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質問・条例提案

2019.12.18

2019年第4回定例会に提出した文書質問

2019年第4回定例会で、以下の文書質問を提出しました。

【文書質問】

  • 池川友一 (土砂災害対策について)
  • 星見てい子 (後期高齢者医療制度について、都営住宅・都施行型都民住宅について、民間資格・検定試験を活用した東京都中学校英語スピーキングテストについて)
  • 尾崎あや子 (厚生労働省が公表した「公立・公的医療機関等の診療実績データの分析結果」について、業界団体を通じて都内中小企業の人材確保等を支援する「団体別採用力 スパイラルアップ事業」について、都営住宅村山団地について)
  • 和泉なおみ (葛飾区における都立高等学校に通う生徒の実態を踏まえた支援について)
  • 大山とも子 (第4回定例会での病院経営本部長の答弁について、介護離職ゼロの取り組みについて)

 


令和元年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 池川友一

質問事項
一 土砂災害対策について

一 土砂災害対策について

 台風19号は都内でも、全国各地でも大きな被害をもたらしました。地元町田市でも、都道鎌倉街道でのり面が崩落したり、相原町の土砂崩落をはじめ、複数の箇所での土砂災害がありました。条件が少し変わるだけで、被害の状況も大きく変わると感じています。
 都は2016年8月に「土砂災害対策の考え方」を公表し、今後はこの考え方に基づいて、対策が進められていくのだと思います。この中には、土砂災害のおそれのある箇所に存在する避難所の課題という項目があります。具体的に、土砂災害警戒区域内の避難所や要配慮者施設への対応方針について記しています。

1 この「土砂災害対策の考え方」で示されている、土砂災害の恐れのある箇所に存在する「避難所」「要配慮者利用施設」の箇所数は、誰がいつどのように確認したのですか。また、避難所、24時間滞在型要配慮者利用施設の箇所数を、土石流、地滑り、急傾斜地ごとにお示しください。

2 土砂災害の恐れがある箇所に存在する避難所、要配慮者利用施設について、対応方針をそれぞれお答えください。

 知事は決算特別委員会の質疑でも、豪雨災害がより激甚化、頻発化する可能性が高いという認識を示しています。これまでの取り組みでは、ハード対策を優先的に実施するとしていますが、これからその箇所は増えていくことになります。また、きちんと対策が行われたのかについて、都としてチェックしていく責任があります。だからこそ、「土砂災害対策の考え方」にも、24時間滞在型の要配慮者利用施設については、優先的ハード対策を行うと記されていると考えます。

3 近年の豪雨の増加のもと、都として避難所、要配慮者施設、特に24時間滞在型施設のハード対策について、都として責任を持って、速度と規模をあげて進めることが求められていると考えますがいかがですか。

 また、「土砂災害対策の考え方」では人工の斜面についてもふれています。

4 「多摩部では、住民の危機意識が高まりハード対策の要望が増加」「自然ではなく人工の斜面では、所有者自身で斜面を保全しなければならないので、自助努力への支援を検討することが重要」という認識を示しています。台風19号を受けて、この認識に変化はありますか。

 また、「土砂災害対策の考え方」で「区市町村からも、補助率が低く市民負担が大きい、予算の確保が困難だなどの意見が出ている」という認識を示しています。

5 都としても区市町村が行う人工斜面の補助事業等についても、支援のスキームについて検討する必要があると考えますが、いかがですか。

 

令和元年第四回都議会定例会
池川友一議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 土砂災害対策について
1 都は2016年8月に「土砂災害対策の考え方」を公表した。この「土砂災害対策の考え方」で示されている、土砂災害の恐れのある箇所に存在する「避難所」「要配慮者利用施設」の箇所数は、誰がいつどのように確認したのか。また、避難所、24時間滞在型要配慮者利用施設の箇所数を、土石流、地滑り、急傾斜地ごとに伺う。

回答
 都は、砂防事業の優先度をつけるため、平成29年3月までに土砂災害警戒区域等の指定が完了した区部・多摩の約10,000か所において、警戒区域内に存在する避難所や要配慮者利用施設の有無について、各区市町村にそれらの所在地を照会し、確認しました。
 その結果、避難所については、土石流約70施設、地滑り2施設、急傾斜地の崩壊約160施設、24時間滞在型要配慮者利用施設については、土石流約10施設、地滑り1施設、急傾斜地の崩壊約50施設を確認しました。

質問事項
一の2 土砂災害の恐れがある箇所に存在する避難所、要配慮者利用施設について、対応方針をそれぞれ伺う。

回答
 平成28年8月に作成した「土砂災害対策の考え方」において、地域防災計画に記載された避難所については、区市町村が警戒避難体制を検討した上で、山間部などで代替施設がない箇所を優先的にハード対策を実施することとしています。
 また、要配慮者利用施設については、24時間滞在型の施設を優先的に実施することとしています。

質問事項
一の3 近年の豪雨の増加のもと、都として避難所、要配慮者施設、特に24時間滞在型施設のハード対策について、都として責任を持って、速度と規模をあげて進めることが求められていると考えるが、見解を伺う。

回答
 砂防事業については、区部・多摩の土砂災害警戒区域等の指定が完了した箇所ごとに避難所や24時間滞在型の要配慮者利用施設の有無などを調査し、優先度をつけて計画的に実施しています。
 急傾斜地崩壊対策事業については、区市町村の要望を受け、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律に基づき実施しています。

質問事項
一の4 「土砂災害対策の考え方」では、「多摩部では、住民の危機意識が高まりハード対策の要望が増加」「自然ではなく人工の斜面では、所有者自身で斜面を保全しなければならないので、自助努力への支援を検討することが重要」という認識を示している。台風19号を受けて、この認識に変化はあるか、伺う。

回答
 土砂災害対策については、「土砂災害対策の考え方」に基づき、ソフト・ハード両面から対策を引き続き進めていきます。
 なお、土砂災害警戒区域等内に斜面を所有する住民などから斜面対策について問合せがあった際には、斜面対策事例の紹介など助言しています。

質問事項
一の5 都としても区市町村が行う人工斜面の補助事業等についても、支援のスキームについて検討する必要があると考えるが、見解を伺う。

回答
 斜面地については、自然斜面や人工斜面問わず、所有者等が対策を実施することを基本としています。
 なお、都は、土砂災害のおそれのある自然斜面において、所有者等による対策が困難な場合に、区市町村の要望を受け、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律に基づき、急傾斜地崩壊対策事業を実施しています。

 


令和元年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 星見てい子

質問事項
一 後期高齢者医療制度について
二 都営住宅・都施行型都民住宅について
三 民間資格・検定試験を活用した東京都中学校英語スピーキングテストについて

一 後期高齢者医療制度について

 後期高齢者医療の保険料率は、2年ごとの見直しで新年度から変更されます。東京都後期高齢者広域連合が11月に公表した「令和2・3年度の保険料率について(算定案)」では、平均保険料が今年度比で4.3%の値上げで10万1,254円と、制度導入以来、初めて10万円を突破し、1月末には決定される予定です。
 また、縮小されてきた国の低所得者への保険料軽減措置は、本年10月で終了しました。年収80万円までの9割軽減対象者は、軽減特例の廃止で2018年度・年額4,300円だった保険料が、12,900円と3倍になりました。年収168万円までは、2020年10月で8.5割軽減を終了し、2021年までに本則の7割軽減になり保険料を引き上げられます。
 この影響を受ける都民の負担増は、年収80万円以下で約32万9,000人・28億5,000万円、156万円以下では約26万8,000人・17億4,000万円と、東京都後期高齢者広域連合は試算しており、合わせて加入者の約4割に当たる59万7,000人で45億9,000万円にもなります。
 東京都の後期高齢者医療保険料の滞納に伴う差し押さえは317人、短期証は1,361人に及んでいます。こうしたもとで、保険料を引き下げることは、東京都が都民の健康と暮らしを守るうえで重要な課題であり、東京都後期高齢者広域連合と区市町村への支援を、都が行うべきと考え、以下、質問します。

1 財政安定化基金は、「高齢者の医療の確保に関する法律」第116条第1項の規定に基づき、保険料未納リスク、給付増リスクなどの財源不足に対応することが本則ですが、2010年度から、特例で保険料増加抑制にも使えるようになりました。その背景と内容を伺います。

2 東京都後期高齢者医療の財政安定化基金の残額はいくらありますか。

3 2014年、2016年の保険料率改定では、保険料抑制のために財政安定化基金145億円の活用を算定に加えました。新年度からの平均保険料は制度導入以来、初めて10万円を突破する予定です。そのうち、すべての加入者に影響する均等割額は、連続値上げで4万4,200円にもなります。新年度からの保険料率の確定では、財政安定化基金は活用しない算定ですが、本来、特例で導入された「保険料増加抑制に対応する」の目的にふさわしく活用するべきです。都の考え方をお聞きします。

4 区市町村は、都民の保険料を抑制して後期高齢者医療を支えるために、独自に一般会計から繰り出し、葬祭費などに215億円を負担する予定です。東京都全域の後期高齢者の医療の問題であり、東京都も支援をすべきです。
 東京都が区市町村と同様に、東京都後期高齢者広域連合と協議して一般会計から法定外の財政支援を行った場合、法的問題があるのかをお聞きします。ある場合は具体的に法や政令の何に抵触するのかをお示しください。

5 今年10月に廃止になった低所得者への保険料軽減措置の復活・継続を、区市町村と協力し、国に要望すべきです。また、当面、東京都として独自に低所得者の保険料軽減制度の創設を求めます。見解を伺います。

