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質問・条例提案

2020.06.10

2020年第2回定例会に提出した文書質問

2020年第2回定例会で、以下の文書質問を提出しました。

【文書質問】

  • 斉藤まりこ (教員の産休育休代替と加配教員の活用、教員の増員について)
  • 原のり子 (新型コロナウイルス感染症に対応した障害児者に係る医療提供体制について、都立六仙公園の整備について)
  • とくとめ道信 (小河内ダムの治水目的の活用にむけた検討と具体化の状況について、有機フッ素化合物(PFOS等)の目標値の設定と今後の対応について)
  • とや英津子 (妊婦とパートナーの新型コロナ対策と助産師への支援について)
  • 池川友一 (安定した住まいのない方々への支援について)
  • 和泉なおみ (京成本線荒川橋梁架替事業について)

 


令和2年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 斉藤まりこ

質問事項
一 教員の産休育休代替と加配教員の活用、教員の増員について

一 教員の産休育休代替と加配教員の活用、教員の増員について

 教職員不足が深刻です。新型コロナウイルスの感染拡大の防止のために、学校は3月から全国一斉休校となりました。5月までの3か月分の学習の遅れを少しでも取り戻す取り組みや、長期間の自粛生活を余儀なくされた子どもたちへの対応、分散登校など、3密を避けるための特別な対応が求められて、学校現場は大変な状況です。
 あらゆる手立てで、時間講師や学習支援員等の増員が必要ですが、教職員不足は新型コロナウイルス感染症が広がる前から深刻化していました。とりわけ、若い先生が増え、1校で複数人の先生が産休育休に入るケースも珍しくないなかで、産休育休代替の教職員を探すことが困難で、学校の現場では常にその対応に追われている状況です。

1 産休育休代替の教職員が見つからず、英語加配の先生がそのカバーに入って、英語の授業ができなくなった、あるいは、特別支援教室の先生がカバーに入ることになって、週2日の特別支援教室が1日しかできないなど、支援が必要な児童たちにしわ寄せがいっているという現場の声があります。こうした実態を都は把握していますか。
 教員不足のために、子どもたちへの授業の保障ができていないことは重大な事態だと思いますが、都教育委員会の認識を伺います。

2 東京都内の学校で、現在、産休育休を取得している教職員数と、それに応じた産休育休代替をあてている教職員数について教えてください。

3 2017年度と2018年度の産休育休代替で任用された教職員数を教えてください。

4 産休育休代替の教職員の名簿の人数について、5か年分で教えてください。

5 ある小学校の算数の少人数指導加配の教員は、産休代替の担任に入るなどして少人数授業ができなくなると、次の年に加配がもらえなくなる可能性があるために、担任に入らずに少人数授業を続けているということです。こうした事情でも、柔軟な活用を認め、少人数指導の実績が減っても加配を継続するべきだと思いますが、いかがですか。

 産休育休代替の教職員を探すことは、学校の大きな負担になっています。100件、200件と電話をあたっても、見つからないということが常態化しています。そのうえ、今は新型コロナへの対応で学校現場は疲弊しています。

6 学校の負担を減らすためにも、産休育休代替の教職員を、あらかじめ正規職員として採用することを検討するべきだと思いますが、いかがですか。

 いま、平時からの教員不足に加えて、新型コロナでの対応も重なり、教職員を抜本的に増やすことが益々求められています。日本教育学会は潜在的な人材のプールを踏まえて、1校あたり平均で、小学校3人、中学校3人、高校2人の教員を加配する10万人の教員増を提案しています。そのなかで、いま多くの教職の経験者から教員免許を奪っている教員免許更新制です。10年ごとの免許を更新するためには、有効期間満了日の2年2か月前からの2年間で、30時間以上の講習を受けなければなりません。長時間労働が常態化し、多忙な教職員は、そのための時間の捻出が困難で、免許の更新をあきらめて、退職していく方々がいるという現場からの声があります。

7 都教育委員会は、教員免許更新制が教員の大きな負担になっていることについて、どう認識していますか。コロナ禍で業務負担が大きくなっているなかで、現場の声を聞いていく必要があると思いますがいかがですか。

8 教員の負担となっている教員免許更新制を廃止することを国に求めるべきだと思いますが、いかがですか。

9 産休育休代替への対応だけでなく、コロナ禍、そしてコロナ後の学校を見据えたうえでも、少人数学級などが可能な教職員の抜本的な増員はまったなしです。そのためにも、都教育委員会として定数改善を行なうことを今こそ検討し、踏み出していく必要があると思いますが、いかがですか。

 

令和2年第二回都議会定例会
斉藤まりこ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 教員の産休育休代替と加配教員の活用、教員の増員について
1 産休育休代替の教職員が見つからず、英語の授業ができなくなった、あるいは、週2日の特別支援教室が1日しかできないなど、支援が必要な児童たちにしわ寄せがいっているという現場の声がある。こうした実態を把握しているか。教員不足のために、子どもたちへの授業の保障ができていないことは重大な事態だと思うが、認識を伺う。

回答
 産休育休代替教員を確保するまでの間、学校全体で対応体制を整え、一時的に他の教員が授業を担うなどの対応を行うことがあると聞いています。
 産休育休代替教員については、速やかに確保していくことが必要と考えています。

質問事項
一の2 東京都内の学校で、現在、産休育休を取得している教職員数と、それに応じた産休育休代替をあてている教職員数について伺う。

回答
 教職員の産休・育休取得者数については、毎年、総務省からの調査依頼に基づき、区市町村教育委員会及び都立学校から報告を受け、集計しています。
 この調査では、調査の対象年度に新たに産休・育休を取得した者の人数を集約しており、対象年度の前年度から引き続き取得している者の人数は含まれていません。
現時点を含め、特定の期日における産休・育休取得者数を把握するためには、改めて調査を行い集計しなければならないため、お示しすることは困難です。
 また、この産休・育休取得者に対応した代替教職員数を示すことも困難です。

質問事項
一の3 2017年度と2018年度の産休育休代替で任用された教職員数を伺う。

回答
 産休育休代替教職員の任用者数は、平成29年度が3,766人、平成30年度が3,698人です。

質問事項
一の4 産休育休代替の教職員の名簿の人数について、5か年分を伺う。

回答
 産休育休代替教員は、年1回、名簿登載選考を実施しており、最近5年間の名簿登載者数は、平成27年度が4,073人、平成28年度が4,268人、平成29年度が4,044人、平成30年度が3,570人、令和元年度が3,086人です。
 また、名簿登載選考とは別に、都教育委員会では、ホームページ等を通じて教職経験者等を、平成29年度任用希望者から常時募集しており、名簿登載者から適任者が見つからない場合に、区市町村教育委員会に人材情報として提供しています。
 この人材情報の登録人数は、平成29年度が1,300人、平成30年度が1,613人、令和元年度が1,588人です。

質問事項
一の5 小学校の少人数指導加配について、柔軟な活用を認め、少人数指導の実績が減っても加配を継続すべきと考えるが、見解を伺う。

回答
 都教育委員会では、小学校の算数の授業において、習熟度別少人数指導のための教員加配を行っており、年度ごとに各校の授業時数や実施方法等の活用計画を精査し、加配を行う学校を決定しています。
 加配教員は、この計画に沿って授業を行うことになりますが、学校運営上の必要性から、一時的に他の教員の業務を代替した場合についても、その状況を確認した上で、加配の継続を行っています。

質問事項
一の6 学校の負担を減らすためにも、産休育休代替の教職員を、あらかじめ正規職員として採用することを検討するべきだと思うが、見解を伺う。

回答
 都教育委員会では、女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保に関する法律、地方公務員の育児休業等に関する法律及び文部科学省通知に基づき、教職員が妊娠出産休暇及び育児休業を取得した場合は、臨時的任用である産休・育休代替教職員により対応することとしています。

質問事項
一の7 都教育委員会は、教員免許更新制が教員の大きな負担になっていることについて、どう認識しているか。コロナ禍で業務負担が大きくなっているなかで、現場の声を聞いていく必要があると思うが、見解を伺う。

回答
 文部科学省は、学校の現職教員が新型コロナウイルス感染症の影響を受けた学校教育活動の実施に伴う業務量の増大等により、定められた期間内に更新講習の受講が難しいなどのやむを得ない事由がある場合には、教員免許状の有効期間の延長等ができるとの通知を発出しました。
 都教育委員会は、文部科学省の通知に基づき、教員免許状の有効期間の延長等を認めることとしています。
 免許更新制に係る意見等については、窓口業務・日々の問合せ等を通して把握しています。

質問事項
一の8 教員の負担となっている教員免許更新制を廃止することを国に求めるべきだと思うが、見解を伺う。

回答
 現在、中央教育審議会において、新しい時代の初等中等教育の在り方についての審議の中で、教員免許講習と研修等の位置付けの在り方についても検討されており、都教育委員会では、国の動向を注視していきます。

質問事項
一の9 少人数学級などが可能な教職員の抜本的な増員はまったなしである。そのためにも、定数改善を行なうことを今こそ検討し、踏み出していく必要があると思うが、見解を伺う。

