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質問・条例提案

2021.10.13

本会議 原田あきら都議(杉並区選出)の討論

2021年10月13日の本会議で、原田あきら都議(杉並区選出)が討論を行いました。

動画(都議会ホームページです。令和3年第3回定例会 > 10月13日議案の議決などをご覧ください)

★2021年都議会第3回定例会 討論全文(原稿)です。


 日本共産党都議団を代表して、知事提出の第192号議案ほか3議案に反対、わが党提出の条例案に賛成する立場から、討論を行います。

  今定例会最大の焦点は、8つの都立病院、6つの公社病院の独立行政法人化です。

 独法化の真の目的は、都の財政支出の削減です。そのことは、独法化を提言した都立病院経営委員会の委員長が、都の財政支援について、「従前のままでは何のための独法化か」と発言したことに明らかです。経営効率優先の運営が求められ、不採算であっても都民のために必要な行政的医療は後退します。

 都が独法化した健康長寿医療センターでは、独法化後に161床の病床が減らされ、患者負担の重い差額ベッドが大幅に増やされました。
 宮城県の独法病院では、独法化後の人手不足により循環器・呼吸器病センターが廃止され、今、新たな統廃合方針が出されています。
 同じく独法化された東大病院には、差額ベッド料が1日最高23万円、1部屋150平米の超高級特別病室が作られ、海外の富裕層むけの医療ツーリズムも行われています。
 公立病院のあり方を変質させ、患者負担を増やす独法化を進めてはなりません。

コロナ禍で最も柔軟、かつ大規模に役割を果たしているのが都立・公社病院です。都内のコロナ病床の3割に及ぶ2000床のコロナ病床を確保し、他の医療機関では受け入れが難しい、透析患者、妊婦、障害者などに医療を提供しています。

 都立・公社病院の果たしている役割は、今議会の質疑を通じてほとんどの会派が高く評価しており、独法化する理由などありません。
 本会議と厚生委員会の質疑を通じて、なぜこのコロナ禍で独法化なのか、という疑問に対し、東京都はまともに答えることができませんでした。
 都が独法化の理由とした〝兼業ができないため医師が集まらなかった〟という事例について、わが党の質疑により、実は一事例しかなかったことが明らかになりました。そもそも兼業は可能であり、理由になっていません。
 専門看護師が採用しづらいという理由についても、何人必要なのかも答えられず、裏づけとなるような、具体的根拠を示すことができませんでした。

 そもそも、今年度の看護職員の定数を減らしておいて、看護師を増やせないから独法化が必要だと言うことに何の道理もありません。

 都立・公社病院のコロナ対応で、独法化しなければ解決できない重大な不都合が何かあったのか、というわが党の問いにも、都は答えることができませんでした。何ら不都合はないのです。それが今定例会の質疑の結果です。

 独法化の定款に、緊急事態の時などは都の指揮の下、必要な業務を行うと規定されましたが、何ら実効性はありません。
 国立病院機構など国の独法病院や、都の健康長寿医療センターにも同様の規定がありますが、第5波のコロナ対応で、この規定に基づく要請は一度も行われていません。たんなる「カラ手形」ではありませんか。

 小池知事は第一回定例会に定款を出そうとしていましたが、コロナ対策を最優先にするとして見送りました。ところが今議会には独法化の定款を提出し、来年7月の法人設立を目指すとまで表明しました。

 わが党の質疑を通じ、知事が7月の法人設立をめざす方針を決めたのは、今年8月27日であることが明らかになりました。
 この日の前日にはモニタリング会議で、「現在の感染状況が続けば、医療提供体制の限界を超え、救える命が救えない事態がさらに悪化する」と、専門家から厳しく指摘されていました。翌28日には、都内の重症者数が297人と第5波のピークに達しました。
 しかも、設立を7月と決めた理由は「最短のスケジュールだから」というもので、病院現場がどうなっていようとも強行するというものでした。
 都民の命より独法化を最優先にしたことは、断じて許されません。
 今、独法化反対の運動が大きく広がっています。8日には都庁前の大規模な抗議行動が行われ、反対署名は20万人を超えました。都民や職員の合意は得られていません。
コロナ禍の独法化は、立ち止まるべきです。日本共産党都議団はすべての会派のみなさんに、定款を否決するよう強く呼びかけるものです。

