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質問・条例提案

予算特別委員会 白石たみお都議(品川区選出)の代表総括質疑


★質問全文(都議会速記録速報版より)

  1. 羽田新飛行ルートについて
  2. 新型コロナウィルス対策について
  3. 都立・公社病院の独立行政法人化について パネル1 パネル2 パネル3 パネル4

○白石委員 日本共産党都議団を代表いたしまして、ロシアによる国際法違反のウクライナ侵略と核兵器による威嚇に対し、厳しく抗議をいたします。
 それでは、質問に入ります。
 まず、羽田新ルートについてです。
 羽田新ルートが本格運用されてから、間もなく二年が経過をいたします。羽田新ルート直下の住民は、騒音や落下物の危険性など、日常から影響を受けております。
 コロナの影響で、以前と比較して羽田発着便は、国際線では七割減、国内線も二割の減便となっております。しかし、羽田新ルートの影響によって、例えば江戸川区では、航空機騒音の発生回数は何と二万回を超えました。運用前から二・六倍へと急増しております。驚くべき状況になっています。
 実際に、地元品川区をはじめ、羽田新ルート直下の方からは、例えば、朝、飛行機の騒音に起こされて精神的に参ってしまう、うるさくて窓が開けられないなど、日常の穏やかな生活が脅かされているという声が幾つも寄せられております。大変深刻な実態です。
 まず初めに伺います。
 知事は、羽田新飛行ルートについて、都民の理解や合意を得られていると考えているのか。切実なこの声をどのように受け止めているのか伺います。

○小池知事 新飛行経路についてのお尋ねでございます。
 新飛行経路につきましては、都民の皆様などから、騒音、安全対策の実施など、様々なご意見があるということは承知をいたしております。
 そして、お尋ねの新飛行経路の決定に責任を持つ国が、関係自治体などからのご意見などを受け止めて丁寧に対応するということを前提に、地元の理解を得られたものだと判断した、そのように理解をいたしております。

○白石委員 知事ね、国がどう理解しているか、私、聞いたんじゃないんです。知事が、この都民の意見や声やこの実態をどういうふうに受け止めているのか、理解を得られているのかという質問をしました。もう本当に他人事のようにいわれます。
 そもそも羽田新ルートが住民の理解も合意も得ずに開始されたのは、知事と東京都が国に対して、羽田新ルートを予定どおり進めてくださいと要望し、お墨つきを与えたことが原因なんです。理解を得られたというのは、とんでもない話だと思います。
 渋谷区議会を見れば分かります。渋谷区議会の意見書では、固定化回避の検討会では現在の滑走路の運用を前提としており、これでは住民生活環境は改善しないことを厳しく指摘をしております。そして、羽田新ルートの運用停止、いいですか、運用停止を国に求めています。自民党の中からも、せめてコロナでの減便中は新ルートの飛行はやめるべきだという声が出されているんですね。
 現在も七つの区議会で、羽田新ルート一時凍結を求める陳情が提出をされております。よほど理解も、納得も得られていないということは明らかだと思います。
 環境基本法には、人の健康の保護、生活環境を保全する上で維持されることが望ましいとする環境基準が定められております。知事もよくご存じだと思いますね。
 そこで伺います。羽田空港周辺の航空機騒音による被害を防止するため、対象地域を定めるのは一体誰なのか。また、環境基準が守られているかの監督責任の所在はどこにあるか伺いたいと思います。

○栗岡環境局長 航空機騒音の環境基準を適用させる地域は、環境基本法に基づき知事が指定することとされております。
 また、その環境基準の適合状況を確認するための騒音調査や、必要に応じた改善要請は都が行ってございます。

○白石委員 知事が航空機騒音の適用地域を決めるということを確認しました。
 では、続いて伺いたいと思います。
 現在、航空機騒音の環境基準が適用される地域というのはどこなのか。また、指定地域外は、航空機騒音の環境基準は適用されるかどうか伺います。

○栗岡環境局長 羽田空港周辺における現在の指定地域は、航空機騒音の環境基準を適用させる地域として、都の告示で定められてございまして、その地域は、大田区、品川区及び港区の一部でございます。この指定地域外では、航空機騒音に係る国の環境基準は適用されません。
 なお、都は現在、新飛行経路の本格運用を受けまして、現在の指定地域の見直しの是非を検討するため、令和二年度から専門家による検討会を立ち上げ、具体的な調査に着手してございます。
 今後、航空機需要の回復状況等を見極めながら、指定地域の見直し等検討を進めてまいります。

○白石委員 聞かれたことにぜひ答えていただきたい。
 今、驚きました。羽田新ルートで都心上空をこれだけ飛んでいるのに、環境基準は都内のごく一部しか指定されていない。大田区、品川区、港区の一部だと。
 先ほど紹介した江戸川区も二・六倍になっている、二万回も超えていると、そういう中で、この江戸川区も含めて他の地域は圧倒的に不適用になっていると。
 環境基準の不適用というのは一体どういうことか。都民の健康の保護や生活環境を保全する基準がないと現時点ではいえますね。どんなに飛行機がうるさくても、騒音調査や国への改善要請をする責任を都は負わないと実質的になってしまいます。
 知事は国の責任ばかり強調しますが、そもそもこれね、知事が指定できると。自らできるんですよ。だったら、知事がすぐにでも羽田新ルートの直下の自治体も含めて、まず指定をするということが本来あるべき姿だというふうに私は思います。
 そこに何ら壁はないと。だって、住民に規制がされるんじゃないんですから。騒音に対して規制がかかるんですから、すぐにでも指定すべきだと。検討会を今二回やっているから、これから考えていくじゃないんですよ。すぐにでもやるべきだというふうに思います。
 そもそも、騒音だけの問題じゃないんです。落下物の問題、羽田新ルートを使う限り、落下物の危険性を取り除くことはできません。
 二月中旬には、成田空港で六十キロの部品が落下する事故がありました。重量一キロ以上の部品の欠落は、報告されているだけで二〇一八年度が八個、一九年度が三個、二〇年度が八個です。都心上空を飛び続ける限り、いつ重大な事故が起こってもおかしくない。命が犠牲になってからじゃ遅いんです。
 都民の理解を得られず、騒音や落下物のリスクを回避する方法は、羽田新ルートの運用をやめる以外にないということを改めて強調したいというふうに思います。