回答
 都教育委員会では、国のいわゆる標準法を踏まえた都の配置基準に基づき、適切に教職員を配置しています。
 教職員定数については、教育の機会均等や全国的な教育水準の維持の観点から、国の責任において行われるべきと考えており、引き続き国の動向を注視していきます。

 


令和2年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 原のり子

質問事項
一 新型コロナウイルス感染症に対応した障害児者に係る医療提供体制について
二 都立六仙公園の整備について

一 新型コロナウイルス感染症に対応した障害児者に係る医療提供体制について

 新型コロナウイルス感染症は、緊急事態宣言が解除されてもなお、感染者が出ています。PCR検査を徹底しなければ、収束に向かうことは困難であることは言うまでもありません。しかし、新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップでは、PCR検査10,000件をいつまでにすすめるのか不明です。医療提供体制の整備についても、患者特性に応じて受け入れる医療機関を指定するとしましたが、やはり、いつまでに実施するのかはわかりません。これでは、不安は広がるばかりです。

1 ロードマップの「迅速に検査を受けられる体制充実」「医療提供体制の整備(〔1〕病床確保・運用)」はいつまでにどのように達成するのですか。

2 PCR検査をふやすことは、モニタリング指標を用いる上での大前提ではないでしょうか。いかがですか。

3 6月5日の厚生委員会において、藤田りょうこ都議が、ロードマップには明記されていない、障害児者が感染した場合の受け入れ医療機関の整備について質問しました。これに対し、個別の状況に応じて対応する旨の答弁がありました。しかし、藤田都議が指摘するように、4月14日の厚労省からの事務連絡では、「障害児者各々の障害特性等を踏まえて、予め受入医療機関の整備を行うこと」と書かれています。どのように整備する考えですか。

4 知的障害児者の場合、入院することを理解したり、不安を説明することが難しく、入院は極めて困難です。障害児者の対応ができる医療機関でなければ、おちついて治療をうけることができません。障害児者対応ができる医療機関を受け入れ先にしてください。いかがですか。

5 障害児者を受け入れる医療機関を確保する上で、都立病院、公社病院の役割は重要です。6月5日の厚生委員会でも、精神障害者が精神科病院への入院中に感染が分かった場合などに都立病院で受け入れる旨の答弁がありましたが、他の障害も含め、都立病院、公社病院で障害者である感染者の受け入れにどう取り組むのかうかがいます。

6 障害児者が感染した場合、入院か自宅療養だと説明されています。なぜ、障害児者は軽症者用の宿泊療養施設が利用できないのでしょうか。事情により自宅でみることができない場合、どこへ行けばいいのでしょうか。説明してください。

7 濃厚接触者は全て検査対象とされたことも踏まえ、障害児者の通所施設において、感染者が出た場合、利用者と職員のPCR検査を実施できるようにしてください。障害児者は感染した場合、障害の種別によって重症化するリスクも高い方や、自覚症状を訴えるのが難しい方がいらっしゃることからも、検査の徹底を求めますがいかがですか。

8 障害児者の通所施設やグループホームなどで利用者やその家族に感染者が出た場合に接触のあった利用者をグループホームの中で見守るとした際には、対応の仕方について専門の医療スタッフを派遣して、ていねいな指導をおこなってください。

 

二 都立六仙公園の整備について

 東久留米市中央町3丁目地内にある都立六仙公園は、15ヘクタールの総合公園で、雑木林等の武蔵野の原風景を再現し、隣接する湧水の涵養地となるよう整備するとされています。同時に、東久留米市では防災上の位置づけをしています。
 すでに開園されている部分は、近隣住民の憩いの場として利用されており、さらなる追加開園が期待されています。そこでうかがいます。

1 現在、計画区域に対して、開園している区域、開園はしていないが都が買い取っている区域がそれぞれどのぐらいの面積ですか。

2 長年、囲いをしたままになっている場所については、不法投棄などもあります。その都度対応されていますが、暗く、死角になって危険な場所もあり、早く、公園として整備を進めてほしいとの声があります。2006年に開園され、少しずつ追加開園されていますが、まだ全体の三分の一程度です。

ア 整備に時間がかかっている理由をお聞かせください。

イ 今後の追加開園の整備スケジュール、整備内容についてうかがいます。

ウ 取得済みの公園用地を暫定的に開放することを求めますがいかがですか。

3 パークマネジメントマスタープランでは、「公園の緑のなかでの高齢者の健康づくりや子どもの心身の育成、多世代が交流できる場への期待が高まっています」と記されています。そして、基本理

4、プロジェクト9の(3)子どもの育成、スポーツによる健康づくりの場としての公園利用において、六仙公園は、公園でのスポーツによる健康づくりのプログラムに位置づけられています。現在、健康遊具や多目的運動広場が設置され、利用されています。さらに、ターゲットバードゴルフ場などを設置して、多世代で利用できるように求める声が強くあります。こうした要望を今後の整備にもりこむことを求めますがいかがですか。

4 ドッグランについてうかがいます。
 現在、都立公園におけるドッグラン設置事業は終了していますが、全体で何か所か、あわせて、公園名と所在地をうかがいます。
 また、都は、事業終了はしているが、今後、一定の条件をクリアすることで設置できる場合にも言及しています。その条件について説明してください。

5 都立六仙公園にドッグランを設置してほしいとの声は大変強くあります。北多摩北部地域にはドッグランがありません。マスタープランには、この間のドッグラン設置は、「地域的なバランスにも配慮しつつ」すすめてきたと書かれています。都内の設置バランスも考慮しての都としての支援をお願いしたいと思いますが、いかがですか。

 

令和2年第二回都議会定例会
原のり子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 新型コロナウイルス感染症に対応した障害児者に係る医療提供体制について
1 ロードマップの「迅速に検査を受けられる体制充実」「医療提供体制の整備(〔1〕病床確保・運用)」はいつまでにどのように達成するのか伺う。

回答
 都は、医師が必要と判断した方が迅速に検査を受けられるよう、都内全域で新型コロナ外来を100か所、PCRセンターを38か所設置することにより、検査体制の整備を進めるとともに、新たな検査機器の導入支援や唾液検体を用いたPCR検査など多様な検査手法の活用を進めることにより、1日10,000件を目指し、都内の検査能力の更なる拡充を図っていきます。
 また、医療提供体制については、感染拡大の状況に応じ、1,000床から4,000床を、うち重症者用は100床から500床を、専門家の助言も踏まえながら、段階的に確保していくこととしており、早期に多くの病床を確保できるよう、病床確保の基準を5段階から3段階へ見直しました。
 さらに、患者の重症度や特性に応じて重点的に患者を受け入れる感染症入院重点医療機関を順次指定していきます。

質問事項
一の2 PCR検査をふやすことは、モニタリング指標を用いる上での大前提ではないか、見解を伺う。

回答
 都は、感染(疫学的)状況の把握や医療提供体制の確保などの観点から、都内の新規陽性者数等のモニタリングを行い、状況に応じた必要な対策を講じることで、感染拡大防止を図っていきます。
今後、感染者数が増加する事態に備えて検査体制を拡充していくことは必要であり、感染者を迅速に把握するとともに、継続的なモニタリングを行い、感染拡大の予兆を的確に捉えていきます。

質問事項
一の3 6月5日の厚生委員会において、藤田りょうこ都議が、障害児者が感染した場合の受け入れ医療機関の整備について質問した。これに対し、個別の状況に応じて対応する旨の答弁があった。しかし、4月14日の厚労省からの事務連絡では、「障害児者各々の障害特性等を踏まえて、予め受入医療機関の整備を行うこと」と書かれている。どのように整備する考えか伺う。

回答
 患者が新型コロナウイルス感染症に感染した場合には、診察した医師の判断や患者の症状等を踏まえ、保健所が入院勧告や療養場所の確定を行います。
障害児者の場合、障害の程度や基礎疾患の有無等の個別の状況に応じた対応が必要であることから、個々のケースごとに、かかりつけ医の意見等も参考にしながら、保健所が入院先の調整等の対応を行うこととしています。
 なお、精神障害者が精神科病院に入院中に、新型コロナウイルス感染症への感染が判明した場合等については、都立病院で受け入れることとしています。

質問事項
一の4 知的障害児者の場合、入院することを理解したり、不安を説明することが難しく、入院は極めて困難である。障害児者の対応ができる医療機関でなければ、おちついて治療をうけることができない。障害児者対応ができる医療機関を受け入れ先にしてほしい。見解を伺う。

回答
 知的障害児者が新型コロナウイルス感染症に感染した場合については、障害の程度や基礎疾患の有無等の個別の状況に応じた対応が必要であることから、個々のケースごとに、かかりつけ医の意見等も参考にしながら、保健所が入院先の調整等の対応を行うこととしています。

質問事項
一の5 障害児者を受け入れる医療機関を確保する上で、都立病院、公社病院の役割は重要である。6月5日の厚生委員会でも、精神障害者が精神科病院への入院中に感染が分かった場合などに都立病院で受け入れる旨の答弁があったが、他の障害も含め、都立病院、公社病院で障害者である感染者の受け入れにどう取り組むのか伺う。

