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質問・条例提案

予算特別委員会 清水ひで子都議(八王子市選出)の総括質疑 

2017年第1回定例会 予算特別委員会総括質疑 3月16日

清水ひで子(八王子市選出)

在日米軍と都民の安全について
多摩格差の問題について

在日米軍と都民の安全について

清水委員 初めに、三月十四日の予算特別委員会における我が党の曽根はじめ委員の発言について申し上げます。
 予算特別委員会の場での発言の撤回及び議事録の削除の申し入れが、昨日、都議会自民党からありました。先ほど、ほっち議員も同様の発言をされました。
 曽根委員の発言は、三月十四日の本委員会で、自民党委員が豊洲新市場の汚染は法をクリアしているから問題ないという趣旨の発言をしたことに対して、批判されるべきは、石原元知事とともに土壌汚染地への市場移転を推進してきた自民党であるといわなければなりませんというものです。
 この発言は事実に基づくものであり、発言の撤回も議事録の削除も、必要ないものと考えます。
 以上の趣旨の回答書を都議会自民党の高木幹事長宛てにお届けすることも申し添えておきます。
 それでは、質問に入ります。
 初めに、在日米軍と都民の安全について質問します。
 首都東京には、横田基地を初め、七つの在日米軍基地が存在しています。首都に外国軍の基地があるというのは日本以外にありません。異常事態が戦後七十年以上にわたって続いています。
 (パネルを示す)沖縄県宜野湾市にある普天間基地は、基地の周りを住宅が取り囲み、アメリカの国防長官をして世界一危険な基地といわしめたことで有名です。しかし、今日、見ていただきたいと思いますが、普天間基地、そして横田基地、見ていただきたいと思います。基地を囲むようにして、住宅を初め、数多くの建物が建ち並ぶ、この状況は、うり二つといえるのではないですか。
 より具体的に見ていきますが、これは滑走路の中心から三キロ圏で囲んだものです。この中に三十四の小中学校、高校があります。病院や介護施設もあります。普天間基地の周辺にもたくさんの学校がありますが、三十近くです。
 横田基地では、これまで航空機の緊急着陸や部品落下、大規模な火災などたびたび発生し、一歩間違えば大惨事になりかねないと都自身が認めています。先日も横田基地所属のC130Hの整備中に燃料漏れが発生したばかりです。
 知事にお伺いいたします。
 沖縄の普天間基地にまさるとも劣らない首都東京の住宅密集地の中にある横田基地によって、市民、教育施設や福祉施設は爆音に苦しめられ、事故の危険にさらされています。住民の負担は、はかり知れないものがあると思いますが、知事、この問題をどう認識していますか。

小池知事 お答えいたします。
 アジア太平洋地域の安全保障環境は、大変厳しさを増しております。ましてや、現在の北朝鮮情勢というのは大変不安定でございます。
 そういった中で、日米安全保障体制は、我が国のみならず、地域の平和、そして安定のために重要な役割を果たしていると考えております。
 そして、そのご指摘の横田基地も、その一翼を担うものと、このように私は認識いたしております。
 基地の存在によりまして、周辺住民の皆様方に騒音の影響、そしていろいろなご不安があることについては承知をしているところでございます。
 基地の運用に当たりましては、基地外への影響を最小限にとどめる、そしてまた、周辺住民の皆様方に不安を与えることのないように、細心の配慮をいたしまして、安全対策を徹底するべきと考えております。
 このため、都といたしましては、地域に影響を及ぼす米軍の運用につきましては、国、そして米軍に対しまして要請を行っており、今後も必要な働きかけを行っていく考えでございます。

清水委員 都は、一貫して在日米軍基地の整理、縮小、返還を求めてきました。
 知事は、この基本姿勢をどのように継承し、取り組んでいくのですか。お伺いいたします。

小池知事 米軍基地の整理、縮小についてのお尋ねでございます。
 米軍基地は、日米安全保障体制の一翼を担うものであると、このように先ほどご答弁させていただきました。
 また、日米地位協定では、米軍基地については、必要でなくなった場合は我が国に返還することとなっております。そのために、その必要性を絶えず検討する旨、定められているところでございます。現実に、昨年の七月には八王子市由木通信所が返還されたところでございます。
 都といたしましては、国に対して都民の生活環境を改善して地域のまちづくりを推進する観点からも、基地の返還の可能性が検討され、整理、縮小、返還が促進されますよう、働きかけを行っているところであります。
 そして、今後も引き続き、整理、縮小、返還に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