 そして、次の質問に移りたいと思います。
 続きまして、新型コロナ対策についてです。
 救急搬送が困難な事例はいまだ第五波を大きく上回り、医療現場は危機的な状況となっております。コロナ病床は七千床確保したとされていますが、看護師が陽性になるなど出勤できず、マンパワーが足りず、入院が受けられません。一般病床もコロナ病床への転換で著しく不足し、救急車を受けることができないという状況です。
 先日、ER病棟で勤務している医師からお話を伺いました。ぜひ聞いていただきたい。何とか救える命を救いたいと思っても常に満床で本当に厳しい、転院先も全く見つからないため、重症なほど初期対応もちゅうちょする、毎日が綱渡りだと話されておりました。重症の救急患者を断らざるを得ないときは、もう諦めるしかない、この思いは言葉にもならないと話されておりました。
 その医師は最後に、医療の逼迫なんかじゃないと、今は医療の崩壊といった方が正確な表現だと訴えておりました。それだけ医療現場というのは非常に厳しい状況になっていると思います。
 そこで伺いたいと思います。都内の新型コロナ感染者は、一月以降だけで六十万人を超え、一日当たりの新規陽性者は高い水準が続いています。引き続き危機的状況だと思いますが、知事の認識を伺いたいと思います。

○小池知事 現在の新規陽性者数は減少傾向にございますが、モニタリング会議の専門家からは、入院患者、そして重症患者数は高い値での推移というふうに指摘をいただいております。
 感染の減少傾向を何としても確かなものにする、そのためにも、引き続き緊張感も持ちながらコロナ対策に取り組んでまいります。

○白石委員 減少傾向だというふうにいわれました。むしろ新規陽性者は高止まりというふうな状況もあります。今後どうなっていくか分からないと。本当に極めて慎重に、そして、しっかりと受け止めていかなければならないというふうに思います。
 入院患者や重症者数が高い値で推移しているということは、医療現場の状況が極めて深刻だということなんですね。しかも再拡大の危険も指摘されており、対策の強化というのが急務になっております。
 第六波では、症状のある人や濃厚接触者でも検査が受けられない、結果が出るのが遅れるという事態が広く生まれました。
 六十代の方、発熱し、都のホームページにある診療・検査医療機関に電話したけれども、休み明けまで検査の予約はいっぱいという理由で六か所で断られました。休み明けにかかりつけ医に相談しましたが、それでも断られ、八か所目でようやくPCR検査を受けることができたという実態です。
 検査がすぐに受けられなければ、治療が遅れるだけでなく、周囲にウイルスを広げ、一層感染が拡大をいたします。
 検査が追いついていないということは、数字にもはっきりと表れております。例えば、陽性率はピーク時で約四〇%となり、直近でも三四%と極めて高い陽性率となっています。
 そこでお聞きしたいと思いますが、モニタリング会議で陽性率は何のために出しているのか伺います。

○佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 モニタリング会議では、PCR検査、抗原検査の陽性率は、検査体制の指標としてモニタリングしているとコメントされております。
 なお、都は行政検査及び独自検査合わせて一日当たり約十万件の検査処理能力を有しているほか、PCR等検査無料化事業など、必要な検査を受けられる体制について確保しております。

○白石委員 まあ、やっているといいますけれども、つまり、陽性率が高ければ検査が不足をしていて、検査体制の強化が必要なことを示していると。これは当たり前のことです。だって陽性率が直近でも三四%なんですから。
 モニタリング項目の確認をした際の都のコロナ対策本部会議で、大曲医師は陽性率についてどういったか。一%や二%で低いうちはいいんだと、医療にアクセスできない状況になると、これが上がってくる、数字の増減というのは非常に重要と話されています。
 そもそも、今の東京都の検査体制整備計画は昨年十一月十七日に定めたもので、オミクロン株は想定されておりません。必要な検査が受けられない事態をなくすためにも、オミクロン株の発生も踏まえて、検査体制を強化することは不可欠だと、このように考えますけれども、いかがでしょうか。

○佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 現在の検査体制整備計画は、第五波の最大新規陽性者数やインフルエンザの同時流行を想定して見込んだ検査需要に対応できるよう、検査体制の整備を図ったものでございまして、令和三年十一月十七日に改定をしたものでございます。
 なお、その時点では、オミクロン株の発生は確認されておりませんでしたが、計画改定後にオミクロン株の発生に伴う感染拡大に応じまして、集中的検査の対象施設の拡大、あるいは濃厚接触者への検査キットの配布、あるいは診療・検査医療機関の公表など、必要な取組を行い、検査体制をさらに強化しております。