6 高い保険料によって滞納者への差し押さえが進んでいます。その背景には、保険料等の負担増とともに、広域連合が高い保険料収納率を各自治体に求めていることが挙げられます。「平成31年度東京都後期高齢者医療広域連合保険料収納対策実施計画」では、「平成29年度の全国平均保険料収納率99.36%を上回ることを目標にする」として、各区市町村に収納率向上を求めています。滞納者の多くは、年金から引き落とす特別徴収のできない年金の受給額が年額18万円未満の都民です。75歳を超える高齢者への差し押さえは、人道問題だと言わざるを得ません。
 指導・監督をしている都として東京都後期高齢者医療広域連合に対し、〔1〕収納率向上を目的とする計画作成はやめること。〔2〕「有効期限の短い被保険者証の活用」はやめ、保険証は無条件で発行すること。〔3〕区市町村に「滞納処分を積極的に行うことにより、現年度分及び滞納繰越分収納率の向上を図る」を求めるのをやめること。以上の指導を求め、見解を伺います。

7 後期高齢者医療は、75歳以上という医療費給付が高くなる年齢層を集めた世界でも類を見ない差別医療です。この制度である限り、保険料は、青天井に上がり続け高齢者の命も生活も破壊するものです。加えて、75歳以上の医療費窓口負担を、1割負担から2割負担に引き上げる議論が、政府と自民党・公明党のもとで進んでおり、75歳以上の高齢者への医療にともなう負担増は、健康と暮らしを破壊しかねない状況です。
 都は、国に対して、後期高齢者医療制度を廃止し、都民の命を守れる制度に変えるよう強く提案・要望すべきです。見解を伺います。

 

二 都営住宅・都施行型都民住宅について

1 12月2日に落札された都営目黒1丁目団地27号棟跡地に伴う「都営目黒一丁目団地基本計画」業務委託について質問します。

ア 設計の概要として、「新築工事、鉄筋コンクリート造 共同住宅 20戸程度」とありますが、20戸程度にした算定根拠をお聞きします。

イ 「接道部分の既存擁壁の診断及び概算工事費を算出すること」とありますが、既存擁壁について、新築工事を進めるために必要な考え方について伺います。

ウ 本業務委託の契約期間は、令和2年3月18日までです。「都営目黒一丁目団地基本計画」が提出されたのち、誰がどのように検討するのかを伺います。

2 都施行型都民住宅として20年目を迎え家賃補助が本年度で終了する八雲1丁目アパートについて以下伺います。

ア 八雲1丁目アパートの都民住宅管理戸数は2棟で117戸ですが、空き住戸が6月25戸、12月26戸と増え、およそ4戸に1戸が空き家の状況です。特に、約65平方メートルで2DK・3DKの住戸は、所得区分Ⅰ−1以外の家賃が16万6,100円で12月現在20戸も空き、令和元年6月募集では応募がほとんどない状況です。近隣の住宅に比べて家賃が高いのではないですか。

イ 次回の家賃の見直しは、いつどのように行われますか。その算定根拠は公表されますか。

ウ 住民から「電気代など共用部分の費用として集めている管理費は、空き住戸の分を都が負担すべき」との意見があります。現在、共益費のうち共用設備の電気料金は、空き住戸が全戸数の1割を超えると、都が負担することとなっていますが、八雲1丁目アパートの都民住宅部分はこの対象になっていますか。また、なぜ1割を超えないと都は負担をしないのか根拠を伺います。比率に関係なく空き住戸分の共益費は、住民負担が増えないよう都が負担すべきであり改善を検討すべきです。見解を伺います。

エ 20年前の入居当時は、都民住宅に入居するに相応な基準の収入があった世帯であっても、家族構成の変化や病人などにより収入が大きく減っている世帯があります。次の住居を見つけられない場合などは、家賃や新たな住居の確保など、都として福祉的な対応が必要と考えますが、見解を伺います。

オ 八雲1丁目アパートは、全4棟・総戸数300戸ですが、うち2棟117戸が都民住宅で、他は都営住宅です。特に、5号棟は棟内で都営住宅と都民住宅が合築になっています。目黒区は、公営住宅が最も少ない地域で、都民住宅の空き住戸を順次都営住宅に変更してほしいとの要望が地域住民からあります。
 都施行型都民住宅の都営住宅への転用は、法的に不可能ですか。見解を伺います。また、都が新たに指定を行えば可能と考えますが、いかがですか。

 

三 「民間資格・検定試験を活用した東京都中学校英語スピーキングテスト」について

1 都教育委員会は、都立高校入試に英語「話すこと」の評価を導入するために、「スピーキングテストの問題及び評価の在り方、具体的な実施・運営方法等について検証する。検証結果を踏まえ、平成31年度以降に実施予定であるプレテストの確実かつ円滑な実施に資する。」として、2018年度、都内公立中学校8校に在籍する第3学年全生徒1,035名を対象に英語「話すこと」の評価に関するフィージビリティ調査(実行可能性調査)が実施されました。
 事業者の協力がありましたか。あった場合は、事業者はどこですか。

2 フィージビリティ調査の協力事業者は、誰が、どのように選定したのですか。

3 フィージビリティ調査で使用したアプリを設定したタブレット機器は、どのように調達したのですか。アプリは、誰が開発したものですか。

4 フィージビリティ調査での生徒の採点・評価は、どこで誰が行ったのですか。国内か国外かもお聞きします。

5 2019年3月に、「民間資格・検定試験を活用した東京都中学校英語スピーキングテスト(仮称)事業」の事業者が公募されましたが、応募希望事業者は何社ありましたか。また、4月の事業者応募は何社でしたか。

6 「民間資格・検定試験を活用した東京都中学校英語スピーキングテスト(仮称)事業」の事業者に、ベネッセ・コーポレーションを選んだ評価をお聞きします。

7 ベネッセ・コーポレーションが高校向けに配布した資料に、大学入学共通テストに向けた記述式の採点基準の作成などで助言事業を請け負っている旨の記載があり、模擬試験や対策講座などのほかの営業活動に利用した疑いがあると国会で指摘されました。文科省は「採点業務の中立性、信頼性に疑念を招く(行為があった)」と、今後厳重に抗議し、是正を促すことを11月に表明しましたが、都教育委員会としてベネッセ・コーポレーションから事実経過などについて報告などを受けていますか。

8 民間資格・検定試験を活用した東京都中学校英語スピーキングテスト(仮称)事業における民間の活用は、なぜ「委託」ではなく「基本協定」にしたのですか。

9 民間資格・検定試験を活用した東京都中学校英語スピーキングテスト(仮称)事業は、「基本協定その1」を締結後、東京都教育委員会及び事業予定者の双方で合意に至った事項を記載した「基本協定その2」を締結していますが、双方で合意に至り、変更・追加された協定事項を伺います。

10 民間資格・検定試験を活用した東京都中学校英語スピーキングテスト(仮称)事業の募集要項には、「事業者は、国外における個人情報の取り扱いについて、本事業の目的の達成を害さないことが確認できる方法及び範囲に限り、かつ、国外の適用法令を遵守するとともに、国内の扱いに準じた管理を行います」とありますが、生徒の回答など個人情報が国外に持ち出されることを、想定していたのですか。

11 本年12月まで行われている東京都中学校英語スピーキングテストの採点評価は、どこでどのように行われていますか。

12 英語スピーキングテストは採点・評価が難しく、入試など1点、2点を争う評価に導入するのは公平性に大きな問題があると指摘されています。都教育委員会は、どのように考えていますか。公平性をどのように担保する計画ですか。

 

令和元年第四回都議会定例会
星見てい子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 後期高齢者医療制度について
1 財政安定化基金は、「高齢者の医療の確保に関する法律」第116条第1項の規定に基づき、保険料未納リスク、給付増リスクなどの財源不足に対応することが本則だが、2010年度から、特例で保険料増加抑制にも使えるようになった。その背景と内容を伺う。

回答
 国が、平成21年度に、平成22年度及び平成23年度の保険料額の試算を行ったところ、全国ベースで、平成20年度及び平成21年度に比べ、約13.8パーセント増加することが見込まれました。
 こうしたことを踏まえ、国は、高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正し、当分の間、保険料の増加抑制の費用に充てるため、財政安定化基金を取り崩し、後期高齢者医療広域連合に特例的に交付することができることとしました。

質問事項
一の2 東京都後期高齢者医療の財政安定化基金の残額はいくらあるか、伺う。

回答
 東京都後期高齢者医療財政安定化基金の平成31年3月末時点における残高は、21,182,036,206円です。

質問事項
一の3 2014年、2016年の保険料率改定では、保険料抑制のために財政安定化基金145億円の活用を算定に加えた。新年度からの保険料率の確定では、財政安定化基金は活用しない算定だが、特例で導入された「保険料増加抑制に対応する」の目的にふさわしく活用すべきであるが、見解を伺う。

回答
 後期高齢者医療の保険料は、制度を運営する東京都後期高齢者医療広域連合が、東京都後期高齢者医療広域連合議会での審議を経て、設定するものです。
 国は、保険料率の算定に当たり、財政運営期間を通じて生じた剰余金を、原則として、次期財政運営期間における収入として繰り入れることとしています。
 また、保険料増加抑制のために財政安定化基金からの交付を見込む場合については、各都道府県と協議を行うこと、その際は次期保険料率改定において保険料増加要因となり得ることに留意すべきとしています。
 こうしたことを踏まえ、令和2年1月30日開催の令和2年第1回広域連合議会定例会において、平成30年度及び令和元年度の保険財政運営期間における剰余金を収入として見込み、財政安定化基金を活用しない令和2年度及び令和3年度の保険料率の改定案を含む東京都後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療に関する条例の一部を改正する条例案が、議決されました。

質問事項
一の4 都が区市町村と同様に、東京都後期高齢者広域連合と協議して一般会計から法定外の財政支援を行った場合、法的問題があるのか伺う。ある場合は具体的に法や政令の何に抵触するのかを伺う。