清水委員 特に、昨年末に沖縄で墜落事故を引き起こしたオスプレイが横田基地への飛来を再開し、最大三年おくれるという連絡があったものの、十機配備されようとしていることは重大です。
 国はオスプレイの配備に当たって、オスプレイの重大事故率は低い、また、オスプレイは運用開始から日が浅いが、今後、実績を積んでいくに従って、徐々に事故率は低下していくと説明をしていました。
 しかし、二〇一四年十月にアラビア湾、一五年五月にハワイ、十月にカリフォルニア沖で重大事故が発生し、さらに昨年末、沖縄での墜落事故が発生いたしました。
 飛行時間がふえれば、通常、ふぐあいが改善され、事故率は減っていくはずなのに、日本政府の把握している二〇一五年九月末時点でも二・六四であり、沖縄の地方紙琉球新報が、米海兵隊から聞き取った二〇一五年末の段階では、事故率は十万飛行時間当たり三・六九件です。普天間基地にオスプレイを配備すると米軍が正式に発表した二〇一一年六月の一・二八件の二倍、三倍に高まっています。
 この事態は、オスプレイが未完成で、到底安全といえない航空機であることを示していると思いますが、オスプレイは安全になっているといえますか。お答えください。

鈴木(隆)委員長 どこですか。委員、答弁、誰に求めますか。

邊見東京都技監 国は、平成二十四年の沖縄配備に当たっての独自に行った事故分析評価や日米合同委員会合意などによりまして、MV22の安全性は十分に確認されたとしてございます。
 都としても、国に対して安全対策の徹底などを求めているところでございます。

清水委員 国は、沖縄にオスプレイを配備するとき、海兵隊は事故率を航空機の機体の安全記録を代表する指標だと強調していました。そして、海兵隊平均より事故率は低いと安全性を強調していたのです。
 しかも、一年前の予算特別委員会で私がただしたときに、当時の都技監は何といったか。二〇一二年四月から二〇一四年九月までのクラスAという重大事故率は、一・九三から二・一二でほとんど変わっていないのではないかと、安全性を軽視するとんでもない答弁をされました。
 しかし、そのときから国のいう少し前の数字でも二・六三件、明らかに上昇している。もはや国の説明も、都技監のこの間の答弁も破綻をしているといわざるを得ません。お認めにならないのですか。安全は確保されていないということをお認めにならないんですか。

邊見東京都技監 安全保障に関することは国の専管事項でありまして、米軍機の安全確保は国の責任で行うべきことでございます。
 国からは、先ほど申し上げましたとおり、安全性が確認されたというふうに聞いてございます。