○白石委員 今やっていることをいわれましたけれども、でもね、数字が明らかなんです。これだけ陽性率が高いということは、検査が不足しているんです。
 必要な検査はやっているかのようなことを今おっしゃられました。これもやっている、あれもやっている、それは大事です。だけれども、じゃあ、実際、陽性率どうかといったら、非常に高い状況。検査が受けられないという実態が、やはり先ほども紹介しましたが、実際に生まれているんです。こういう実態を見なければ、しっかりと見なければ、本当に対策が打てない、手遅れになってしまうと、もう厳しく指摘したいと思います。
 ある診療・検査医療機関では、二月に入り様々な業務が追いつかなくなり、PCRなどの検査はかかりつけの患者に制限をいたしました。職員は断腸の思いで、発熱外来を縮小せざるを得なかったと、このように話されております。
 都の最大の検査能力、先ほど局長いいました、一日十万件自体、オミクロン株を想定したら足りないし、その一日十万件の検査すらできていないのが実態なんです。診療・検査医療機関への財政的、人的支援を行うよう、強く求めたいと思います。
 重症者や死亡者を増やさないためにも、対策の強化が急がれるのは高齢者施設です。都内でコロナ患者の往診を行っている医師も、施設内の高齢者やデイサービス利用者の感染も続いており、予断を許さない状況だ、入院をお願いしても、残念ながらご逝去される方もいらっしゃると、このように切実に述べられております。
 高齢者施設でのクラスターを抑えることは重要です。これをどう認識しているか伺いたいと思います。

○中村福祉保健局長 高齢者施設の入所者は、重症化リスクが高く、集団感染が発生した場合の影響が大きいですので、施設での感染防止対策の取組が重要でございます。
 そのため、都では、マニュアルや動画、研修などを通じた施設での感染対策の周知徹底、職員を対象とした集中的検査を実施するするほか、個室化の改修などを支援しているところでございます。
 また、大規模接種会場やワクチンバスで職員や入所者へのワクチンの追加接種を実施しておりまして、こうした様々な取組によって高齢者施設への感染防止に努めているところでございます。

○白石委員 様々必要な対策を取られていると思いますが、集中的検査の実施頻度はオミクロン株に対応したものになっておりません。
 伺いますが、オミクロン株の潜伏期間、何日ですか。

○佐藤福祉保健局健康危機管理担当局長 厚生労働省の新型コロナウイルス感染症診療の手引きによりますと、オミクロン株の潜伏期は二日から三日程度とされております。

○白石委員 一週間、当然七日あります。オミクロン株の潜伏期間が二日から三日程度ということであれば、一週間に二回から三回、感染のサイクルを繰り返すことになります。この潜伏期間の短さがオミクロン株の感染の速さの大きな要因なんです。
 国のコロナ対策分科会の尾身会長、三月四日の国会で何といったか。施設での検査は一週間に二回行うことが理想的だと述べられました。七日間に一回より二回の方がクラスターを早期に抑えやすいのは確かなことです。現在の集中的検査の頻度を上げるよう重ねて要望し、次の質問に移りたいと思います。

 次に、都立、公社病院の地方独立行政法人化の問題について質問をいたします。
 都民の命を守る最後のとりでとしての役割を果たし、コロナ対策でも全国で最も先進的、柔軟な対応を行っている都立病院を、小池知事は、全て東京都から切り離し、独立行政法人に担わせるとしております。あわせて、公社病院も丸ごと独法化されます。
 しかも、小池知事は、コロナのこの第六波のさなか、都立病院条例の廃止などを提案して、今年の七月一日に独法化を強行する計画です。さらに、公営企業設置条例改正の提案理由に、病院事業を廃止する必要があると明記をされております。
 病院事業について、条例には次のように書かれております。住民の需要に応じて近代的医療の給付を行うとともに公共医療活動を行う。独法化により、この部分が丸ごと削除をされ、都民が必要とする医療を都が直接給付する都立病院の事業が廃止をされるということです。
 予算特別委員会に付託されている予算案、これ見ても、都立病院、公社病院の関係の予算は六月までしか計上がされておりません。
 初めに、知事に伺いたいと思います。
 都内の新型コロナ感染者、一月以降だけで六十万人を超えております。一日当たりの新規陽性者は高い水準が続き、医療体制は崩壊しております。なぜこんなときに都立、公社病院を独法化しなければならないのですか。知事、お答えいただきたい。

○小池知事 臨機応変な対応が求められます今回のコロナ対応を踏まえますと、感染状況に応じた対応や新たな感染症への備えなど、感染症医療提供体制のさらなる強化が急務でございます。
 このため、早期の体制整備が必要であり、独法化の準備を進めるものであります。
   〔発言する者あり〕

○白石委員 今、自民党席からそうだなんて話がありましたけれども、冗談じゃないと。コロナ感染症などに対応するため都立病院を独法化して、都の病院事業を廃止する、全く理解できません。
 大体、コロナ対応で、独法化しなければ解決できない重大な不都合も、これまでに都は示すことできておりません。コロナ専用病床を確保した全国の約二千三百の医療機関の中で、コロナ病床確保数、いいですか、一位から十一位は全て都立、公社病院なんです。
 これまでだって、ここにいる全ての会派が都立、公社病院のコロナ対応について高く評価しています。それにもかかわらず、コロナ対応を独法化の理由に使って、独法化を正当化するなど断じて許されない。厳しく指摘したいと思います。
 今必要なのは、都の役割と責任を果たし、都立、公社病院を抜本的に充実強化することです。
 知事は、本定例会に提出した都立病院条例を廃止する条例や病院事業を廃止する条例などの議案について、具体的にどういう検討がされたのか。今年一月五日に、知事執務室でこの問題の会議が開かれておりますが、知事はこの会議にどういう問題意識で臨んだのかお答えいただきたいと思います。

○小池知事 独法化の目的でございますが、行政的医療の安定的な提供などの役割を将来にわたって果たし続けることでございます。
 今後も、感染状況に応じてさらなるコロナ対応が必要でございまして、新たな感染症にも備えていかなければならない。
 また、超高齢社会が本格化する中で、医療環境の変化に迅速に対応できる体制を早期に整備する必要がございます。
 このため、本年七月の法人設立に向けまして、中期目標をはじめとした関連の議案について本定例会に提出し、ご審議いただくことといたしたものでございます。