 知事、今やるべきは、感染拡大の第6波を起こさない対策と、第6波が起きた時の対策を行うことです。
 第5波では親子三人が感染し、自宅療養とされ、基礎疾患のあった40代の母親が自宅で亡くなるという、痛ましいケースもありました。このような悲劇を繰り返さないためにも、感染再拡大を何度も起こしてきた反省に立って対策を行うことが必要です。

 第6波を防ぐために、ワクチン接種と一体に、今こそ大規模検査が必要です。わが党の質疑に対し知事が、感染拡大を防ぐための検査体制の整備が重要との認識を示しました。抜本的な検査の拡充を求めるものです。

 保育園、学童保育等で感染があった際のPCR検査実施への支援が始まり、放課後等デイサービス等への対象拡大を検討すると答弁があったことは重要です。一方で、無症状者からの感染拡大を防ぐためにも、高齢者施設等で行っているスクリーニング検査を、学校や保育園等でも実施することを要望します。
 都は、医療提供体制の確保について、第5波の経験を踏まえると答弁しました。そうであるなら、8月だけで112人ものコロナ感染者が、東京で、自宅などで亡くなったという経験を踏まえ、中等症Ⅱにも対応した臨時医療施設の整備などの医療・検査体制の強化に今から取り組むよう求めます。

 十分な営業補償と困窮した都民の暮らしの支援は引き続き必要です。

 コロナ禍で飲食業、建設業、アパレルなど、広範囲な業種が大きな痛手を被っています。文化芸術分野も依然として厳しい状況に置かれています。未来を担う学生たちの困窮と精神的な疲弊を指摘したのはわが党だけではありません。わが党の質問に都は「都民生活と経済活動を守るため事業者支援など必要な施策に取り組む」「引き続き芸術文化活動を支援していく」と答弁しました。都として具体的な対策を実施拡充すべきです。

 リバウンド防止期間の直前になって、感染対策の点検を受けている店と受けていない店でアルコール提供や営業時間に差をつける差別的対応に、多くの事業者から怒りと困惑の声が上がっています。点検を受けていない理由の多くは要請に応じて休業していたからであり、事業者の責任ではありません。こうした対応の是正を求めます。

 わが党が提出した条例案は、コロナ禍で苦しむひとり親家庭に対する児童育成手当を、月額1万3500円から2千円引き上げるものです。ご賛同を呼びかけるものです。

 7日に発生した震度5強の地震は、都内各地で水道設備からの漏水、多数の帰宅困難者の発生、日暮里・舎人ライナーの脱輪事故など多くの被害をもたらし、地震に対する東京都の脆弱性があらわになりました。今回の被災を検証し、首都直下型地震に備え、ライフラインの総点検、住宅耐震、避難所の拡充などについて早急に取り組むよう求めておきます。

 コロナ禍で開催された東京オリパラ大会は、都民にとって手放しで喜べるものにはなりませんでした。
 開催都市の過大な財政負担、商業主義による歪み、IOCとの不平等な関係、女性蔑視発言など多くの課題が指摘されていますが、知事は「課題がある」とも「検証する」とも言いませんでした。東京の真夏を「温暖な気候」と偽り、選手75人が熱中症になった問題、さらには弁当やマスク等の大量廃棄、コロナの感染拡大など、検証すべき多くの課題や問題点が残りました。負のレガシーをふくめて全面的に検証すべきです。

 都議会で野党第一党の日本共産党は、7月の都議選で19議席に前進させていただき、野党共闘も発展しました。この力を生かして、都政を変えるとともに、目前の総選挙では、日本共産党の躍進と市民と野党の共闘勝利で、人々の命や暮らしを軽んじる政治を終わらせ、政権交代を実現するために力を尽くす決意を申し上げ、討論を終わります。

以上