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質問・条例提案

2017.02.28

本会議 あぜ上三和子都議(江東区選出)の代表質問

2月28日、第1回定例会で、あぜ上三和子議員(江東区選出)が代表質問をおこないました。

 

築地市場の豊洲移転問題について
福祉の充実について
教育施策について
防災対策について
オリンピック・パラリンピックについて
経済対策・財政運営・インフラ整備について

答弁

 日本共産党都議団を代表して質問します。

 まず築地市場の豊洲移転の問題です。

 わが党が、豊洲市場の主な建物の下に盛り土がなく、地下空間になっていることを告発して以降、この問題は、都政を揺るがす大問題になっています。さらに今年1月に、第9回地下水モニタリング調査で、環境基準の79倍を超えるベンゼンなど、調査地点の3分の1、72か所で基準値を超える有害物質が検出されたことで、「なぜあのような所に、6000億円もかけて、市場をつくったのか」という、都民の疑問と怒りの声が一段と高まっています。ここには、石原元知事以来3代の知事による都民不在、巨大開発優先の都政の闇が象徴的に現れています。この問題に都議会各派がどう対応してきたのか、そして知事と都議会が、この闇にどうメスをいれ、改革するのかが鋭く問われています。あぜ

わが党は一貫して、深刻な土壌汚染地である東京ガス豊洲工場跡地に築地市場を移転することは認められないという立場から、徹底した調査・追及によって問題点を洗い出し、反対の論陣を張ってきました。真相を解明するために、わが党が提案してきた百条委員会も、都民世論の高まりの中で、全会一致で設置されました。わが党は、築地市場の豊洲移転という都政の闇を晴らすために全力をつくすものです。

まず、石原元知事、浜渦元副知事のもとで、水面下で行われた土地取得をめぐる問題です。

Q1 小池知事が、都と東京ガスの土地取得交渉記録の一部を開示したことで、浜渦副知事が石原知事の命を受けて、東京ガスとの交渉に乗り出し、東京ガス株主へ損をさせないとして、水面下で進められた交渉の一端が浮かび上がってきました。しかし、その多くはまだ闇の中です。今後、都および都議会が、真相解明にどのように取り組んでいくのか、都民は注目しています。知事は施政方針で「豊洲の用地購入の経過も明らかにする」と述べました。重要なことです。いま、都議会の百条委員会で究明にとりかかるところですが、知事は、今後どのように真相を解明していくのでしょうか。

Q2 東京ガスとの交渉経過を見ると、東京都が東京ガスグループから土地を取得するために譲歩に譲歩を重ねた経過がわかります

 東京ガス豊洲工場跡地の売買契約で、東京都は、土壌汚染がないものとして土地の鑑定評価を行い、契約書には、瑕疵担保責任の条項がありません。そして、東京ガスが負担する土壌汚染処理費用は78億円にとどめ、それ以上の法的責任は負わせないことを最終決着とする協定書が交わされています。都民に対する背信行為だと言って過言ではありません。このため、その後、新たに必要になった土壌汚染対策費はあげて都の負担となり、本来、都が負担する必要がない782億円もの公費を投入する結果になったのです。しかも、有害物質はいまだ地下に相当量、残されています。

豊洲新市場にこだわる限り、都の負担は今後とも増え続けることになります。知事は、こうした土地鑑定や売買契約などについてどう考えますか。

Q3 東京ガスとの水面下での交渉の詳細は、どういう内容であったのか。なぜ、このような交渉結果になったのか。石原元知事をはじめ、浜渦元副知事、交渉相手の東京ガスなどから、真実をつぶさに聞き取る必要があります。私たちもがんばりますが、知事、いかがですか。

築地市場の豊洲移転をめぐる問題は、石原元都知事のもとでの土地取得や土壌汚染対策、建設工事計画だけにとどまりません。それを引き継いだ猪瀬元都知事、舛添元都知事のもとでの土壌汚染調査と対策工事、建設工事にも多くの疑惑があります。

Q4 まず、豊洲新市場整備にかかわるこれまでの東京都のうそや、情報隠しです。たとえば東京都は、世界で類を見ない土壌汚染対策技術を駆使してやるから無害化できると公言し、あたかも、環境基準の4万3千倍ものベンゼンによる汚染土が、基準値以下に改善できたかのような実験結果を都議会に報告しました。ところが、わが党の追及で、実際は、環境基準の2・7倍の汚染土による実験で基準値以下に改善したにすぎなかったことが、明らかになりました。

2011年3月の東日本大震災の時には、豊洲新市場予定地は液状化により百カ所以上で噴砂が起きました。汚染が拡散した可能性が高いにもかかわらず、都は土壌の表面を眺めただけで、汚染状況の再調査もせず安全だと言い張りました。

土壌汚染から食の安全・安心を確保するための柱とされた、盛り土、地下水位の管理、有害物質の除去については、都からは虚偽の報告がされ続けましたが、いまではどれも破たん状態が明らかになりました。

すなわち、汚染地下水からの有害物質の地上への上昇を抑えるため、敷地全面に盛り土をするとしていたにもかかわらず、主要建物下は、盛土をしませんでした。しかも、その事実をわが党が突き止めるまで隠し通し、虚偽の答弁を繰り返してきたのです。

 地下水の上昇を海抜1・8m以下に抑え、食の安全・安心を確保するとした地下水管理システムも機能せず、強制排水せざるを得ない事態です。しかも、それでも雨が降れば上昇しており、本格稼働して4カ月以上たつにもかかわらず、いまだに平均2・5㍍以上あるのです。

 都はこれまで、地下の環境基準を超える有害物質はすべて除去したかのように言ってきました。しかし実際は、調査で見つかった有害物質だけ除去したにすぎなかったことを、第4回定例会で小池知事が初めて認めました。

 そして、本年1月14日に公表された、9回目の地下水モニタリング調査で79倍のベンゼンなどが検出されたことにより、1回目から7回目までの測定値がすべて、基準値以下であったことの真偽にも、重大な疑念をもたれる事態になっています。

 知事、石原元知事以来3代にわたる知事のもとでの、情報隠しと偽りの中で進められた、豊洲新市場整備の経緯について、どのように認識されていますか。また、今後、こうした情報隠しと虚偽説明の数々について、どのように対処されるのか、伺います。

Q5 土壌汚染対策や建設の契約をめぐる疑惑もあります。土壌汚染対策費は586億円ですが、実績では860億円に膨らみました。

市場の売り場棟の建設費も膨らみました。主要3棟の落札額が、1回目に入札不調となり、わずか1カ月後に入札公告した予定価格が、なんと当初の1・6倍に跳ね上がり、1034億4千万円にもなったのです。都は震災後の人手不足、材料費の高騰などを理由にしていますが、とうてい納得できません。同時期に都立武蔵野の森総合スポーツ施設も入札不調になり、再入札しましたが、落札額は、当初の額より3%ないし8%上昇したにすぎなかったのです。しかも、主要3棟の建設工事を落札した3つのゼネコンJVが、その後の豊洲市場整備工事の8割近く、200億円以上を続けて受注していることも見逃せません。

それぞれ、何がどれだけ増えたのか、その要因は何か、談合や利権の介在はなかったのかなどを明らかにすることは、公金執行者としての都の責務です。真相を厳しく調査していただきたいと思いますが、知事の答弁を求めます。