清水委員 オスプレイは、ヘリコプターとプロペラ機の機能を持たせようとしたために、幾つもの構造的な大問題を抱えました。
 例えば、ヘリコプターとしては、その重さに対してプロペラの大きさが余りにも小さい、ほかの海兵隊の輸送用ヘリの三分の一しかありません。そのために、ヘリコプターが安全に飛ぶために欠かせないオートローテーション機能、つまり、エンジンがとまったときでも、プロペラが慣性力や風の力で回転し続けることによって、落下速度を和らげ、ふわりと安全に着地する機能を持っていないのです。
 ところが、日本の政府だけは、アメリカに行ってコンピューターシミュレーションで、オートローテーション機能があると確認してきたといい張っています。
 次の資料を見ていただきたいと思います。(パネルを示す)ヘリコプターが安全に飛ぶために欠かせないオートローテーション機能、つまり、エンジンがとまったときでも、プロペラが慣性力や風の力でも回転することによって、落下速度を和らげて、ふわりと安全に着地する機能を持っていないということです。
 しかし、日本政府が何度ただしても、米軍はオートローテーションを持っているとは、はっきり認めていません。米軍は、オートローテーションを持っていると、はっきり認めていないのです。この資料の一番下を見てください。ここに書いてあります。線を引いてあります。
 それどころか、米軍自身が発行しているオスプレイガイドブックを、きょう持ってまいりました、これですね。ここには、MV22はエンジン停止状態で無事着陸するためオートローテーションには頼らないと、三六ページなんですけれども、はっきり書いてあります。
 日本政府のいうコンピューター上のオートローテーションは、水平方向で時速百三十キロで地面にぶつかり、二、三度バウンドしてようやくとまるというものにすぎません。
 ですから、航空の専門家は、普通のヘリコプターのオートローテーションとは内容が違っていると指摘をしています。
 軍事の専門家は、もし小学校の校庭にこのようにしてオートローテーションでおりたとしたら、着地して二、三度バウンドしながら、百三十キロのスピードで二十トン前後の機体が校舎に突っ込んでいくと指摘しているのです。
 では、ヘリコプター状態ではないとき、水平飛行しているときに、エンジン停止したらどうでしょうか。オスプレイは、ヘリコプターとして使えるようにするために、プロペラ機としては翼が小さいという構造的な大問題をここでも抱えています。
 ですから、ボーイング747でしたら、一キロ落下する間に十数キロ前に進めますが、オスプレイだと、同じ間に四キロ程度しか進めません。
 しかも、オスプレイは旅客機などよりも、ずっと低いところを飛んでいます。そのため、トラブルが起きても安全な場所を探す余裕がないのです。このようなオスプレイが、首都の上空でエンジン停止が起こった場合、安全に着陸できず、取り返しのつかない深刻な事態を引き起こす可能性があります。
 国に対して厳しく安全性をたださなければなりませんが、どうお考えでしょうか。お伺いいたします。

邊見東京都技監 繰り返しになりますけれども、安全保障に関することは国の専管事項でございまして、米軍機の安全確保は国の責任で行うべきことでございます。
 都といたしましては、先ほど申し上げましたように、安全体制の徹底を国に求めてございます。

清水委員 安全性を国に厳しくただしていく必要があるんじゃないですかと、私は質問をしています。
 これは、都民の命と安全を守る重要な東京都の役割だと思います。それについてもう一度お答えください。

邊見東京都技監 引き続き、国に対して安全対策の徹底を求めてまいります。

清水委員 オスプレイが安全性に重大な問題を抱えているために、普天間基地にオスプレイ配備が強行された沖縄県は--沖縄県、自治体です。七度もの質問を国会に行い、回答に納得がいかなければ、繰り返し再質問を行っています。
 また、国が自衛隊のオスプレイ配備を狙っている佐賀空港を抱える佐賀県は、安全性など、七項目四十一問の質問書を提出し、回答に納得がいかないと、ことし一月まで、さらに四回の質問書を出し、昨年十二月に沖縄県で起きた米軍オスプレイの大破事故について、県民への説明会や公開討論会の開催検討を打ち出しました。
 ところが、都はどうでしょうか。今お答えにあったように、国に丁寧な説明と安全対策を求めるという言葉を繰り返しますが、では具体的に、こういう点が疑問だとか、不安だとか、質問を投げかけて回答を求めることはありません。住民の命や暮らしを守るという自治体独自の立場から、都民から意見も募って、他県のように国に対し危険性を問いただすべきだと思いますが、いかがですか。

邊見東京都技監 繰り返しになりますけれども、引き続き安全対策の徹底を国に強く求めてまいります。
 それから、たび重ねて国への提案要求などを行っておりますけれども、そういう場におきましても、私どもの方で、国に対しては情報提供のさらなる徹底などをしっかりと求めてきてございます。