回答
 高齢者の医療の確保に関する法律第103条では、都道府県、市町村及び後期高齢者医療広域連合は、第96条、第98条、第99条及び第116条第5項に規定するもののほか、後期高齢者医療に要する費用に対し、補助金を交付し、又は貸付金を貸し付けることができるとしています。
 一般会計からの法定外の財政支援については、法令上の定めはありません。
 しかし、後期高齢者医療制度の財源は、1割を被保険者の保険料、4割を現役世代からの後期高齢者支援金、5割を公費で賄うことが原則であり、他の保険制度における被保険者との負担の公平性を図る観点からも法定外の財政支援については慎重に対応すべきと考えます。

質問事項
一の5 今年10月に廃止になった低所得者への保険料軽減措置の復活・継続を、区市町村と協力し、国に要望すべきである。また、当面、都として独自に低所得者の保険料軽減制度の創設を求めるが、見解を伺う。

回答
 後期高齢者医療制度の保険料の均等割に係る軽減特例の見直しに当たって、国は、介護保険料の軽減の拡充や年金生活者支援給付金の支給と併せて実施するほか、年金生活者支援給付金の対象とならない方については、令和元年10月から1年間、軽減特例に係る国庫補助の廃止により負担増となる所要額について特例的に補てんを行うこととしています。
 都は、国に対し、現行制度の見直しを行う場合には、地方自治体や保険者などの関係団体等と十分協議するとともに、被保険者に十分配慮し、丁寧な説明と周知を図るよう提案要求しています。
 また、法令等に基づき、保険料の軽減について、国や区市町村とともに既に応分の負担を行っています。

質問事項
一の6 指導・監督をしている都として、東京都後期高齢者医療広域連合に対し、〔1〕収納率向上を目的とする計画作成はやめること、〔2〕「有効期限の短い被保険者証の活用」はやめ、保険証は無条件で発行すること、〔3〕区市町村に「滞納処分を積極的に行うことにより、現年度分及び滞納繰越分収納率の向上を図る」を求めるのをやめること、以上の指導を求めるが、見解を伺う。

回答
 保険料の収納対策について、国は、効果的かつ効率的な取組を行うため、以下の事項等に留意した上で、広域連合において、年度ごとに、具体的な実施計画を策定することとしています。
 ・被保険者と接触して納付相談等の機会を増やすことが重要であることから、広域連合においては短期被保険者証の交付を繰り返し行うこと。
 ・市町村において、きめ細かな収納対策を適切に行った上で、保険料の納付につき十分な収入、資産等があるにもかかわらず、なお、保険料を納めない被保険者に対し、高齢者の医療の確保に関する法律第113条の規定に基づく滞納処分を積極的に行うこと。
 これを踏まえ、広域連合では、収納対策実施計画を策定し、区市町村の収納対策の実施を支援しており、都としても適切に運用しているものと認識しています。

質問事項
一の7 都は、国に対して、後期高齢者医療制度を廃止し、都民の命を守れる制度に変えるよう強く提案・要望すべきであるが、見解を伺う。

回答
 後期高齢者医療制度は、国民皆保険を堅持する観点から、財政運営主体の明確化及び高齢者と現役世代の負担の明確化を図り、高齢者の医療を社会全体で支えるために構築された制度であると認識しています。
 都は、国に対し、「後期高齢者医療制度における保険料負担や財政安定化基金の在り方について考えを示すこと。」「現行制度の見直しに当たっては、地方自治体や保険者などの関係団体等と十分協議するとともに、被保険者に配慮すること。また、必要な財源を確保すること。」などについて、提案要求しています。

 

質問事項
二 都営住宅・都施行型都民住宅について
1 27号棟跡地に伴う「都営目黒一丁目団地基本計画」業務委託について
ア 設計の概要として、「新築工事、鉄筋コンクリート造共同住宅20戸程度」とあるが、20戸程度にした算定根拠を伺う。

回答
 本敷地は狭小で周囲との高低差もあることから、日影規制をはじめ、現行法令に基づき、おおむね建設可能な戸数として20戸程度を設定しています。

質問事項
二の1のイ 「接道部分の既存擁壁の診断及び概算工事費を算出すること」とあるが、既存擁壁について、新築工事を進めるために必要な考え方について伺う。

回答
 本敷地は狭小であることに加え、南西側は道路に面して最高約3メートルの擁壁となっていることから、建築計画に際しては、擁壁の安全性を検証した上で、場合によってはその再整備も含め、敷地の安全性を確保することが重要となります。
 そのため、本委託において、既存擁壁について現況を調査した上で、既存の擁壁をいかしながら建物を整備する場合、若しくは擁壁を作り変えて建物を整備する場合について、費用を含めた検討を行うものです。

質問事項
二の1のウ 本業務委託の契約期間は、令和2年3月18日までである。「都営目黒一丁目団地基本計画」が提出されたのち、誰がどのように検討するのか、伺う。

回答
 東部住宅建設事務所が業務委託の成果物をもとに、本敷地における都営住宅の建設の可否等について検討していきます。

質問事項
二の2 八雲1丁目アパートについて
ア 都民住宅管理戸数のおよそ4戸に1戸が空き家の状況である。特に、約65平方メートルで2DK・3DKの住戸は、所得区分Ⅰ-1以外の家賃が16万6,100円で12月現在20戸も空き、令和元年6月募集では応募がほとんどない状況である。近隣の住宅に比べて家賃が高いのではないか、伺う。

回答
 都施行型都民住宅の使用料は、東京都地域特別賃貸住宅条例又は東京都特定公共賃貸住宅条例に基づき、近隣の民間賃貸住宅の家賃水準等を考慮して定めることとしています。八雲一丁目アパートの都施行型都民住宅は近隣の民間賃貸住宅と比べて、住戸面積が広く、その使用料は面積に応じて高い金額となっています。

質問事項
二の2のイ 次回の家賃の見直しは、いつどのように行われるか。その算定根拠は公表されるか、伺う。

回答
 都施行型都民住宅の使用料は、条例により近隣の民間賃貸住宅の家賃水準等を考慮して定めることとされており、2年毎に改定を行っています。次回は、令和2年12月に改定を予定しています。
 使用料改定に当たっては、不動産鑑定士による市場家賃調査を実施し、調査の結果、その時点の使用料と市場家賃が5パーセント以上乖離している場合に所要の改定を行っています。
 この使用料の算定の考え方については、都民住宅の個々の入居者に対して、使用料改定前にお知らせしています。
 個別の住宅の使用料算定根拠については、開示請求があれば東京都情報公開条例に基づき、適切に対応していきます。

質問事項
二の2のウ 共益費のうち共用設備の電気料金は、空き住戸が全戸数の1割を超えると、都が負担することとなっているが、八雲1丁目アパートの都民住宅部分はこの対象になっているか。なぜ1割を超えないと都は負担をしないのか根拠を伺う。比率に関係なく空き住戸分の共益費は、住民負担が増えないよう都が負担すべきであり改善を検討すべきであるが、見解を伺う。

回答
 都施行型都民住宅の共益費は、共同施設の維持管理に要する費用であり、東京都地域特別賃貸住宅条例又は東京都特定公共賃貸住宅条例に基づき、入居者の共通の利益を図るために入居者が負担すべき費用として、修繕や入居手続のための一時的な空室も含め入居者の負担としています。
 ただし、共用設備の電気料金は、共益費の中でも大きなウェイトを占めることから、入居者の負担軽減のため、他の自治体の例も参考に、空き住戸が1割を超える場合には都が負担することとしています。
 八雲一丁目アパートについては、令和元年12月末現在、都は負担していませんが、今後、空き住戸の状況により、負担する場合もあります。

質問事項
二の2のエ 20年前の入居当時は、都民住宅に入居するに相応な基準の収入があった世帯であっても、収入が大きく減っている世帯がある。次の住居を見つけられない場合などは、家賃や新たな住居の確保など、都として福祉的な対応が必要と考えるが、見解を伺う。

回答
 都民住宅の入居者のうち、共益費を除く家賃の負担月額が、世帯の年間総収入を月額に換算した額の20パーセント以上になる場合など、一定の条件に合致する場合には、都営住宅への申込みを可能としています。
 また、高齢者や心身障害者世帯など一定条件に合致する場合には、優遇抽せんの対象ともしています。
 こうした制度について、都営住宅の募集要項で案内しているほか、東京都住宅供給公社の窓口センターにおいて、日常的に入居者の個別相談に対応しています。

質問事項
二の2のオ 目黒区は、公営住宅が最も少ない地域で、都民住宅の空き住戸を順次都営住宅に変更してほしいとの要望が地域住民からある。都施行型都民住宅の都営住宅への転用は、法的に不可能か、見解を伺う。また、都が新たに指定を行えば可能と考えるが、見解を伺う。

回答
 都施行型都民住宅については、これまでも使用料改定や入居者募集に当たり、PRの強化や申込方法の改善などの取組により、空き住戸の解消を図っています。
 都営住宅など他の用途へ転用するため、都施行型都民住宅の用途を廃止することについては、入居者募集のための処置を講じたにもかかわらず入居者がないなどの場合に、国の承認によって法的には可能です。しかしながら、都営住宅への転用については、地域の住宅需要や住宅の立地条件等を踏まえた慎重な整理が必要と考えます。

 

質問事項
三 「民間資格・検定試験を活用した東京都中学校英語スピーキングテスト」について
1 2018年度、都内公立中学校8校に在籍する第3学年全生徒1,035名を対象に英語「話すこと」の評価に関するフィージビリティ調査(実行可能性調査)が実施された。事業者の協力があったか。あった場合は、事業者はどこか伺う。