○白石委員 今、もっともらしいようなことをいいましたが、我が党、情報公開請求で会議の記録を入手いたしました。パネル、ご覧いただきたいパネル1。皆さんには資料、現在配布させていただいております。ぜひそれを見ていただきたいと思います。
 これ記録を見ると、会議は十三時五十分から始まり、僅か十分で終了。本部長が議案の説明をして、意見なしで了承ですよ。主な内容、何にも書いていないんです。
 つまり、記録すべき議論が全くない、形だけの会議を僅か十分間開いただけで、まともに検討された形跡がないまま都議会に提出することを決めたんです。これ、ぜひ見ていただきたいと思います。
 知事は、独法化の問題は終わったことにして、議論もする気がない、関心もない。だから施政方針で独法化の問題に一言も触れることがなかった。そういうことではないのかと本当に思います。
 知事は、施政方針で独法化の問題について一言も触れませんでした。施政方針で触れなかった理由、知事に伺いたいと思います。
 知事、よく聞いていただきたい。昨年第三回定例会で独法化の定款が議決されたことで、もう決まったことだから都民がどういおうと議論もしないし、説明もしないと、こういうことでしょうか。知事、認識を伺いたい。

○野間政策企画局長 施政方針表明、所信表明、いずれも各定例会で発言する重みは変わりません。
 施政方針等は、定例会の開会に当たって、都政の課題への対応や意思形成の状況を踏まえて、現時点で示すべき事柄などについて、知事、副知事などによる議を経て、政策企画局で取りまとめ、その内容について局に伝えております。様々な場面で、三定、一定、二定と表明してございます。

○白石委員 いや、質問を聞いていただきたいと。私は、この施政方針で独法化に触れなかった理由は、この定款が議決されたから、もう決まったことだからいいんだと、都民がどういおうとも議論もしないし、説明もしないと、こういうことなんじゃないんですかと。知事の姿勢を見ていればそう思うと。だから、否定するなら否定していただきたい。ちゃんと答えていただきたい。これ知事への質問です。
 改めて伺います。
 第三回定例会で独法化の定款が議決されたことで、もう決まったことだからいいと、都民がどういおうと議論もしないし説明もしないということですか。知事、ぜひお答えいただきたい。

○野間政策企画局長 新たな都立病院については、これまで所信表明、施政方針はじめ、本会議、常任委員会の場で説明を尽くしてございます。

○白石委員 いや、もう明らかですよ。何でこれが答えられないのかと。私ね、政策企画局長に施政方針のつくり方なんか聞いていないんですよ。よほど、本当に答えたくないんだなというのが、もう皆さん明らかだと思います。
 病院経営本部にも相談しなかったと伺っております。こういうふうなことでこれまで進められてきたと。知事が施政方針を決めているんだから、知事が答弁するのは当たり前の責任だと。何でこれが答えられないのかと。本当、厳しく指摘したいと思います。
 これまでも、都と都議会に三十万筆を超える請願などが出ております。現場からも、なぜコロナのさなかにやらなければならないのかなど、多くの疑問の声が上がっております。
 定款が議決されたから、節目節目で議論をしてきたから、説明はもう十分なんだと、口が裂けてもいえるような状況ではありませんよ。
 それでは、伺いたいと思います。
 都民の理解と合意は得られていると考えているのでしょうか。いかがですか。

○西山病院経営本部長 独法化に関しましては、これまで、独法化の意義や目的について、広報誌やホームページなど様々な広報媒体を活用して広報に取り組んでまいりました。
 独法化の目的は、超高齢社会の本格化など、医療課題がさらに深刻化していく中でも、行政的医療の安定的な提供等の役割を将来にわたって果たし続けていくことでございます。
 東京都立病院機構の設立に当たりましては、議会の議決を経て定款を定める必要があり、昨年第三回定例会では、新法人の定款を議決いただきました。
 こうしたことも踏まえまして、今後とも、都民をはじめ様々な関係者の理解が進むよう、丁寧に説明してまいります。

○白石委員 もうね、都民の理解と合意は得られたんですかと、どう考えているんですかと聞きました。だけれども、正面から答えられないと。今聞いていれば、定款が議決されたから、だから、もう説明は十分なんだと、このようにも聞けるような答弁となっています。今明らかなのは、口が裂けても、都民の理解と合意が得られたなんていえないということなんですよ。
 丁寧に説明すると繰り返しいっておりますが、施政方針で一言も触れない。質問で、だったら丁寧に説明すればいいじゃないですか。でも、全然知事も立たない。こういう知事の姿勢は、あまりにも私、無責任だと、このように厳しく指摘したいと思います。
 さらに質問を進めたいと思います。
 知事は、独法化の目的は、行政的医療の提供などの役割を将来にわたって果たすことと繰り返し説明されていますね。では、率直に知事、いいですか、知事ですよ、率直に知事に質問したい。知事は、独法化後、将来にわたって病院の統廃合はしないと、このようにいえますか。知事、いかがでしょうか。知事、どうぞ。

○西山病院経営本部長 独立行政法人制度は、法令上、都や議会が関与することができ、行政的医療の安定的な提供を効率的、効果的に行うことができる経営形態でございまして、さきの第三回定例会において議決をいただきまして、本定例会で中期目標をはじめとした関連議案をご審議いただき、独法化の準備を着実に進めているところでございます。

○白石委員 いや、本部長ね、質問を聞いていただきたいと。
 もう一回聞きますよ。独法化後、将来にわたって病院の統廃合はないといえるんですかという質問です。どうぞ−−じゃあ本部長でいいですよ。

○西山病院経営本部長 独立行政法人制度は、法令上、都や議会が関与することができ、行政的医療の安定的な提供を効率的、効果的に行うことができる経営形態でございまして、議会の議決をいただき、本定例会では中期目標をはじめとした関連議案をご審議いただいているところでございます。
 引き続き、新法人の設立に向けて着実に準備を進めてまいります。