回答
 都立・公社病院では、感染症医療を行政的医療と位置付け、感染症指定医療機関を含む14病院全てにおいて、新型コロナウイルス感染症の専用病床を確保するとともに、各病院の機能や役割に応じて患者の治療に当たってきました。
 また、同様に、障害者合併症医療、障害者歯科医療についても行政的医療として位置付けており、精神障害のほか、知的障害や身体障害など、他の医療機関では対応困難な障害のある感染患者等を受け入れています。

質問事項
一の6 障害児者が感染した場合、入院か自宅療養だと説明されている。なぜ、障害児者は軽症者用の宿泊療養施設が利用できないのか。事情により自宅でみることができない場合、どこへ行けばいいのか。説明を求める。

回答
 患者が新型コロナウイルス感染症に感染した場合には、原則として感染症指定医療機関等への入院勧告を行いますが、症状がない又は医学的に症状が軽く、必ずしも入院治療が必要でない方は、宿泊療養施設での療養を基本としています。
 障害児者についても、医師の判断や本人及び家族の状況等を踏まえ、保健所が入院勧告先や宿泊療養の可否等の判断を行っています。

質問事項
一の7 濃厚接触者は全て検査対象とされたことも踏まえ、障害児者の通所施設において、感染者が出た場合、利用者と職員のPCR検査を実施できるようにしてほしい。障害児者は感染した場合、障害の種別によって重症化するリスクも高い方などがいることからも、検査の徹底を求めるが、見解を伺う。

回答
 令和2年5月29日に国立感染症研究所から示された「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領」では、「濃厚接触者については、速やかに陽性者を発見する観点から全て検査対象とする」とされており、都内の各保健所でも、この要領に基づいて対応しています。
 都は引き続き、保健所が積極的疫学調査を実施する際の技術的な支援を行い、感染拡大防止の観点から必要な方の検査を迅速に実施できる体制を確保していきます。

質問事項
一の8 障害児者の通所施設やグループホームなどで利用者やその家族に感染者が出た場合に接触のあった利用者をグループホームの中で見守るとした際には、対応の仕方について専門の医療スタッフを派遣して、ていねいな指導をおこなってほしい。見解を伺う。

回答
 グループホームの利用者が新型コロナウイルス感染症患者と接触していた場合、保健所が濃厚接触者に該当するかを判断し、必要に応じて、新型コロナ外来等において検査が行われます。
 検査結果が陽性であった場合は、原則として感染症指定医療機関等への入院勧告を行いますが、医師が入院の必要がないと判断した方については、グループホームで療養することもあります。
 その場合、保健所が施設の消毒や生活空間等の区分け等、必要な対応について職員に指導を行うとともに、陽性者の健康観察を実施し、利用者の症状に大きな変化等があれば、受診勧奨することとしています。

質問事項
二 都立六仙公園の整備について
1 現在、計画区域に対して、開園している区域、開園はしていないが都が買い取っている区域がそれぞれどのぐらいの面積か伺う。

回答
 計画区域15ヘクタールに対して、令和2年4月1日現在の開園区域は約5.0ヘクタール、取得済み用地のうち未開園区域は約2.7ヘクタールです。

質問事項
二の2 整備について
ア 整備に時間がかかっている理由を伺う。

回答
 土地所有者と折衝を重ね用地取得を進めていますが、未取得用地が引き続き残っているため、整備効果が発現できる、まとまった事業用地を確保するには、一定の期間を要します。

質問事項
二の2のイ 今後の追加開園の整備スケジュール、整備内容について伺う。

回答
 本公園については、事業認可を受け、武蔵野の原風景の回復や隣接する湧水地と一体感のある景観の創出などを目指し整備を進めています。

質問事項
二の2のウ 取得済みの公園用地を暫定的に開放することを求めるが、見解を伺う。

回答
 用地取得を進め、まとまった事業用地を確保した箇所から、順次整備を進めていきます。

質問事項
二の3 パークマネジメントマスタープランでは、六仙公園は、公園でのスポーツによる健康づくりのプログラムに位置づけられている。ターゲットバードゴルフ場などを設置して、多世代で利用できるように求める声が強くある。こうした要望を今後の整備にもりこむことを求めるが、見解を伺う。

回答
 これまで多目的運動広場や健康遊具を整備しており、整備計画では自然の中で軽い運動や遊びを通じての健康づくりの場を提供することとしています。

質問事項
二の4 現在、都立公園におけるドッグラン設置事業は終了しているが、全体で何か所か、あわせて、公園名と所在地を伺う。また、都は、事業終了はしているが、今後、一定の条件をクリアすることで設置できる場合にも言及している。その条件について説明を求める。

回答
 都立公園のドッグランは、駒沢オリンピック公園(世田谷区、目黒区)、神代植物公園(調布市)、小金井公園(小金井市、小平市、西東京市、武蔵野市)、舎人公園(足立区)、城北中央公園(板橋区、練馬区)、小山内裏公園(町田市、八王子市)、代々木公園(渋谷区)、蘆花恒春園(世田谷区)、水元公園(葛飾区)、篠崎公園(江戸川区)、木場公園(江東区)、桜ヶ丘公園(多摩市)の12か所に設置されています。
 ドッグランの設置に当たっては、設置可能な場所の確保、駐車場の確保、ボランティア団体等の協力、近隣住民の理解の4つを全て満たすことを条件としています。

質問事項
二の5 都立六仙公園にドッグランを設置してほしいとの声は大変強くある。北多摩北部地域にはドッグランがない。マスタープランには、この間のドッグラン設置は、「地域的なバランスにも配慮しつつ」すすめてきたと書かれている。都内の設置バランスも考慮しての都としての支援をお願いしたいと思うが、見解を伺う。

回答
 都立公園のドッグランは、地域的なバランスにも配慮しつつ12か所に設置が完了しています。
 今後、安定的な管理運営を持続し新たなニーズに対応するため、管理運営上の課題を踏まえつつ、民間活用や区市との連携なども含め、ドッグランの在り方について検討していきます。

 


令和2年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 とくとめ道信

質問事項
一 小河内ダムの治水目的の活用にむけた検討と具体化の状況について
二 有機フッ素化合物(PFOS等)の目標値の設定と今後の対応について

一 小河内ダムの治水目的の活用にむけた検討と具体化の状況について

 記録的な豪雨となった昨年の台風19号による多摩川下流の浸水被害の経験をふまえて、私は、直後の10月末の公営企業委員会で、多摩川上流の利水ダムである小河内ダムでダムの決壊を防ぐために行われた余水吐き放流の多摩川の水位に与えた影響を検証することと、下流の氾濫などの対応も視野に入れ事前放流するなどの治水目的での小河内ダムの活用の検討を求めました。
 その後、国土交通省は既存ダムの洪水調節機能強化に向けた検討を開始し、この4月22日に「事前放流ガイドライン」を策定、6月4日までに治水協定がすべての1級河川で締結されたとされています。

1 小河内ダムの治水協定締結に当たり、どのような検討がされ、どのような協定が結ばれたのか、伺います。

2 事前放流により小河内ダムではどの程度、水害対策のために使える貯水容量が増えるのですか。また「事前放流ガイドライン」を台風19号にあてはめると、小河内ダムから多摩川への放流量はどうなるのですか。

3 最低限、小河内ダムに残しておく水量はどの程度になりますか。また事前放流後の降雨量が予想より少なかったことなどにより、万が一、貯水量が回復しなかった場合の対応について伺います。

4 今年もすでに出水時期に入りつつありますが、治水協定に基づく小河内ダムの運用については、今後、多摩川流域での台風、豪雨などの可能性があるときに間に合うように具体化されているのですか。

5 治水協定の締結に当たり、他の水系では非常に多くの関係者との調整が図られた上で合意されていると思うが、多摩川水系では、どのような関係者と合意されたのか。

6 治水協定に基づき、事前放流をする場合、多摩川下流域の自治体や地域住民に影響があると思われますが、放流の周知などはどのようにするのですか。

7 治水協定に基づく対応に当たり、ダムのハード面での改良・改善が必要になると考えますが、いかがですか。

8 同じく、ソフト面ではどのようなことが必要になるのでしょうか。

9 多摩川流域の洪水・氾濫の防止のためには、河川の浚渫や河原の樹木伐採も必要だと思いますが、どのように具体化しているのですか。

 

二 有機フッ素化合物(PFOS等)の目標値の設定と今後の対応について

 この間、沖縄県の米軍基地内などで、PFOS等が使用されている有害物質の泡消火剤の大量の流出事故が発生し、米軍横田基地でも、同じような事故が発生したことが報道されています。関係自治体では、土壌や地下水の汚染問題での立ち入り調査や情報提供を求める動きも広がっています。
 今年4月の沖縄県・普天間基地内でのPFOS等を含む泡消火剤の大規模な漏出をきっかけに、基地周辺の住民の不安が拡大し、日米地位協定の「環境補足協定」に基づく立ち入り調査が、不十分ながら初めて認められています。
 こうした中で、未定だった有機フッ素化合物(PFOS等)の目標値が、環境省、厚労省などで検討され、設定されました。
 5月27日には、都も参加する「渉外知事会」が、「米軍基地における泡消火剤の漏出事故に関する緊急要請」が米国、在日米軍基地、政府・防衛省に対して行ないました。
 国としての有機フッ素化合物(PFOS等)の目標値が厳しい基準で設定されるとともに、「渉外知事会」の緊急要請が行われたもとで、米軍横田基地で発生しているPFOS等関連の汚染問題の解決に向けて、都の認識と対応のあり方も厳しく問われています。