Q6 さらに、豊洲市場は開場すると、年間の収支は減価償却費を入れると、毎年98億円もの赤字になるという試算が示され、「市場事業の継続性や事業者負担の持続性」についても、それを担保できない危険が大きいことがわかりました。これでは市場も業者も破たんしかねません。

 また、豊洲市場の整備見込み額は、5884億円ですが、今後、さらに利子負担やモニタリングの継続調査をはじめ、地下空間内の強制排水、土壌汚染対策費など経費の増額が見込まれます。さらに、水光熱費の増加も見込まれ、市場業者の不安を募らせています。豊洲市場の安全・安心の確保とともに、市場と業者の持続可能性からみても、築地市場の豊洲移転は、きわめて困難な状況にいたっています。

 こうした問題について、どのように考えていますか。

Q7 最近のマスコミの世論調査でも豊洲移転に反対が43% 賛成が29%です。築地市場内の仲卸を中心とした「おかみさんの会」がつくられ、移転反対への賛同署名に取り組んでいますが、仲卸業者の過半数が、移転反対を表明したとのことです。

市場関係者の多くの方々が、早期の決断を求めています。豊洲移転は中止を含めて、抜本的見直しへと踏み出すことが重要だと考えます。知事、いかがでしょうか。

Q8 知事は施政方針で、築地市場の豊洲移転について、「都民のご意見も参考に、総合的に判断する」と述べました。都民の意見をどのように聞いて、判断するのでしょうか。

Q9 また、6000億円近い支出で建てたものをどうするのかが、問われます。複雑な構造物ではない建物であるため、幅広い用途に使えます。適切な時期に、地元住民や市場業者などの意見を踏まえ、都民参加で検討を開始することが必要です。見解を伺います。

Q10 築地市場の必要な改修・補修を速やかに行うことも必要ですが、知事、いかがですか。

Q11 また、築地市場の現在地再整備のあり方について様々な専門家が提案をしており、わが党は何人もの専門家からヒアリングを行いました。

 そのひとつが、ローリング方式による築地市場の現在地再整備です。90年代にも試みられましたが、今では建設技術も機材も大幅に改良されており、しかも、築地市場の取扱量も変化しているため、工事用の種地確保も当時よりも容易とのことでした。

 古い建物の耐震補強を、リフォームと合わせて行うことを提唱されている建築家からは、築80年で、設計図も存在していない、築地市場のような歴史的建物でも、個々の状況に合わせて、再生するという工法で整備すれば、建て替えよりコストが抑えられるとの話を伺いました。既存ストックを活用する方法として注目を集め、全国各地で実績も重ねています。

また、人工地盤をつくって現在地再整備を進めるという工法についても、専門家から話を伺いました。

私たちは、どのような工法をとるにせよ、築地再整備は、費用の面でも工事期間の面でも、十分可能だという確信をもつことができました。

都としても、築地市場の現在地での再整備について、調査・検討に踏み出す時期にきているのではないでしょうか。都民・専門家の英知を集めて、市場関係者の合意を得ながら、検討を開始することが重要だと思いますが、知事の答弁を求めます。

先行きの見えない中、水産仲卸業者をはじめ、市場関係者は、非常に厳しい状況に追い込まれています。市場関係者の移転延期に伴う損失補償は、十分かつていねいな相談体制の拡充も含めて、速やかに取り組まれることを求めておきます。

 石原都政の矛盾が噴出しているのは、築地市場の豊洲移転問題だけではありません。

Q1 「何が贅沢かといえばまず福祉」という発言から始まった石原知事の福祉切り捨てによって、心身障害者福祉手当、心身障害者医療費助成などは所得制限が強化され、65歳以上の新規認定がなくなりました。ひとり親家庭医療費助成なども、一部負担が導入され、くらしに困難な条件を抱え、支援を必要とする方たちの福祉が削られたのです。予算額わずか64万円の盲導犬のえさ代補助まで、ばっさりと切り捨てられました。こうした石原都政の政策からの転換なしに知事が施政方針で述べた「高齢者や障害者のくらしをしっかり支える」都政に切りかえることはできないと思いますが、知事の見解を伺います。

 とりわけ高齢者福祉の削減は、厳しいものでした。「高齢者は裕福」だと言って、寝たきり高齢者の老人福祉手当、老人医療費助成も廃止されました。特別養護老人ホームの土地購入費用の補助も人件費補助も廃止されました。

石原都政のもとで高齢者福祉がどれほど切り捨てられたか、数字にもはっきり表れています。石原知事が就任した1999年度の東京都の高齢者一人当たりの老人福祉費は、47都道府県で1位でした。それが2014年度には30位まで低下しています。この間、ほとんどの道府県が増やしている中で、東京都はなんと3割以上も減らしたため、大後退したのです。いまこそ、高齢者福祉に冷たく背を向けてきた石原都政の政策を、切りかえる必要があります。

Q2 都内の高齢者が受け取っている国民年金の平均月額は、わずか5万3700円です。全都道府県の中で33位、全国平均額を下回っています。月3万円、4万円という国民年金でくらしている高齢者は少なくありません。物価や家賃の高い東京で、年金に頼ってくらす高齢者の生活はたいへんです。その年金額は切り下げが相次ぐ一方、介護の費用や介護保険料、医療費や国民健康保険料、後期高齢者医療の保険料の負担は増え続け、介護施設は不足しています。そして、下流老人、介護難民、老人漂流社会などが、深刻な社会問題となっていることを知事は、どう受け止めていますか。

昨年8月に実施された「都民生活に関する世論調査」で、都に対し、特に力を入れてほしいことは、高齢者対策が54%で、前回よりも4ポイント増え、最も高くなっています。知事は、この都民の願いを、どう受け止め、高齢者福祉の充実を進めるのでしょうか。

Q3 2015年度の都の高齢者の生活実態調査では、高齢者に対する必要な施策や支援の要望のトップが、特別養護老人ホームなどの施設の充実です。この実態調査の自由意見でも「年金で入れる安い老人ホームをたくさんつくってほしい」など、切実な声が多く書かれています。

都の高齢者保健福祉計画では、2017年度末には、特養ホームを5万人分まで増やす目標ですが、2月1日時点の到達は約4万4千7百人分にとどまっています。あと1年余で5千3百人分以上の増設が必要ですが、いまのテンポは年間2千人分ていどです。このままでは、整備目標はとうてい達成できません。民有地購入への補助制度などをつくり、特養ホームなど介護施設整備をスピードアップさせる必要があると考えます。目標達成のためにどのような取り組みを進めるのですか。

Q4 介護人材の不足も深刻です。専門性が評価されず、仕事がきついわりに給与が低いなどのために、人材が集まらないのです。都内の福祉施設介護職員の平均給与は、全職種平均にくらべ月13万円も低くなっています。介護現場からは「給与が低く人手不足が日常化していて一人夜勤などが増え、疲弊してやめていく。この悪循環を断ち切るために職員の増員と賃金引上げをしてほしい」という声が広がっています。知事、こうした介護現場の実態と切実な声を、どう受け止めていますか。

Q5 都が現在行っているキャリアパス導入促進事業への補助は、現場の実態に合った仕組みではないため、2015年度の執行率は5・3%と極端に低く、十分な成果があがっていません。

「すぐ効く、よく効く」処遇改善が、介護の現場でも緊急の課題なのです。知事、都として賃金の引き上げに結びつくような処遇改善策にぜひ取り組んでいただきたいと思いますが、お答え下さい。

