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質問・条例提案

2016.10.13

2016年第3回定例都議会を終えて(談話)

 2016年第3回定例都議会を終えて

                        2016年10月13日
日本共産党東京都議会議員団
幹事長  大山とも子

 今定例会は、小池百合子知事になって初めての都議会であり、日本共産党都議団は、知事が都知事選で都民要望に応える前向きの公約をかかげていたもとで、都民にとって良いことは賛成し、より良い施策として実現するために、積極的に提案する、そして都民にとって悪いことについては批判し、是正を迫るという、都民第一の立場でのぞみました。

一、今議会では、豊洲新市場問題が、都政を揺るがす大問題として最大の焦点になりました。
そもそも、築地市場の東京ガス豊洲工場跡地への移転は、15年前に当時の石原知事が、同地が深刻な土壌汚染地であるのを知りながら決めたことによるものです。自民党や公明党などが移転に賛成・推進する中で、わが党は、いっかんして築地の現在地で再整備すべきだとして反対をつらぬくとともに、ごまかしと欠陥に満ちた土壌汚染調査と対策工事などをきびしく告発し、食の安全をまもるために奮闘してきました。
今議会は、小池新知事が築地市場の豊洲移転を延期することを表明した直後に開かれました。わが党は、こうした新しい状況のもとで、「豊洲新市場をめぐる重大な問題点と徹底検証のための提言」を発表し、より良い方向にすすむよう全力をつくしました。
わが党は、主な建物の下は盛り土せず、地下空間にしていたことをいち早く明らかにし、長年にわたって、都民と都議会を欺いてきた都の重大な責任を、厳しく追及し、真相を明らかにするよう求めました。これに対し都は、都自らが地下空間にすることを決めた事実を隠し、地下空間は、「技術会議」独自の提案などとする、事実をねじ曲げた報告と答弁で切り抜けようとしたのです。知事は、「遺憾」だと言いましたが、わが党はこうした都の隠ぺい体質を改めさせ、事実を究明するために、今後とも全力をつくすものです。
わが党はまた、地下水を海抜1・8メートル以上にならないように管理するという都の説明とはうらはらに、地下水が海抜5メートル前後に達している事実、この地下水管理システムを資格に欠けた企業が受注している疑惑、さらには、土壌汚染対策や市場の建物建設などをめぐり大手ゼネコンと都による官製談合によって、建設費がはね上がった疑惑など、様々な角度で問題点を追及し、問題を解決していく建設的な提案をおこないました。
こうしたなかで、知事が地下水の管理にかかわる契約の経過については、「必要があれば調べる」、建設費の高騰については、「都民に開かれた場で、なぜこのような額になったのか、その理由を明らかにしていく」「より透明性のある入札制度の構築に向けて議論を行っていく」などと答えたことは重要です。
いま、東京都が豊洲移転中止に向けた本格的検討を行うことが求められています。また、移転延期に伴い損失をこうむっている業者に対する補償、支援を行うとともに、築地市場の補修等をしっかり行うことが必要です。わが党はこれからの都のとりくみを注視し、より良い方向にすすむよう、ひきつづき奮闘するものです。

一、豊洲新市場をめぐる問題について、石原元知事や中央卸売市場当局などが自ら真実を明らかにしようとせず、都合の悪いことは隠しつづける態度をとっているもとで、都議会が真相究明に全力をつくすことが求められています。そのために、証拠となる資料を提出させ、関係者を証人喚問し、偽証罪に問える強制力もつ百条委員会の設置が不可欠であり、多くの都民、世論も設置を望んでいます。そのためわが党は、百条委員会の設置を提案しましたが、自民党、公明党などの反対によって、設置となりませんでした。都民の声に背を向けて、趣旨説明さえ封殺し、百条委員会設置に反対した会派と議員は厳しい批判を免れません。わが党は新たに設置された特別委員会において、奮闘するとともに、ひきつづき百条委員会の設置を求めていきます。豊洲新市場問題の真相究明なしに、失った都政への信頼を回復することはできません。わが党は、そのために全力をつくすものです。

一、 2020年東京オリンピック・パラリンピックについて、わが党は、ふくらむ五輪費用の透明化と削減を進めるために、力をつくしました。
わが党は、小池知事が、調査チームをもうけ、その報告を受けて海の森水上競技場など都立3施設の見直しをはかろうとしていることを評価しつつ、アスリートそして都民の理解と納得がえられ、整備費の削減をはかる見直しとなることを求めました。
一方、調査チームの報告書は、組織委員会の責任である仮設施設整備について、都内の施設は都が全額負担すると提案をしています。これについてはきびしく批判し、都が何よりも行うべきは、組織委員会に、最新の大会運営費の総額と内訳を速やかに公表させて、費用削減に力をつくすよう申し入れることであるとただしました。これに対し知事は、「都民の税金が適正に使われるよう、全体像を把握していく」と答えました。また、都が選手村の基盤整備に400億円以上の公費を投入する一方、建設を請け負う大手デベロッパーに1㎡当たり10万円以下という破格の価格で提供することなどをただしました。わが党は引き続き、五輪費用の透明化と削減にむけて力をつくすものです。

一、 今議会に、待機児童対策の補正予算が提出されました。保育士の宿舎借上げ支援の対象拡大や、認可保育園の整備費補助の拡充、借地料の補助拡充など、わが党も提案していたものであり、一定の前進です。同時に、深刻な待機児童問題解決のためには、質の低下につながるような規制緩和はせず、大幅な給与引き上げをはじめとした処遇改善、土地の確保、認可保育園の大幅な増設を進めるために、さらなる施策の拡充が必要です。また、認可外保育施設に対する指導権限を持つ巡回指導予算が付きました。体制を整備し、子どもの命と安全、健やかな成長を守り抜くために都が全力でとりくむよう、わが党は力をつくすものです。
また、都独自の奨学金について、知事が「今後速やかに検討を進める」と答えたことは重要であり、知事が答弁したように、経済格差が、将来の希望の格差につながってはなりません。早急な具体化が求められます。
こうした都民福祉の施策をさらに充実していくためには、都政をゆがめてきた石原都政以来の大型開発優先の路線を正し、都政に都民福祉の増進という魂を取りもどすことが必要です。これまでの長期ビジョンは、大型道路整備や都市再開発などに事業費全体の26%を投入する一方、福祉充実の事業費はわずか8%に過ぎないというもので、これを引きつぐのではなく見直していくことが求められています。

一、 都議会改革について、今こそ都議会が真剣に取り組むことがきびしく求められています。わが党は、昨年の第1回定例会で、自民、公明両党などを除く5会派と共同して、費用弁償について実費支給にするという条例改正案を提出していますが、継続審議になり、棚上げされています。今定例会でも、議運理事会で、採決を求めましたが、都議会の多数を占める自公両党などによって、継続審議とされました。わが党は、費用弁償について議員個人は受けとらず、全額積み立て、議員退職時に都に寄付をする独自の措置をとっています。また、わが党は、政務活動費については新年会などの会費や飲食に使わないということを実践し、会計帳簿などをホームページで公開していますが、こうした政務活動費の使途の見直しや議員報酬削減の検討などもふくめ、都議会改革を前に進めるために力をつくすものです。

以上