1 有機フッ素化合物(PFOS等)と、それを利用した泡消火剤の有毒性はどういうところにあるのですか。これらの扱いは国際基準ではどうなっているのですか。

2 今回の国(環境省)による目標値の設定内容は、これまでと比較して、どのように違うのですか。

3 PFOS等の目標値が設定されたことによって、都は、今後どのように対応していくのですか。

4 昨年、今年の定例都議会でのわが党の代表質問に対して、「横田基地内のPFOSを含む泡消火剤が流出したとの情報」について、立ち入り調査を求めたことに対して、「基地への立ち入り調査については、有機フッ素化合物に関する国やWHOの基準が定められていないことなどから、現時点では立ち入りは困難と考えています」と答弁しています。
 国の有機フッ素化合物(PFOS等)に関する目標値が設定されたもとで、周辺住民の不安を解消し、生命・健康の安全を確保するためにも、これまでの答弁との整合性からも、基地内への立ち入り調査を強く求めるべきではないですか。

5 「渉外知事会」の「緊急要望」の一つは、PFOS等の目標値の設定と一体のものであり、その緊急要望実現には、都として大きな役割、責任を果たす必要があると思いますが、認識と対応についてうかがいます。

6 米軍横田基地周辺でのPFOS等に係る水質、土壌などの汚染問題への対応は、PFOS等を含む泡消火剤と無縁でありません。「渉外知事会」の「緊急要望」通り、水や土壌等の立ち入りの環境調査を行い、汚染問題の解決について、結果を公表すべきだと思いますが、いかがですか。

7 「緊急要望」にもあるように米軍横田基地における泡消火剤などPFOS等を含む製品の数量や管理の状況について、目標値が明確になった以上は、実態の公表を求め、都独自の立ち入り調査を求めて、その結果を周辺自治体と住民に公表すべきですが、いかがですか。

8 「緊急要望」にあるように米軍横田基地内において、PFOS等を含む製品が存在するならば、代替品交換を早急に完了させ、交換終了までは漏出防止など安全管理に万全を尽くすよう、都として独自に働きかけるべきですが、いかがですか。

9 これまで都の答弁では、米軍横田基地では泡消火剤流出の情報はなく、2016年以降、訓練時には泡消火剤は使用していないと米軍が否定したとなっていました。
 しかし、昨年12月の沖縄普天間基地でPFOSを含む泡消火剤が漏出した時も、日本政府はPFOSを使用しない製品への転換を進めていると説明するなど、実態を隠すようなものでした。
 2015年に締結した日米地位協定の「環境補足協定」では、「環境に影響を及ぼす事故(漏出など)が現に発生した場合」について、米軍基地への立ち入り手続きを定めているにもかかわらず、米軍の裁量任せによって、応じないまま実現していない問題があります。
 こうした基地立ち入り調査の問題点を改定するために、PFOS等の目標値が設定され、「渉外知事会」の「緊急要望」があった時こそ、都としても独自に日米地位協定の改定を厳しく申し入れるべきです。いかがですか。

 

令和2年第二回都議会定例会
とくとめ道信議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 小河内ダムの治水目的の活用にむけた検討と具体化の状況について
1 小河内ダムの治水協定締結に当たり、どのような検討がされ、どのような協定が結ばれたのか、伺う。

回答
 多摩川水系における河川管理者と関係利水者とで構成する「既存ダムの洪水調節機能の強化に向けた基本方針に基づく多摩川水系協議会」が、令和2年1月24日に設置され、小河内ダムにおける有効貯水容量を洪水調節に最大限活用することについて検討が行われました。
 この結果、水害発生が予想される際に事前放流を実施し、洪水調節可能容量を確保する多摩川水系治水協定を同年5月27日付けで締結しました。

質問事項
一の2 事前放流により小河内ダムではどの程度、水害対策のために使える貯水容量が増えるのか、伺う。また「事前放流ガイドライン」を台風19号にあてはめると、小河内ダムから多摩川への放流量はどうなるのか、伺う。

回答
 小河内ダムの操作規定では、ダム上流域で洪水が予想される際、予備放流水位以下にすることとしており、満水位から予備放流水位までの容量は1,595万立方メートルになります。
 今回の多摩川水系治水協定に基づく洪水調節可能容量は最大3,558万立方メートルであり、3日前から実施判断し放流を開始することで、ダム上流域からの流入を貯水できる量が、新たに、1,963万立方メートル増えることとなります。
 令和元年の台風第19号に当てはめた場合の小河内ダムから多摩川への放流量については、当時の予測降雨データがないため算出できませんが、治水協定に基づき事前放流を行うことで、洪水調節可能容量の活用が可能となり、最大放流量を抑えることができると考えられます。

質問事項
一の3 最低限、小河内ダムに残しておく水量はどの程度か、伺う。また事前放流後の降雨量が予想より少なかったことなどにより、万が一、貯水量が回復しなかった場合の対応について伺う。

回答
 今回の多摩川水系治水協定に基づく洪水調節可能容量を除いたダムの貯水容量は、1億4,982万立方メートルであり、有効貯水容量の81パーセントになります。
 また、貯水量が回復しなかった場合には、「事前放流ガイドライン」に基づき、国に対して損失補填の申出や、渇水調整協議会等において弾力的な水融通などの協議を行います。

質問事項
一の4 今年もすでに出水時期に入りつつあるが、治水協定に基づく小河内ダムの運用については、今後、多摩川流域での台風、豪雨などの可能性があるときに間に合うように具体化されているのか、伺う。

回答
 都は、河川管理者及び関係利水者間で調整の上、事前放流の開始基準や中断基準等を定める実施要領を令和2年6月に作成しました。

質問事項
一の5 治水協定の締結に当たり、他の水系では非常に多くの関係者との調整が図られた上で合意されていると思うが、多摩川水系では、どのような関係者と合意されたか伺う。

回答
 多摩川水系に関係する、河川管理者である国土交通省関東地方整備局、東京都建設局及び神奈川県県土整備局並びに利水者である東京都交通局及び水道局の5者の間で調整の上、合意し、多摩川水系治水協定を締結しました。

質問事項
一の6 治水協定に基づき、事前放流をする場合、多摩川下流域の自治体や地域住民に影響があると思うが、放流の周知などはどのようにするのか、伺う。

回答
 今回の多摩川水系治水協定に基づき、小河内ダム上流において洪水のおそれがある場合の事前放流の周知については、これまでの余水吐からの放流と同様に、放流の直接の影響を受けやすい貯水池の放流口から羽村取水堰までの間において、河川付近に設置しているサイレンにより警告を発するとともに、職員が河川の両岸を拡声器等により警告を行いながらパトロールすることで、安全確認を実施します。
 また、放流の実施について、事前に河川管理者をはじめ、下流の自治体など関係機関へ通知するとともに、ホームページへ放流に係る各時点の最新の情報を掲載するなどの広報活動を実施します。

質問事項
一の7 治水協定に基づく対応に当たり、ダムのハード面での改良・改善が必要になると考えるが、見解を伺う。

回答
 小河内ダムには、余水吐など、放流施設が既に設置されていることから、今回の多摩川水系治水協定に基づく事前放流を実施する上で、施設の改良等は必要ありません。

質問事項
一の8 ソフト面ではどのようなことが必要になるのか、伺う。

回答
 今回の多摩川水系治水協定に基づく事前放流の実施に当たっては、台風などの影響のない晴天時に放流することも想定されることから、河川敷内の安全を確保するため、放流の際の周知徹底を図ることが必要になります。
 このため、河川管理者及び流域自治体と、安全確保について協議していきます。

質問事項
一の9 多摩川流域の洪水・氾濫の防止のためには、河川の浚渫や河原の樹木伐採も必要だと思うが、どのように具体化しているのか、伺う。

回答
 令和元年東日本台風の被害を受け、国は令和2年1月に関係機関と連携し、多摩川の洪水処理能力向上に向け、河道掘削や樹木伐採などを「多摩川緊急治水対策プロジェクト」に位置付けました。
都は引き続き、こうした取組を含め、多摩川など大河川の氾濫を防止する治水対策の着実な推進を国に要望していくこととしています。

 

質問事項
二 有機フッ素化合物(PFOS等)の目標値の設定と今後の対応について
1 有機フッ素化合物(PFOS等)と、それを利用した泡消火剤の有毒性はどういうところにあるのか、伺う。これらの扱いは国際基準ではどうなっているのか、伺う。

回答
 一部の泡消火剤等に含まれる有機フッ素化合物であるPFOS及びPFOAは、国等の資料によると、自然環境中では分解されにくく、生物蓄積性を有すること等から、人の健康への影響が生じるおそれがあるとの指摘もあります。
 また、PFOSは、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約 (POPs条約)で、平成21年に製造等の制限が決定され、平成22年に化学物質審査規制法に基づき、国内での製造等が原則禁止されました。PFOAについても、POPs条約で、令和元年に製造等の禁止が決定され、今後、国内での製造等が禁止される予定です。