Q6 知事が、「2020年に向けた実行プラン」で、保育サービスの増設目標を4年で7万人分まで引き上げたこと、2017年度予算案で、保育士の処遇改善の費用が大幅に増額されたこと、そして保育園を建てるために23区内で土地を貸し出す方に対する固定資産税及び都市計画税の減免措置を創設したことなどは、重要です。しかし、今年の保育園入園申請の一次申込の結果は、深刻です。

杉並区では、認可保育園に申し込んだ4,249人のうち1,580人が入れませんでした。江東区でも、区として昨年より559人分の認可保育園を増やしましたが、2,123人も入れませんでした。都内各地で「本当に怒っている。0歳児の時も1歳児の時も2歳児の時も落ちた。さよなら私の自立という気持ち」などという切実な声が上がっています。

保護者は、わが子のために安心して預けられる保育の質も求めています。日々目覚しく育っていく子どもの「成長・発達」と「安全・安心」が保障される認可保育園の大幅増設で、量と質の抜本的拡充を求めているのです。目標の早期達成を含めて、こうした切実な声にこたえる必要がありますが、見解を伺います。

Q7 そうした中で注目すべきは、緊急対策として公立保育園をこの間、増やしている北区です。公立保育園の保育士の求人には、応募者が殺到しています。公立保育園を増設することは、保育士を確保し待機児解消を進める最も効果的な方法の一つです。

ところが公立保育園は、増えるどころか、この10年間に100施設、4千人分以上も減ってしまいました。知事、もったいない話だと思いませんか。

知事は、地域のさまざまな保育資源を活用して保育サービスを整備するとしています。さまざまな保育資源のひとつとして、公立保育園を位置づけることが重要となっていると思いますが、知事、いかがですか。

 公立保育園が減っている背景には、施設整備費への補助や運営費への補助が、国からも都からも出ない問題があります。

待機児童対策が急務となっている中で、公立保育園の増設、建替えにともなって定員増を行う場合の施設整備に都が補助を行うことをはじめ、区市町村が公立保育園を活用する取り組みを、都が後押しする支援に踏み出すことを求めますが、お答え下さい。

Q8 都有地の貸付については、現在1平方㍍当たり34万円を超える部分は9割減額となっていますが、減額対象の地価の基準をもっと引き下げれば、新たに公表された活用可能な都有地についても、いっそう活用しやすくなります。また、国有地・民有地を都が買い上げ、無償または低額で貸し出して、土地の確保を支援することなども求められています。ぜひ前に進めていただきたいと思いますが、お答え下さい。

Q9 2月17日に行われた厚生委員会では、心身障害者医療費助成を精神障害者も対象にすることを求めて精神障害者の家族会が提出した請願が、全員一致で採択されました。

精神障害者の多くは収入が少なく、精神障害者と家族にとって、医療費の負担はたいへん重いものになっていることを、知事はどう受け止めていますか。一日も早く請願事項が実施されるようにしていただきたいと思いますが、知事、いかがですか。

Q1 知事は施政方針で、OECD加盟国においては、多くの国々で教育に対する手厚い支援が行われている、教育への投資はまさに「未来への投資」だとおっしゃいました。

最近のOECDの調査では、日本は教育の私費負担が多いこと、小中学校の学級規模は加盟国の中でも最大規模のひとつで、教員の勤務時間も最も長い国のひとつつだと指摘されています。知事は、この指摘を、どう受け止めておられますか。

指摘された問題への手厚い支援が重要だとの立場から、35人学級について伺います。

Q2 日本では、35人学級編制は、小学校2年生までで止まっています。それは、財務省がかたくなに少人数学級の推進を拒みつづけているからです。一方、文部科学省は、いじめや不登校の深刻化、貧困家庭の子ども、日本語教育の必要な子ども、発達障害など特別な配慮の必要な子どもが増え続けると指摘し、「生徒指導面等の課題が複雑化・多様化し、学級の秩序が確保できなくなる事態も生じるなど、40人という学級規模では学級運営が困難になっている」と見解を示しています。知事は、文科省のこの見解を、どう認識しているでしょうか。

Q3 国が少人数学級を進めないもとで、山形県、福島県など15県が、独自に小中全学年での少人数学級を行っており、静岡県でも来年度から35人学級を完全実施します。他の府県でも独自の拡充が進められ、どこでも、不登校の減少やいじめなどへの早期対応、子どもの発言の場が増えるなどの効果が報告されています。

 東京都は石原都政のもと、少人数学級の拡充に消極的でした。国の小学1、2年生に加え、2013年度から中学1年生が35人学級になりましたが、それ以降は前進がありません。保護者や校長会、副校長会など学校関係者からは繰り返し、小中学校全学年に拡大してほしいと強い要望が出されています。知事の決断で、東京都としても35人学級を、小学校3年生へ、さらには全学年へと広げていくことを求めますが、見解を伺います。

 次に高校生の学費負担軽減です。

日本共産党都議団はこれまで、くり返し高校生の学費無償化、負担軽減を求めてまいりました。また昨年10月には改めて「給付型奨学金と学費負担軽減の拡充にむけた提案」を行いました。

Q4 小池知事が、都立高校生への都独自の給付型奨学金を創設し、私立高校生の授業料無償化の拡充を行ったことは、大変重要であり、大きな一歩だと考えます。同時に、今回の拡充策は、生活保護世帯の生徒には恩恵がなく、低所得世帯の生徒への支援の拡充もほんのわずかです。

 私立高校では、授業料以外にも、施設費などとして年額平均21万円も徴収されています。生活保護世帯であってもこの施設費や、入学金は、自己負担しなければなりません。

教育格差の解消のためには、さらなる取り組みの充実が求められると思いますが、知事の認識を伺います。

次に防災対策です。

Q1 防災対策でも石原都政からの脱却が求められています。

かつて都は、「地震は自然現象であるが、地震による災害は多くは人災である」として、震災の予防対策に全力をつくして、大きな公的支援で、木造住宅密集地域対策や広域避難場所の整備などを進めてきました。

ところが、石原都政になり、震災対策は「自助」と「共助」の2つの理念が前面に押し出され、公助、すなわち都民に対する公的支援は後景に追いやられてしまいました。最も危険と言われる木造住宅密集地域の安全化対策も、幹線道路で住宅密集地を囲んで延焼を防ぐということに中心がおかれてしまいました。わが党は、こうした防災対策のゆがみの是正を求めてきましたが、いま、その重要性がますます明らかになっています。

日本共産党都議団は、糸魚川市大火災の現地調査を行ってきました。「飛び火は、火元から100㍍以上離れた地点にも届き、新たな火元となった」「上から火が降ってきた」「瓦屋根であっても隙間などに火の粉が入り、燃えていった。耐火構造物であっても、開口部の窓ガラスなどが熱や飛び火により破損し、建物内部が全焼した」などの話は印象的でした。

延焼遮断帯として幹線道路で住宅地を囲んでも、強風のもとでは、飛び火を防げないことが明らかになったのです。

また、阪神淡路大地震では、体験された知事もご承知のように、その教訓は、住宅の倒壊で亡くなった方が多数いたことです。

知事も、「住宅を含む建築物の耐震化というのは、まさしく命にかかわる喫緊の課題」と述べたように、住宅の耐震化の促進が緊急課題です。住宅の耐震化、そして不燃化、難燃化を進めることこそ、人命を守り、生活の場を守る緊急課題ではないでしょうか。知事の認識を伺います。