清水委員 今お答えがあったように、住民の命と安全を守る立場から、自治体として、ここが不安だとか、ここは改善してほしいと研究して説明を求めるという立場とは違います。全くもって一般的なものなのです。沖縄県や佐賀県などと比べても、緊張感も真剣さも大きく不足をしていると指摘せざるを得ません。
 知事は、都政の透明化、情報公開を重視して施策を進めています。
 防衛省の北関東防衛局からのオスプレイなどの飛来情報について、これまで都は、私どもや都民の皆さんが尋ねれば答える、そういうものでした。しかし、神奈川県では、県のホームページに米原子力艦の寄港情報を掲載しています。都のホームページに、せめて飛来情報は必要ではないんですか。
 都は、ホームページ等で都民に広く知らせる仕組みをつくるべきですが、いかがですか。お答えください。

邊見東京都技監 オスプレイなどの飛来情報については、米軍の運用にかかわるものでありまして、国の責任で公表すべきものであると考えてございます。
 そのため都は、基地周辺五市一町とも連携して、国に対して要請してきてございます。先ほども申し上げましたように、私どもの方では、何度もこのことを国に申し上げてまいりました。その結果、今月から、防衛省北関東防衛局のホームページで掲載されることとなってございます。
 都のホームページは、既に北関東防衛局のホームページとリンクしておりまして、このことにより、広く都民の皆様が情報を得ることが可能となってございます。
 引き続き、わかりやすい情報提供に努めてまいります。

清水委員 リンクをしているといっても、東京都のどこから入ればいいのかわからないという都民の、そういう情報の公開の程度になっています。
 北関東防衛局のホームページに掲載されたのは一歩前進だと思います。しかし、都として独自に必要な情報を提供するよう、さらにホームページ等の改善を図っていただきたいと思います。要望しておきます。
 オスプレイは、オートローテーション機能の欠如以外にも、着陸時に風速三十メートルと大型台風並みの下降気流を引き起こすために、舞い上がった粉じんによるエンジントラブルを起こしやすい、激しい気流を発生させるために、近くにいるオスプレイにトラブルを起こす、複雑で長い油圧系統があるために破損しやすく、漏れた油によりエンジン火災を引き起こしやすいなど、独特の構造に由来する数々の問題を含んでいます。
 そして、対テロ対策など、特殊作戦の訓練を常に積んでおく必要から、危険きわまりない超低空飛行訓練や、夜間飛行訓練を日本全国で繰り返し行います。
 都民はもちろん、日本全国民を墜落等の危険で脅かし、日本防衛ではなく、アメリカの海外での殴り込み作戦に供するオスプレイの横田基地配備の撤回を国と米軍に強く働きかけるべきことを求めておくものです。

 

多摩格差の問題について

清水委員 次の質問に移ります。
 多摩格差の問題について伺います。
 私は、多摩選出の都議会議員として、この予算特別委員会でも繰り返し、多摩地域で切実な住民要望がありながら、おくれている課題について、都として積極的に取り組むことを求めてまいりました。
 その観点から、小池知事が多摩格差ゼロと掲げられたことは大変重要です。公約の下にあります、七つのゼロを目指しますという多摩格差ゼロが掲げられています。就任後は、多摩地域の市長さんたちとも懇談され、多摩地域にも訪問を始められています。実情を把握されつつあると思います。
 この公約の実現に向けてどう取り組んでいくのか、所見を伺います。

小池知事 七つのゼロを目指す、このことは私のお約束でございます。
 そういった中で、私は昨年の都知事選の選挙活動を通じても多摩の各地に足を運びましたし、また、知事就任後の十月でございますが、奥多摩町、檜原村を知事として訪問をいたしたところでございます。
 それから、この都庁において、市町村長の皆様方、お出ましいただいて意見交換をさせていただくことも数度ございました。直接、これらのようにお話を伺うことによって、多摩の実情ということを教えていただいているところでございます。
 これらを通じまして、豊かな自然を初めとするさまざまな魅力、そして、少子高齢化対策、道路などのインフラ整備、産業振興など、それぞれの多摩地域の市町村が抱える課題を実感しているところでございます。
 また、多摩地域の持続的な発展のためには、こうしたさまざまな課題の解決に向けて、かつ地域の実情を的確に把握した上で、丁寧な取り組みを行っていくことが重要だと考えております。今後も積極的に現地に足を運びたいと考えております。
 そして、地元の市町村と緊密に連携をいたしまして、多摩地域にしっかりと目を向け続けたい、そしてオール東京の発展につながるように、多摩振興に全力で取り組んでまいる所存でございます。

