられました松浦証人、そして、土地の鑑定評価委託を受けた谷澤総合鑑定所の方々においでいただきました。そして、その経緯をお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず、専門的な領域なので、基本的なところを確認しておきたいと思います。
 新藤証人にお聞きします。
 国交省の土地の鑑定評価ガイドラインでは、土壌汚染の状況を把握するための的確な調書や、土壌汚染の状況を踏まえた適正な損失補償を行うよう求めています。また、国交省の公共用地の取得における土壌汚染への対応に係る取り扱い指針では汚染、汚染の除去費用等を減価要因として織り込む等により評価を行うことが必要だとしています。
日本不動産鑑定協会の土壌汚染対策ワーキンググループの座長を務められました足立氏は、土壌汚染地の評価に当たって、汚染がないものとしての価値から浄化費用、スティグマ、いわゆる心理的嫌悪感の減価分を引くという趣旨のことを述べられています。この立場は、土壌汚染にかかわる不動産鑑定上の原則であると思いますが、いかがでしょうか。

新藤証人 今、国交省のガイドラインというお話が一つありましたが、これは記憶では、平成二十一年ぐらいだったと思います、策定されております。それで、鑑定評価基準はその前から、公共用地の損失補償についての取り扱いは、土壌汚染対策法が施行されたと同時ぐらいの時期からではなかったかと。
 それから、最後はですね、済みません、最後は何でした。(発言する者あり)足立さん。鑑定士協会の中のワーキンググループで作成されたものだと思いますけれども、今のスティグマというのはですね、私の理解では、法的な措置に従って汚染を全部浄化したとしても、「スティグマ」という、烙印というふうにいわれていますが、心理的な
要素が残る。法的には安全であっても、心理的に安心できないというのがスティグマだいうふうに思っておりまして、そのスティグマというのは、減価要因としてなる場合も、ならない場合もあると。その土地の状況によって、そのときの需給関係によって、あるいは用途が工場に使うのか、住宅に使うのかとか、そういうものによっ
て、スティグマの大きさというのは、心理的なものですから、かなり違ってくるというふうに理解しております。以上です。

かち委員 ガイドラインにしても、取り扱い指針にしても、汚染地に対する適正な損失補償とか減価要因を織り込むことというのが基本だというふうにいわれたと思います。
それでですね、松浦証人にお聞きします。
 国交省の公共用地の取得における土壌汚染への対応にかかわる取り扱い指針では、土壌汚染を価格形成要因から除外できる土地については限定されておって、法第七条の規定によって汚染の除去の措置がなされ、指定区域の指定が解除されたことが確認できる土地などとしています。
 例えば、松浦証人が審議会会長としてかかわった二〇一一年三月に購入した東京ガス豊洲工場跡地の東京都が購入したこの土地、五街区の一部と六街区の部分ですが、こうした取り扱い指針があるにもかかわらず、土壌汚染を除外して評定したということで、それでよろしいんでしょうか。

松浦証人 まず、その評価条件、考慮外にするというのは、これは提案局の方から、そう設定されていまして、我々審議会としては、その評価条件という前提のもとにですね、それが考慮外であるということを前提のもとに、先ほど私の方がお話したとおり、そういったことで、それを考慮外にして、その土地そのもの、更地のですね、適正な評価を求めるということになっていたので、考慮、それが当てはまる、当てはまらないということはですね、むしろ審議会等の範疇ではなかったかなというぐあいに思います。

かち委員 新藤証人がかかわった二〇〇六年十一月に評定された七街区の一部の案件ですが、評価するに当たって、土壌汚染について、土壌汚染物が発見された場合には、従前の所有者、東京ガスが処理対策を実施することとなっているため土壌汚染は存在しない、更地として評価する。なお、土壌汚染調査の結果、土壌汚染対策法に定める汚染物質の存在が判明したが、既に条例に基づく適切な処理対策が実施され、その作業が完了しており、現在、汚染物質は存在しないとしています。
 しかし、その後、二〇〇八年五月には、東京都の行った詳細調査で、この区画からシアン、ベンゼンなど土壌、地下水の高濃度の有害物質が検出されました。当時の審議会に対して、都からは、この土地の土壌汚染状況について、過去のベンゼン、シアンなどの汚染調査はどのように行われ、その結果はどうだったのか、どのような土壌汚染対策が行われ、対策工事の結果はどうだったのかなど、具体的に情報提供があったのでしょうか。

新藤証人 ほとんど記憶がございませんで申しわけありませんが、技術的な内容というのは、一般に審議会の中ではそんなに説明されるものではなくて、一定の条件のもとに評価手法を適用して、適切かどうかという判定だけを審議会が行なうということでやったと思っています。

 
かち委員 結局、その土壌汚染については、全く除外、論外ということで説明はなかったのだろうと思います。もう一度、新藤証人にお聞きします。
 新藤証人が評定にかかわった二〇〇六年の五街区の一部の二件では、評定に当たって、都から評価に当たって、土壌汚染対策にかかわる要因を考慮外とされていました。しかし、その後の都の詳細調査を行った結果、ベンゼン、シアンなど土壌、地下水から高濃度の有害物質が検出されました。今から振り返ってみて、このような都の条件づけについてどのように思われるでしょうか。

新藤証人 当時のその時点においては、恐らくそういうものは予測されなかった。後で、いろんなことはわかるんでしょうけれども、当時のことで、余り記憶はありませんが、ほとんど、そういう予測がされるというようなことまで、議論されたということはなかったのではないかと思っております。