○白石委員 皆さんね、本当に分かると思います。将来にわたって統廃合はないんですかといったら、全く違う答弁しかできない。ないといい切れないんです。本当に驚きです。
 知事は、行政的医療の提供を将来にわたって果たすために独法化だと繰り返しています。けれども、こういうふうに核心に迫った質問をすると、だんまりを決め込む。そして、本部長は全く意味不明な答弁を繰り返す。
 これ、私、臆測でいっているんじゃないんです。私の主観でいっているんじゃないんです。パネル(パネル2)をご覧いただきたい。先月に開かれた独立行政法人評価委員会の都立病院分科会で、評価委員から次のような発言がありました。病床機能の見直しとか、急性期病床などの適正化とか、再編統合とか避けられないと思う、こういっているんです。独法化する前から統廃合は避けられないと評価委員が明言しているんです。私の臆測じゃないんです。
 知事、いいですか。知事自身が任命した評価委員です。この発言、知事は知っておりましたか。いかがですか。

○西山病院経営本部長 独法化の準備につきましては、適宜、知事に報告、相談しながら進めているところでございます。

○白石委員 本部長、今、適宜報告しているといいました。じゃ、今の評価委員のこの発言は報告されましたか。いかがですか。

○西山病院経営本部長 独法化の件につきましては、適宜、知事に報告しながら進めてございます。

○白石委員 いやいや、本当に質疑にならない。正面から答えない。評価委員は、統廃合は避けられないという発言をしているんですよ。それについて、じゃあ本部長は知っているけれども、報告したのかどうなのかと質問したら、一切答弁ができないと。本当に事実をしっかりと明らかにしなければ、質疑なんかできないんですよ。丁寧な説明をしていくと、独法化についてしていくと、あれだけ繰り返していたのに、この場での質問は全く答えられない。とんでもない。

 それにとどまらない。この方だけじゃない。これも知事が任命した評価委員ですが、昨年十一月に開かれた、第一回独立行政法人評価委員会の都立病院分科会で、公務員の看護師は新陳代謝がない、長く働いて、年を取っても辞めない、人件費の制約をつけるのかと述べております。
 知事、いいですか。新陳代謝がないと、年を取っても辞めないと、つまり、短期間で次々と辞めてもらいたいということじゃないんですか。この発言、知事がご自身で任命したこの評価委員の発言、知事の受け止め、いかがですか。

○西山病院経営本部長 独立行政法人に移行する際には、法人法の定めによりまして、都立病院の職員は別に辞令が発せない限り、法人設立の日におきまして、法人へ身分移行することとなります。

○白石委員 いや、本当に質疑にならない。重大なことですよ、これ。
   〔発言する者多し〕

○宇田川副委員長 少しご静粛に願います。

○白石委員 統廃合は避けられないと、こういう発言があったり、ほかの評価委員からは、新陳代謝がないと、年を取っても辞めないんだと、こういう議論がこの評価委員会で、都立病院の分科会でやられているんですよ。それについて正面から質問に答えることもできないと。本当にこの実態、本当に皆さんに見ていただきたいと。どこが丁寧な説明だと。
 それだけじゃないんです。まだあります。都立病院の独法化の先導役となってきた都立病院経営委員会の部会では、看護師の平均勤続年数が都立墨東病院は十五・四年、独立行政法人のある病院は六・一年と説明があり、墨東病院に対して、今度は都立病院経営委員会の委員、何といったか。かなり居心地がいいんでしょうねと。やゆする驚くべき発言ですよ。
 皆さん、いいですか。独法化というのは、職員が経験を積むことを評価せず、人件費を抑える、そういう制度なんです。(発言する者あり)今ね、そんなことないといわれました。ぜひこれ見ていただきたいと。
 実際、独法化後に給与体系を見直した法人の例。見ると、働き続けても給与は上がらないようにするのが一般的なんです。独法化によって、ぜひ(発言する者あり)いやいや、委員の皆さんにも知っていただきたいと思うんです。独法化によって働きやすい、安心して働ける職場環境というこの宣伝、表向きの話なんですよ。いっていることと議論がされていること、全く違うんです。
 評価委員会や都立病院経営委員会でのこうした発言は、私、本当にとんでもないと、このように思いますが、独法の法律との関係では、独法化の本来の狙いをよく理解されていて、忠実な発言を評価委員の委員、都立病院経営委員会の委員はいっているんです。つまり、これが独法化の本質なんです。
 ところが、知事も、病院経営本部長も、東京都も、それを覆い隠して、独法化すればばら色になるようなことを宣伝しているんです。それは本来の独法法の趣旨を覆い隠すための宣伝なんです。都民を欺くものです。このようなやり方で独法化を強行する。断じて許されないと強くいいたいと思います。
 独法化の検討が加速したのは、病院経営本部が設置した、先ほども出てきました都立病院経営委員会が二〇一八年一月に出した提言です。これ皆さん知っていると思います。
 それでは、独法化の検討を提言した経営委員会の位置づけについて、総務局長、伺いたいと思います。総務局長は、附属機関等設置運営要綱の取扱いについてという通知を出しておりますが、経営委員会はこの通知のどこに適用されますか。

○村松総務局長 都立病院経営委員会は、お話の総務局長通知、附属機関等設置運営要綱の取扱いについて、この通知のことだと思いますが、この外部の専門的知識を導入する目的で設置される専門家会議に該当するものと認識しております。