回答
 公益財団法人日本英語検定協会に委託し、実施しました。

質問事項
三の2 フィージビリティ調査の協力事業者は、誰が、どのように選定したのか、伺う。

回答
 東京都が、競争入札により選定し、公益財団法人日本英語検定協会を受託者として決定しました。

質問事項
三の3 フィージビリティ調査で使用したアプリを設定したタブレット機器は、どのように調達したのか。アプリは、誰が開発したか、伺う。

回答
 受託者である公益財団法人日本英語検定協会が保有しているタブレット機器を使用しました。
 また、アプリケーションソフトは、受託者が開発しました。

質問事項
三の4 フィージビリティ調査での生徒の採点・評価は、どこで誰が行ったか。国内か国外かも伺う。

回答
 セキュリティが担保された国内の採点拠点で、高い英語力及び英語指導の専門性を兼ね備えた専任スタッフが採点を行いました。

質問事項
三の5 2019年3月に、「民間資格・検定試験を活用した東京都中学校英語スピーキングテスト(仮称)事業」の事業者が公募されたが、応募希望事業者は何社あったか。また、4月の事業者応募は何社だったか伺う。

回答
 応募希望事業者及び事業応募者は、ともに4社です。

質問事項
三の6 「民間資格・検定試験を活用した東京都中学校英語スピーキングテスト(仮称)事業」の事業者に、ベネッセ・コーポレーションを選んだ評価を伺う。

回答
 当該事業者の選定に当たっては、〔1〕「話すこと」の指導の充実のため、問題や採点基準を公表する等、都教育委員会が募集要項に掲げた事業目的を十分に理解していること、〔2〕既存の資格・検定試験の実績により試験運営可能な事業基盤が構築されており、本事業を実施するに当たっての体制が整っていること、〔3〕不正行為防止対策や、解答データの録音トラブルへの対応等、公正・公平な受験環境の整備や実施上の安全性を担保していること、〔4〕受験者がタブレット端末に慣れることも考慮して本事業を周知する等、具体的な周知計画が立てられていること、以上4点を優れている点として評価しました。

質問事項
三の7 ベネッセが高校向けに配布した資料に、大学入学共通テストに向けた助言事業を請け負っている旨の記載があり、模擬試験や対策講座などのほかの営業活動に利用した疑いがあると国会で指摘された。文科省は「採点業務の中立性、信頼性に疑念を招く」と、抗議し是正を促すことを11月に表明したが、都教育委員会としてベネッセから事実経過などについて報告などを受けているか伺う。

回答
 5月に事業予定者として当該事業者を決定以降、都教育委員会と事業者との間で随時連絡会を行っており、その中で報告を受けています。

質問事項
三の8 民間資格・検定試験を活用した東京都中学校英語スピーキングテスト(仮称)事業における民間の活用は、なぜ「委託」ではなく「基本協定」にしたのか伺う。

回答
 事業者側の技術革新等による提案を随時生かす、事業者の既存のスキームを活用することによりコストを低廉化する、事業者の資格・検定試験として、私立高校、他道府県で活用することを可能とする、などの理由により、「委託」ではなく、「協定」締結という仕組みにしました。

質問事項
三の9 民間資格・検定試験を活用した東京都中学校英語スピーキングテスト(仮称)事業は、「基本協定その1」を締結後、都教委及び事業予定者の双方で合意に至った事項を記載した「基本協定その2」を締結しているが、双方で合意に至り、変更・追加された協定事項を伺う。

回答
 「基本協定その1」は、当該事業者が最優秀事業応募者として決定されたことを確認し、「基本協定その2」の締結に向けた、双方の義務等について定めています。
 また、「基本協定その2」は、本事業に関する基本的事項、実施運営、その他本事業の円滑な実施に必要な諸手続等について定めています。
 なお、「基本協定その1」締結後に、その内容に関し、「基本協定その2」において変更・追加された協定事項はありません。

質問事項
三の10 東京都中学校英語スピーキングテスト(仮称)事業の募集要項には、「事業者は、国外における個人情報の取り扱いについて、本事業の目的の達成を害さないことが確認できる方法及び範囲に限り、かつ、国外の適用法令を遵守するとともに、国内の扱いに準じた管理を行います」とあるが、生徒の回答など個人情報が国外に持ち出されることを、想定していたのか伺う。

回答
 一般的に民間の資格・検定試験において、採点が国内外で実施されている状況を踏まえ、国外での採点の可能性を排除しないという観点から、国外における個人情報の取り扱いについて、募集要項に規定しました。

質問事項
三の11 本年12月まで行われている東京都中学校英語スピーキングテストの採点評価は、どこでどのように行われているか伺う。

回答
 都教育委員会の監修の下、セキュリティが担保された国内外の採点拠点で、高い英語力及び英語指導の専門性を兼ね備えた専任スタッフが、採点を行っています。

質問事項
三の12 英語スピーキングテストは採点・評価が難しく、入試など1点、2点を争う評価に導入するのは公平性に大きな問題があると指摘されている。都教育委員会は、どのように考えているか。公平性をどのように担保する計画か伺う。

回答
 都教育委員会が監修した評価の基準に基づき、高い英語力及び英語指導の専門性を兼ね備えた複数の専任スタッフが採点業務を行うことにより、採点の精度を高め、公平性を確保していきます。

 


令和元年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 尾崎あや子

質問事項
一 厚生労働省が公表した「公立・公的医療機関等の診療実績データの分析結果」について
二 業界団体を通じて都内中小企業の人材確保等を支援する「団体別採用力 スパイラルアップ事業」について
三 都営住宅村山団地について

一 厚生労働省が公表した「公立・公的医療機関等の診療実績データの分析結果」について

 厚生労働省は9月26日に、「公立・公的医療機関等の診療実績データの分析結果」を公表し、全国で424病院、都内では10病院を、再編統合について特に議論が必要だとしました。
 私の活動地域である武蔵村山市内にある「独立行政法人国立病院機構村山医療センター」(以下、村山医療センター)も名指しされました。
 村山医療センターは、北多摩西部医療圏の多くの医療施設と連携し、内服、理学療法などでは軽快せず、手術が必要な腰部脊柱管狭窄症(すべり症・分離症含む)の患者さんを受け入れています。二次医療圏内では、腰部脊柱管狭窄症の診療・手術の71%(2016年度)、腰椎椎間板ヘルニアの手術については71%となっています。北多摩西部医療圏内で、この2つの疾患の治療は村山医療センターが重要な役割を発揮しており、多くの方から「難しい手術で不安だったが、村山医療センターで手術をして助かった」という声がたくさん寄せられています。最近は、長野県や四国、沖縄県といった関東以外からも多くの患者さんが来ています。

1 村山医療センターは、医院長名で「今回の厚生労働省の考え方では急性期の病床を減らすための検討ということで発表されましたが、当センターの急性期を扱う一般病床は95%をこえる稼働率です。この病床数を減らすことは、現在行っている手術件数を減らすことに直結してしまいます」と表明しています。また、「当該構想区域の急性期医療の事情以外にも考慮いただきたい要素があることについても、しっかりと説明していくこととしている」と新聞報道についてホームページにて掲載し、患者さんに説明しています。
 厚労省の「分析結果」は、評価すべきものを評価しないうえ、個々の医療機関の実情を踏まえない、実態とかけ離れたものとなっていますが、都の認識を伺います。

2 厚生労働省による今回の公表に対しては、全国知事会会長、全国市長会会長、全国町村会会長が「国民の命と健康を守る最後の砦である自治体病院が機械的に再編統合されることにつながりかねず、極めて遺憾であると言わざるを得ない」とする共同コメントを発表するなど、厳しい批判が相次いでいます。
 今回の「分析結果」の公表に抗議し、撤回を求めることが必要だと思いますが、いかがですか。

3 国の動向にかかわらず、都としては今回の「分析結果」に基づく再編統合等を推進することはせず、都民が必要とする医療を守る立場で対応することが求められていますが、いかがですか。

 

二 業界団体を通じて都内中小企業の人材確保等を支援する「団体別採用力 スパイラルアップ事業」について

 東京都が東京しごと財団に委託している「団体別採用力 スパイラルアップ事業」は、中小企業の人材確保などを支援するという重要な事業です。しかし、東京しごと財団が民間人材会社に委託している事業です。
 そこで、事実確認のためにいくつか伺います。

1 「団体別採用力 スパイラルアップ事業」の具体的とりくみについて、伺います。

2 業界団体と民間人材会社が一緒になってとりくむ「コンソーシアム」を選定するということですが、民間人材会社はどのように決めるのですか。

3 「団体別採用力 スパイラルアップ事業」の予算はいくらですか。

4 この事業を受託している民間人材会社のマンパワーグループが主催した企業合同説明会にマンパワーグループの下請けが求職の意思がない学生を参加させていたことが問題になりました。都は、「不適切」であり、受託者に企業説明会の費用は支払わないことを明らかにしていますが、この事業が適切に運用されているのか、例えばセミナーの講師が適切な人なのか、セミナーの講師料が適切なのかなど、東京都がチェックする機能はあるのですか。

5 再発防止のために、都は何を行うのですか。

6 公金を悪用するような民間人材会社に、東京都の事業を委託するようなことはやめるべきですが、いかがですか。

7 都の事業で、民間の優れたノウハウについては学ぶべきですが、民間人材会社に都の事業を委託することはやめるべきですが、いかがですか。

 

三 都営住宅村山団地について

 私の活動地域である武蔵村山市にある都営住宅村山団地は、建て替え工事が進んでいます。今年の春に完成した棟のベランダの物干しが、これまでのものと大きく変わっています。住民の方からは「なぜ、今までのような天井つりの物干しではなく、ベランダの高さと同じバルコニー型なのか」「バルコニー型では、大きなバスタオルやシーツなどは干せない。ズボンも干せないので困る。直してほしい」との声が寄せられました。