Q2 大都市をかかえ、人口が多い府県の多くは、東京都のように助成の対象を一部の地域に限定せず、全地域を対象としています。

また静岡県は、年間980件、総額約3億4千万円、1件あたり34万2千円の助成をしています。兵庫県は、418件、総額約2億4千万、1件あたりの助成額は57万3千円という取り組みが進んでいます。これに対し、東京都は年間323件、総額6247万円、1件当たり19万3千円にすぎないのです。

 知事、ぜひ、都の耐震助成制度の対象と助成内容の大幅な拡充を検討していただきたいのですが、答弁を求めます。

Q3 不燃化・難燃化対策を促進するとともに、窓の耐火ガラス化や軒先の隙間対策、屋根の耐火化などの支援をすべきだと考えますが、いかがですか。

Q4 糸魚川の大火災では、電柱や電線が障害になってハシゴ車が使えず、上からの消火活動ができなかったと無電柱化の必要性を訴えていました。このことからも、いま小池知事が進める無電柱化の取り組みも、住宅密集地域を重視して進めるべきではありませんか。

Q5 狭い道路でも通れるミニ消防車の配置をはじめとした消防装備の充実、深井戸の設置なども重要ですが、いかがですか。

Q6 災害情報・避難指示情報が、的確に伝えられる手段の確保を、区市町村と協力して進めることも重要ですが、いかがですか。

次にオリンピック東京大会についてです。

Q1 組織委員会は、昨年12月21日、オリンピック・パラリンピックの費用をはじめて発表しました。それによれば、全体費用が1兆6千億円から1兆8千億円となり、そのうち組織委員会の負担は5千億円ということです。残りは組織委員会以外の負担としています。これでは都は、決まっている競技場整備費負担以外に7千億円から9千億円もの負担が強いられることになりかねません。

 すでに東京都は、都立競技場整備費や、選手村の基盤整備費だけでなく、本来負担する必要のない国立競技場の整備費まで負担するなど3千億円をこえる負担になっています。

そのうえ都がこの大半を負担することになれば、都民施策が圧迫され、都民の五輪と都政への失望を広げかねません。知事は、どのように考えておられますか。

Q2 私たちは、小池知事が公約で五輪費用の適正化、透明化を掲げたことを重視し、削減と透明化の提案を行いました。そして知事がすでに決定した都立3競技施設についても見直しの努力をし、制約されたなかでも400億円削減したことを評価しました。

 ところが知事は施政方針で、都外の自治体が所有する施設を含め、都も負担することを排除せず、検討するよう事務方に指示したと述べました。

私たちも他県の負担については、避けることが重要だと思います。しかし、そもそも、仮設施設の整備は組織委員会が負担すると約束してきたのです。私たちから見ても組織委員会は、とうてい仮設施設整備への自らの責任を果たそうとしているとは思えません。いま必要なことは、何よりも組織委員会に自らの役割を自覚させ、責任を果たさせることだと思いますが、知事の所見を伺います。

Q3 知事が他県の仮設整備費負担の理由にした「開催都市の責任」論は、森組織委員会会長や政府が、都に負担をおしつける理由として繰り返し強調した主張です。本来、国が全額負担すべき新国立競技場整備費まで都が負担させられたのも、この論理でした。しかし、公的支出の多くを開催都市が負担するということは、ロンドンやリオ五輪でもありませんでした。ロンドン五輪では英国政府が公的負担の67%を負担し、ロンドン市は10%でした。64年東京五輪では、施設整備でも、運営費でも国も大きな負担を行いました。

国に対し、過去の閣議了解の枠組みをこえて負担するよう、ともに求めようではありませんか。知事、いかがですか。

Q4 リオ五輪では民間の協力が大きな比重を占めました。東京の場合、スポンサー企業は日本経団連加盟企業の4%にすぎず、大企業や富裕層のより積極的な協力を求めたらいかがでしょうか。

64年東京五輪では、寄附金付き記念切手の発行をはじめ60億円近い寄附が寄せられ、運営費の3割が寄附金でまかなわれました。こうした経験を生かすことや大会関連グッズの販売など多様な取り組みで、収入確保の努力を強化することも重要だと思いますが、知事、お答え下さい。

Q5 総費用の削減のために、思い切った決断を行うことも重要です。

いまの計画では、まだ12種目の競技場で、客席数がIOC基準をこえています。これをIOC基準まで削減し、仮設スタンド整備費を圧縮すること、仮設スタンドやテントなどの諸施設は、最大限レンタルに徹すること、大会関係者のための2500台の運転手つき乗用車や、15万人分の無料公共交通パスなどの優遇策は可能なかぎり圧縮する、さらに首都高の営業補償や大会で使う車両の提供などの点で、首都高や民間事業者に最大限の協力を求めることが重要だと思いますが、知事、いかがですか。

次に経済政策・財政運営と、インフラ整備の問題です。

Q1 安倍政権は、大企業の利益最優先の経済政策の一方で、社会保障削減や労働法制改悪を次つぎ強行しています。非正規労働者は増え続け、ついに労働者の4割を超えました。これでは、国内消費の6割を占める個人消費がますます冷え込み、景気が上向かないことは明らかです。

 都民、国民の賃金や年金などの収入を安定的に増やして、個人消費をあたためる経済政策の重要性について、知事の認識を伺います。

Q2 都の社会保障関連予算は、今後23年間に累計9兆5千億円増加し、既存インフラの維持・更新予算も、累計3兆2千億円増加するとの試算が、「予算案の概要」で示されました。都が、その財源をどのように確保するのかが、問われています。

知事、少子高齢化が進むなか社会保障関係予算の増大が見込まれ、既存インフラの老朽化対策も急がれるもとで、投資的経費の中でも新規の大型開発や、不要不急と言うべき事業を精査することが重要ではないでしょうか。

 投資的経費の中でも莫大な財源を投じられているのが、外環道や骨格幹線道路、また都市計画道路の中で、最優先に事業化されている特定整備路線です。

 知事が予算発表の際、13年ぶりに投資的経費を減らしたと強調したことは重要です。投資的経費や都債発行を確実に抑えていくうえで、一度立ち止まって、石原都政以来の幹線道路事業など大型開発にメスを入れ,適切に抑制していくことが避けて通れないと思いますが、知事、いかがですか。

 外環道は、都内の三環状で最後の道路ですが、もし東名以南に延伸するとすれば、2兆円を大きく超える莫大な事業費の4分の一を、都が負担することになりかねません。すでに完成した中央環状高速道路などの渋滞解消効果をふまえた、外環道計画の見直しが求められますが、同時に是正すべきは、地上部道路「外環ノ2」です。

Q3 外環道計画は、石原知事が国に働きかけて、40年ぶりに凍結を解除して事業化をおし進めたものです。その際、石原知事は、沿道地域を視察し、住宅が密集して建ちならぶ地上での道路整備は困難であるとして、地上の高架計画を地下トンネル道路に変更するから、「もう迷惑をかけない」「安心していただきたい」と住民に約束したのです。

 しかし都は地下トンネルへの外環本線の変更に当たり、なくなるはずの地上部道路の計画を、「外環ノ2」としておし進めました。地元住民や区・市からは「約束が違う」と厳しい批判が出されました。知事はこうした経過をどのように考えていますか。