清水委員 知事が多摩地域に目を向けながらご努力をされていることは、とても重要なことだと思います。
 ただ、今の知事のご発言の中に、知事の公約であります一番わかりやすい言葉ですよね。多摩格差ゼロという言葉がありませんでしたが、多摩格差ゼロという公約についてはどのようにするのかということについて、通告してありませんが、お願いいたします。

小池知事 多摩の中でもさまざま、いろいろな事情がございます。
 今申し上げましたように、市町村長、そして、それぞれ地域の方々との触れ合いも含めまして、情報を得て、そして多摩格差ゼロを目指すような政策、これを立案、そして実践をしていきたいと考えております。

清水委員 もともと石原都政になるまでは、歴代知事のもとで、多摩地域と区部では格差があるとして、都はその解消に努めてきました。しかし、その立場を捨ててしまったのが石原元知事なんです。
 石原知事の多摩の将来像二〇〇一では、多摩格差について、どう記述されていたのですか。総務局長、改めてお示しください。

多羅尾総務局長 平成十三年に策定された多摩の将来像二〇〇一では、昭和五十年に都市町村協議会で設定された区部との生活利便上の差である三多摩格差八課題について、都と市町村で緊密に連携しながら格差の解消に向けて取り組んできた結果、現在ではかなりの部分で解消してきているとしております。
 また、道路の幅員や公共下水道の普及率など、いまだ数値差のある課題や、少子高齢化の進展などの新たな行政課題については、区部との対比による画一的な対応をするのではなく、多摩の地域特性や個性、独自性などを生かしていくという新たな視点による多摩振興への取り組みが必要であるとしております。

清水委員 実際、これが策定されて以降、都から多摩格差ゼロという言葉はなくなりました。私たちが資料を要求しても、都内全部の資料の要求、多摩と区部の差の要求を予算特別委員会でお出しくださいとか、そういわないと出さないと。都内全域でやっているんだと。
 つまり、石原都政のもとで、多摩格差は基本的に解決したとの位置づけになり、都民生活や行政サービスにかかわる格差解消への都の支援を弱めてしまったんです。
 この立場の転換、この考え方の転換が重要だということで、私は先ほど二回も多摩格差ゼロについてご質問させていただいたわけです。ここを変えなければ解消しないのではないですか。
 もちろん、一口に多摩地域といっても、面積も広く、例えば武蔵野市と檜原村で抱えている課題は全て同じではありません。しかし、多摩地域全体として、区部に比べて格差があり、都として支援、底上げを図るべき課題はまだまだ多くあります。
 市町村や市町村議会では、多摩格差が今でも論じられています。多摩地域のある市長は、議会での市議会議員からの多摩格差問題の質問に答えて、一定の解消が見られるが、まだ多くの分野において格差は存在し、また新たな課題も生まれていると認識していると答弁しています。
 また、ある市議会議員も事あるごとに格差解消を訴えています。まさに、多摩地域では党派を超えた共通認識になっています。
 (パネルを示す)これまで、私が改善を求めてきた多摩格差の一端です。人口千人当たりの医師数は、二十三区の三・八人に対し、多摩地域は二・一人と区部の五五%にすぎません。
 NICU、新生児治療室、これも区部では二百五十七床に対し、多摩地域には七十二床、出生数一万人当たりのNICUでいうと二十二・二床と、二十三区では三十一・九床になっています。
 小中学生への医療費助成は、区部では所得制限を撤廃していますが、多摩では十九市が所得制限を設けています。この委員会でも、資料でも出していただいておりますが、幼稚園の入園料補助も二十三区では全て実施しているのに対し、多摩地域では十市のみです。
 中学校給食も、区部ではどの区も学校内で調理する自校方式なのに対し、多摩地域では自校方式をとっているのは六市にすぎません。民間の弁当宅配方式で給食をしている市もあります。
 また、無電柱化率、区部は五八%に対し、多摩地域は一八%です。狭い歩道の真ん中に電柱が立っていて、雨の日には小学生が傘を差して通れないというところもあります。
 さて、私が取り上げてきた問題、これは予算特別委員会などで、ここでもいろいろ多摩格差の問題について具体的に取り上げてまいりました。
 今挙げただけでもたくさんあります。知事、どのように感想をお持ちでしょうか。