○白石委員 つまり、経営委員会は、地方自治法で定める附属機関ではないという今、答弁です(パネル3
 取扱い通知、地方自治法に定める附属機関とその他を明確に区別するよう求めているんですね。都立病院経営委員会は、懇談会等に含まれる専門家会議に当たるとご答弁でしたね、今、総務局長。
 パネルと資料、皆さん、資料もお配りをしていますので、見ていただきたいと思います。この通知には、附属機関でない場合は、意見の表明または意見交換の場であるとしていて、十分に留意することを具体的に定めております。簡単にいえば、附属機関じゃない機関というのは、十分に留意しなきゃいけないことがあるんだよと総務局長の通知で書かれております。具体的に定められております。
 (2)委員の意見の取りまとめについては、個々の委員の意見表明の形を取り、機関意思の表明と紛らわしい諮問、答申の形を取らないことと定めておりますね。
 総務局長に伺います。
 この留意事項は、地方自治法との関係で極めて重要なものだと思いますが、総務局長、見解を伺いたいと思います。

○村松総務局長 附属機関と専門家会議、この違いも含めてご説明をさせていただきますが、審議会等の附属機関は、法令の定めによりまして、執行機関からの諮問に対して、答申などの合議制機関として機関意思を表明する、こうなっております。
 専門家会議は、行政運営に必要な意見聴取、情報や政策等に関する助言を求めるため、出席者の意見の表明や意見交換を行うものでございます。
 総務局長通知では、専門家会議の意見の取りまとめを諮問、答申として実施しないように求めているものでございまして、座長が議論の過程で意見の調整を行うことは妨げておりません。都立病院経営委員会の報告も、意見の表明と認識しております。

○白石委員 いや、総務局長、ちょっと驚くべき発言です。今、いろいろ説明しましたが、経営委員会は意見表明であって−−いや、ちょっとね、本当に驚きです。
 地方自治法の附属機関の規定は、一部の専門家などによる恣意的な行政への介入を防ぐための重要なものなんだと。地方自治法は、附属機関は条例で設置しなければならないと、このように明記されているんですね。何で区別をしなければいけないかといったら、一部の専門家などによる恣意的な行政への介入を防ぐための重要なものなんだと、地方自治法で書かれております。
 附属機関ではない専門家会議、つまり経営委員会、機関意思の表明と紛らわしいことをしたら、自治法違反になると、こういう裁判の判例は幾つも確定をしております。
 だから、今日、パネルに示した取扱い通知の規定が必要だし、極めて重要であると。総務局長、いいですか、総務局長。極めて重要だというふうに思います。このパネルを見ていただきたい。
 そして、二〇一九年第四回定例会で我が党の代表質問に、当時の病院経営本部長がどう答弁したか。パネル(パネル4)、総務局長、見ていただきたい。都立病院経営委員会からの提言は、十二人の委員で構成する合議体の結論として、平成三十年一月に報告を受けたものでございます、こう答弁されております。
 総務局長、伺います。合議体の結論として報告を受けたというのは、意見表明や意見交換とは明らかに違う。取扱い通知に明確に違反しているんじゃないんですか。

○村松総務局長 先ほども申し上げましたけれども、座長が議論の過程で意見の調整を行うことまでは妨げておりません。専門家会議の運営の中で、座長が様々な専門家の意見を調整したものと考えております。
 したがいまして、先ほども申し上げましたが、都立病院経営委員会の報告も意見の表明と認識しているところでございます。
   〔発言する者あり〕

○宇田川副委員長 ご静粛に願います。

○白石委員 経営委員会が出したこの提言、およそ個々の委員の表明、意見表明などではないと、誰が見たって分かりますよ、そんなの。取りまとめられているんですから。
 病院経営本部長が合議体の結論と。いいですか、合議体の結論といっているように、機関意思の表明そのものなんですよ。これを総務局長は、あろうことか意見表明なんだと。いや、びっくりな発言ですよ。地方自治法を本当に理解されているんですか。
 これね、取扱い通知違反であり、疑う余地のない地方自治法違反なんです。これ知事ね、明らかな地方自治法違反です。このまま見過ごすわけにいかないんじゃないですか。知事、いかがでしょうか。

○西山病院経営本部長 総務局長からもお話ございますように、まず、委員会の報告につきましては、座長が議論の過程で意見の調整を行うことも妨げないという中で報告をしたものでございます。
 また、独法化の方針そのものは、都として検討を重ねた上で、議会の議論を踏まえ、都としてビジョンとして令和二年に策定したものでございます。
 それから、先ほど来、委員、独法化というのは給与の引下げですとかおっしゃっておりますけれども、人事給与面においては、これまで議会でも何度もお話ししておりますとおり、職員の専門知識や働きがい、働きやすい給与水準を持つというもの。
 それから、評価委員会の議論をるるお話しされましたけれども(発言する者あり)評価委員の議論を経て、本日ご議論いただいております中期目標には、病院の民営化、統廃合というようなことは一切入ってございません。失礼しました。
   〔発言する者あり〕

○白石委員 いや、そのとおりといわれました、自民党席から。びっくりです。これ、地方自治法違反なんです。私は何人もの弁護士に意見を聞きました。
 今、本部長ね、この質問をしたら途中でいきなり本部長が出てきて、言い訳のようなことをつらつらつらつらつらつら長く答弁しました。質疑は時間限られているんですよ。質問したことには答えないで、都合が悪くなったら言い訳をどんどんいう。本当に許されないと私は思いますよ。
 何人もの弁護士の意見を聞きましたが、皆さん明らかな自治法違反だと。判例も確定しているといわれていました。住民訴訟になったら、東京都はまず間違いなく敗訴すると述べております。ところが総務局長は、これ認めなかった。本当に驚きです。
 都立、公社病院の独立行政法人化はこのように、その出発点から地方自治法違反のやり方で進められてきたんです。出発点から間違っている。成り立たないものなんだと。
 こういう問題がありながら、今定例会に出されている都立病院条例の廃止条例など独法化の議案は、やはり全て撤回して、白紙に戻すべきだと厳しく指摘したいと思います。
 先ほどもいいましたが、地方自治法の附属機関の規定は、一部の専門家などによる恣意的な行政への介入を防ぐための重要なものなんです。独法化の検討を提言した都立病院経営委員会の実態を、さらに明らかにしていきたいと思います。
 経営委員会の意見に基づき、先ほど本部長もいわれましたが、東京都は二〇一八年度、都立病院の経営形態の在り方について八千万円をかけて委託調査を行いました。このような調査で八千万円かけるのは珍しいことだと思います。
 伺いますが、この委託調査を受注した業者、どこですか。