Q4 最近の知事と市長の個別懇談で、武蔵野市長は、「外環ノ2」について、都の計画は、住民の合意は得られていないこと、小池知事にも現地を見てほしいことなどを話しました。知事は検討すると答えましたが、実現はいつごろになるのでしょうか。そして、「外環ノ2」計画を再検討していただきたいと思いますが、それぞれ知事の答弁を求めるものです。

特定整備路線の見直しも重要です。

Q5 特定整備路線の予算額は、事業化して以降3年間で、185億円から835億円へと、急速に増やされました。しかし、実際の事業は多くの住民の反対に合って、執行率はきわめて低い状況です。

 それは、特定整備路線の大半が戦争直後に計画されたものの、長い年月、据え置かれている中で、計画路線周辺の街並みが成熟しており、都市計画道路の優先整備路線にも指定されていなかった路線が多いためです。ところが石原元知事は、こうした実情を無視して、東日本大震災を契機に延焼遮断帯の整備など防災を口実として、28路線を特定整備路線と位置づけて、2020年までに一気に完成させる計画を突然持ち出し、強引に進めてきたのです。住民にとっては寝耳に水の不意打ちであり、各所で、住宅街が分断されたり、商店街が丸ごと存亡の危機に立たされています。

知事、ぜひこうした経過を精査し、特定整備路線の中でも住民の反対の強い路線については再検討していただきたいと思いますが、いかがですか。

Q6 品川区の特定整備路線、放射2号の沿道には、戦前から歴史のある星薬科大学があり、道路計画が、薬科大学の命というべき薬草園を潰す計画であることから、正面から計画に反対し、測量にも応じていません。地元住民は、知事に、道路計画の理不尽さを現地で確認してほしいと希望しています。知事、ぜひ、この要望にこたえていただきたいと思いますが、お答え下さい。

 以上をふまえて、小池知事が、石原知事以来の、都民要望や地域の実情を無視した、強引な道路計画の流れを、そのまま引き継ぐのでなく、都民ファーストの立場から、地元の声を聞き、その願いが理にかなったものであるなら、都の方針や手法も見直すよう強く求め、再質問を留保して質問を終わります。

以上

 

答弁

知事 畔上三和子議員の代表質問にお答えをさせていただきます。合計二十七問ございました。
 東京ガスの土地の取得について、まず、お尋ねがございました。
 豊洲市場用地の取得の経緯につきましては、用地の選定や土地の購入契約などの経過が不透明だといった指摘がなされてまいりました。豊洲市場の問題は、都民の理解と納得なくして解決できない。土地の取得に係る事実関係や、それにまつわる責任を都民に明らかにする必要があると私は考えております。だからこそ、東京ガスとの交渉過程につきまして積極的に開示をして、都民に対し、つまびらかにしたところであります。

 また、豊洲市場用地の住民訴訟に対応する訴訟対応特別チームを編成し、これまでの売買契約などを精査することといたしました。これらの取り組みによりまして土地取得に関する経過、そして問題の所在が明らかになるものと期待をいたしております。

 豊洲市場用地の土地鑑定などについてでありますが、豊洲市場用地の土地鑑定や売買契約におけます瑕疵担保責任の免責につきましては、住民訴訟上の争点になるなど、土地購入契約に対してさまざまな指摘がなされております。こうした点について訴訟対応特別チームにおきまして、事実関係の解明、証拠の収集などを進めているところでございます。

 東京ガスとの交渉経過につきましては先ほどご答弁したとおり、交渉記録について積極的に開示をして、都民に情報を明らかにしてまいりました。議会におきましても調査特別委員会が設置され、都議会としての役目を果たす舞台は整ったものと存じております。今後の議論は多くの都民も注目をしているところでございます。私自身も注視していきたいと考えております。

 豊洲市場の整備は、都民の食の安全・安心にかかわる問題でございます。正確な情報を都民一人一人に届ける必要があると考えます。私が移転の延期を決断いたしましたのも、これまでの都政において、この点が不足してきたからにほかなりません。
 このため、盛り土がなく、地下空間が設置されていた問題についても、いつ、誰が、決定したのかを明らかにするとともに、関係者に対する処分を行うなど厳正に対処したところでございます。

 また、地下水モニタリング結果を初め、豊洲市場の環境測定の結果につきましては、専門家会議におきまして、インターネット中継を行うことなどによりまして、全て都民に公開をしているのはご存じのとおりであります。
 こうした取り組みを通じまして、都政の透明化を推し進めることで、職員の意識を改革し、緊張感を持った適正な都政運営を目指してまいります。

 豊洲市場の整備費につきましては、人件費や資材価格の高騰があったとはいえ、その金額が当初の予定額から大きく増加しており、そのことも移転延期を決断した理由の一つでもございます。独立採算の市場会計といえどもワイズスペンディング、つまり賢い支出の観点が損なわれてはなりません。
 このため、都政改革本部におきまして、豊洲市場整備に係る費用の増大につきまして検証を進めるとともに、都民に疑念を持たれないように、今後の入札契約制度につきましても見直しを検討しているところでございます。

 豊洲市場への移転の見直しにつきまして、市場の移転問題は安全・安心の確保最優先に考える必要がございます。現在、専門家会議では地下水モニタリングの再調査を実施しており、また、市場問題プロジェクトチームでは築地市場の施設の現状などについて議論されるなど、さまざまな観点から安全・安心の検証を進めているところでございます。こうした議論を踏まえる必要があると、私は考えております。

 築地市場の移転問題は、都民の意見を十分に踏まえて判断する必要があり、そのためには、都民一人一人に正確な情報を適切に届けていくことが不可欠でございます。私は就任以来、一貫いたしまして、移転問題に関する情報開示を徹底し、専門家会議や市場問題プロジェクトチームにおけます議論等につきましても、情報発信に努めてきたところでございます。こうした客観的な情報に基づく都民のさまざまなご意見も参考にしながら、総合的に判断してまいります。

 築地市場の再整備につきましては、過去にさまざまな課題に直面して断念した経緯がある一方で、新しい工法や手法による提案がなされていることも承知をいたしております。
 現在、豊洲市場の安全性や築地市場の施設の状況などにつきまして、専門家に検証していただいているところであります。移転に関する問題につきましては、こうした議論を踏まえて判断すべきものと考えております。

 今後の福祉施策の展開についてでございます。
 我が国では世界に例を見ないスピードで少子高齢化が進んでおります。
 今後の福祉施策を進めるに当たりましては、こうした将来を見据え、都民ニーズに応える具体的な取り組みをきめ細かく、かつ迅速に実施していく必要がございます。
 そのため、来年度予算では、全ての事業の総点検を実施いたしまして、無駄の排除を徹底した上で過去最高の一兆二千億円を超える財源を福祉と保健の分野に充てております。女性、男性、子供、高齢者、障害者、生き生きと活躍できる都市、それがダイバーシティーでございます。それが私が目指す東京でございます。
 今後とも、高齢や障害者の暮らしをしっかりと支えるために、大都市東京の特性を踏まえましたさまざまな福祉施策を展開していく考えでございます。

 高齢者施策につきまして、議員から、高齢者の生活実態について、さまざまなお話がございました。高齢者の暮らし向きがさまざまでございますけれども、低所得で暮らす方がいらっしゃることは私も十分認識をしております。私は、そうした高齢者の方々にとりましても、東京を安心して暮らせるまちにしていきたいと考えております。
 そのため、二〇二〇年に向けた実行プランやその具体化を図る来年度予算案には、できる限り住みなれた地域で暮らし続けることができるよう、地域包括ケアシステムの構築に向けた介護サービス基盤の整備や介護人材の確保、定着など、さまざまな施策を盛り込んだところでございます。