質問事項
二の2 今回の国(環境省)による目標値の設定内容は、これまでと比較して、どのように違うのか、伺う。

回答
 国は、今般、PFOS及びPFOAについて、現時点では直ちに環境基準健康項目とせず、引き続き知見の集積に努めるべきと判断される要監視項目に新たに追加しました。監視強化の観点からも目安となる値を示すことは意義があると考えられることから、目標値として「指針値(暫定)」を、PFOS及びPFOAの合計値で「1リットル当たり50ナノグラム以下」と定めていますが、現時点で毒性学的に明確な基準値等の設定は困難であるとしています。

質問事項
二の3 PFOS等の目標値が設定されたことによって、都は今後どのように対応していくのか伺う。

回答
 PFOS及びPFOAが引き続き知見の集積に努めるべきと判断される要監視項目に新たに追加されたことから、都道府県等が公共用水域や地下水の水質のモニタリングを行います。

質問事項
二の4 国の有機フッ素化合物(PFOS等)に関する目標値が設定されたもとで、周辺住民の不安を解消し、生命・健康の安全を確保するためにも、これまでの答弁との整合性からも、横田基地内への立ち入り調査を強く求めるべきではないか、見解を伺う。

回答
 今般、PFOS及びPFOAについて、国が設定した水環境に係る要監視項目としての指針値(暫定)は、事業者等の排水について規制する基準ではありません。都は引き続き、国や米軍に対して、横田基地におけるPFOS等を含む泡消火剤の使用状況等、更なる情報提供を求めていきます。
 横田基地内への立入調査については、環境補足協定上、立入りの要請は米側からの漏出事故発生の通報が前提となっていること、国からは平成28年以降、訓練時にはPFOS等を含む泡消火剤を使用していないと聞いていること等から現時点では立入りは困難と考えています。
 今後も、渉外知事会を通じ、地元自治体が立入りを求めた場合には、速やかに応ずることなど、日米地位協定の改定を求めていきます。

質問事項
二の5 「渉外知事会」の「緊急要望」の一つは、PFOS等の目標値の設定と一体のものであり、その緊急要望実現には、都として大きな役割、責任を果たす必要があると思うが、認識と対応について伺う。

回答
 渉外知事会の緊急要請は、令和2年4月10日に、沖縄県の普天間飛行場で、PFOS等を含む泡消火剤の大規模な漏出事故が発生したことを受けて、緊急的に実施したものです。
 都としても、要請文にもあるとおり、基地周辺住民の安全・安心に資する取組を進める観点から、国に対して、現行の環境補足協定の規定では困難な、地元自治体から立入り等の求めがあった場合の積極的な対応を求めたり、残存するPFOS等を含む製品の代替品への早急な交換等に万全を期すことを求めたりすることは重要であると認識しており、今後とも、他の関係自治体と連携しながら、要請の内容の実現に向けて様々な場面を通じ、国に働き掛けていきます。

質問事項
二の6 横田基地周辺でのPFOS等に係る水質、土壌などの汚染問題への対応は、PFOS等を含む泡消火剤と無縁ではない。「渉外知事会」の「緊急要望」通り、水や土壌等の立ち入りの環境調査を行い、汚染問題の解決について、結果を公表すべきだと思うが、見解を伺う。

回答
 横田基地周辺においてPFOS等が検出されたことについて、国からは、泡消火剤が流出したとの情報は承知しておらず、平成28年以降は訓練時にはPFOS等を含む泡消火剤を使用していないと聞いています。
 PFOS等は泡消火剤以外にも様々な用途に使用されており、発生源は特定されていません。

質問事項
二の7 横田基地における泡消火剤などPFOS等を含む製品の数量や管理の状況について、目標値が明確になった以上は、実態の公表を求め、都独自の立ち入り調査を求めて、その結果を周辺自治体と住民に公表すべきであるが、見解を伺う。

回答
 都においては、令和2年4月10日に、沖縄の普天間飛行場におけるPFOS等を含む泡消火剤の大規模な漏出事故が発生した直後の同月15日に、国に対し、横田基地等におけるPFOS等を含む泡消火剤の使用状況、保管状況、管理体制、今後の処分方針等について問合せを行いました。
 その後、国からは、在日米軍施設において、PFOSを含む製品の製造禁止等の規制が始まる前に製造された泡消火剤は、現在も、火災などの緊急時に使用するために消火設備に充填されたものや、廃棄のために保管されているものが残っていると承知していると聞いており、今後とも、国に対して情報提供を求めるとともに、これらの情報を周辺自治体と共有していきます。

質問事項
二の8 「緊急要望」にあるように横田基地内において、PFOS等を含む製品が存在するならば、代替品交換を早急に完了させ、交換終了までは漏出防止など安全管理に万全を尽くすよう、都として独自に働きかけるべきであるが、見解を伺う。

回答
 国からは、米軍ではPFOS等を含まない製品への早期の交換を進めていると聞いています。
このたびの、渉外知事会緊急要請においても、代替品への交換の早急な完了と、交換を終えるまでの間、漏出防止など安全管理に万全を期すことを求めており、今後も引き続き、関係自治体と連携しながら、必要なことを働き掛けていきます。

質問事項
二の9 PFOS等の目標値が設定され、「渉外知事会」の「緊急要望」があった時こそ、都としても独自に日米地位協定の改定を厳しく申し入れるべきであるが、見解を伺う。

回答
 日米地位協定は、締結以来一度も改定されておらず環境補足協定などにより運用の改善が図られているものの、国内法の適用や自治体の立入権がないなど、我が国にとって、依然として十分とはいえない状況にあります。
 これまで、都としては、全国知事会において、平成30年7月に、日米地位協定の見直しを含む、「米軍基地負担に関する提言」を全会一致で決議し、国に求めたほか、国への提案要求や、このたび緊急要請を行った渉外知事会を通じて、日米地位協定の見直しを国に要求してきました。
今後も、知事会等を通じて他の自治体とも連携し、日米地位協定の見直しを国に要請していきます。

 


令和2年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 とや英津子

質問事項
一 妊婦とパートナーの新型コロナ対策と助産師への支援について

一 妊婦とパートナーの新型コロナ対策と助産師への支援について

 新型コロナウイルス感染症の広がりのもと、感染リスクの高い分娩は院内感染を起こしやすく、細心の注意が必要です。現在、医療機関によっては発熱の症状がある感染の疑いがある妊婦の出産に対し、長時間の分娩で3密状態を避けるため、2時間以内に生まれないと陣痛促進剤が使用され、その日に生まれなければ帝王切開を行う例もあります。
 一方で、PCR検査をしていないため、陽性になっていないのに帝王切開になってしまうケースもあります。陣痛促進剤は母胎や赤ちゃんへの影響から本来不用の場合でも、コロナ感染を理由に活用されているのが実態です。
 妊婦の負担はそれだけではありません。里帰り出産はできるだけ控えることが求められ、里帰りした場合は、二週間も待機しなければなりません。
 すべての妊産婦が安心して出産し子育てができる環境を整えることが重要です。
 そこで質問します。

1 妊婦の検体採取については唾液検査を採用し、簡便で安全な方法で実施できるよう、検査体制の整備を早急に行うよう求めます。

 新型コロナ感染の疑いのある患者が受診を拒否されるなどの例が見受けられます。お産はいつ起きるかわからず、一刻を争う場合も少なくありません。

2 妊婦が新型コロナの陽性と診断された場合でも入院を拒否されず、安心して出産できるよう受け入れ医療機関の整備を徹底するべきですが、いかがですか。

 国は、全妊婦へのPCR検査の要求におされ、ようやく出産間近の妊婦にPCR検査を実施することを決めました。しかし、パートナーには実施しません。
 現在、パートナーは本来ならできるはずの出産立ち会いはもちろん、面会も陣痛室への立ち入りもすることはできません。
 しかし、パートナーの立ち会いは妊婦にとって励ましになるだけでなく、どんな苦労があって出産してきたかなどの理解につながり、その後の育児参加にも大きく影響することが分かっています。

3 出産に立ち会うパートナーのPCR検査を公費負担でおこなうことを求めます。

 妊娠や分娩をはじめ、女性の健康、性と生殖に関すること、育児や家族支援など女性に関わる幅広い支援をしているのが助産師です。
 多くは病院や診療所に勤務し、お産をする時の支援や、妊娠・出産・産後の女性や赤ちゃんに対する、健康に関する教育・相談の専門家として重要な役割を担っています。また、地域で家族の生涯を通した伴走者としても活躍してきました。
 近年、女性をとりまく環境の変化により、不妊や虐待、産後うつなどが増加し、不妊の検査や治療をうけないことがある(また現在受けている)夫婦は5.5組に1組とされ、妊産婦の死因第一位は自殺、行政が把握している虐待の3分の1は生後0か月で起きていることからも、助産師の役割はますます重要になっています。
 現在助産院や産後ケアを行う施設には、新型コロナウイルス感染予防のための感染防護具が行き届いておらず、十分なケアができない状況があります。