1 都営住宅の物干しの仕様が変わったのは、なぜですか。

2 いつから変わったのですか。

3 都営住宅の設計図を見ると、物干しの金具の上端までの高さは床から111センチメートルとなっています。しかし、村山団地を測ると「かさぎ」の下端から物干しの金具がついているところは6センチメートルも空いています。入居者の方からは「せめて、『かさぎ』の下端ぎりぎりまで金具を設置してほしい」の要望があります。改善を求めますが、いかがですか。

 

令和元年第四回都議会定例会
尾崎あや子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 厚生労働省が公表した「公立・公的医療機関等の診療実績データの分析結果」について
1 厚労省の「分析結果」は、評価すべきものを評価しないうえ、個々の医療機関の実情を踏まえない、実態とかけ離れたものとなっていますが、都の認識を伺う。

回答
 御指摘の「分析結果」は、国が設置した有識者会議「地域医療構想に関するワーキンググループ」で議論された基準に基づくものですが、国は、その分析方法は、あくまで現状で把握可能なデータを用いる手法に留まるものであり、分析結果が、公立・公的医療機関等が将来に向けて担うべき役割や、それに必要な再編統合、ダウンサイジング等の方向性を機械的に決定するものでない、としています。
 都としては、国の分析だけでは判断し得ない地域の実情に関する知見を補いながら、地域医療構想調整会議において、公立・公的医療機関の取組の方向性について議論を行っていきます。

質問事項
一の2 厚生労働省による今回の公表に対しては、厳しい批判が相次いでいる。今回の「分析結果」の公表に抗議し、撤回を求めることが必要だと思うが、伺う。

回答
 国は、この分析は、あくまで現状で把握可能なデータを用いる手法に留まるものであり、分析結果が、公立・公的医療機関等が将来に向けて担うべき役割や、それに必要な再編統合、ダウンサイジング等の方向性を機械的に決定するものでない、としています。
 都は、地域医療構想調整会議において、各地域の実情に応じた病床の機能分化と連携の推進など、地域医療構想の実現に向けた議論を行っていきます。

質問事項
一の3 国の動向にかかわらず、都としては今回の「分析結果」に基づく再編統合等を推進することはせず、都民が必要とする医療を守る立場で対応することが求められているが、見解を伺う。

回答
 都としても、国からの説明のとおり、分析結果が、公立・公的医療機関等が将来に向けて担うべき役割や、それに必要な再編統合、ダウンサイジング等の方向性を機械的に決定するものでない、と考えています。
 都は、今後とも、地域医療構想調整会議において、各地域の関係者の意見を聴きながら、地域の実情を踏まえ、地域医療構想の実現に向けた議論を行っていきます。

 

質問事項
二 業界団体を通じて都内中小企業の人材確保等を支援する「団体別採用力スパイラルアップ事業」について
1 「団体別採用力スパイラルアップ事業」の具体的とりくみについて、伺う。

回答
 本事業は、中小企業の人材確保を目的として、業界団体による合同企業説明会の開催など、中小企業の採用や人材育成、雇用環境の整備等を支援しています。

質問事項
二の2 業界団体と民間人材会社が一緒になってとりくむ「コンソーシアム」を選定するということであるが、民間人材会社はどのように決めるのか伺う。

回答
 本事業では、業界団体が、事業に共同で取り組む民間事業者等を選定しています。

質問事項
二の3 「団体別採用力スパイラルアップ事業」の予算はいくらか伺う。

回答
 都が東京しごと財団に出捐する令和元年度の予算額は、5億430万円です。

質問事項
二の4 この事業を受託している民間人材会社のマンパワーグループが主催した企業合同説明会に下請けが求職の意思がない学生を参加させていたことが問題になった。この事業が適切に運用されているのか、例えばセミナーの講師が適切な人なのか、セミナーの講師料が適切なのかなど、都がチェックする機能はあるのか伺う。

回答
 本事業においては、東京しごと財団が、受託者からの報告に基づいて、事業の実施状況等を確認し、必要に応じて調査や立入検査を行います。
 都は、東京しごと財団から報告を受け、報告書類等の審査を行い、必要に応じて現地調査を行うこととなっています。

質問事項
二の5 再発防止のために、都は何を行うのか伺う。

回答
 再発防止のため、東京しごと財団において、すべての受託者に対し、契約事項の遵守を徹底するなど、適切な業務執行に向けて注意喚起を行いました。
 さらに、都及び東京しごと財団において、事業の実施状況についての確認の徹底を図っていきます。

質問事項
二の6 公金を悪用するような民間人材会社に、東京都の事業を委託するようなことはやめるべきであるが、見解を伺う。

回答
 都は、事業を効率的・効果的に実施していくため、民間事業者を適切に活用していくこととしています。
 なお、契約違反などの不適正な事例には、厳格に対処していきます。

質問事項
二の7 都の事業で、民間の優れたノウハウについては学ぶべきであるが、民間人材会社に都の事業を委託することはやめるべきであるが、見解を伺う。

回答
 都は、引き続き、適切な管理・監督の下、民間事業者の活用を図っていきます。

 

質問事項
三 都営住宅村山団地について
1 都営住宅の物干しの仕様が変わったのは、なぜか伺う。

回答
 平成16年に景観法が制定され、平成18年には東京都景観計画が策定され、これと前後して、多くの基礎的自治体において、景観条例の制定などにより、建物の建築等に際して景観への配慮を求めるようになりました。
 このような状況を踏まえ、都営住宅において、景観への配慮を行うため、バルコニーの物干し、エアコンの室外機、給湯器を道路等から見えにくい位置に設置することなどについて、基準設計に反映したものです。

質問事項
三の2 いつから変わったのか伺う。

回答
 平成26年度に都営住宅の基準設計を改正し、村山団地においては、平成28年2月に着工した住棟の建築工事から物干しの設置位置を変更しました。

質問事項
三の3 都営住宅の設計図を見ると、物干しの金具の上端までの高さは床から111センチメートルとなっている。しかし、村山団地を測ると「かさぎ」の下端から物干しの金具がついているところは6センチメートルも空いている。入居者の方からは「せめて、『かさぎ』の下端ぎりぎりまで金具を設置してほしい」の要望がある。改善を求めるが、見解を伺う。

回答
 バルコニーの手すりに設置する物干し金物については、基準設計において居住者の利便性に配慮しつつ、通常の使用上、問題のない高さを定めています。
 今後とも、それぞれの現場において、基準設計に準拠して各メーカーの仕様との整合を図りつつ、整備を行っていきます。

 


令和元年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 和泉なおみ

質問事項
一 葛飾区における都立高等学校に通う生徒の実態を踏まえた支援について

一 葛飾区における都立高等学校に通う生徒の実態を踏まえた支援について

 改正子どもの貧困対策法が本年9月7日に施行され、政府は現在子どもの貧困対策に関する大綱案を公表しています。この中では、高等学校における就学継続への支援が位置付けられ、「高校中退を防止することは、将来の貧困を予防する観点から重要である。」として、学習等に課題を抱える高校生の学力向上、進路支援等のための人材の高等学校への配置や、スクールソーシャルワーカーの配置の推進が重点施策に掲げられています。
 また、経済的な理由によって大学等への進学を断念することがないよう、授業料等の減免措置と給付型奨学金の拡充を併せて行う高等教育の修学支援新制度の実施により大学等の修学に係る経済的負担の軽減を図るとしています。
 大綱案の策定に先立ち、本年8月に子供の貧困対策有識者会議が出した「今後の子供の貧困対策に関する在り方について」では、「子どもが高校や大学等への進学を実現した後も、中途退学等により就業や生活の場面で困難を来す場面も見られる。高校・大学等を卒業、就職して、社会的自立が確立されるまでの継続的な視点で支援体制を構築することが必要」であるとして「高校SSWのような仕組み」の整備で切れ目のない支援を提言しています。
 私は、9月から11月にかけて葛飾区内にあるすべての都立高校で校長先生と懇談を行いました。
 普通高校、商業高校、農産高校、工業高校、そして総合高校が揃っているのは、23区では葛飾区しかありません。いずれの学校も葛飾区内に居住する生徒が最も多く3割から5割を占めています。6割から8割の生徒が通学手段に交通費のかからない自転車を利用していることなどが示す通り、家庭が経済的に困難を抱えている生徒が多いこと、卒業後、就職する生徒が多いことも6校に共通した背景です。つまり葛飾区内には、この状況に多様に対応できる都立高校が揃っていることになります。
 そのような中で、それぞれの現場では教職員が並々ならぬ努力をしている様子が懇談を通じてうかがえました。
 A校では近年進学率を上げる取り組みが重視されています。区内で通える都立高校で、大学進学への展望を持てることは、困窮世帯の生徒にとって希望ある未来のために重要です。
 また、B校では、在京外国人枠が20人分ありますが、実際にはもっと多い外国人生徒が通っています。在留資格や経済的理由など本人の学力以外の困難を複合的に抱えています。さらに、大学には外国人受入れ枠がないため、学ぶ意欲がありながら、あきらめざるを得ない生徒も多いといいます。大学の外国人受け入れ枠をと、強く希望しています。
 定時制には170人の生徒が通っていますが、経済的な問題だけでなく、親の精神的な病気や障害など、さまざまな困難を抱えた生徒も多く、家庭への支援が切実に求められています。
 C校は、生徒の自主性や主体性を大事にして、生徒が実行委員会を作って取り組んだ周年行事では、日ごろの勉強や活動の成果が発表され、その生き生きとした姿が感動をよびました。
 しかし、経済的に困難な条件の生徒が多いだけでなく、児童相談所やスクールカウンセラー、ユースソーシャルワーカーとの連携が必要な生徒も多いといいます。ところが、ユースソーシャルワーカーのニーズが高いため、予約がなかなか取れないなど、問題を解決するためのせっかくの制度が、活用が困難な状況です。ユースソーシャルワーカーの常駐化を切実に求めています。
 D校は、コンソーシアム東京に登録した企業との連携が進んでおり、当該会社の執行役員の講義を聞く機会や、具体的な売り上げ向上の研究や、千葉商科大学の学生からプレゼンテーションを学んだり、インターンシップで3日間の企業研修を行うなど、社会に出たときに役立つ力を培う取り組みを行っています。また、地元の飲食店に生徒が考案したメニューを置かせてもらうなど、地域との連携にも取り組んでいます。約半数の生徒が就職するため、教職員は貧困の連鎖を断ち切るうえでも、しっかりとした自立につながるよう努力しているといいます。
 E校は、キャリアコアタイムの選択科目が130に上り、自主的に学ぶ校風が確立しています。しかし、自分で行動を規律する生活に慣れるまでには一定の期間が必要で、新入生が夏休みを終えるころまで、教職員は大変な苦労をしているといいます。一人でも多く教員を増やしてほしいと、語っています。
 夜間のF校は一食380円の給食が食べられない生徒もいます。コンビニの100円のお菓子が夕飯という生徒もいて、給食費の補助があれば、せめて夕食ぐらいは温かく栄養のあるものを食べさせてあげられる、と話されていました。
 経済的困難が、学ぶ意欲を持ち続けることを困難にし、育ち盛りの身体を支える食事さえとれない状況を生んでいることは、重大です。
 大学に進学する生徒も、就職する生徒も、自分の未来に明るい展望を描けるよう支えることは、家庭や学校現場にのみ課せられた責任ではなく、社会が共有して担うべき責任です。
 その観点から、以下質問します。