 介護人材対策についてでありますが、昨年十一月には二カ所の介護施設を私自身、訪問いたしました。そして、現場で働く職員の方々とも意見交換を行ったところであります。今後、高齢化が進展をいたしまして、介護ニーズの増大が見込まれる中で、介護人材の確保、定着は大きな課題と確認をしたところであります。
 そのため、来年度はキャリアパスを導入する事業者の支援を強化して、介護職員の職責に応じた処遇の実現につなげてまいりたいと思います。

 また、福祉現場への就労支援のためのシステムを新たに構築をして、求職者や離職者の目線に立った情報を提供するなど、介護になじみのない方々も含めました人材の掘り起こしにも取り組んでまいります。

 OECDの調査に対する受けとめ方ではございますが、子供たちがみずから人生を切り開き、社会的役割を果たす自立した人間となるためには、全ての子供が安心して学び、成長し続けられる、そのような環境を整備するとともに、一人一人に生きる礎となる確かな力を身につけさせることが重要であります。
 そのため、家庭の経済状況によります教育機会の格差の解消を目指して、誰もが持てる力を伸ばせるように、都独自の給付型奨学金を創設、拡充するところであります。

 また、子供たちの学習環境につきましては、小中学校では習熟度別指導の推進、高等学校では学び直しを支援するプログラムなど、基礎学力の確実な定着を図る取り組みを展開いたしております。
 さらに、教職員の働く環境を整えていくという観点からは、教員の負担感の大きい部活動指導について、外部指導者などの活用を進めてまいりましたが、三月九日には、総合教育会議を開催いたしまして、子供たちの学びを支える学校力の強化に向けた議論も行ってまいります。

 教育課題に対する文部科学省の見解につきましてのご質問、これは不登校やいじめ、特別支援教育への対応など、教育を取り巻く課題の複雑化、困難化の状況を指摘しているものと認識をいたしております。
 こうした現状に対応するため、特に課題がある学年への学級規模の縮小を可能とする教員の追加配置に加えまして、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど多様な専門人材を活用しております。
 また、子供たちの社会的な自立にはきめ細かな教育の推進が必要なことから、学力向上に力を入れる学校への教員の追加配置を新たに行います。
 ことしの一月に策定いたしました東京都教育施策大綱には、こうした内容について盛り込んだところであります。
 今後とも、教育委員会と力を合わせまして、子供たちの輝く未来を創造する教育の実現に取り組んでまいります。

 教育格差の解消についてのご質問でございます。
 将来を担う子供たちの希望ある未来のために、教育機会の格差の解消は重要な課題であります。
 そこで、このたび私立高校等に在学する生徒の保護者の経済的負担を軽減するため、年収約七百六十万円未満の世帯に対しまして、国の奨学支援金と合わせまして、平均授業料額まで支援できるよう、都の特別奨学金を大幅に拡充することといたしました。
 低所得世帯につきましては、この特別奨学金に加えまして、現在、授業料以外の教育費の負担軽減として奨学給付金を支給しております。さらに、来年度より、所得にかかわらず、無利子の入学支度金貸付額を、現在の二十万円から都内私立高校入学金の平均額である二十五万円まで引き上げまして、その充実を図ります。
 家庭の経済状況に左右されることなく、どのような環境にあっても、誰もが希望する教育を受けることができるよう、子供たちの学びたいというその気持ちにしっかりと応えてまいります。

 住宅の耐震化、不燃化についてのご質問でございます。
 首都直下地震の発生が懸念される東京におきましては、建築物の耐震化や市街地の不燃化はもとより喫緊の課題でございます。
 このため、都は自助、共助に加えまして、公助の取り組みについても積極的に推進をしております。

 まず、災害時に都民の生命線となります緊急輸送道路の沿道建築物につきましては、全国に先駆けて条例を制定して手厚い助成制度を設けるなど、耐震化を促進しております。
 また、市街地の不燃化につきましては、不燃化特区の制度や特定整備路線などの取り組みによって、不燃化建てかえへの助成、税制優遇、延焼遮断帯の形成など、施策を総動員して進めております。
 今後も、こうした取り組みを充実させながら、耐震化、不燃化を強力に推進してまいります。

 耐震改修への助成につきましては、整備地域内での区の取り組みを後押しするために、今年度から支援内容を拡充して取り組みを加速しておりまして、整備地域外におきましても、国費を有効に活用し、耐震化を促進しております。
 住宅の耐震化を実効あるものとするためには、都民一人一人がみずからの問題として認識し、備えていくことが何よりも重要であります。
 このため、都はかねてから普及啓発の取り組みを進めておりまして、住宅の所有者にアドバイザー派遣などを行う区市町村の取り組みを支援しているところであります。
 来年度からは、都内全域におきまして、戸建て住宅への全戸訪問を行う区市町村に対する支援を拡充してまいります。
 これらの支援を通じまして、首都東京の防災性を高めて、都民が安心して生活できるセーフシティーの実現に取り組んでまいります。

 二〇二〇年東京大会につきまして、競技場の整備費以外の経費について、お尋ねがございました。
 二〇二〇年大会を成功に導くために、昨年の末、私が提案し、設置されました関係自治体との作業チームでは、仮設施設に加えまして、輸送、警備など膨大な業務があることが明らかになりつつあります。大会まであと三年と迫りました。作業チームを含め、さまざまな検討を加速させて、費用負担の協議も促進する必要がございます。
 協議に当たりましては、開催都市としての責任を踏まえて、大会の成功に向けて万全を期すとともに、常にコストとレガシーを意識してまいります。
 そのため、都としては、都民の皆様の負担をできる限り軽減し、都民施策に影響を及ぼさないよう財源も含めまして幅広く検討してまいります。
 そして、大会経費とともに、大会の成功が東京にもたらす有形無形のレガシーを都民の皆様に十分説明をして、納得していただけるよう取り組んでまいります。

 組織委員会の役割と責任についてのお尋ねでございました。
 二〇二〇年大会の準備を万全に行い、大会を成功に導くためには、都、国、組織委員会、関係自治体のそれぞれがしっかりとその役割と責任を果たしていく必要がございます。一兆六千億から一兆八千億円を上限額とする大会経費のコストをさらに縮減していくには、計画、予算、執行の各段階において強力なチェック体制を確立することが求められます。
 そのため、都、国、組織委員会の三者が常に緊密に連携をして、効率的な調達の実施や統一的に執行をチェックし、マネジメントできる体制を構築していく必要があります。
 大会運営面での計画づくりから仮設施設の整備などの具体的な業務執行に至るまで、組織委員会が大会の運営主体としての責任をしっかりと果たすよう都としても関与してまいります。

 国の費用負担についてでございます。
 大会開催に向けましては、多様で膨大な業務がございます。国は当然担うべきセキュリティー対策などに尽力することはもちろん、会場が所在する自治体への支援など、果たすべき役割は極めて大きいものがあります。
 また、二〇二〇年大会は、世界に向けて、東京だけではなく、日本全体をアピールする絶好の機会ともなります。国に対し、これまで、オールジャパンでの取り組みを推進するため、平成二十三年十二月の閣議了解による枠組みに固執することなく、財政面を含めた全面的な支援を行うよう強く求めてまいりました。
 都は、開催都市としての責任を重く受けとめ、役割を果たしてまいります。国においてもしっかりその役割を果たされるように期待をいたしております。