4 新型コロナウイルス感染防護具を、助産・産後ケアを含む全施設に迅速かつ確実にとどけるべきですが、いかがですか。

5 助産師にもPCR検査を公費で行うべきですが、いかがですか。

6 外出自粛でストレスがたまり、DVや虐待の増加が懸念されています。しかし、助産師による産後ケア事業やお産に向けた相談事業も休止している状況が続いています。ラインでの相談事業がボランティアで行われている事例もありますが、都としてこうした事業を支援すべきです。見解をうかがいます。

 

令和2年第二回都議会定例会
とや英津子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 妊婦とパートナーの新型コロナ対策と助産師への支援について
1 妊婦の検体採取については唾液検査を採用し、簡便で安全な方法で実施できるよう、検査体制の整備を早急に行うよう求めるが、見解を伺う。

回答
 国の令和2年度第二次補正予算に計上された新型コロナウイルス流行下における妊産婦総合対策事業では、唾液を用いたPCR検査について、現時点では無症状の場合における精度等の点に課題があることから、当面は、鼻咽頭スワブ検体を用いたPCR検査のみが国庫補助の対象となっています。

質問事項
一の2 妊婦が新型コロナの陽性と診断された場合でも入院を拒否されず、安心して出産できるよう受け入れ医療機関の整備を徹底するべきであるが、見解を伺う。

回答
 都は、新型コロナウイルス感染症に感染した妊婦を受け入れる医療機関として、総合周産期母子医療センターを中心とした周産期医療体制の中で、約30病院を確保しています。
 妊婦が感染の有無を確認する検査で陽性であることが判明し、かかりつけ医での対応が困難な場合には、保健所又は東京都新型コロナウイルス感染症対策調整本部が、妊娠週数、合併症の有無、分娩の有無及び新型コロナウイルス感染症の重症度を考慮し、受入先を調整しています。

質問事項
一の3 出産に立ち会うパートナーのPCR検査を公費負担でおこなうことを求めるが、見解を伺う。

回答
 新型コロナウイルス感染症の感染予防のため、立会い分娩や面会等の制限を行っている医療機関があることは、承知しています。
 都は、安心して出産を迎えられるよう、国事業を踏まえ、希望する妊婦の方に分娩前のPCR検査を実施していきます。

質問事項
一の4 新型コロナウイルス感染防護具を、助産・産後ケアを含む全施設に迅速かつ確実にとどけるべきであるが、見解を伺う。

回答
 都は、国及び都が確保したサージカルマスクやエタノールについて、新型コロナウイルス感染症の陽性患者に対応する病院や診療所など、感染リスクの高い医療機関に対し、優先的に配布してきている。
 今後とも、医療機関等における感染防止の促進に向け、必要な衛生用品の配布に努めていく。

質問事項
一の5 助産師にもPCR検査を公費で行うべきであるが、見解を伺う。

回答
 新型コロナウイルス感染症の感染の有無を確認するPCR検査は、医師が必要と判断した場合に行うこととなっています。
 都は引き続き、必要な方が迅速に検査を受けられる体制を整備していきます。

質問事項
一の6 外出自粛でストレスがたまり、DVや虐待の増加が懸念されている。しかし、助産師による産後ケア事業やお産に向けた相談事業も休止している状況が続いている。ラインでの相談事業がボランティアで行われている事例もあるが、都としてこうした事業を支援すべきである。見解を伺う。

回答
 都は、妊娠や出産に関する相談に、専門職が電話やメールで応じる妊娠相談ほっとラインで、新型コロナウイルス感染症に関する不安や悩みにも対応しています。
 また、感染予防のため外出を控えている妊婦に対して、よりきめ細かく、効果的な支援を行うため、助産師によるオンラインの対面相談を令和2年5月16日から実施しました。
さらに、区市町村が助産師等を活用して、退院直後の母子の心身のケアや育児サポート等を行う産後ケア事業について、電話やオンライン等、感染リスクの少ない方法を積極的に検討するよう働きかけています。

 


令和2年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 池川友一

質問事項
一 安定した住まいのない方々への支援について

一 安定した住まいのない方々への支援について

 新型コロナウイルス感染症により、仕事を失ったり、仕事が激減するなどの状況は日々刻々と深刻さを増し、安定した住まいのない方々に幾重にも困難をもたらしています。これまでは「なんとかしていた」方々も限界を超えています。
 この背景には、これまでのハウジングプア(住まいの貧困)への施策が不十分であったことがあり、転換が求められています。
 都は、5月5日付「依命通達」で「失業等に伴う住居喪失者への一時住宅等の提供など、都民生活を支えるセーフティネットの強化に向けた取組」を当面の都政の集中的・重点的に取り組む業務に位置付けています。ハウジングプアを解決するために、思い切った取り組みを行うことが必要です。
都として、命と人権の問題として住まいに関する施策を転換し、ハウジングファーストで取り組むことが必要だという立場から、以下質問します。

1 都の基本的な対応について

ア 安定した住まいのない方々への支援が、今こそ求められています。5月5日付「依命通達」で「失業等に伴う住居喪失者への一時住宅等の提供など、都民生活を支えるセーフティネットの強化に向けた取組」を当面の都政の集中的・重点的に取り組む業務に位置付けていますが、具体的に何をどのように行うのですか。だれもが安定した住まいを確保できるよう都として支援すべきですが、いかがですか。

イ 都営住宅の増設を、都の住宅政策の柱として位置付けることが必要ですが、いかがですか。

2 緊急一時宿泊場所の現状について
 都が取り組んできた緊急一時宿泊場所(ビジネスホテル対応)の現状について以下3点伺います。

ア 4月以降にTOKYOチャレンジネットを通じて、緊急一時宿泊場所だけを利用した方は何人ですか。

イ 区市を通じて、緊急一時宿泊場所の利用につながったのは何人ですか。

ウ 都として、ビジネスホテルを借り上げるとしたこと、これまでどのような媒体でどれくらい広報してきましたか。広報の抜本的な強化が必要ですが、いかがですか。

3 TOKYOチャレンジネットの現状と対応について

ア TOKYOチャレンジネットの現状について、以下4点伺います。
 a 4月以降のTOKYOチャレンジネットの相談件数は何件ですか。
 b また、チャレンジネットの利用につながったのは何人ですか。
 c 現在までに確保した、一時利用住宅はどれくらいですか、何人が一時利用住宅を利用していますか。現在、ホテルを利用している方々が一時利用住宅に入居できる時期について目標は設定されていますか。
 d 都内での生活期間が直近6ヶ月以上という要件については、今後も要件にすべきではないと考えますがいかがですか。TOKYOチャレンジネットのホームページ上にあるパンフレットは、6ヶ月要件が掲載されたものであり、修正すべきですがいかがですか。

 TOKYOチャレンジネット経由で緊急一時宿泊場所のビジネスホテルを利用している方々への対応について伺います。

イ 住民登録がない方への対応を行うことが必要です。特別定額給付金を確実に受け取ることができるようにすべきだと考えますがいかがですか。

ウ 選挙権が行使できない状態を一刻も早く改善すべきですが、いかがですか。

エ TOKYOチャレンジネット経由でビジネスホテルを利用している方々は、一時利用住宅への入居が進まないためにホテルでの生活が長引いており、そのため住民登録ができない状態が続いています。今後も一定期間ホテルでの生活を継続することが予想されるもとで、ホテル利用中でも特別定額給付金が受け取れるようにすることは都の責任だと考えますが、いかがですか。

オ 5月13日の決算委員会で、総務大臣は、「東京都が確保した緊急的な一時宿泊場所などについて、この当該宿泊場所の管理者の同意の上で、個別具体の事案に即して、当該施設が所在する市区町村長が生活の本拠たる住所として認定できると判断した場合には住民登録が行えます」と答弁しています。ホテルでの住民登録を東京都の責任で進めるべきだと考えますが、いかがですか。また、路上での生活を強いられている方々についても、総務大臣は「自立支援センターの場所が、そこが住所地として認定されるケースもございます」「住民登録がない方には円滑に住民登録を受けていただいて、給付金を受けていただけるような取組を進めてまいりたい」と答弁しています。都は、この立場で支援に全力を尽くすべきですが、いかがですか。

カ 手持ちの現金がわずかになっている人もおり、TOKYOチャレンジネット利用者の中には継続的な生活相談や法律相談を実施することが必要だと思いますが、いかがですか。

キ 新型コロナの影響で就労(就職活動を含む)が困難になったり、収入の見通しが立たない場合、生活保護制度の利用につながるよう、区市への同行支援を行うことが必要ですがいかがですか。また、都として現金給付等、特別の支援が必要だと考えますがいかがですか。

 TOKYOチャレンジネットを通じて一時利用住宅につながっている方々への支援について伺います。

ク 一時利用住宅の利用期間は、3ヶ月から4ヶ月に延長されています。一時利用住宅に移っても、就労そのものが困難な状況が長期間続く可能性があります。期間の延長について、柔軟に対応すべきではありませんか。また、来年度以降も同様の対応にすることを求めますが、いかがですか。