小池知事 改めて、多摩格差という観点からのお答えでよろしいでしょうか。--はい。いわゆる多摩格差については、これまで都と市町村が連携をして課題の解決に努めた結果、かなりの部分で解消しているという認識もございます。
 一方で、多摩地域は人口減少、少子高齢化への対応を初めとして、道路、交通インフラの整備、防災対策など、依然としてそれぞれの地域で諸課題を抱えておられるというわけでございます。
 こうした地域の課題にしっかりと目を向けまして、一つ一つその解決に向け取り組んでいくことによって、多摩地域、そしてオール東京の発展へとつなげてまいりたいと考えております。

清水委員 まだまだあるのですけれども、例を挙げ切れませんが、なぜこのように大きな格差があるのでしょうか。
 その最大の理由の一つは、大企業が集中する二十三区と、都心などに通う雇用者、そして中小業者、農業者などが多いという条件の違いによって、税収に大きな差があることが構造的要因になっているからです。
 そこでお伺いいたしますが、二〇一五年度の区部と市町村の法人都民税総額、市町村税相当分と固定資産税総額はそれぞれどのくらいですか。お伺いいたします。

多羅尾総務局長 平成二十七年度決算における法人都民税市町村税相当分は、特別区における総額が六千二百六十七億円であり、多摩地域の市町村における総額が五百六十一億円でございます。
 また、固定資産税は、特別区における総額が一兆千五百七十一億円であり、多摩地域の市町村における総額が二千七百四十二億円でございます。

清水委員 法人都民税は、区部は多摩地域の約十一倍、固定資産税で約四倍の差があります。区部と多摩の人口比は七対三です。一方、財政力の差はその何倍も大きいのです。
 次に、二十七年度の二十三区と多摩地域の基金残高を示していただきたいと思います。

多羅尾総務局長 平成二十七年度末における基金残高は、特別区においては一兆六千六十四億円であり、多摩地域の市町村においては三千二十六億円でございます。

清水委員 基金残高でも、このように五倍以上の大きな差があります。福祉など、さまざまな分野で生じている二十三区と多摩地域の格差を是正するために、広域的自治体として東京都が税の再配分などによる財政格差の是正などが求められていると思いますが、いかがでしょうか。

多羅尾総務局長 特別区と多摩地域の市町村における税収や積立金現在高については、先ほど答弁いたしましたとおりでございますが、特別区は都区制度という大都市制度のもとで、市町村とは異なる特有の財政構造となっております。
 また、特別区では人口の高度な集中や企業の集積などが歳入面に反映される一方、税収構造が景気に左右されやすいことに加え、大都市特有の財政需要があることなど、ほかの地域には見られない特性を持っております。
 このため、区部と多摩地域の市町村の財政状況を税収や積立金現在高のみで比較することは適当でないと考えます。
 都は、各区市町村の実情を踏まえつつ、その主体的な取り組みを支援するため、さまざまな財政支援を行っているところであり、引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。

清水委員 しかし、実際に数字で比較をするということで、その実態というものも明らかになることもあるんじゃないですか。やはり、今、一番都が重視しているのは、市町村総合交付金の問題だと思います。ことしもふやしていただいております。やはり、さらに充実していただきたいし、使いやすい制度の改善が求められます。
 そして、より根本的に財政格差の是正をしなければ、どの問題をとっても、ずっと多摩地域が格差のもとに置かれるということになりますから、是正を求めておきたいと思います。
 来年度予算に計上されました小中学校のトイレの洋式化、区部と多摩で格差が生まれています。公立小中学校のトイレの洋式化について、整備率はそれぞれどうなっているでしょうか。お伺いいたします。