1 家庭の経済状況の厳しい生徒が、学ぶ意欲がそがれることなく、未来への展望を持つために、都が果たす役割は重要だと考えますが、都の認識を伺います。

2 経済困窮世帯の生徒が多く通う学校における、様々な複合的な問題に対応するために、要望のある学校にはユースソーシャルワーカーを常駐すべきと考えますが、いかがですか。少なくとも派遣回数や人数を増やすことを求めます。

3 貧困の連鎖を断ち切るためには、経済的理由で進学を諦めなくていい仕組みと、高校、大学に進学した後も切れ目なく支援が継続されることが必要です。しかし、高校に進学すると、区市町村は、生徒の実態をつかみづらくなるのが現状です。中学卒業後も、高校、大学と、継続した支援の構築に向けて、都はどのように取り組むのでしょうか。

4 高校卒業後、就職した子どもたちが就職先の企業に定着することは、その後の経済的自立と安定した生活設計の上で重要です。都として、高校での指導に生かしたり、若者支援を充実したりするため、実態を把握する必要があると考えますが、いかがですか。

5 定時制の高校に通う生徒の給食費は、補助額を抜本的に引き上げるとともにすべての生徒を対象にするべきだと思いますが、いかがですか。

6 経済的困難や、親の問題、自身の発達障害、精神疾患など、様々な問題を複合的に抱えている生徒への支援が必要になっています。教員の定数を増やす、加配を行うなど、生徒の困難の実態に見合う人員配置が必要だと考えますが、いかがですか。

 

令和元年第四回都議会定例会
和泉なおみ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 葛飾区における都立高等学校に通う生徒の実態を踏まえた支援について
1 家庭の経済状況の厳しい生徒が、学ぶ意欲がそがれることなく、未来への展望を持つために、都が果たす役割は重要だと考えるが、都の認識を伺う。

回答
 高校における就学に係る支援については、家庭の経済状況などにかかわらず、全ての子供たちが充実した教育を受け、自立できる環境を整えることが重要です。
 都教育委員会は、これまで教育費の負担軽減を図ることにより、都立高校等における就学を支援しています。

質問事項
一の2 経済困窮世帯の生徒が多く通う学校における、様々な複合的な問題に対応するために、要望のある学校にはユースソーシャルワーカーを常駐すべきと考えるが、見解を伺う。少なくとも派遣回数や人数を増やすことを求めるが見解を伺う。

回答
 都教育委員会は、社会生活を円滑に営む上で困難を有する生徒に対応するため、不登校や中途退学の課題が顕著な都立高校を継続派遣校に指定し、ユースソーシャルワーカー等を派遣しています。
 継続派遣校にユースソーシャルワーカー等を派遣するに当たっては、学校から支援ニーズを聴き取った上で、それぞれの課題を踏まえ、派遣回数や人数を設定しています。
 それ以外の学校についても、学校からの要請に応じて、ユースソーシャルワーカー等による必要な支援を行っています。

質問事項
一の3 経済的理由で進学を諦めなくていい仕組みと、高校、大学に進学した後も切れ目なく支援が継続されることが必要だ。しかし、高校に進学すると、区市町村は、生徒の実態をつかみづらくなるのが現状だ。中学卒業後も、高校、大学と、継続した支援の構築に向けて、都はどのように取り組むのか見解を伺う。

回答
 都立高校等においては、経済的理由で授業料等の納入が困難な生徒に対して、従前より授業料等の減免を実施していますが、平成26年度から、国の高等学校等就学支援金制度による授業料と、奨学のための給付金による教材費、学用品等の通学に必要な経費を支援しています。
 また、平成29年度から、「東京都立高等学校等における給付型奨学金」を創設して、生徒の希望する教育活動に対して、現物給付による支援を実施しています。
 高校卒業後においては、日本学生支援機構等様々な団体、大学等が奨学金事業を実施し、高校以降も、各教育段階に応じた支援を行っています。
 なお、都立高校等では、必要に応じて大学等への進路指導を行う中でこれら情報を生徒等へ提供しています。

質問事項
一の4 高校卒業後、就職した子どもたちが就職先の企業に定着することは、その後の経済的自立と安定した生活設計の上で重要だ。都として、高校での指導に生かしたり、若者支援を充実したりするため、実態を把握する必要があると考えるが、見解を伺う。

回答
 都立高校では、教科「人間と社会」において、働くことの意義について討論し、考えを深める等の学習を行うとともに、社会で活躍している卒業生等による進路講演会や、企業等でのインターンシップを実施するなどして、自立した社会人としての資質や能力を育んでいます。
 また、将来、社会人になった際に、必要となる働くことのルール等の知識等について就職指導の際に取り上げ、雇用や労働問題等についての理解を深める指導を行っています。
 今後とも都教育委員会は、就職を希望する生徒への支援に向けた学校の取組が一層充実するよう、ハローワーク等と連携していきます。

質問事項
一の5 定時制の高校に通う生徒の給食費は、補助額を抜本的に引き上げるとともにすべての生徒を対象にするべきだと思うが、見解を伺う。

回答
 都立高等学校定時制(夜間課程)の給食は、「夜間課程を置く高等学校における学校給食に関する法律」に基づき、都立高等学校定時制夜間課程全ての学校で給食を実施しています。
 この給食の実施は、「夜間課程において学ぶ青年の身体の健全な発達に資し、あわせて国民の食生活の改善に寄与する」ことを目的としており、給食は生徒の健康維持の一助となっています。
 都教育委員会では、現在都の単独事業として、勤労青少年の修学を促進し教育の機会均等を保障するため、有職者や求職中などの生徒を対象に、給食費の一部を補助しています。
 今後も、多様化する生徒のニーズなども踏まえながら、定時制課程の学校給食を適切に実施していきます。

質問事項
一の6 経済的困難や、親の問題、自身の発達障害、精神疾患など、様々な問題を複合的に抱えている生徒への支援が必要になっている。教員の定数を増やす、加配を行うなど、生徒の困難の実態に見合う人員配置が必要だと考えるが、見解を伺う。

回答
 葛飾区内の都立高校も含め、ユースソーシャルワーカー等の継続派遣校では、校長から指名された自立支援担当教員が、会議の運営など校内体制の中心的役割を担っており、都教育委員会では、必要に応じてこの担当教員の授業持ち時数の軽減を行っています。
 都立高校の教員定数は、現在、国の基準を踏まえた都の教職員定数配当基準に基づき、適切に配置しており、国に対しては、引き続き教職員定数の基準の充実を求めていきます。

 


令和元年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 大山とも子

質問事項
一 第4回定例会での病院経営本部長の答弁について
二 介護離職ゼロの取り組みについて

一 第4回定例会での病院経営本部長の答弁について

 今定例会の開会日に小池知事は、「都立病院について、地方独立行政法人への移行に向けた準備を開始する」「東京都保健医療公社の病院についても、都立病院と一体に移行を進める」という方針を表明しました。
 この方針についての議論は、第4回定例会の重要なテーマとなりました。12月10日の代表質問においても、日本共産党都議団をふくめ各会派が、この問題についてとりあげました。
 ところが、病院経営本部長は、12月11日の本会議で、「なお、昨日の代表質問での私の答弁で誤解が生じたことはおわびを申し上げたいと思います」と答弁しました。
 この答弁をめぐり、基本的かつ必要不可欠な事実確認を行います。
 以下14問に対し、明瞭な回答を求めます。

1 病院経営本部長は、12月11日の本会議で、都民ファーストの会の清水やすこ議員の一般質問に、「なお、昨日の代表質問での私の答弁で誤解が生じたことはおわびを申し上げたいと思います」と答弁しました。
 これは、12月10日の代表質問のどの会派・議員の代表質問での、どの答弁のことを指しているのですか。

2 「誤解が生じた」と答弁しましたが、誰に対して、どのような誤解が生じたのですか。

3 「おわびを申し上げたい」というのは、誰に対して「おわびを申し上げたい」のですか。

4 代表質問の答弁で「誤解が生じた」のであれば、議員の一般質問に対する答弁で「おわび」するのでなく、議長の許可を得て、議会に対して正式にお詫びと訂正をすべきではありませんか。