ケ 一時利用住宅について、これまでは1日あたり500円の負担が必要でしたが、現在は無料となっています。アパート等に移る際の初期費用を確保する観点からも重要です。来年度以降も、同様の対応を求めますが、いかがですか。

コ 上記の利用期間と利用料についても、ホームページ上のパンフレットの修正を求めますが、いかがですか。

サ アパートに移る場合に、初期費用の支援を行うなどの対応が必要ですが、いかがですか。

シ TOKYOチャレンジネットの体制を拡充し、支援体制を強化すべきだと考えますが、いかがですか。

4 区市との連携について

ア 区市を通じてビジネスホテル利用につながった安定した住まいのない方々に対して、都がイニシアチブを発揮し区市と連携し、居宅移行につながる支援を行うことが必要だと思いますが、いかがですか。

イ 無料低額宿泊所等について、4月17日付の区市に対する事務連絡で「個室に限る」としている認識は重要です。長期間に渡って感染症とともに暮らしていくことが必要だという観点からも、今後の利用者は個室を原則にした対応にすることが必要ですが、いかがですか。

ウ 感染拡大防止や第二波へ備えるために、現在、無料低額宿泊所等を利用している方の早期の居宅移行を区市と連携して進める必要がありますが、いかがですか。

エ 東京都無料低額宿泊所の設備及び運営の基準に関する条例施行規則では、第3条第1号イで、「居室の定員は、一人とすること」と定められています。3年間の経過措置としていますが、人権の視点からも、長期間にわたって感染症とともに暮らしていく視点からも、無料低額宿泊所の複数人居室に入居している状況は一刻も早く解消し、個室(ビジネスホテルを含む)にすることを求めますが、いかがですか。

 

令和2年第二回都議会定例会
池川友一議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 安定した住まいのない方々への支援について
1 都の基本的な対応について
ア 5月5日付「依命通達」で「失業等に伴う住居喪失者への一時住宅等の提供など、都民生活を支えるセーフティネットの強化に向けた取組」を当面の都政の集中的・重点的に取り組む業務に位置付けているが、具体的に何をどのように行うのか。だれもが安定した住まいを確保できるよう都として支援すべきであるが、見解を伺う。

回答
 都は、TOKYOチャレンジネットにおいて、新型コロナウイルス感染症の影響による失業等に伴う住居喪失者に対して、緊急的な一時宿泊場所及び一時利用住宅を提供しています。
そのために必要な経費は、令和2年4月7日に専決処分を行った補正予算及び令和2年第二回定例会補正予算に計上しています。

質問事項
一の1のイ 都営住宅の増設を、都の住宅政策の柱として位置付けることが必要と考えるが、見解を伺う。

回答
 都営住宅については、これまでも既存ストックの有効活用を図り、適切な供給や適正な管理に努めてきました。
 今後とも、社会経済情勢が変化する中で、重要な役割を果たしている都営住宅について、既存ストックの有効活用を図り、住宅セーフティネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでいきます。

質問事項
一の2 緊急一時宿泊場所の現状について
ア 4月以降にTOKYOチャレンジネットを通じて、緊急一時宿泊場所だけを利用した方は何人か伺う。

回答
 TOKYOチャレンジネットにおいて、区市の福祉事務所や自立相談支援機関の窓口が開所していない土曜日、日曜日やゴールデンウィーク期間中の緊急対応として、緊急的な一時宿泊場所を提供した方は、5月31日までで91人です。

質問事項
一の2のイ 区市を通じて、緊急一時宿泊場所の利用につながったのは何人か伺う。

回答
 区市の福祉事務所又は自立相談支援機関を通じて、緊急的な一時宿泊場所を利用した方は、5月31日までで552人です。

質問事項
一の2のウ 都として、ビジネスホテルを借り上げるとしたこと、これまでどのような媒体でどれくらい広報してきたか。広報の抜本的な強化が必要と考えるが、見解を伺う。

回答
 都では、支援が必要な方にTOKYOチャレンジネットの情報が届くよう、ホームページ等を通じて広く情報を発信しています。
 令和2年4月30日からは、SNSを活用した発信を行っており、ゴールデンウィークの開所予定についても広報しました。
 今後も、必要な情報を周知していきます。

質問事項
一の3 TOKYOチャレンジネットの現状と対応について
ア TOKYOチャレンジネットの現状について
a 4月以降のTOKYOチャレンジネットの相談件数は何件か伺う。

回答
 TOKYOチャレンジネットにおける、電話やメール、来所による相談件数は、4月から6月13日までで3,115件です。

質問事項
一の3のアのb チャレンジネットの利用につながったのは何人か伺う。

回答
 TOKYOチャレンジネットへの相談に来た方のうち、4月から6月13日までに新たに利用登録を行った方は、606人です。

質問事項
一の3のアのc 現在までに確保した、一時利用住宅はどれくらいか、何人が一時利用住宅を利用しているか。現在、ホテルを利用している方々が一時利用住宅に入居できる時期について目標は設定されているか。見解を伺う。

回答
 令和2年4月7日に専決処分を行った補正予算では、一時利用住宅を100戸から500戸へ拡大する経費を計上しており、6月9日現在419戸を確保し、156人が入居しています。
 また、ビジネスホテルを利用中の方の一時利用住宅への移行を順次進めています。

質問事項
一の3のアのd 都内での生活期間が直近6ヶ月以上という要件については、今後も要件にすべきではないと考えるが、見解を伺う。TOKYOチャレンジネットのホームページ上にあるパンフレットは、6ヶ月要件が掲載されたものであり、修正すべきだが、見解を伺う。

回答
 都は、これまで都内に直近6か月以上の生活実態のある方を対象に総合的な支援を行ってきましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、令和2年4月22日から当分の間要件を緩和しています。
 ホームページ上のパンフレットは、既に修正しています。

質問事項
一の3のイ 住民登録がない方への対応を行うことが必要である。特別定額給付金を確実に受け取ることができるようにすべきだと考えるが、見解を伺う。

回答
 特別定額給付金は、仕組みの簡素化や二重給付の防止を図る観点から、住民基本台帳の情報に基づき給付を行うこととなっており、支給には住民登録が必要とされています。

質問事項
一の3のウ 選挙権が行使できない状態を一刻も早く改善すべきであるが、見解を伺う。

回答
 公職選挙法の規定により、区市町村選挙管理委員会が調製、保管する選挙人名簿に登録されていない方は、選挙において投票をすることができません。引き続き3か月以上、当該区市町村の住民基本台帳に記録され、選挙人名簿に登録されることにより、選挙権を行使することができます。

質問事項
一の3のエ TOKYOチャレンジネット経由でビジネスホテルを利用している方々は、一時利用住宅への入居が進まないためにホテルでの生活が長引いており、そのため住民登録ができない状態が続いている。ホテル利用中でも特別定額給付金が受け取れるようにすることは都の責任だと考えるが、見解を伺う。

回答
 特別定額給付金の支給を受けるためには、住民登録が必要となります。
 TOKYOチャレンジネットでは、ビジネスホテルを利用している方々に対して、住居確保等の取組を行っており、引き続き支援していきます。

質問事項
一の3のオ 5月13日の決算委員会で、総務大臣は、「東京都が確保した緊急的な一時宿泊場所などについて、この当該宿泊場所の管理者の同意の上で、個別具体の事案に即して、当該施設が所在する市区町村長が生活の本拠たる住所として認定できると判断した場合には住民登録が行えます」と答弁している。ホテルでの住民登録を東京都の責任で進めるべきだと考えるが、見解を伺う。また、路上での生活を強いられている方々についても、総務大臣は「自立支援センターの場所が、そこが住所地として認定されるケースもございます」「住民登録がない方には円滑に住民登録を受けていただいて、給付金を受けていただけるような取組を進めてまいりたい」と答弁している。都は、この立場で支援に全力を尽くすべきであるが、見解を伺う。

回答
 住民基本台帳法上の住所は、生活の本拠たる住所として認定する必要があり、最終的には当該ホテルが所在する区市町村長が判断することとされています。
 また、都は、区市と連携して、住民票のない方に対しても、居住の確保に努めるなどの支援を行っています。

質問事項
一の3のカ 手持ちの現金がわずかになっている人もおり、TOKYOチャレンジネット利用者の中には継続的な生活相談や法律相談を実施することが必要だと思うが、見解を伺う。

回答
 TOKYOチャレンジネットでは、生活相談に加え、引き続き、健康相談、法律相談など、専門知識を必要とする相談についても対応しています。

質問事項
一の3のキ 新型コロナの影響で就労(就職活動を含む)が困難になったり、収入の見通しが立たない場合、生活保護制度の利用につながるよう、区市への同行支援を行うことが必要と考えるが、見解を伺う。また、都として現金給付等、特別の支援が必要だと考えるが、見解を伺う。

回答
 TOKYOチャレンジネットでは、必要に応じて区市への同行支援を行っています。

質問事項
一の3のク 一時利用住宅の利用期間は、3ヶ月から4ヶ月に延長されている。一時利用住宅に移っても、就労そのものが困難な状況が長期間続く可能性がある。期間の延長について、柔軟に対応すべきではないか。また、来年度以降も同様の対応にすることを求めるが、見解を伺う。