中井教育長 公立小中学校のトイレに設置されている便器の総数に占める洋便器の割合は、平成二十八年四月一日時点で、区部五七・四%、多摩地域四八・八%でございます。

清水委員 約一〇%の差があるということです。
 文部科学省の資料を見ますと、洋式化率が五〇%以下の自治体は区部では五区なのに対し、多摩地域では十七市二町一村、合わせて二十自治体にも上ります。財源が少ない中で、非構造部材の耐震化などもしなければならないので、トイレが後回しになってしまうということなど、市の財政の方からの説明もありました。
 しかし、子供たちの毎日の生活にも、また災害時の避難所として活用するためにも、耐震化とあわせてトイレの洋式化も重要です。知事も推進をしておられます。
 実行プランの二〇二〇年までに洋式化八〇%を達成するためにも、こうした自治体の悩みなども聞いたり、都の負担割合の拡大など、一層の支援の拡充を図っていただきたいと思いますが、どうですか。

中井教育長 公立学校の施設設備の整備は、学校の設置者が行うことが原則であり、小中学校のトイレ整備についても、区市町村の権限と責任において実施するものでございます。
 現在、各区市町村は洋式化を含めたトイレ整備の方針に基づき取り組みを進めているところでございますが、都教育委員会は、平成二十九年度から国の補助制度に加えまして、都独自のトイレ整備に要する費用の補助事業を実施することにより、区市町村が、平成三十二年度までにトイレ整備を加速できるよう支援を行ってまいる予定にしてございます。

清水委員 さらに整備が進むよう、要望しておきたいと思います。財政の支援など、さらに大きく要望しておきたいと思います。
 次に、新生児集中治療室、NICUの病床数についてです。
 今、区部が二百五十七床、多摩は七十二床、合計三百二十九床になっています。東京都は、一万人に対し三十床のNICUを整備する目標を持ち、三百二十九床までふやしてきて、今後はこの水準を維持していくんだといっています。しかし、三百二十九床の内訳は、区部が二百五十七床に対し、多摩は七十二床です。多摩での出生数は約三万二千人なので、百床は必要です。あと三十床程度ふやす必要があります。
 そして、この問題は七年前に都立小児病院の統廃合の際、清瀬、八王子小児病院の統合がされました。そして、府中市内に統合される大問題になりました。小児病院がなくなった地域では、依然として切実な要求になっています。
 知事、この表を見ていただきたいと思います。これは周産期連携病院の分布です。区部に集中しているんです。多摩地域はここまでで、圧倒的にこちらは不足しているという表になります。ここをやはりふやしていただきたいということを要望いたしますが、いかがですか。

梶原福祉保健局長 医療というのは、区市町村単位の一次、それから二次医療圏の十三の単位、それから三次、つまり都全域として考えるということが必要であります。
 NICUというのはそもそも、ハード面、ソフト面でも、新生児医師の常駐、あるいは三床に一人の看護師の配置、あるいは生命維持装置の施設整備が必要です。
 あるいは、その整備に当たっては、搬送体制を整備しながら限られた医療資源の集約化を図って高度な医療を集中的に提供する体制が必要。つまり、どこにもぼこぼこつくるんではなくて、集約をすることによって高度な医療が適用できる。それがNICUの役割であります。
 ですから、NICUは都全域を一つの圏域として整備をしているということであって、三十床に一つということで、全体、都全域を目標に定めて整備を進めているということであります。

清水委員 そういう理由はあるかもしれませんが、この実態を見てくださいよ。実態で私はいってるんです。五百グラムの子供も今育っているんですよ。そういう方が何の心配もなく育つためには、身近なところで医療が必要なんです。
 私たちは、そういうこと求めて、百床が必要になったら三十床ふやしてくださいといっているだけです。
 多摩地域の問題について、きょうは質問いたしました。さらに多摩地域の支援を強めていただきたいというふうに思います。
 これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

以上