5 「誤解を生じた」答弁の議事録は、訂正しなくてよいのですか。

6 病院経営本部長が「誤解を生じた」答弁をした相手の会派・議員に対する「おわび」はしたのですか。

7 都民ファーストの会・清水やすこ議員の一般質問に対し、病院経営本部長は「地方独立行政法人化の検討経緯」について答弁していますが、本年九月の第三回都議会定例会で答弁を行った、というところで終わっています。
 本年九月の第三回都議会定例会で答弁を行ってから、第四回都議会定例会の開会日までの「検討経緯」について述べていないのはなぜですか。

8 本年九月の第三回都議会定例会で答弁を行ってから、第四回都議会定例会の開会日までの「地方独立行政法人化の検討経緯」を、清水やすこ議員への答弁と同様のかたちで、時系列で明らかにして下さい。

9 小池知事が第四回都議会定例会の開会日に表明した、「都立病院について、地方独立行政法人への移行に向けた準備を開始する」「東京都保健医療公社の病院についても、都立病院と一体に移行を進める」という方針は、東京都として決定した方針ですか。

10 東京都として決定した方針である場合、決定したのは何月何日ですか。

11 その決定の場に、病院経営本部長は同席していましたか。

12 東京都として決定した方針である場合、「都立病院について、地方独立行政法人への移行に向けた準備を開始する」「東京都保健医療公社の病院についても、都立病院と一体に移行を進める」という方針を東京都として決定したことを、病院経営本部長が知ったのは、何月何日ですか。

13 小池知事が、「都立病院について、地方独立行政法人への移行に向けた準備を開始する」「東京都保健医療公社の病院についても、都立病院と一体に移行を進める」という方針を、第四回都議会定例会の開会日に表明することを、病院経営本部長が知ったのは、何月何日ですか。

14 「都立病院について、地方独立行政法人への移行に向けた準備を開始する」「東京都保健医療公社の病院についても、都立病院と一体に移行を進める」という方針を、病院経営本部として決定したのは、何月何日ですか。

 

二 介護離職ゼロの取り組みについて

1 介護離職ゼロは、小池知事の7つのゼロを目指す公約のひとつです。2017年度に東京都が実施した「介護離職防止施策検討のための特別調査」は、重要です。調査報告書は、介護を理由とした離職のリスクが広がっていけば、企業の経営は立ち行かなくなるかもしれない。そのような問題意識で、介護離職防止は重大な経営課題として認識されつつある、としています。さらに、この調査を実施した問題意識として、全国一律に定める改正育児・介護休業法が都内の企業で働く労働者の実情に即しているか、「ライフ」と「ワーク」には地域ごとの特徴があるので、東京都に固有の両立支援の課題があるのではないか、と述べています。この問題意識は重要だと思いますが、知事はどう認識していますか。

2 従業員への調査では介護休暇の日数については「少ない」が46.4%で最多となっており、介護休暇の日数拡大を望む声が大きいと分析しています。その理由は、介護保険で義務付けられている、月1回のケアマネージャーがケアプランの実施状況を把握するための面談に、介護者として立ち会ったほうが働きながら介護しやすいケアプランになるようにすることができ、介護離職の防止につながるからです。そのためには、年間12回の介護休暇が必要ですが、現在は半日単位で10回しか取れません。知事は、この調査結果をどう認識していますか。

3 この調査は介護休暇の取得割合が少ないことも注目しています。介護休暇よりも年次有給休暇で対応していることがわかりました。それは現行の介護休暇は無給のため、有給である年休のほうが所得ロスを回避できるからとのことです。有給化することにより、年次有給休暇ではなく介護休暇をとる労働者が増えれば、それだけ介護問題が企業において顕在化し、対策を講じやすくなると分析しています。知事、介護休暇の有給化は重要な課題だと思いますが、どう認識していますか。

4 せっかく東京都が実施した重要な調査です。調査の結果を活かして、国に対して介護休暇の日数を増やすことや有給化について求めることが必要ですが、いかがですか。

5 調査は、介護中の経済的支援のニーズが高いことにも目を向けています。労働者が行政に望むことで「フレックスタイムやテレワークなど、介護と仕事を両立できる働き方の推進」は、30.6%にとどまっていますが、「介護のための経済的支援」は64.3%と明らかに高く、「介護施設や介護サービスの充実」も53.0%です。つまり、介護施設や介護サービスを利用しながら両立を図りたいということです。介護施設や介護サービスを使えば家計の支出は増え、介護は経済的な問題を伴うものです。提言では、財政的に厳しい状況にある中小企業等においては、企業から労働者への経済的支援を行政や経営者団体が後方から支えることも考えてもよいだろうと述べています。知事、東京都自らが調査した報告書の分析での提言です。都として検討すべきではありませんか。

6 介護離職防止については、一般社団法人日本経済調査協議会がケアマネージャーへの調査をもとに「介護離職」防止のための社会システム構築への中間提言を今年6月に発表しました。現行の介護保険制度が、要介護高齢者の介護必要度のみで給付額が調整される仕組みのため、家族介護者の健康や就労状況、ダブル介護を含む介護困難性は勘案されない。また、保険給付のサービス運用面においても、家族介護者を支援するレスパイト機能が弱い。そのため、本調査結果においても居宅サービスの利用の柔軟性を高めることの必要性がケアマネージャーの回答からも指摘されました。
 調査結果を踏まえて提言は、制度・政策として家族介護者も介護保険制度における対象者として明確に位置付け、いわゆる「ケアラー」としての存在を社会的・制度的に認知させていくことを提起したいと述べています。都として介護している相手が高齢者、障害者などに限らずケアラーを制度的にも明確に位置付け、支援する仕組みを作ることは可能です。知事、いかがですか。

7 家族介護支援条例(ケアラー条例)(仮称)の検討を求めるものです。いかがですか。

 

令和元年第四回都議会定例会
大山とも子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 第4回定例会での病院経営本部長の答弁について
1 病院経営本部長は、12月11日の本会議で、都民ファーストの会の清水やすこ議員の一般質問に、「なお、昨日の代表質問での私の答弁で誤解が生じたことはおわびを申し上げたいと思います」と答弁した。これは、12月10日の代表質問のどの会派・議員の代表質問での、どの答弁のことを指しているのか、見解を伺う。

回答
 病院経営本部長は、12月10日の代表質問において、都立・公社病院の地方独立行政法人化に関連して、2会派から5つの質問をいただき、答弁をしました。
 また、貴党から病院経営本部長に対しての再質問が一問ありました。
 その再質問に対して、病院経営本部長は「私が、知事が御発言された内容を知りましたのは、先週の本会議の場でお聞きをしたところでございます」と答弁しました。

質問事項
一の2 「誤解が生じた」と答弁したが、誰に対して、どのような誤解が生じたのか、見解を伺う。

回答
 都は地方独立行政法人への移行の準備を開始するにあたり、これまで丁寧・十分に検討を重ねてきましたが、12月10日の代表質問に対する病院経営本部長の答弁により「今回の方針が突然決まった」かのような誤解を一般質問の質問者に対して生じさせてしまったと病院経営本部長が認識しました。

質問事項
一の3 「おわびを申し上げたい」というのは、誰に対して「おわびを申し上げたい」のか、見解を伺う。

回答
 病院経営本部長が一般質問の質問者に対してお詫びを申し上げたものです。

質問事項
一の4 代表質問の答弁で「誤解が生じた」のであれば、議員の一般質問に対する答弁で「おわび」するのでなく、議長の許可を得て、議会に対して正式にお詫びと訂正をすべきではないか、見解を伺う。

回答
 12月11日の病院経営本部長の答弁は、質問者に、あたかも今回の方針が突然決まったかのような誤解を生じさせたことについて、「昨日の代表質問での私の答弁で誤解が生じたことはお詫びを申し上げたい」と答弁したものであり、質問者に対してお詫びを申し上げたものです。
 12月10日の再質問に対する病院経営本部長の答弁は、所信表明の最終的な内容を知った日という旨で答弁したもので、誤りがあるものではなく、したがって、答弁を訂正する必要はないと考えます。

質問事項
一の5 「誤解を生じた」答弁の議事録は、訂正しなくてよいのか、見解を伺う。

回答
 12月10日の再質問に対する病院経営本部長の答弁は、所信表明の最終的な内容を知った日という旨で答弁したもので、誤りがあるものではなく、したがって、答弁を訂正する必要はないと考えます。

質問事項
一の6 病院経営本部長が「誤解を生じた」答弁をした相手の会派・議員に対する「おわび」はしたのか、見解を伺う。

回答
 12月11日の病院経営本部長の答弁は、質問者に、あたかも今回の方針が突然決まったかのような誤解を生じさせたことについて、「昨日の代表質問での私の答弁で誤解が生じたことはお詫びを申し上げたい」と答弁したものであり、病院経営本部長の発言内容が誤りであったことをお詫びしたものではありません。
 12月10日の再質問に対する病院経営本部長の答弁については、所信表明の最終的な内容を知った日という旨で答弁したものであり、その趣旨は、病院経営本部長自ら本会議終了後、貴党に説明に伺っています。

質問事項
一の7 都民ファーストの会・清水やすこ議員の一般質問に対し、病院経営本部長は「地方独立行政法人化の検討経緯」について答弁しているが、本年9月の第三回都議会定例会で答弁を行った、というところで終わっている。本年9月の第三回都議会定例会で答弁を行ってから、第四回都議会定例会の開会日までの「検討経緯」について述べていないのはなぜか、見解を伺う。