かち委員 当時としては、予測をだにしなかったということですね。
 それでは、川藤証人、近藤証人にちょっとお聞きします。
 私は、東京ガスと東京都との協議の記録を調べました。例えば、二〇一一年三月に、東京ガス、東京ガス豊洲開発などから土地購入をするわけですが、東京ガスから提出された記録を見ると、財価審を迎えるまでの間に、売り手の東京ガス側から繰り返し、さまざまな情報提供を求められていることがわかりました。二〇一〇年十二月三日の協議では、東京ガスから、鑑定委託した業者名を問われて、市場当局は御社の名前を聞いています。東京ガスあるいは東京ガスの鑑定評価にかかわっている不動研、不動産研究所ですか、から御社に対して土地の評定価に関して問い合わせなどがあったのでしょうか。それぞれお答えください。

川藤証人 ございませんでした。

近藤証人 そのようなことはありませんでした。

かち委員 これも近藤証人、川藤証人にお聞きしますが、ここにメール、取り扱い注意、概算評価額というのがあるんですけれども、東京ガスグループに対して新市場整備部から送られたものです。
 二〇一一年一月二十一日、十八時三十七分、東京ガス豊洲開発の方から、東京ガス豊洲開発の方、東京ガスの方など四名の方に、取り扱い注意を頭にした概算評価額との表題のメールが送られています。
 東京ガスグループ各位、お世話になります。本日、新市場整備部より先方の現段階の概算評価額を口頭で聞きましたので、各区画の評価額が送られています。各地番号五の三、概算評価額百五十七億円、同様に五の五、十七億円、六の一、三十二億円、六の一の一、三百六十九億円と記されています。
 財産価格協議会の評定は、ニカ月足らずのうちの三月十日に行われ、メール示された概算評価額とぴったり一致しています。先ほども曽根議員がやりましたけれども、鑑定人にも、法律で守秘義務が規定されています。こうした情報流出はあってはならないことだと思います。
 東京ガス側は、できるだけ早く売りたい相手であり、都民が不利益をこうむらないように、適正な価格で買わなければならない市場当局が、売り主の意向に応えて情報を漏らしている。こうした事実について、初めてお知りになったかと思いますけれども、どのように思われるでしょうか。

川藤証人 今おっしゃった二〇一一年一月十一日のことでございますが、平成二十三年だと思いますので、弊社、業務を受けそおりましたのは、二〇一〇年の十二月二日が契約日で、一月三十一日が期限でございました。
 東京都のご担当の方から、概算でいいから、都に数字が欲しいというようなお話がございましたので、まだ確定的ではなかったんですが、若干の修正はあるかもしれませんよといいつつもお話しております。それは恐らく十一、十一日というのもちょっとわからないんですが、一月十一日でございますかね、それは。ちょっとその時期は明確に覚えておりませんけれども、一月の中旬とか、そのあたりだったかと思っておるんですが、それはご担当者にはお話しいたしました。ただ、それがどこにいっているかというのはちょっと承知しておりません。

近藤証人 私も、数字を東京都の担当の方にお出ししたということは覚えておりますが、そこからどこに数字がいったのかというところまでは承知しておりません。以上です。

かち委員 評価の鑑定をされる方が一定の概算額を出されて、それが東京都からの依頼だから東京都にお答えをしたということは重々わかりますよね。だけれども、そこから売り主にそういうことを漏らしてしまうということは、これはちょっと、ただならぬことだというふうに思うんですね、守秘義務を逸脱しているというふうに思いますので、これは問題だというふうに思います。
 それで、松浦証人にお聞きします。
 東京ガスの要求は、その後も続くんですね。東京ガスが提出した二月十八日の打ち合わせ記録ですが、原状引き渡しについて、土地鑑定所はどのように記載されているかとか、必要があれば修正したいとまで介入しています。ここまで介入されながら、市場当局からは拒否する言葉も出ていないんです。適正な価格を評定する立場から見て、こういう生々しいやりとりがあったということについて、どのように思われるでしょうか。

松浦証人 ちょっと事実関係がよくわかりませんので、私は審議会の会務を総理するという立場からですね、審議会についての、この審議については発言できますけれども、今へのお答え、ご質問についてはちょっとお答えしかねます。申しわけございません。

かち委員 重ねてお聞きして申しわけないんですけれども、でも、その概算、財産価格審議会の場で重要なことを決めていくわけですよね。その前に途中の経過を相手方に漏らしてしまうということは、ちょっとこれはルール違反ではないかなというふうに思うんですけれども、三月十日の審議会として、現地調査を行って審議が行われていますよね。土壌汚染物質が発見された場合には、従前の所有者、東京ガス、処理対策を実施することとなっていると評価条件がついていましたけれども、土壌汚染対策費はその後も増加しています。これも東京ガスの記録でわかったのですが、十三年の二月二十日、土壌汚染対策費のうち新たな操業由来汚染起因の費用、新たな地下埋設物起因の費用について、説明、協議の機会を申し入れたと都からいっても、東京ガスは、両件とも数量割増により整理済みとの認識。法務室に相談し、費用負担については決着済みとして協議には応じない。地下埋設物については協議にも基づき申し入れがあれば話は聞くという立場とするアドバイスを受け、実際そのように対応しています。これが実際です。財価審に示された評価条件についてどのように思われますか。

松浦証人 繰り返しのこ答弁なりますけれども、財価審としましては、土壌汚染について考慮外として評価するという評価条件がその提案局で設定されているものですから、そういった、その提案局がつけた評価条件を前提条件として、審議会としては、その更地そのものの価格は適正であるかどうかということを審議したということでございます。

かち委員 もう時問がなくなりましたので終わりますけれども、本当に公正な評価をしていただけなければならないその裏でですね、本当に、生々しい、このようなやりとりがあったということは、ゆゆしきことだということを改めて感じました。以上です。ありがとうございました。

以上