 収入の確保を強化せよとの話でございました。
 あと三年と迫りました二〇二〇年大会に向けまして、都民、国民の皆様との一体感を高めて、多くの皆様に大会を身近に感じていただけますよう、さまざまな取り組みを進めていくことは重要でございます。都市鉱山からのメダル製作のための携帯電話などの回収や風呂敷クロスなど公式商品のPR、販売などでは、多くの方々からご賛同をいただいた。大会に貢献したいという都民の強い思いを実感したところでございます。

 オリンピック・パラリンピックの寄附金につきましては、現在、組織委員会において、創設に向けて寄附の仕組みを検討しております。
 このように、都民、国民の皆様の期待と志をしっかりと受けとめるとともに、スポンサーの獲得などにより、組織委員会がさらなる収入確保に努められるよう強く求めてまいります。

 総費用の削減についてでございます。
 既に、都が新たに整備する三施設において、整備費を約四百億円縮減をいたしました。また、今般、検討を指示いたしました仮設施設の整備についても、例えば、大会後も全く使用しない仮設なのか、必要以上に高いスペックになってはいないかなど、内容や規模などの面からも精査する必要がございます。
 常にコストとレガシーを念頭に置きながら、国、組織委員会、関係自治体、さらに民間も含めまして、関係者が一致協力して総費用の削減に努めてまいります。

 次に、経済政策についてのお尋ねがございました。
 賃金や年金がふえ、個人消費が活性化することが望ましいことは論をまちません。問題は、その結果を導くためにどのような政策を打っていくかでございます。
 安倍政権の経済政策、いわゆるアベノミクスにつきましては、日本経済の安定に成果を上げていると思いますが、一方で、持続的な社会保障制度や、あるべき労働法制の構築などにより、必要な負担も含めて将来の展望が明確になれば、先々に対する不安の解消や個人消費の上昇も期待されることでありましょう。
 東京都といたしましては、日本の経済成長をリードする立場から、国家戦略特区による規制緩和や金融市場の活性化に向けた取り組みを進めているところであります。
 さらに、経済の活力と成長をもたらすイノベーションを活性化し、持続的な経済成長を生み出していくために、卓越した技術を持つ中小企業を多面的に支援をしてまいります。
 加えて、個人消費の観点からは、ライフワークバランスを一層進めていくことが必要であります。会社一辺倒の、いわば働きづめの毎日ではなく、時間を上手に使って個々人が真に豊かな人生を追求できることが、個人消費の活性化にも寄与すると考えております。

 財政運営につきましては、平成二十九年度の予算案で、事業評価の取り組みを一層強化して、施策の効率化や実効性を向上させながら、福祉や医療の充実、社会資本ストックの維持更新への対応など、必要な施策に的確に財源を振り向けたところでございます。
 一方で、道路を初めとする都市インフラの整備は、都民の利便性や東京の国際競争力の向上などに必要不可欠な取り組みでありまして、見直すべきものは見直しを行った上で着実に進めていく必要がございます。
 今後とも、将来世代の受益と負担のバランスにも十分に配慮しつつ、徹底的に無駄を排除するなど、めり張りをきかせながら、山積する都政の諸課題にしっかりと取り組んでまいります。

 外環の地上部街路についてのお尋ねでございました。
 広域的な高速道路である外環は、沿線地域の環境に与える影響を最小限にするため、地下化することによって整備を具体化した一方で、地上部には一般街路である外環ノ2の都市計画がございます。
 外環ノ2について、さまざまな意見があることは承知をしており、これまで都は、沿線四区市の要望を踏まえて、地域住民の意見も広く聞きながら、整備のあり方などについて検討を進めてまいりました。
 このうち練馬区間については、既に幅員を四十メートルから二十二メートルに変更しておりまして、ゆとりある歩道や自転車の走行空間、緑豊かな街路樹を確保した地域のための幹線道路として整備を進めてまいります。
 外環ノ2の計画の再検討に関してのご質問でございますが、残る杉並、武蔵野、三鷹区間につきましては、これまでも地域住民との話し合いの会などを重ねてまいりました。昨年の三月に策定をいたしました都市計画道路の整備方針におきましても、計画内容を再検討することを位置づけておりまして、地元区市と連携をして、地域のさまざまな意見も聞きつつ、そのあり方を検討してまいります。
 なお、現地視察については、状況を踏まえて判断をさせていただきます。

 特定整備路線についてでございますが、都は、首都直下地震の切迫性や東日本大震災の発生を踏まえまして、震災時に特に甚大な被害が想定されます木造住宅密集地域を燃え広がらない、燃えないまちとするために、平成二十四年に、木密地域不燃化十年プロジェクトを立ち上げたところであります。
 燃え広がらないまちを実現する特定整備路線は、延焼を遮断し、避難路や緊急車両の通行路となって、都民の生命と財産を守る極めて重要な都市基盤であり、地元区の意見も聞いて選定したものでございます。
 阪神淡路大震災を経験した私にとりましては、木密地域の不燃化は、すなわち、都民の生活、命、財産を守るために一刻も早く取り組むべき課題だと確信をしております。特定整備路線につきましては、さまざまな意見があることは承知をいたしておりますが、引き続き関係権利者の方々に丁寧にご説明をしながら、理解と協力を得つつ整備を推進して、燃え広がらないまちを実現してまいりたいと考えております。

 特定整備路線であります放射第二号線に関してでございます。
 お尋ねの大学から平成二十七年の十月に、陳情書が提出されていることは承知をしております。一方で、事業の必要性や協力依頼など、大学関係者への説明を重ねているとの報告も受けております。今後とも、大学関係者を初め関係権利者一人一人へ丁寧に説明するなど、理解と協力を十分に得ながら取り組んでまいります。
 また、現地での確認につきましては、状況を踏まえて判断をいたしたいと考えております。
 なお、その他の質問につきましては、教育長、東京都技監、関係局長からのご答弁とさせていただきます。
 ありがとうございました。

教育長 少人数学級の拡大についてでありますが、都教育委員会は、小一問題、中一ギャップの予防、解決のため、小学校第一学年、第二学年及び中学校第一学年において、学級規模の縮小と少人数指導、チィームティーチングの活用を各学校の実情に応じて選択できる柔軟な制度を導入しております。
 今後の学級編制のあり方については、教育の機会均等や全国的な教育水準の維持の観点から国の責任が大きいと考えており、引き続き国の動向を注視してまいります。

東京都技監 窓の耐火ガラス化などの不燃化対策についてでございます。
 都は、建築物の不燃化に関する規制として、防火地域の指定に加え、平成十五年に、全国に先駆けて東京都建築安全条例に基づく新たな防火規制の制度を創設いたしました。
 新たな防火規制区域では、建築物をその規模によらず、準耐火建築物以上とし、延焼のおそれのある部分の開口部を網入りガラスなどの防火戸に、外壁、屋根、軒裏などを一定時間の火災に耐え得る構造にすることを義務づけてございます。
 現在、不燃化特区の全域で、防火地域、または新たな防火規制区域を指定し、あわせて手厚い建てかえ助成を活用することなどにより、建築物の不燃化を促進してございます。