回答
 都は経営形態の検討にあたり、他団体の様々な先行事例調査等を行うとともに、都民ニーズを踏まえた医療機能強化について、各都立病院との意見交換なども行ってきました。
 また、公社病院についても、都立病院改革を進めるのに合わせて、都立病院との連携強化の在り方などについて、東京都保健医療公社とともに検討を進めてきました。
 さらに、令和元年8月、「『未来の東京』への論点」の中で、2040年代も見据え、医療課題が一層深刻化することを踏まえて「都立・公社病院の改革の推進」を課題として示しました。これを踏まえ、検討を更に深めるとともに、法人の出捐者である東京都医師会等と地域医療の充実などについて意見交換を行ってきました。
 第四回都議会定例会で、「本年9月の第三回都議会定例会ではこのような状況を踏まえ、代表質問におきまして長期戦略の策定に合わせて検討を深めていく旨の答弁を行ったところでございます。このように都として、丁寧・十分に検討を重ねた上で、地方独立行政法人への移行の準備を開始することとしたものでございます」と病院経営本部長が答弁しましたが、これは第三回都議会定例会以降も十分に検討を重ねてきた旨をお答えしたものです。

質問事項
一の8 本年9月の第三回都議会定例会で答弁を行ってから、第四回都議会定例会の開会日までの「地方独立行政法人化の検討経緯」を、清水やすこ議員への答弁と同様のかたちで、時系列で明らかにすべきであるが、見解を伺う。

回答
 引き続き、都自ら他団体の様々な先行事例調査等を行うとともに、都民ニーズを踏まえた医療機能強化について、各都立病院との意見交換などを行ってきました。
 また、公社病院についても、都立病院改革を進めるのに合わせて、都立病院との連携強化の在り方などについて、東京都保健医療公社とともに検討を進めてきました。
 さらに、法人の出捐者である東京都医師会等と地域医療の充実などについて意見交換を行ってきました。

質問事項
一の9 小池知事が第四回都議会定例会の開会日に表明した、「都立病院について、地方独立行政法人への移行に向けた準備を開始する」「東京都保健医療公社の病院についても、都立病院と一体に移行を進める」という方針は、東京都として決定した方針か、見解を伺う。

回答
 都立病院及び東京都保健医療公社の病院合わせて14病院を一体的に地方独立行政法人へ移行するべく準備を開始することは、都として決定したものです。

質問事項
一の10 東京都として決定した方針である場合、決定したのは何月何日か、伺う。

回答
 都は他団体の様々な先行事例調査、都民ニーズを踏まえた医療機能強化に係る各都立病院との意見交換、都立病院と公社病院との連携強化の在り方等に係る東京都保健医療公社との検討、地域医療の充実等に係る東京都医師会等との意見交換など様々な検討を行ってきました。
 こうした検討内容も踏まえた都立・公社病院の経営形態に関する病院経営本部の考え方について、病院経営本部長から11月8日に報告を受け内容を了承し、12月3日の所信で「都立病院及び東京都保健医療公社の病院合わせまして14病院を、一体的に地方独立行政法人へ移行すべく、準備を開始」することを表明しました。

質問事項
一の11 その決定の場に、病院経営本部長は同席していたか、伺う。

回答
 11月8日は病院経営本部長から報告を受けました。

質問事項
一の12 東京都として決定した方針である場合、「都立病院について、地方独立行政法人への移行に向けた準備を開始する」「東京都保健医療公社の病院についても、都立病院と一体に移行を進める」という方針を東京都として決定したことを、病院経営本部長が知ったのは、何月何日か、伺う。

回答
 都は他団体の様々な先行事例調査、都民ニーズを踏まえた医療機能強化に係る各都立病院との意見交換、都立病院と公社病院との連携強化の在り方等に係る東京都保健医療公社との検討、地域医療の充実等に係る東京都医師会等との意見交換など様々な検討を行ってきました。
 こうした検討内容も踏まえた都立・公社病院の経営形態に関する病院経営本部の考え方について、病院経営本部長から11月8日に報告を受け内容を了承し、「都立病院及び東京都保健医療公社の病院合わせまして14病院を、一体的に地方独立行政法人へ移行すべく、準備を開始」することを12月3日の所信で表明しました。

質問事項
一の13 小池知事が、「都立病院について、地方独立行政法人への移行に向けた準備を開始する」「東京都保健医療公社の病院についても、都立病院と一体に移行を進める」という方針を、第四回都議会定例会の開会日に表明することを、病院経営本部長が知ったのは、何月何日か、伺う。

回答
 都は他団体の様々な先行事例調査、都民ニーズを踏まえた医療機能強化に係る各都立病院との意見交換、都立病院と公社病院との連携強化の在り方等に係る東京都保健医療公社との検討、地域医療の充実等に係る東京都医師会等との意見交換など様々な検討を行ってきました。
 こうした検討内容も踏まえた都立・公社病院の経営形態に関する病院経営本部の考え方について、病院経営本部長から11月8日に報告を受け内容を了承し、「都立病院及び東京都保健医療公社の病院合わせまして14病院を、一体的に地方独立行政法人へ移行すべく、準備を開始」することを12月3日の所信で表明しました。
 なお、12月10日の代表質問の再質問において病院経営本部長が「知事が御発言された内容を知りましたのは、先週の本会議の場でお聞きをした」と答弁した、「知事が御発言された内容」とは、所信表明で実際に発言した文言という趣旨です。

質問事項
一の14 「都立病院について、地方独立行政法人への移行に向けた準備を開始する」「東京都保健医療公社の病院についても、都立病院と一体に移行を進める」という方針を、病院経営本部として決定したのは、何月何日か、伺う。

回答
 都立病院・公社病院を一体的に地方独立行政法人へ移行すべく準備を開始することを決定するのは都としてであり、決定に向け検討状況等を知事に報告するのは病院経営本部です。病院経営本部が決定するものではありません。

 

質問事項
二 介護離職ゼロの取り組みについて
1 2017年度に東京都が実施した調査報告書は、介護離職防止は重大な経営課題として認識されつつある、としている。さらに、全国一律に定める改正育児・介護休業法が都内の企業で働く労働者の実情に即しているか、東京都に固有の両立支援の課題があるのではないか、と述べている。この問題意識は重要だと思うが、知事はどう認識しているか、見解を伺う。

回答
 企業に対するアンケート調査の結果では、介護と仕事の両立について、「重要な経営課題である」、「やや重要な経営課題である」との回答を合わせると77.3パーセントとなっています。
 また、本調査は、都内企業とその従業員を対象に実施したものであり、その結果は、都における介護と仕事の両立に関する現状や課題を示しているものです。

質問事項
二の2 従業員への調査では、介護休暇の日数拡大を望む声が大きいと分析している。知事は、この調査結果をどう認識しているか、見解を伺う。

回答
 従業員に対するアンケート調査の結果では、介護休暇の日数に関する満足度について、「少ない」との回答が最も多くなっています。

質問事項
二の3 介護休暇の有給化は重要な課題だと思うが、どう認識しているか、見解を伺う。

回答
 従業員に対するアンケート調査の結果では、従業員が利用したかった制度、あれば助かった制度について、「育児・介護休業法で定めている93日を上回る介護休業制度」との回答は、10.8パーセントとなっているのに対し、「年次有給休暇(未消化分)の積立制度など休暇の残日数を気にしなくて良い制度」との回答は、16.1パーセントとなっています。
 こうした調査結果を踏まえ、本調査では、有給の介護休暇を充実させる方が、介護休業の期間を延ばすことより望まれるケースは少なくないとしています。

質問事項
二の4 調査の結果を活かして、国に対して介護休暇の日数を増やすことや有給化について求めることが必要だが、見解を伺う。

回答
 介護休暇については、育児・介護休業法において、対象家族が一人であれば年5日まで、二人以上の場合は、年10日までと定められています。
 また、介護休暇における給与の取り扱いについては、各企業における就業規則や労使の取り決めによることとなります。
 介護休暇の制度設計については、国において、適切に判断すべきものと考えています。

質問事項
二の5 提言では、財政的に厳しい状況にある中小企業等においては、企業から労働者への経済的支援を行政や経営者団体が後方から支えることも考えてもよいだろうと述べている。東京都自らが調査した報告書の分析での提言である。都として検討すべきではないか、見解を伺う。

回答
 育児・介護休業法において、事業主は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者について、就業しつつ対象家族の介護を行うことを容易にする措置として、所定労働時間の短縮等の措置を講じなければならないとされています。
 都は、こうした法の規定や本調査の結果なども踏まえ、従業員の介護休業や介護休暇制度の充実、短時間勤務やフレックスタイム制度の整備、介護サービスの利用支援制度の整備などに取り組む中小企業等に対して、奨励金を支給し、介護と仕事を両立できる職場環境づくりを支援しています。

質問事項
二の6 調査結果を踏まえて提言は、制度・政策として家族介護者も介護保険制度における対象者として明確に位置付け、いわゆる「ケアラー」としての存在を社会的・制度的に認知させていくことを提起したいと述べている。都として介護している相手が高齢者、障害者などに限らずケアラーを制度的にも明確に位置付け、支援する仕組みを作ることは可能であるが、見解を伺う。

回答
 高齢者福祉や障害福祉の分野では、介護保険法や障害者総合支援法に基づき、それまで主に家族が担ってきた高齢者や障害者の介護を、在宅サービスや施設サービスなどにより、社会全体で支え合う仕組みを構築してきました。
 都は、ショートステイなどのサービス基盤の整備を推進するほか、高齢者の家族の交流の場の設置や重症心身障害児(者)に対する在宅レスパイトなど、地域の実情に応じた取組を行う区市町村を包括補助で支援しています。

質問事項
二の7 家族介護支援条例(ケアラー条例)(仮称)の検討を求めるが、見解を伺う。

回答
 都は、3年ごとに、東京都高齢者保健福祉計画、東京都障害者・障害児施策推進計画、東京都地域福祉支援計画を策定し、家族介護者等が、身近な地域で必要な支援を受けられるよう、区市町村を支援しています。