○西山病院経営本部長 トーマツでございます。

○白石委員 もうちょっとはっきりいっていただきたい。監査法人トーマツです。監査法人トーマツが委託調査をしたということです。
 それでは、当時の都立病院経営委員会の委員に監査法人トーマツの関係者はいらっしゃいましたか。

○西山病院経営本部長 一名おりました。

○白石委員 いたんですね。監査法人トーマツは、都立病院経営委員会の当時の委員だったんです。今答弁ありました。
 経営委員会では、独立行政法人という経営形態が一番ふさわしいと発言していたのも、この監査法人トーマツの委員です。
 トーマツのホームページ、皆さん帰ったら見ていただきたい。独法化支援業務の経験やノウハウを生かして、公立病院などの法人化を推進する仕事をしていると大々的にアピールもされております。そして、独法化する手引の本まで販売しているんですね。さらにトーマツは、独法化した病院などの監査を幾つも仕事として行っております。
 つまり、皆さんいいですか。独法化を推進しているトーマツの関係者を病院経営本部が経営委員会の委員として選び、その経営委員会が独法化すべきといった。挙げ句の果てに、それを受けた委託調査をトーマツが八千万円で受託をすると。この調査結果、これを根拠に東京都は独法がふさわしいといいました。これ一連見れば、本当にこれ、びっくりしますよ。これ指摘したこともあります、私は。
 都は、いかにも第三者的な(発言する者あり)質問をしております、聞いてください。都は、いかにも第三者的な立場から提言を受けて進めたようにいうんですね。だけど実際は、誰がどう見たって、公平性や中立性などないじゃないですか。
 先ほど明らかにしたように、経営委員会が出した提言というのは自治法違反だと。しかし、そんなことはお構いなしで、独法化ありきでずっと進められてきたと。これ絶対許されない。しかも、その経営委員会に独法化をした病院とかそこの監査の仕事をしているトーマツが入っていて、そして都立病院経営委員会が、独法化が一番望ましいんだと提言をして、それを受けて調査をしましょうと東京都はいいました。その東京都が委託調査先を選んだのがトーマツなんです。そして独法化が決まると。私は、本当にこういう一連の流れを見ていても、この独法化、本当に今こそ止めなければいけないと改めていいます。
 独法化したら医療がどのように変わってしまうのか。患者への影響について質問を進めたいと思います。
 独法化した滋賀県の大津市民病院では、十四名もの医師が理事長によるパワハラがあったと訴えて退職の意向を示す重大な事態になっております。外科の業績が低下していることから、病院側がチームの交代を提案したことが引き金になったとのことです。既に外科、消化器外科、乳腺外科の手術を前提とした患者の受入れは見合せているとホームページに明記されております。
 この大津市民病院の実態について、都として調査を行っていますか。

○西山病院経営本部長 この場で他団体のことを論ずることは適切でないと考えます。どのような形態にありましても、業務運営を適切に行い、職員がそれを遵守して、業務を進めることは重要だと考えております。
 それから、先ほどトーマツの件をおっしゃっていましたけれども、これは競争入札により適正な手続を経て、契約を行ってございます。

○白石委員 いや、他のことだから調べなくていいんだと、そんなわけないじゃないですか。これから独法化しようというふうにいっている東京都が、実際全国を見てこういうことがあると、十四名もの医師が理事長によるパワハラで退職の意向を示すと、その背景には外科の業績が低下していると、採算性がここで持ち出されているんですよ。そういうことに一切目を向けない、他のことだから関係ないんだと、そんなはずないじゃないですか。
 都として調査を、私ね、本当にこういうところでも行わないこの姿勢。この問題というのは、昨年から問題になっていたにもかかわらず、病院から市への報告がなく、市は最近まで事態を把握していなかったということなんです。そして市は、人事権もなく、医師確保のための取組は法人にやってもらうことといっているそうなんですね。
 大津市民病院は、二〇一九年にも産婦人科医の退職によって分娩を中止するという事態になりましたが、当時の市長は記者会見で何といったか。独法化したから法人が決めることと他人事のような対応だったんです。
 これは大津市だけの特別な問題じゃないんです。地方独立行政法人というのは、そもそも自治体や議会の関与を縮小するという考えでつくられた制度なんです。当時の国務大臣が明確に答弁しています。だから、問題が起きたときに自治体が対応するのが難しいんです。他の法人でもこのような問題が相次いでおります。明らかな独法化のデメリットです。
 伺いたいと思います。独法化にデメリットはないんですか。

○西山病院経営本部長 都が先行独法ではあります健康長寿の実績評価におきましては、平成二十一年度設立以来、おおむね着実な業務の進捗状況にあると評価を受けております。
 長寿医療センターでは、独法のメリットを活用して医療等を充実させると認識しておりまして、この独立行政法人に制度上のデメリットはないと認識しております。