回答
 一時利用住宅の利用期間は、原則3か月としていますが、状況に応じて最大4か月まで利用できるように柔軟に対応しています。
 令和3年度以降のことについては、現時点ではお答えできません。

質問事項
一の3のケ 一時利用住宅について、これまでは1日あたり500円の負担が必要だったが、現在は無料となっている。アパート等に移る際の初期費用を確保する観点からも重要である。来年度以降も、同様の対応を求めるが、見解を伺う。

回答
 一時利用住宅の利用者負担金については、日額500円としていますが、今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、利用者の収入の減少が見込まれることから、4月8日以降免除しています。
 令和3年度以降のことについては、現時点ではお答えできません。

質問事項
一の3のコ 上記の利用期間と利用料についても、ホームページ上のパンフレットの修正を求めるが、見解を伺う。

回答
 ホームページ上のパンフレットは、既に修正しています。

質問事項
一の3のサ アパートに移る場合、初期費用の支援を行うなどの対応が必要だが、見解を伺う。

回答
 TOKYOチャレンジネットでは、自立した安定的な生活を送ることができると期待される方に対して、敷金礼金、家具購入など初期費用に利用できる住宅資金や生活資金を無利子で貸し付けています。

質問事項
一の3のシ TOKYOチャレンジネットの体制を拡充し、支援体制を強化すべきだと考えるが、見解を伺う。

回答
 令和2年4月7日に専決処分を行った補正予算により、緊急的な一時宿泊場所や一時利用住宅の拡大に伴う体制の拡充を順次図っています。

質問事項
一の4 区市との連携について
ア 区市を通じてビジネスホテル利用につながった安定した住まいのない方々に対して、都がイニシアチブを発揮し区市と連携し、居宅移行につながる支援を行うことが必要だと思うが、見解を伺う。

回答
 TOKYOチャレンジネットでは、区市の福祉事務所等を経由してビジネスホテルを利用中の方の居宅移行を進めるため、区市と連携し、チャレンジネットが保有する賃貸物件情報を活用した支援などを行っています。

質問事項
一の4のイ 無料低額宿泊所等について、4月17日付の区市に対する事務連絡で「個室に限る」としている認識は重要である。長期間に渡って感染症とともに暮らしていくことが必要だという観点からも、今後の利用者は個室を原則にした対応にすることが必要であるが、見解を伺う。

回答
 入居先として無料低額宿泊所を紹介する場合は、個室利用を原則とするよう、既に区市に対して通知しています。

質問事項
一の4のウ 感染拡大防止や第二波へ備えるために、現在、無料低額宿泊所等を利用している方の早期の居宅移行を区市と連携して進める必要があるが、見解を伺う。

回答
 都は、居宅保護の原則に基づき、区市に対して、無料低額宿泊所等の入居者の居宅生活への移行について検討し、援助するよう指導しています。
 また、居宅移行を進めるため、区市と連携し、TOKYOチャレンジネットが保有する賃貸物件情報を活用した支援などを行っています。

質問事項
一の4のエ 東京都無料低額宿泊所の設備及び運営の基準に関する条例施行規則では、第3条第1号イで、「居室の定員は、一人とすること」と定められている。3年間の経過措置としているが、無料低額宿泊所の複数人居室に入居している状況は一刻も早く解消し、個室にすることを求めるが、見解を伺う。

回答
 国の省令に基づき制定した東京都無料低額宿泊所の設備及び運営の基準に関する条例施行規則により、配偶者その他の親族と同居する場合等を除き、令和5年3月31日までに個室とすることとしています。
 都は、区市に対して、個室利用を原則とするよう通知しているほか、区市と連携し、居宅生活への移行に向けた支援を実施しています。

 


令和2年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 和泉なおみ

質問事項
一 京成本線荒川橋梁架替事業について

一 京成本線荒川橋梁架替事業について

 私は今年(2020年)2月、第一回都議会定例会での本会議質問のなかで、区部東部低地帯の水害対策における重要課題の一つに、京成本線の荒川橋梁があることを取り上げ、江東5区(葛飾区、墨田区、江東区、足立区、江戸川区)の区長要望を紹介して、都としても架替の速やかな実施を国に要望すべき、と質しました。これに対し、小池知事から「江東5区からの要望を踏まえて都としても事業の着実な推進を国に求める」との回答をいただきました。
 このことに関連して、引き続き京成本線荒川橋梁架替事業について質問します。

1 さきの本会議でも指摘しましたが、荒川の堤防は高度経済成長期の地下水のくみ上げによる地盤沈下で低くなり、その後、国は堤防のかさ上げを行いましたが、京成本線荒川橋梁の部分だけ取り残される形となり、現在、周辺の堤防より3.7メートルも低いままとなっています。このことは、葛飾区地域防災計画にも、計画堤防余裕高不足として明記され、対策としては積土のう(表3段積み、控2段積み)が対策とされています。
 ところが、昨年の台風19号で、荒川は観測史上最高を上回る水位を記録し、京成本線荒川橋梁では橋梁の桁下1.2メートルのところまで水位が上昇しました。さいわい、紙一重のところで越水は免れたものの、もし流木やゴミなどが大量に流れてきて橋桁に引っかかったりしたら、越水氾濫は免れなかったのではと思われます。
 私の地元、葛飾区の区議会でわが党の議員が「今後の豪雨により堤防より水位が上がった場合、土のうを積むだけで越水を免れるのか」と質問したところ、葛飾区は「現実的には今年の出水期を迎える前に具体的な堤防対策が必要であると認識している」とこたえ、さらに「区としては台風19号の翌朝の荒川の水流の速さと水量を考慮すると現在設置されている積土のうだけで越水を防ぐことは難しいと認識している」と答えました。
 そこで伺います。都として荒川橋梁架替事業の緊急性についてどのような認識をもっていますか。

2 国土交通省荒川下流河川事務所に事業の進捗を問い合わせたところ、工事に必要な用地に関する測量、物件調査を完了し、昨年から用地買収に着手しているが、橋梁架替工事の着工は未定とのことでした。着工から工事完了までは16年位かかる見通しだということです。
 これでは、災害を心配する都民の不安とは全くかけ離れていると言わざるを得ません。もともと国土交通省は、平成24年に発表した関東地方整備局事業評価監視委員会による事業再評価で荒川橋梁架替事業の工程表を発表し、工事着工を平成27年としていたものです。その際、都も意見を求められて「荒川橋梁架替事業は災害発生の防止・軽減にむけて早急な改築がもとめられています。着実に事業を進めていただきたい。」とのべています。それが、大幅に遅れているのです。都は、荒川橋梁架替事業が著しく遅れていることについて、どのように考えているのか、見解を伺います。

3 荒川橋梁架替事業に責任を持つ、国土交通省の取組が遅れている一方、具体的に直接、水防管理者として責任を持つ葛飾区と足立区は、今年の台風期までには何らかの堤防対策が必要との立場から、従来の小型積土のうを見直し、大型の積土のうを、重機を使って積み上げるなどの防災対策を模索しています。
 そのために現在、葛飾区、足立区、京成電鉄、国交省の4者で協議会を立ち上げていますが、東京都は参加していません。また、都の地域防災計画に荒川橋梁架替事業についての記載はありません。しかし、これでいいのでしょうか。
 ことは、いったん越水氾濫が起きれば複数の自治体にまたがり、何十万の都民の命とくらしを脅かす災害の問題です。都として、何ができるのかを探求し、荒川橋梁架替事業の促進を都自身の事業として位置付けるべきではありませんか。見解を伺います。

 

令和2年第二回都議会定例会
和泉なおみ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 京成本線荒川橋梁架替事業について
1 都として荒川橋梁架替事業の緊急性についてどのような認識をもっているか伺う。

回答
 京成本線の荒川橋梁は、明治末期から高度経済成長期にかけての地盤沈下や堤防の嵩上げにより、周辺の堤防より低くなっていることから、現在、国が架替事業を行っています。
 東部低地帯に住む約三百万人の都民の命と暮らしを守るため、荒川水系河川整備計画に位置付けられた堤防の高さを確保することは重要であると考えています。

質問事項
一の2 荒川橋梁架替事業が著しく遅れていることについて、どのように考えているのか、見解を伺う。

回答
 本事業について、国は河川整備計画に基づき、設計や環境影響評価などを実施し、平成30年度から用地取得に着手していると聞いています。
 鉄道橋移設を伴う非常に影響が大きい事業であり、関係機関との調整に加え、狭隘(あい)かつ他の鉄道や道路と交差、近接する現場条件などから詳細設計に時間を要していると聞いていますが、これまで、必要な調整、検討を実施してきたと考えています。

質問事項
一の3 都の地域防災計画に荒川橋梁架替事業についての記載はない。都として、何ができるのかを探求し、荒川橋梁架替事業の促進を都自身の事業として位置付けるべきではないか。見解を伺う。

回答
 荒川の当該区間の整備は、河川管理者である国の責任において実施されるものです。
 都では、本橋梁の架替えなど、大河川の氾濫を防止する治水対策の着実な推進を、国へ要望しています。
 引き続き、東部低地帯に位置する本事業の重要性を踏まえ、事業の着実な推進を国に求めていくこととしています。