中央卸売市場長 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、市場の持続可能性についてですが、事業の基盤となります市場会計は、これまで支出した豊洲市場の整備費はもとより、安全性確保のために必要となる経費や築地市場を運営するための改修費などを踏まえ、その健全性が確認されることが必要でございます。
 また、物流におけるさまざまな革新など、市場を取り巻く環境が大きく変化する中で、今後の市場のあり方そのものについて見通しを持つことも重要となっております。
 市場の持続可能性につきましては、市場問題プロジェクトチームにおきまして、会計の健全性とあわせて、市場がどうあるべきか、将来を見据えた専門的な見地からの議論がなされているところでございます。

 次に、豊洲市場の施設の用途についてでございますが、現在、豊洲市場の安全性等につきまして、専門家会議や市場問題プロジェクトチームにおいて検証していただいております。
 したがいまして、市場以外の用途について検討する段階ではないと考えております。

 最後に、築地市場の改修、補修についてでございます。
 築地市場の多くの施設は老朽化しており、維持管理が重要と考えております。
 このため都は、昨年十一月、築地市場内の都の施設の状況につきまして臨時の点検を実施し、緊急を要するものについては直ちに補修を行ったところでございます。
 築地市場がその機能を維持できるよう、施設の劣化状況について監視を強化し、緊急度に応じて順次必要な対策を講じてまいります。

福祉保健局長 六点のご質問にお答えをいたします。
 まず、特別養護老人ホーム等の整備についてでありますが、都は現在、都有地の減額貸付や土地賃借料の負担軽減、整備率が低い地域の整備費補助への加算、建築価格高騰に対応した加算など、さまざまな独自の支援策を講じております。来年度はさらに整備を進めるため、整備費の高騰加算を増額するほか、地域密着型特別養護老人ホームなどの定期借地権一時金への補助や、区市町村の所有地を活用した施設整備への支援を行うとともに、地元の必要数を超えた特別養護老人ホームの整備に同意する区市町村への交付金制度を創設することとしております。

 次に、介護職員の処遇改善についてでありますが、介護サービス事業は、サービス提供の対価として事業者に支払われる介護報酬等により、運営されることが基本でございます。
 都は国に対し、事業者が介護人材の確保、定着を図り、健全な事業運営を行うことができる介護報酬とするよう繰り返し提案要求しておりまして、国は来年度の報酬改定において、昇給と結びついたキャリアアップの仕組みの構築を要件に、月額一万相当の処遇改善を予定しております。
 都が実施しているキャリアパス導入促進事業は、介護職員の育成、定着を図るため、国のキャリア段位制度を活用して、キャリアパスの導入に取り組む事業者を支援するものであり、来年度からは補助期間を三年間から最大五年間延長するなど、充実を図ることとしております。

 次に、保育サービスの拡充についてでありますが、都はこれまで、保育の実施主体である区市町村が地域の実情に応じて多様な保育サービスの拡充と質の向上を図ることができるよう、さまざまな支援を行ってまいりました。
 また、昨年九月に策定した待機児童解消に向けた緊急対策では、施設整備費の高騰加算や、建物賃借料補助の創設、国有地や民有地の借地料補助の拡充のほか、都有地や民有地の活用を促進する取り組みを強化いたしました。
 来年度はさらに、二十三区内で保育所用地を有償で貸し付ける場合に、固定資産税等を十割減免する税制支援や、企業主導型保育施設の開設費用への支援、預かり保育を進める私立幼稚園への支援を拡充し、区市町村と連携しながら、多様な保育サービスの拡充に取り組んでまいります。

 次に、公立保育所の整備に対する支援についてでありますが、保育サービスは、保育の実施主体である区市町村が地域の実情を踏まえながら、認可保育所、認証保育所、認定こども園、小規模保育、家庭的保育など、さまざまな保育資源を活用して整備するものでございます。
 公立保育所の運営費は平成十六年度に、整備費は平成十八年度に、区市町村に税源移譲されております。

 次に、保育所整備のための土地確保への支援についてでありますが、都は現在、保育所の整備を促進するため、未利用の都有地を五〇%減額して運営事業者に貸し付けており、都内公示地価平均を超える部分につきましては、減額率を九〇%にまで拡大をしております。
 また、国有地や民有地を活用する事業者に対しましては、土地の借り受けから経営が安定するまでの五年間、借地料の補助を行っており、昨年十二月には緊急対策として、補助の上限額の引き上げや事業者の負担割合の軽減など補助内容を充実しております。
 さらに、都有地に関する事業者等の照会窓口であるとうきょう保育ほうれんそうや、民有地等の掘り起こしを進める福祉インフラ民有地マッチング協議会を設置するなど、保育所整備に取り組む事業者を支援しております。

 最後に、心身障害者医療費助成制度の精神障害者への拡大についてでありますが、現在、精神疾患のため、通院による継続的な治療を要する方に対しましては、法で定める自立支援医療制度により、精神通院医療に係る医療費を助成しており、都はさらに、区市町村民税非課税世帯の自己負担を全額無料とする独自の軽減策を実施しております。
 制度の対象拡大につきましては、今後、議会でのご意見や請願の内容を踏まえながら、国の助成制度との整合性を初め、さまざまな観点から幅広く調査分析を行っていく必要があると認識しております。

建設局長 無電柱化の取り組みについてでございますが、無電柱化は、都市防災機能の強化や、良好な都市景観の創出、安全で快適な歩行空間の確保を図る上で重要でございます。このため、都はこれまでも、第七期の無電柱化推進計画に基づきまして、センター・コア・エリア内はもとより、周辺区部や多摩地域の第一次緊急輸送道路を中心に事業を推進しております。
 また、延焼遮断帯を形成する特定整備路線等の都市計画道路を整備する際には、同時に無電柱化を実施しております。
 さらに、木造住宅密集地域内を初め、防災に寄与する路線につきましては、区市町村に対し、財政支援を行うなど、都道のみならず、区市町村道の無電柱化を促進しております。
 引き続き、都市防災機能の強化等に向けまして、都内全域での無電柱化事業に積極的に取り組んでまいります。

消防総監 道路狭隘地域におけるポンプ車の配置と消防水利の整備についてでありますが、東京消防庁では、普通ポンプ車に加えて、狭い道路も走行できる小型ポンプ車を百六十四台保有し、管内の特性に応じて効果的な活動ができるよう配置しております。
 また、消防水利につきましては、防火水槽の設置を促進するとともに、消火用水が十分に確保できない地域については、地下水を活用した深井戸を設置するなど計画的に整備しております。
 今後とも、地域の特性や危険性に応じて、消防車両や消防水利の充実に努めてまいります。

総務局長 災害時の情報伝達手段の確保についてですが、発災時に一人でも多くの都民等の生命を守るためには、避難情報などの災害情報を的確に提供し、情報不足による混乱や二次被害の防止を図ることが重要でございます。
 地域防災計画では、区市町村が避難場所等の周知をするとともに、発災時には避難勧告等を発令し、防災行政無線や案内標識等を活用して、住民等の避難誘導等を行うこととしております。
 都においても、避難場所等をホームページなどで周知するとともに、Lアラートを活用し、マスコミ各社を通じて避難勧告等の情報提供を迅速に行うなど、災害情報を広く発信してまいりました。
 今後とも、こうした手段を通じ、区市町村と協力しながら、都民等に対する適切な情報伝達に努めてまいります。

以上