○白石委員 まあ驚きですよ。こういう事例がいっぱい相次いでいるのに、独法化のデメリットはございませんと。独法化すればばら色になるんだと、何でもうまくいくんだと、こういうふうに描いて、これまで都民も議会も現場の職員にも説明してきたと。許されないと思いますよ。
 独法化の本旨、先ほどいいました。例えばベテランの人たちに対して、随分居心地がいいんでしょうねと。早くどんどんどんどん入れ替えていくような、こんな発言がどんどん飛び交っているという、本当に許されない。
 大津市民病院の問題もそうですけれども、結果、一番しわ寄せが行くのは地域の住民や患者なんです。つまり、医療の質の後退となるんです。
 患者負担の問題も重大です。ご家族がALSで、都立神経病院に長年お世話になっている方は、差額ベッドへの影響を大変心配されています。他の患者さんやご家族と話していても、まず出てくるのは差額ベッド代の心配だというんですね。
 難病で神経病院にお世話になっている方は、完治はしないので一生お世話になり続けるわけですと。様々な理由で入院をする、そのときの負担が増えたらどうなるかと。
 東京都健康長寿医療センターは、直営のセンターは独法化後に建て替えると全病床の約二五%になる百四十一床に差額ベッドが大幅に増やされました。健康長寿医療センター、独法前は差額ベッドは一体幾つありましたか。

○西山病院経営本部長 今、手元に数字を持ち合わせておりませんけれども、健康長寿医療センターでは、平成二十五年度に新設した際に、患者の療養環境の向上のニーズを踏まえて、有料個室を設定したと聞いております。
 なお、医師が医療上必要であると判断した場合には、個室を使用する場合にも料金は徴収をしてございません。

○白石委員 健康長寿医療センターはなかったんですよ。徴収していなかったんですよ。差額ベッドはゼロでした。ところが独法化後、先ほどもいいました、建て替えると全病床の約二五%になる百四十一床が差額ベッドで大幅に増やされたということです。
 一方、都立病院では、差額ベッドの割合を二割以内としており、実際は、おおむね一割前後だという状況です。独法化した健康長寿では、都立病院ではあり得ない割合まで差額ベッドを増やしたと。これが事実なんです。以上、これ指摘したいと思います。
 次に進みます。
 ここで、改めて都民の皆さんから寄せられた声を紹介したいと思います。知事も、そして病院経営本部の皆さんも、東京都も、ここにいる委員の皆さんにも、ぜひとも聞いていただきたいと思います。
 障害者団体の皆さんからは、都立病院条例の廃止条例案の提出を中止してほしいと要望書を出されておりますね。都はこれまで、都立、公社病院では他の医療機関では対応困難な障害のある感染症患者を受け入れていると明言をしていたのに、独法化されたら行政的医療が確実に継続される保証はない。いても立ってもいられずに要望書を出したと、このように話しております。
 ほかの方。ご家族が都立病院でがんの治療を受けられた方からは、このようなメールが届きました。都立駒込病院では専門性の高い治療を受けることができました。都立病院では医療費の負担が軽減されています。高齢者にとっても、その介護をする家族にとっても、医療費負担は切実な問題です。病気になった患者が医療費負担によって命の選択を迫られるようなことはあってはならない。独法化は断固として反対ですと書かれていました。
 次の方、元自衛官の方。島民の方々の救急搬送は、広尾病院に飛行艇で入ることからも、とても重要な病院です。絶対独法化してはいけません。ちゃんと現場を見てほしいです。このような電話もいただきました。
 知事ね、こういう都民からの声、どのように受け止めますか。知事、都民の声です。知事に聞いています。こういう声をどう受け止めるのですかと知事に聞いています。受け止め、知事の受け止めを聞きます。いかがですか。都民の声ですよ。

○西山病院経営本部長 独法化に関して様々な意見があることは承知しておりますが、独法化は議会の議決も経て進めているものでございます。
 また、独法化の目的は、超高齢化社会の本格化など、医療課題が深刻化していく中でも、行政的医療を安定的に提供するための独法化でございます。
 また、アンケート等においても、医療機能の充実を求める都民の声も多く届いてございます。

○白石委員 先ほどから質問で、横で都民ファーストからやじがいっぱい飛んでくるんですよ。こういう都民の声をしっかりと正面から受け止めない、そして、それを答えることも、答弁することもできない、こういう知事の姿勢、本当に明らかになりました。
 今がどういうときなのか、医療の現場で何が起こっているのか、知事に真剣に実態を見ていただきたいと思います。
 都内二十六か所にある救命救急センターのうち、第六波では、広尾病院を含めて少なくとも八か所で救急医療の制限がかけられてきました。そこで起きている実態は極めて深刻です。
 例えば八十代の男性、顔面蒼白で意識がもうろうとして、うなっているところを妻が発見し、救急車を呼んだ。脳出血のおそれがあり、一分でも早く救急搬送しなければならないが、二十以上の病院から受入れを断られ、治療まで二時間かかった。
 八十代女性が、部屋のベッドで血を吐いており、呼びかけに反応がなく、救急車を呼んだ。通常であれば十五分ぐらいで出発するが、この方は救急車が到着してから出発するまでに五十分もかかった。
 一刻を争う患者が必要な医療を受けられずに、命の危機となるケースが現在相次いでいるんです。今、命の危機なんです。独法化なんかやっている場合じゃない。
 一方で病院側。都立病院は東京都の宝です。公立であることにその意義があります。私はかつて、都立病院で医師として働いていました。その間にはSIRSもありました。ホームレスの患者さんも毎日搬送されてきました。常に損得ではなく、必要な医療を必要な人に差別することなく提供できる、そんな都立病院が好きでした。都立病院で働いた経験は、今も私の誇りです。このように訴えています。
 皆さんに訴えたいと思います。この質疑をして、今日の質疑で深刻な医療の後退へとつながる独法化の本質が明らかとなりました。
 都立、公社病院の独法化は、少なくともコロナ危機の中でやることではありません。今こそ東京都が直接責任を持って、都立、公社病院を守り、強化することを強く呼びかけて、質問を終わりたいと思います。(拍手)